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SCA-Seed_GSC ◆2nhjas48dA氏_ep2_プロローグ

Last-modified: 2008-01-18 (金) 20:45:08

 エミュレイターの反乱から1ヶ月。日常へ帰還したアズラエルは、何時もの通り本社の
社長室で押印とサインの日々を送っていた。ふと視線を右にやる。濃い灰色の雲が垂れ
込める空、窓ガラスを叩く雨粒、遠くで光る雷。少女は溜息をついた。
 ノックの音に、ドアの方へと向き直る。
「どうぞ、お入りください」
「失礼致します、お嬢様」
 微笑みを顔面に貼り付けた少女に対し、慇懃に頭を垂れたのは生体CPUの開発主任。
分厚いファイルを脇に抱えていた。
「生体CPU部隊のアップグレードは終わりましたか?」
「は、追加の投薬予定も無く。全機、安定しています」
「けっこう。あれは貴重な商品です。貴方よりも、勿論私よりも……それで」
 ペンを置き、少女は胸の前で指を緩く組む。
「此処にいらしたのは、どういうご用でしょう?」
 そう問われた主任は一度大きく息を吸い込んだ。軽く目を閉じ、独りで頷く。
「お嬢様、連合軍によってオーブが占領された後……シン=アスカさんに対するデマが
流れた事を覚えていらっしゃいますか?」
 苛立たしげな吐息が社長室に漏れた。
「ええ、あの……生殖能力を強化されたコーディネイターとかいう、愚にもつかない……」
 言葉が止む。少女の視線がゆっくりと持ち上がり、主任の眼を射抜く。言葉無く彼は
少女の椅子の傍へと歩み寄り、ファイルを見せた。
 窓の外で雷が一際強く光り、室内が一瞬白く照らし出された。
「アスカさんが今のようになった時、我社の病院で精密検査を行いました。その際の記録
です。この……ここのデータをご覧下さい」
「もう見ています。このデータを他に見た者は?」
「残念ながらスタッフのミスで、編集を終えていないデータが外部へ漏れました」
 少女の瞳が細まり、主任の背筋が震えた。
「外部、とは?」
「……アメノミハシラ代表、ロンド=ミナ=サハク司令官……です」
 喉の奥を引きつらせたような掠れ声を聞き、アズラエルは主任から視線を外す。
「わかりました。行きなさい」
 主任がふらつきながら退室した後、少女は傍らのインターホンのスイッチを押した。
受話器を耳に当ててしばし待つ。
『保安7課です、お嬢様』
「シン=アスカの現在地を突き止めて下さい。最優先事項で」
『了解しました』
 2度目の稲光が再び室内を照らす。少女の蒼い瞳が底光りを放っていた。

 
 

             Gundam Seed Chronicle episode供The Chosen”

 

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