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SCA-Seed_19◆rz6mtVgNCI 氏_Episode ”S & R”_第14話分岐

Last-modified: 2010-02-14 (日) 00:22:14

「キラ……」

 

 シン・アスカが裏切り、ファイナルデスティニーが防衛ラインを突破した。
 この知らせに、エターナルの守りの為に戻っていたキラ・ヤマトは出撃を決意する。
 彼を止められるのは自分だけなのだ。
 そんなキラに艦橋を抜け出していたラクスが話しかける。

 

「ラクス、どうしたの?」
「シンはなぜ……わかって貰えなかったのでしょう」

 

 ラクスの顔色は蒼白で、少しだけ震えている。
 無理もない、信じていた仲間に土壇場で裏切られたのだから。
 キラは優しくラクスを抱き寄せると、心配ないと語り掛ける。

 

「大丈夫だよ、ラクス。彼は僕が止める」
「キラ……」
「シンもきっと迷っているだけなんだ、夢は同じだから。だから、いつかはきっとわかってくれる」

 

 そう、彼はいつも迷い、人の甘言に惑わされ、道を間違える。
 以前は議長の声に惑わされたように、今度も誰かの声に惑わされたのだろう。
 あの少年が普通の少年だったらそれでもよかった。
 でも彼には力がある。彼の力を破壊に使わせるわけには行かない。
 ラクスならきっと、彼を正しい方向に導けるはずだ。

 

「行って来るよ。ラクス」
「キラ……、お願いします」
「うん」

 

 そして、キラは自らの聖剣たるストライクフリーダムに搭乗する。
 ラクスから与えられた、混迷する世界を切り裂きより良い方向へ導くための力だ。
 この機体に乗っている限り、自分は負けない。

 

「キラ・ヤマト。ストライクフリーダム、行きます!」

 

 永遠を冠する船より、自由の翼が飛び立った。

 
 
 

「キラ・ヤマトぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 敵包囲網を抜けたシンの前に最後に立ちふさがったのは、やはりキラ・ヤマトであった。
 すでに展開の終わったスーパードラグーンから、無数のビームが発射される。

 

「シン!! 君は何で!!」
「今更何を言うかぁ!!」
『お兄ちゃん!』

 

 ビームの雨の中をビームシールドを張っただけで突っ込むシンに、マユが思わず悲鳴を上げる。
 もっとも、シンとて好きで突っ込んでいるわけではない。
 キラ相手に無傷での勝利は不可能だ。長期戦になればなるほど、こちらが不利になるに決まっている。
 ならば、多少の被害など無視して突っ込むまで。

 

『肩部アーマー被弾。左肩フラッシュエッジ脱落……。脚部バーニア被弾、機動力5%の低下!!
 ウィング被弾、外部装甲板剥離! 連続稼働時間8.4秒減少だよ!!』
「その程度ならっ!」

 

 予想以上に少なかった被害に安堵の息を吐く暇も無く、
 ファイナルデスティニーはストライクフリーダムに肉薄する。
 キラ・ヤマト相手に大降りの攻撃でも、射撃攻撃でもダメだ。捨て身の覚悟で無ければ倒せない。

 

「こいつでぇ!」

 

 叫び声を上げながらファイナルデスティニーの左腕を突き出す。
 掌に装備された強化型掌部ビーム砲パルマフィアンマなら、
 触れることさえ出来れば装甲ごと吹っ飛ばせる。

 

「こんな所でっ!」

 

 だが、キラとて伊達に最強と言われているわけではない
 キラの脳裏でSEEDがはじける。視界が広がり、一瞬が無限に引き伸ばされる。
 怒りに燃える悪魔の赤く燃える掌が、平和の歌姫を守る天使の甲冑に触れるか触れないか、
 その刹那の時を切り裂き、胸部カリドゥス複相ビーム砲が火を噴いた。

 

「このぉぉぉぉぉぉ!」
「うわああああああ!」

 

 キラとシンの叫びが交錯する。
 高出力のビーム兵器同士のぶつかり合い爆発を起し、悪魔と天使は互いに部品をばら撒きながら
 大きく跳ね飛ばされた。 

 

『左腕パルマフィアンマ破損! 機能停止!』
「腕が落ちなかっただけマシだ!」

 

 モニターの端に浮かぶマユの報告を聞き流しながら、シンは再び突進をする。

 

「くっ、カリドゥスはもう使えないのかっ……。
 君はっ! これだけの力を持ちながらなぜ!」

 

 今の衝突であちらこちらの機能が死んでしまっている。
 自分相手にこれほどの戦いを見せる彼は何故わからないのだろう、
 何故平和を求めるラクスの考えに逆らうんだ!

 

「ちったあ自分の頭で考えろ! 馬鹿野郎がっ!!」
「ラクスは泣いているんだ! 君には何故それがわからない!!」

 

 突撃してくるファイナルデスティニーに対し、
 ストライクフリーダムは両手に構えたビームサーベルを振るう。
 右のビームサーベルがファイナルデスティニーの左足を切り裂き、
 左のビームサーベルが右腕を襲う……はずだった。
 だが、左の攻撃はファイナルデスティニーの灼熱の右腕にあっさりと止められる。
 シンはストライクフリーダムの左腕を握りつぶしながら、怒りに満ちた叫びを上げた。

 

「ラクス・クライン以外の人間もいるってわかれよっ!! 
 皆必死に生きてるんだよ! 世界はお前たちの玩具じゃないんだ!!」

 

 叫び声を上げて一気にVLを稼動させる。
 光の尾を引きながら、ファイナルデスティニーはストライクフリーダムごと一気に加速する。
 キラは慌てて振りほどこうとするが、ファイナルデスティニーはストライクフリーダムを
 がっちりと抱え込んで離さない。それどころか無理な動作で振りほどこうとしたのが仇となったのか
 ビームサーベルを取り落とす。
 そして、彼らの航路の先には、ピンク色の戦艦が浮かんでいた。

 
 

「回避しろっ!!」

 

 エターナル艦橋でバルトフェルドが回避の指示を出す。
 このままでは急接近してくる2機に艦橋が押しつぶされてしまう。
 もっとも、コーディネーターだとでできない事は出来ない。

 

「間に合いません!!」

 

 だが、その指示は遅すぎた。クルーが悲鳴を上げる。

 

「くそっ! 迎撃は!?」
「いけません! キラ様に当たってしまいます!」
「それどころじゃないだろう!」

 

 どうせ代わりがいる。そこまで言いかけてバルドフェルトは言葉を飲み込む。
 この事はほんの一部の人間しか知らない。完全コピークローンや記憶転送、
 カーボンヒューマンの事など言ったとしてもすぐには信じられないだろう。

 

「だめです! 衝突します!」

 

 モニター一杯に映る2機を前に、バルドフェルトは固まっていた片足が義足とは思えない素早い動きで
 ラクス・クラインに覆いかぶさった。
 次の瞬間、凄まじい衝撃に彼の意識が一瞬で闇に落ちる。

 

アンディ!!
隊長!!

 

 最後の瞬間、自分が切り捨ててしまった、懐かしい人の声が聞こえたような気がした。
 だが、彼にそれを確認する時間は許されなかった。

 
 
 

「ぜぇ、ぜぇ……」

 

 エターナルに衝突した衝撃でストライクフリーダムは完全に沈黙した。
 キラは死んだのか、気を失ったのかはわからない。だが、これがおそらくラストチャンスだ。

 

「マユ、レーヴァテインを使うぞ」

 

 そう言ってレーヴァテインをバーストモードにして構える。
 このまま、ストライクフリーダムごとエターナルを焼き払えば終わりだ。
 いくらなんでも、その状況でラクスもマルキオも生きてはいまい。
 だが、その行動はマユの声に制止させられる。

 

『まって、お兄ちゃん! えっ!? お兄ちゃん、攻撃しちゃダメ!!』
「何を言っているんだよ?」
『それは僕から説明するよ!』
「キラ・ヤマト!? あ、いや、キラさんか」

 

 通信機越しに聞こえてきた声に一瞬警戒しかけるが、すぐにそれがKユニットとされたキラだと気がつく。
 だが、なんだってキラが攻撃を止めるのだ?
 その答えは、ある意味予想外であり、聞いてみればラクス・クライン一党らしい行動であった。

 

「どうして止めるんですか?」
『それが、エターナルの中に攫われた各国の代表がいるんだ!』
「ちょ、何でそんな所にいるんだよ!」
『わからないよ。きっと、ラクス・クラインかマルキオ導師あたりが連れ込んだんだと思う。
 戦後の事を考えれば彼らの救出は絶対必要なんだ。助け出して欲しい』
「だけど、このままじゃまた復活しちまう」
『このあたりのドラグーンフリーダムは僕が制御下に置いた。見張っているからお願い』

 

 たしかに、この場で救助にいけそうな“人間”は自分しかいない。

 

「わかりましたよ。進入経路は!?」
『船底ハッチをハッキング、あけておいた。そこからファイナルデスティニーで進入して!』
「了解!」

 

 キラの言葉通り、エターナルの船底ハッチは開放されていた。
 シンはファイナルデスティニーを内部に滑り込ませる。
 ハンガー内は、宇宙服を着込んだラクス・クラインの狂信者が対MSバズーカを構え待ち構えていた。

 

「悪いが、お前ら相手に容赦はしないぞ!」

 

 だが、その程度は予測済みだ。
 そもそも、VPS装甲に包まれたファイナルデスティニーにはあんなものは通用しない。
 シンは頭部の機関銃で狂信者を一掃すると、マユに呼びかける。

 

「マユ、留守番を頼む。脱出艇を一隻確保しておいてくれ」
『わかったよ、お兄ちゃん』

 

 その返事を待たず、シンはシートベルトを外すとコックピットから降りると、
 各国代表が捕らえられているという部屋に向かった。

 
 

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