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SEED-クレしん_10-360

Last-modified: 2009-06-28 (日) 10:03:48
 

「キラァァァッ!」
「アスゥランッッッ!!」

 
 

 そのとき僕は何も考えていなかった。トールを失った悲しみも、ブリッツのパイロットを殺してしまった罪悪感も、
 そして………トールを殺したアスランに対する憎しみも。
 ただ夢中でストライクを操作し目の前のイージスを破壊する。それだけが頭にあった。それだけが僕の思考の全てだった。

 

 体当たりで跳ね飛ばしてやるッ!
 ビームサーベルでイージスの頭を潰す……次!
 ぐッ蹴られた!コクピットのハッチがバッサリ裂け……
 うあッ!変形したイージスに捕まッ?
 装甲の色が……フェイズシフトがダウンしたの
 アスラン?!機体を捨ててなにを……

 
 

 …………あっ…………

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「……あ、キラ兄ちゃん目を覚ましたみたいだゾ〜」
「やれやれ。ズタボロで人んちの庭先に落ちてくるなんてな………今度はなにしたんだ?この人わ」
「またラクスさんのお仕置きかしらねえ〜」

 
 

 …………なんだろう……人の話す声が聞こえる。僕は……そうだ、あの時白い閃光に包まれて……死んだ、のかな?
 ……にしては体中痛くて動けないし意識も………ある。じゃあ助かった、のかな?でもどうやって…………

 
 

「で、その肝心のラクスさんは? 一応連絡していいものかどうか」
「あらラクスさんちは一昨日から家族みんなで3泊4日の温泉旅行にいくとか言ってなかった?」
「あれ? じゃあなんでキラ兄ちゃんはここに居るの〜?」
「いやーそんな事俺に聞かれたってなあ………」

 
 

 ラクス………?ああ、以前漂流していたのを僕が助けた……じゃあ僕を助けてくれたのはラクス……クライン………?

 
 

「ま、ともあれ凄い大怪我だからしばらくオラん家でよーじょーした方がいいゾ?」
「そうだな。ひろしさんが帰ってきたら話してみよう」

 
 

 …………僕は………僕は……何のために戦ってきたんだろう………

 
 

   ※   ※   ※

 

 それから3日。
 僕は野原さんの家で傷を癒していた……コーディネイターゆえか翌日には起きて自分で少し歩くことができるぐらいにはすぐ回復した。
 それに何故かは知らないけど、みんな僕のことをよく知ってるようで非常に良くしてくれた。
 でも野原家の皆さんにお礼を言ったりすると、みんな妙に怪訝な顔をして「大丈夫?」とか聞いてくるんだけど………なんでだろう?

 
 

「お帰り〜♪おつや、おつや〜〜♪」

 
 

 あ、しんのすけ君だ。どうやら幼稚園から帰ってきたらしい。
 どうもこの辺はまだ戦火が及んでないようでとても平和だ……なんか、今まで必死で戦争してきた自分が嘘のように感じられるよ。

 
 

「よっ!キラ兄ちゃんお怪我はもう治った〜?」

 
 

 ああ、おかげさまで順調だよ。それにしてもしんちゃんはいつも元気いっぱいだね?

 
 

「そりゃあもう!それがオラの取り得のひとつですから〜〜♪」

 
 

 …………うらやましいな。

 
 

「なんで〜?キラ兄ちゃんもいつもみたく、ふりーだ――む!って元気すればいいじゃない〜?」

 
 

 そ、そのフリーダーム!てのはよく分からないけど………無理だよ。
 僕はその……色々と、ね………取り返しのつかない事をしてしまったんだ。そんな僕が運良く生き延びた所で何が出来るってのさ……

 
 

「ん〜……ね、キラ兄ちゃんは好きな人とかいないの?」

 
 

 ……え?

 
 

「オラはいっぱいいるゾ! 父ちゃんに母ちゃんにひまわりにシロ、シン兄ちゃんにルナ姉ちゃん、幼稚園のみんなやステラおねいさんに議長さんにジブリのおじさんに………みんな好きだし、オラの大事な友達だゾ♪」

 
 

 好きな人……?大事な……友達………

 
 

「そういう人達がいればさ、オラもこうがんばろ〜って思うわけですよ♪キラ兄ちゃんにもいるでしょ?そのいうお友達が」

 
 

 友達………?僕にとって大切な人…………みんな………
 なぜだろう。アークエンジェルのみんなの顔がなぜか………なぜか浮かんで、きた…………
 サイ、ミリィ、カズィ、マリュ―艦長にフラガ少佐。ナタルさんマードックさんノイマンさん、カガリ……ラクス……
 そうだ。まだ僕には帰れるところが……僕が守りたいと思う大事な人たちがいるじゃないか………!

 
 

「キラ兄ちゃん?」

 
 

 ……………ありがとうしんちゃん。君のおかげで僕はようやく自分が見失ってたものを見つける事が出来たような………そんな気がする。

 
 

「行くの?」

 
 

 うん。行かなくちゃ……僕が本当に戦わなければいけないもの、それが何なのか少し分かったような気がする。
 それはたぶんこの数日間、ここで僕が体験したこの当たり前の平和をみんなで勝ち取るために………
 いや。その平和は僕達の為だけじゃない、
 ナチュラルもコーディネイターも関係なく1人でも多くの人たちがこの平和な日常を享受できる世界を築く為に。
 その手助けを僕がほんの少しでもできれば………そう決心したんだ。

 
 

「そうか。でもキラさん……恐らく『向こうの世界』に帰った時点でここでの記憶はほとんど消えるぜ?」
「あ、シン兄ちゃん帰ってたの?」

 
 

 シン君………大丈夫。いちばん大切なことは心の奥にしっかりと刻みつけたから。
 君達のことを忘れてしまってもそれだけは絶対、そう絶対忘れないよ。

 
 

「がんばってね〜〜♪」
「キラ・ヤマト………またいつか、な」

 
 

 ありがとう………僕は帰るよ、本来僕がいるべき場所へ
 そう思った瞬間。僕の目の前が再び白い閃光に包まれた…………

 

   ※   ※   ※

 

キラ 「フリーダ――ムッ!みんなただいま〜〜♪おみやげ山ほど買ってきたよ!」
ラクス「ただいま温泉旅行から帰ってまいりましたわ」
エル 「いいお湯だったよ〜♪」

 

しん 「おお〜これはまた随分お久さですな?」
シン 「キラ・ヤマト………お帰り」
キラ 「ん?」

 
 

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