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SEED-クレしん_16-022

Last-modified: 2009-04-04 (土) 14:22:56
 

 ……俺のことはいいんだ。
 いつ死んでも悔いはない。そういう覚悟ならとっくにしてある。
 ただ……気がかりがひとつだけある。
 それが……それだけが………心配で……心残りで……

 

 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・
 ・・・

 

??? 「店長……店長。起きてくださいよ店長!」

 
 

??? 「ああ……? ふあ〜……なんだよリヒティ、俺の昼寝の邪魔しやがって」
リヒティ「昼寝って、店開けっぱなしでよくグースカ眠れるっすね」
??? 「いいじゃないか。そんな髪切りたい奴が年がら年中いるわけじゃなし」
リヒティ「ビューティーサロン『デュナメス』をしょって立つカリスマ美容師が言うセリフじゃないっすよ。それ」
??? 「いいだろ。昔、刹那の髪切ってやってたのを思い出して美容師の免許とったんだぜ?」
リヒティ「……こんないい加減な店長でいいのかな……」

 

??? 「そういやクリスは?」
リヒティ「買い物っす。冷蔵庫の中になんにもないって、そこの……ほら、『スーパーミネルバ』に行ってます」
??? 「ふーん…… で?お前も一諸にいけばいいのに。なにしてんだ?」
リヒティ「なにって……」
??? 「一応付き合ってるんだろ? ならいいデートの口実になるじゃないか」
リヒティ「ぼ、僕と彼女はそ、そ、そんな……!」

 

??? 「若いねえ〜。でもな、そんなんだから一年以上たってもいまだにキスのひとつもできないんだよ、お前」
リヒティ「余計なお世話っす!」

 

   ※   ※   ※

 

 仕事仲間のリヒテンダール・ツェーリと他愛のない会話をしていると、二人連れが入ってきた。
 この町ではちょっとした有名人の野原しんのすけと、俺達と同じ『別世界からの来訪者』シン・アスカ、通称『Wしん』だ。

 

しん  「ロックオンの兄ちゃんいるー?」
シン  「あのー、髪切ってもらいたいんですけど……」
??? 「うん……? お、いつもの2人じゃないか」
リヒティ「いらっしゃいませ! ………あの、今日はどちらで?」
シン  「しんちゃんだけお願いします。俺は単なる付き添いなんで」
??? 「じゃあ、そこの椅子に掛けてくれ」
しん  「ほーい」

 

 坊主頭のしんのすけがこの店に髪切りにくる……
 実をいうと、これは俺達にとって重大な意味をもっていた。

 

リヒティ(なにせ……この一年、常にダメ出しされてきたからなあ。
     見た目はまったく同じボーズ頭に仕上げたのに、何故か気に入らないんだ。この子は)
??? (髪型は指定しない。まあしたくてもこの髪の短さじゃあヘアースタイルを変更したくても無理なんだがな……
     注文はただ一つ、「前と同じにして」だ)
リヒティ(それが難しい……!至難の業といっていいのかもしれない)

 

 微妙な髪の毛の長さの調節、ハサミを入れる角度、全体の調和……
 どれひとつ欠けても、こいつは満足しないだろう。

 

??? (何やってんだろうな俺は……
     でもな、こいつをやらなきゃ俺は前に進めねえ……! 世界とも…向き合えねえ!
     だからさ……! いくぞ坊主………! 狙い撃つぜェェェッ!)

 

 〜一時間後〜

 

??? 「はあ、はあ………ど……どうでしょう……?」
しん  「ん〜〜………まあまあいいんじゃない?」
??? 「そ、それはなにより……」
シン  「じゃあお代ここに置いておきますね。じゃあ次は買い物か……行こうぜしんちゃん」
しん  「ほーい」

 

リヒティ「あの……お疲れさまっす、店長」
??? 「……疲れた」

 

   ※   ※   ※

 

 Wしんが『デュナメス』を出て10分後。 新たな客らしいのが2人、やってきた。

 

留美  「ここ? ななこの言う、この町一番の美容室というのは?」
紅龍  「腕は確かとのことですが」
留美  「まあともかくものは試しね。入ってみましょ」

 

リヒティ「あ、いらっしゃいませ……ほら店長、つぎのお客ですよ!」
??? 「ん〜〜ああ、いらっしゃ………」
留美  「え……?」
紅龍  「貴方は……」
??? 「……王留美? まさか……そんな……?」
留美  「ロック……オン? ロックオン・ストラトス……?」
リヒティ「こ……これはどういう……」

 

??? 「み……見ろよリヒティ! 信じられねえ………あのチャイナのお嬢ちゃんが、だ! すげえ老けてるぜッ」
留美  「老け……!? ちょ、大人になって綺麗になったと言えないの? 貴方は!」
??? 「いやだって……なあ?」
リヒティ「自分に同意を求めないでください」

 

紅龍  「我々の姿に驚くということは……貴方は4年前に戦死した『兄』の方なのですね」
??? 「なに……?」
紅龍  「たしか本名ニール・ディランディ。ケルディムガンダムのマイスター、ライル・ディランディの……」
ニール 「何だと? 紅龍! いま何を言いやがッた!」
留美  「ち、ちょっとロックオン!? なにいきなり紅龍につっかかってるのよ!」

 

ニール 「弟が……ライルがどうしたって? あいつが『ガンダムマイスター』ってどういう事だ!
     俺達が死んだ後、『あっち』はどうなったんだ?
     刹那たちは! ライルは! そして俺達が目指した世界の変革は…………どうなったんだ!
     答えろ!!」

 

   ※   ※   ※

 

 俺とリヒティは留美と紅龍からすべてを聞いた。
 誤った『世界の再生』……4年の月日が流れ、歪みを是正すべく立ち上がった新たな戦い。
 その結末は………

 

留美  「……私たちにはわからない。結末を見届ける前にネーナに撃たれたから」
ニール 「ネーナ……トリニティの生き残りか」
リヒティ「ソレスタル・ビーイングのみんなは、俺達がいなくなった後も頑張ってたんすね……」
留美  「でも、ケルディムの撃墜は見ていない。たぶん生きてると思うわ。あなたの弟さん」
ニール 「………」
リヒティ「……店長?」

 

ニール 「……いや、すまなかった。思わず取り乱してしまって……まったく、俺らしくもない」
紅龍  「致し方ないでしょう。私は気にしてはいません」
ニール 「なんか……妙に安心しちまった。
     あいつら、俺達がいなくなった後でも世界の変革目指して頑張ってやがるんだな……」

 

留美  「それで、あなたたちもこの春日部に?」
リヒティ「まあそういう事ですね。
     なんか……そっちと時間の流れが違うみたいだから、俺達あまり歳とってないですけれど」
留美  「本当。4年前に会ったときそのままというか……恨めしい」
リヒティ「は?」
留美  「羨ましい、と言ったんです。ほほほ……」
紅龍  「そのような事情でして今後、私たちもこの春日部で共に暮らすことになるかと思います。どうぞよろしく」
ニール 「いやいやこちらこそ。分からない事はなんでも聞いてくれ」

 

??? 「ただいまー」
リヒティ「あ、クリスが買出しから帰ってきたみたいっすよ」
ニール 「よーしクリス、買ってきた食料を片っぱしから料理するぜ! 今日は思わぬ再会を祝して宴会だー♪」
クリス 「宴会って店長なに言って………あっ! あなた達……!」
紅龍  「どうもお邪魔しています、クリスティナ・シエラ。実はですね、かくかくしかじか」
クリス 「な、なるほど……! そうだったのね!」
リヒティ「クリス、今ので理解できたの!?」
クリス 「で、フェルトはどうしてるの? 私の遺言(?)どおりにおしゃれに気をつかってる?
     スメラギさんやラッセは?」
留美  「えっ!? わ、私にそんな事聞かれても……」

 
 

 満足か……? こんな世界で……
 俺は……… ま、結講悪くないと思ってるよ。

 
 

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