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SEED-クレしん_16-126

Last-modified: 2009-04-15 (水) 23:35:14
 

 日曜日。ここ埼玉県境の国道で……大掛かりな検問が行なわれていた。

 

カガリ 「いいか! このところ多発している謎のカマイタチ事件は、このままいくと埼玉でも起きる可能性が大きい!」
サイ  「なんでそう言いきれるんだよ?」
カガリ 「事件が発生した地点を全部地図に記してみた……どう思う?」
トール 「東北から……だんだん南下しているように見えるなぁ」
カガリ 「この方角でいくと次は埼玉県内で事件が必ず起きる!
     我々はなんとしても犯人一味を水際で食い止めねばならない!」
サイ  「いや、だからってナタルさんに報告しないでこんな検問しちゃって大丈夫なのか?」
トール 「これでもし犯人を捕まえられなかったら……」
カガリ 「だ、大丈夫だろ。怪しい奴なんか一目でそれとわかるだろうし……逮捕くらい楽勝だ!」
2人  「「えええええ?」」

 

ミハエル「お、警察だ。こんなとこでなにやってんだろ?」
ヨハン 「お仕事ご苦労様です」
サイ  「あ、市民の方ですか。この辺は車の通りが多いのでお気をつけて」
ネーナ 「はーいどうも〜。じゃあねお巡りさん☆」
カガリ 「なんとしてもカマイタチを逮捕するぞ!えい!えい!お〜〜〜!」
トール 「お〜〜」

 

 ……この後、カガリ巡査は当然犯人?逮捕に成果を挙げられず、1ヶ月の減棒&ナタルの怒りを恐れて熱海に逃亡した……

 

   ※   ※   ※

 

 そして一方トリニティは、1週間かけてようやく春日部に到着した。

 

ミハエル「ここがそのカスカベとやらか。思ったよりシケた街だな〜」
ネーナ 「電車使えば速かったのに、結局バスやら歩きやらでこんなにかかっちゃったわねー。
     で、これからどうするのヨハン兄ィ?」
ヨハン 「転居先はもう手配してある。確かこっちだ」

 

 メモに手書きの頼りない略式地図を見ながら3人が辿り着いたのは……毎度おなじみまたずれ荘。

 

ネーナ 「これから私たちここに住むってわけ?」
ミハエル「きったねーアパートだな〜〜」
ヨハン 「文句を言うな。アスカ氏の所で稼いだバイト料ではここの部屋を借りるのが精一杯だったんだ」
ミハエル「あーそれで。食費と旅費切り詰めての貧乏旅行だったわけだ?」
ネーナ 「それじゃさっそく部屋見てさ、足りないもの生活に必要なものを色々買ってこようよ兄ィ」
ヨハン 「うむ。それでは……」

 

しん  「……ねえ。お兄さんたち誰? オラんちの隣りでなにしてんの?」
ミハエル「なんだ? このガキは」
しん  「オラがきじゃないゾ! しんのすけだゾ!」
ネーナ 「あら、可愛い坊やじゃないの」
しん  「おお〜〜これまた綺麗なおねいさんだゾ! ねえねえ、おねいさんピーマン好き〜? ニンジン食べれるぅ〜〜?」
ネーナ 「えーと……もしかして私、ナンパされてる?」
ミハエル「オイこら! てめー幼稚園児の分際で俺の妹に手を出そうたァいい度胸してんじゃねェかええッ?」
しん  「おおうっ! い、いきなり顔が変わったゾ……」

 

ヨハン 「よせミハエル。すまない……私たちは今日からこのアパートに住む者だ」
しん  「お〜……てことは、つまりお隣りさん?」
ヨハン 「そういう事になる。それと我々はこの街はなにぶん不慣れなもので……いろいろ教えてくれると助かるのだが」
しん  「んじゃまずはパフェですな」
ミハエル「あ?」
しん  「ほらよく言うゾ。越してきたら隣近所に引越しパフェ♪」
ミハエル「それをいうならソバだ! 引越し蕎麦ッ!」
ネーナ 「ミハ兄ィったら、妙に日本の常識に詳しいわね?」

 

ヨハン 「まあいいだろう。私たちも朝から何も食べてないしな……パフェでも食べにいくか」
しん  「ほっほ〜い♪ お兄さん話がわかるゥ♪」
ネーナ 「わーいスイーツ〜♪」
ミハエル「……ついていけねえ。なんだよこのノリは……」

 
 

 ドサッ……

 
 

 すぐ近くで、買い物袋が地面に落ちる音が聞こえた。
 おもわず4人が音がした方向に振り向くと……そこには買い物帰りと思われる女性が1人。
 だがその姿にしんのすけ以外の3人が……とりわけ、ネーナ・トリニティが驚愕の表情を浮かべた。
 何故なら……

 
 

「り………留美……?」
「ネーナ……トリニティ……!」

 
 

 それは……約束されていた再会であった。

 

   ※   ※   ※

 

 場所を移して……ここは喫茶『砂漠の虎』。
 今かつてないほど店内はピリピリしていた。
 カウンターにコップ拭いているバルトフェルドと、チョコパフェほおばってるしんのすけ。奥のテーブルにトリニティ三兄妹、留美、紅龍。
 ちなみに注文は5人ともストロベリーパフェである。

 

虎   「おいおい……勘弁してくれよ。なんだこの果てしなく嫌な雰囲気は? 他の客が逃げちまうぞ」
しん  「さあ〜? オラ、しーらないっと」

 

紅龍  「……以上が私たちが把握している限りのあらましです」
ヨハン 「大方は理解できた……なるほど、という事はネーナは君達の仇になるわけか」
ミハエル「仇だぁ?んなもん関係ねえ! ネーナに仕返ししようってんなら俺が黙っちゃあ」
ネーナ 「ミハ兄ィは黙ってて」
ミハエル「……はい」

 

留美  「なんとなく……もしかしたらあなたも春日部にって気はしてたけどね。でもよく私の前に顔を出せたこと」
ネーナ 「別に。出したくて出したわけじゃないわよ」
留美  「で? 満足したかしら? 我慢に我慢を重ねて、ようやく私とお兄様を殺せたわけだしね」
ネーナ 「あんたこそ……さんざん私を駒扱いしてくれたじゃない」
留美  「それは……当然でしょ? 私はあなたの雇い主なんだから」
ネーナ 「さんざん私を見下していたくせにッ!」
留美  「人殺しのガンダムマイスターなんて!」
ネーナ 「あんたなんか前々から気に入らなかったのよ! 兄ィたちを殺した連中に媚売ってさ!」
留美  「なんですって……! 私がどんな気持ちで協力していたかも知らない癖に!」
ネーナ 「はッ! 自分のためでしょ?」
留美  「……ッ!」

 
 

 パンッ……!

 

 留美の平手がネーナの頬を叩いていた。

 
 

ネーナ 「……本性でたじゃない……すべてを欲しがっているくせに、そのくせ手に入れても満足できないお嬢様が!」
留美  「本当に……本当に欲しいものが手に入らない気持ちが、あなたなんかに分かってたまるもんですか!」
ネーナ 「なによッ!」
留美  「この……ッ!」

 

 留美とネーナ。
 たがいの本音をぶちまけあい、エスカレートして、しまいにはとっ組み合いの喧嘩になった。

 

紅龍  「お、お嬢様? おやめください!」
ヨハン 「ネーナ! よせ!」
ミハエル「うわっ、女同士のマジ喧嘩ってすげー怖ェ……」
しん  「おお〜〜キャットファイト?」
虎   「ふーん………? まあやらせとくか」
しん  「止めなくていいの?」
虎   「若いうちは喧嘩のひとつもしたくなるってものさ。まあ見てな」

 

留美  「ガンダムに乗ってなかったら! ガンダムマイスターじゃなかったら!
     誰もあなたなんか保護なんかしないわよ!」
ネーナ 「今だから言わせてもらうけどね! あんたをお嬢様なんて呼ぶの、本当は虫唾が走るんだけど!」
留美  「なんですって!」
紅龍  「やめてくださいお嬢様! どうしたんです、あなたらしくもない!」
留美  「私らしくない?……ええそうよ!私らしくないわよ! だって……だって!」
ネーナ 「なによ!」

 

留美  「だって! 私たち兄妹を殺した張本人が目の前にいるのに!……いるのに……
     恨みとか憎しみが全然湧いてこないんだもの……」
ネーナ 「え……?」
留美  「この春日部に来て以来、私の頭に浮かぶのは……
     あなたに対する申し訳なさや……あの子いまどうしてるんだろうって心配……後悔……
     違う! 私は自分を殺した相手をすんなり許せるような聖人君子なんかじゃ絶対にない……
     私はそんな女じゃないのに!」
ミハエル「……どういうことだ?」
ヨハン 「静かに。黙ってるんだ」

 

ネーナ 「そんな……留美も、私と同じだった……?」
留美  「え……?」
ネーナ 「私も同じこといつも思ってた。なんて酷いことしたんだろうって……
     もし出来るのなら留美と紅龍に謝りたいって……」
留美  「ネーナ?あなた……変わった?」
ネーナ 「分からない。でもあの時は無我夢中だった………だって私ひとりぼっちだった、から……」
ミハエル「ひとり……」
ネーナ 「兄ィたちがいなくなってさ、世界に私ひとりだけだった……
     誰も守ってくれない、誰も助けてくれない……留美にさえ心を許せなかった……
     だから……だから私、せめて幸せになりたかった。だ、だから………う、ううっ」
ヨハン 「狂気に身を任せたのか? 敵を殺す事に集中し、わざと殺人狂のふりをして……」
ネーナ 「だってそうでもしないと! 寂しくて……孤独で……1人ぼっちが耐え切れなかったんだもん!
     う、うあああああ!」

 

 子供の頃に戻ったかのように大泣きするネーナ……その様子を留美はしばらく見ていたが、不意にネーナを抱きしめた。

 

ネーナ 「……!」
留美  「ごめんなさい……あなたが凶行に走った理由は私にあったのね……」
ネーナ 「ちが……留美が全部悪いわけじゃ……」
ヨハン 「そうだ。私たちにも責任があるな」
ミハイル「好きで死んだわけじゃねえけど……結果的にネーナを悲しませちまったか」
紅龍  「私も配慮が足りなかったようです」
ネーナ 「み、みんな……」

 

留美  「もう一度……私たちやり直せるかしら?私今度はネーナと友達になってみたい」
ネーナ 「いいの?私は留美を殺したのに……」
留美  「この街に住んでると、そういうのあまり気にならないのよ。どう?」
ネーナ 「……うん。わたし留美に……たぶん生まれて初めての友達に……なってほしいと思う」
留美  「よかった。改めてよろしくねネーナ」
ネーナ 「う、うん!」

 

ヨハン 「めでたしめでたしだな」
ミハイル「本当になあ。喧嘩が始まった時はどうなる事かと思ったけど……あ。パフェ溶けちまった」
虎   「おかわりはいるかね? 今日は特別に僕の奢りにしよう。そちらのお嬢さんがたの仲直りの記念にね」
ミハエル「気が利くじゃねーかおっさん!」
しん  「オラもおかわり〜♪」
虎   「しんのすけはダメだ」
しん  「えー! 虎のおじさんのケチ〜〜〜!」
ネーナ 「ま、まあまあ……私の半分あげるからさ」
留美  「そう?じゃあ私のもどうぞ」
しん  「お〜〜おねいさん達ふとももぉ〜〜♪」
ミハエル「あ、コラ! てめー間接キスとか狙ってやがるんじゃねーだろーな!?」
ヨハン 「うるさいぞミハエル。もう少し静かに食え」

 
 

 とまあ……こうして留美とネーナは仲直りし、今度は友達同士として春日部で共に暮らしていくことになった。
 たとえ仇でも何故か和解できる不思議空間・春日部。
 こうして愉快な住人がまた増えたのであった。

 
 

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