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SEED-IF_30years_03

Last-modified: 2009-09-29 (火) 06:04:08

南太平洋を飛ぶザフト軍用機。
機内の離れた席に座る黒服。
烏のような黒い髪だがてっぺんが禿上がり、周りは伸ばし放題
顔は髭だらけで少し煤けている。
その男はアスラン・ザラ。
彼は軍用機の中で腫れた左頬を擦っていた。
左頬が腫れた原因は数時間前のやり取りにあった。

 

 

「で、俺は何をすればいいんだ。10年近くもチベットで隠遁してた男に出来ることなんて……」
イザークは封のされた手紙を渡した
「これは………、カナーバ元議長の復職嘆願書!!」
封を切った手紙を見て呟いた。
あのアーリン・カナーバからだ。
父を殺し、地位を横取りして自分を追放したあの女……
いまさら何をしろというのだろう?
まさか誰か、カナーバに書かせたのだろうか?
「お前にはまずオセアニアに戻ってカーペンタリアの基地司令官でも……という話もあったのだが、東アジアの、極東方面軍に出向いてほしい。
これは評議会からの頼みだ。極東では連合が独立した国々を潰しているらしい。
お前はそれを防いでくれ」
「え、でも誰と戦うんだよ……まさか、オーブと?」
彼は急な頼みを理解できなかった。
それを傍らで聞いていたディアッカは呆れた様な表情を見せ、包み紙を破り物を取り出した。
「これ、お前の物だってよ。俺等が持ってても意味がないし」
黒い箱を開けると銀色に光る徽章。
FAITH(戦術統合即応本部)!
この輝きがアスランに重く圧し掛かる。
(今更、何ができるんだ。この俺に)
「じゃ、俺に時間をくれよ。呼びに来ただけなんだろ。お前ら?」
顔に薄笑いを浮かべながら、半分諦めた口調でそう云った
「今、俺は議員だ!命令するな」
イザークはアスランの襟首を掴んで殴った。
「貴様、女がいないと何もできないのか、この馬鹿。
気を引き締めろ!」
ディアッカは空を見て呟いた。
「先が思いやられるぜ!」

 

 

CE82年、オーブは地球連合の特務大使として知られるマルキオ導師を追放した
今から21年前………

 
 

マルキオとキラ・ラクスは会談を行った。
場所はオーブ中央商工会議所ビル
31階の会議室の扉が開き、中の男が振り向いた。
「ラクス、キラ、よく訪ねて来ましたねえ」
「導師……」
キラの目の前に手を差し出してラクスは言い放った
「何が目的ですの?」
マルキオは胸から短機関銃を取り出した
「つまりこういうことですよ。貴方方はもう必要無いのです
人形としては価値が無くなってしまったのでね
おや、少し喋り過ぎましたが」
ふいにラクスが手叩きをした瞬間、会議室の壁が倒れ、アサルトライフルと重機を持った兵数名が現れた。
「全て聞かせて貰いましたよ。随分楽しそうに話すものですから聞きいてしまいましたわ」
もう一度手叩きをすると同時に火器が火を噴いた。
部屋が轟音と煙幕に包まれる……
マルキオは机を蹴り上げて、窓から飛び降りた。
「キラ様、如何致しましょうか」
兵の一人がそう呟いた。
「国際手配を回して!」
「閣下、この高さでは助かりますまい」
同行してきた軍曹は下を見てそう呟いた。
彼がそう考えても仕方がない高さであった……
皆が下を向いてると、ラクスは一人、部屋にあった椅子に腰かけた
扇子を取り出して顔を覆いながら
「貴方方は彼がどういう人物か、ご存じないから、そう仰れるのですわ」
「ラクス………」

 

 

……女の声が聞こえる……
目を半分開けると、桃色の髪をした女が微笑みかけいる
随分狭い部屋のようだ……
薄い毛布に包まっていたようだ……
しかし狭い……
「キラ、キラ」
キラは気がついた。
「ここは?」
隣に座ったラクスが水を差しだす
「機内ですわ。そろそろ起きないと操縦に支障が出ますわ」
「うんそうだね」
「苦しいお顔をされてましたが厭な夢でも」
水を飲みながらキラは考えていた。
なぜそんな夢を見たのかと……
21年前のあの絶望を……
「キラ、キラ、どうか致しましたか」
「いや何でもないんだ」
「またクルーゼ隊長の夢かと………」
「ヤキン・ドゥーエの……」
「フレイさんのことですか」
「ときどき思うんだ。彼女が生きてたら彼女も、また幸せな人生を過ごせたんじゃないかって」
キラは、もし子供がいて、生きてたら32歳になってたかもしれないと言いかけたが止めた。
ラクスの悲しそうな眼が、彼の気持ちを隠して、隠させてしまった。
「キラ……」
ヘルメットを被ったオーブ兵士が入ってきた
「キラ様、着艦準備が整いました。着艦後は速やかにお乗り換えをお願い致します」
「わかった。向こうには識別コードと使用機体は連絡してある?」
「え、待って下さい、まだですね。
今手続きを取ります」

 
 

着艦した機体からキラとラクスが降り、格納庫へ向かう。
二人ともパイロットスーツではなく、キラは軍服とラクスは白い陣羽織に着物という平服だった。
ゲートが開き、カタパルトから機体が飛び出していく。
「キラ・ヤマト フリーダム行きます」「ラクス・クライン ジャスティス発進します」
ZGMF-X20A、ストライクフリーダム、そしてZGMF-X19A、インフィニットジャスティス。
二機は太平洋を北上していった。

 

 

 ―日本 空軍首都圏防空本部―

 

近くの艦船から通信が入る。
「硫黄島基地の近くに2機のMSが接近中とのことです」
「スクランブルは」
「まだです」
「何をしてる!」
基地の中が騒がしくなり始めた。
「硫黄島近海からすごい勢い二機のMS、接近」
日本軍が未確認のMSと認識したフリーダム、ジャスティスの方に航空機を近づける
航空機のパイロットが国際救難チャンネルで呼びかけてきた
「こちら日本空軍、識別コードと機体名、国籍を」
パイロットは接近しながら航空機に内蔵されたカメラで機影を防空本部に転送する
その映像を受け取ったオペレーターたちは驚いた
「おい」「まさか」
「何騒いでる、早くしろ」
慌てて画像を解析し、モニターに映した
「映像を出します」
モニターに機影が移る
「フリーダム? ジャスティス?」
映像を見た者たちは腰を抜かした……
未確認MSから航空機のパイロットへ、返事がきた。
あと30秒遅れていたら迎撃措置をしていただろう。
「こちらオーブ首長国連合摂政、キラ・ヤマト、機体はZGMF-X20A、ストライクフリーダム、
僚機はZGMF-X19A、インフィニットジャスティス、搭乗者はラクス・クライン
貴国への着陸許可を要請します」
基地内は騒然となった
「東京には入るな。近隣に回しておけ」
「横田しか空いてません」
オペレータが
「聞こえますか、フリーダム。横田に着陸してください」
「了解しました」
通信は一方的に切れた。
防空本部の士官が叫んだ。
「全く、人騒がせな王子様だぜ!《英雄》ってのはこうも傲慢なのかね!」

 
 

基地に2機のMSが着陸する。続いて50機のムラサメが空中を旋回しながら降りてくる。
MA形体で次々に滑走路へ。
整備兵が空を見上げながら呟いた。
「ありゃ、オーブの使節団の一行かい。随分大がかりな事をするもんだ」
「”馬揃”だな」
”馬揃”。そう日本人は表現したが、早く言ってしまえば《在庫品の押し売り》だった。
オーブは今回の行事に合わせて出席する列強へのデモンストレーションを実施したというわけだ。
連合に参加する各国はおおむね大西洋のダガーシリーズを導入しており、オーブのMSは癖があると言って買いつけなかった。
ただ日本だけは島国という地理特性とMS保有数が条約で制限されている為と考えられているが、
実際は旧世代型の空母での運用が可能というコスト面が大きかった……
……着陸したジャスティスのハッチが開き、ラクスが降りる姿を見ながら整備兵たちが何やら話していた。
「おい、あれは女じゃないか?」
「ああ、ラクス・クラインだな」
大尉が怪訝そうな顔でつぶやいた
「ラクス・クライン?」
「どうかしました大尉?」
「お前ら、インド洋海戦って知ってるか?」
「17年前のことですよね。私はまだ小学生でした」
「そうかい。恐ろしい女だよ、ラクス・クライン……あの女は、中々のMS乗りだよ………」
そう云うと大尉は17年前の《事件》を語り始めた……

 

 

……CE86年夏、親ザフトを掲げる中道左派・マフディ政権がインド国会を武力制圧すると同時に列強への宣戦布告を端に発してインド洋海戦が起こった。
ザフトは表向き中立をとったが、ザフト退役軍人からなる義勇兵組織《スパルタシスト旅団》がマフディ政権を支援した。
連合はこの政変に対して政治的中立を表明、大西洋と日本は始め静観していたがフランスとオーブの強い懇願により参戦した。

 

「すごい数だね」
「ええ」
「こりゃ、まいったな。なぁ坊主、俺らだけでやるのかい」
モニターを見ながらキラ達は口々に言った。
キラは脇の士官から報告を受けながら、口を開いた
「ムゥさん、やるしかありません。現にオーブの大使とその家族が惨殺されてます。これは明らかな宣戦布告です」
「キラ様自らご出陣を?」
「撃って出る。アマギ艦長、ムラサメ隊の手配を。あとフリーダム用にチタン合金のシールドを」
「シールド?」
「対艦砲弾用に」
キラはそう云うとブリッジを離れて更衣室へ向かった。
中に入ると、イケヤが着替えていた
「わざわざ出撃される必要はないでしょう」
軍服を脱ぎ、操縦服を着ながら言い返した
「ああいう分らず屋には力を見せないと駄目だよ」
勢いよくジッパーを締めると、ヘルメットを持って出て行った。
格納庫に着くとすぐさま機体に乗り込み、メインモニターの電源を入れ、OSを起動させた
「キラ様、敵はこちらがビームコーティング艦と知っている惧れがあり、実包を使ってくると思われます」
心配そうな顔で艦長のアマギが声を掛けて来る。
まだ子供扱いされてることに複雑な気持ちになるが心配させたくない……
そんな一心でキラはわかり切ったような顔になるよう努めた
「その為のシールドなんだけどね」
巨大シールドを構えてストライクフリーダムがカタパルトにつく。
ゲートが開き、甲板に上がっていく。
「キラ・ヤマト行きます」
勢いよくカタパルトに押し出されて、空中へ飛び立った。

飛び立つと数秒も間を開けずに榴弾が雨霰と降ってきた。
いくらPS装甲とはいえ対艦砲弾では関節が持たない。
迫るジンの大軍、悠に120機はいるであろうか。
即座に、左手の巨大盾を翳すとライフルを構えた。

狙いはMS空中支援機とディン。
ディンはいくら高速機とはいえ大気圏内では機体の大きさが仇。
キラは即座に単射か全方位攻撃に変更した。
その瞬間、背後からグフ。
振り向きざまにビームソードを受け、蹴り飛ばし飛行ユニットを打ち抜いた。
次の瞬間、ザクファントムが右肩めがけて斬りかかって来た
シールドで受け返すと、ライフルを腰に戻し、楯の裏にある対艦刀で切り返す。
「えい」
一気にザクを唐竹割に。
「そこか」
対艦刀で脇から来たゲイツRを串刺しにし対艦刀ごと蹴り飛ばす。
「しまった」
一瞬のすきを突かれ、空母にバビが15機。
「ふ、艦が危ない!」
この距離ではフルバーストは無理だ。艦に被害が……
1,2,3,4,5、次々にライフルで打つが間に合わない。
《あの時みたいに……僕は、また大切なモノを守れないのか……》

 
 

艦の上空で爆発が起きる
その瞬間、赤い機体が飛び出し、一気に6機のをバビを粉砕した
国際救援チャンネルに通信が入った。
「こちらはラクス・クラインです。無駄な抵抗は止め、道を開けなさい」
モニターに陣羽織姿で厳しい顔つきをしたラクスが移る。
表情のせいだろうか、髪飾りが不気味に光り輝っているように見える
キラは吃驚した
「ラクス、君は………」
操縦服のラクスは続けた
「今回の戦いの義は私たちにあります」

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