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SEED-IF_30years_12

Last-modified: 2009-07-19 (日) 05:48:59

機内でアスランは思っていた
前大戦の折、デュランダルの謀略に乗せられ、メイリンと共に半ば脱走という形でザフトを離れたという事実を……
いくら評議会議員のイザークの様々な工作によって自分の評価が変わるわけではないことを……
そうこうしている間に飛行機はカーペンタリアに着いた。
ドアが開き、タラップが横付けされる。
「アスラン・ザラ、降りましょう。話はそれからです」
案内役の兵士に促される形で、アスランは恐る恐るドアの方へ歩いて行った
不安に押しつぶされそうになった。
まさか、2度の出戻りの俺の行く場所なんてあるのか?)
彼を待っていたのは彼への非難ではなく称賛だった。
「アスラン・ザラ、万歳!アスラン・ザラ、万歳!」
空港にこだまする歓声。
その声にアスランは圧倒された。
ザフトの旗と大段幕を持つ人々で溢れた。数は一千人を超えるであろうか
正装した兵と将校団が近づいてくる。
「アスラン・ザラ、お待ちしておりました」
すっと手を出して来て握手を求められた。
握手を返すと、証書入れに載った書類と大きな包み紙の懸った絵の様な物を差し出した
証書入れにあったのは、プラント評議会からの名誉恢復証明。
アスランは証明書を覘いて絶句した。
「こ、これは……」
アスランだけではなく、ザラ家全員の名誉恢復証明書であった。
父母だけではなく、メイリンと死んだ子供たちの名前まで書いてある……
「アスラン・ザラ、包み紙を取って見てください」
そして包み紙を破いた
それは父、パトリック・ザラのポートレートだった
アスランは書類を持ってきた将校たちに一人一人強く握手を返して
「ありがとう!ありがとう!」
と言って声をあげて泣いた。

 

 

その夜、アスランはオセアニア政府主催の茶会に呼ばれて居た。
彼の所に一人の男が駆け寄ってきて、耳元で囁いた
「貴方に会いたがってるお方がいます」
アスランはその男の後を付いて行った。
スモークが窓ガラスに張られた車で市街地から15分ほど走ったところについた。
なにもない荒野に現れた白い建物。
その場所にそぐわない高い塀が周りを囲んでいる不思議な建物。
「アスラン・ザラ、入って下さい」
そう呼びかけられ、建物の中に入った
大寺院のような作りだが、寺院ではなさそうだ
長い回廊のようなところに案内され、ずいぶん歩かされた。
大きな部屋の手前までくると、少し待たされて
「どうぞ!」
と言われたのでドアを開けると、部屋の中央にある椅子に座って杖を持った男が声をかけてきた
「お待ちしておりましたよ」
「!、マルキオ導師、何故貴方が此処に」
アスランは酷く困惑した。
「え、どうして」
「お座りなさい。
まず、戦闘MS軍団司令官(軍団長)就任おめでとうございます」
「え、まあ。
導師、キラは元気ですか。私何分山籠もりを十数年近くしていましたので」

 

マルキオは悲しい顔をしながら
「そのことですが……
まずこのご写真を」
そういってアルバムのようなものを渡された
アスランは覗くと絶句した
「え、嘘だろう、キラが」
そこにはキラとブルーノ・アズラエルの話している姿があった
其の他にもブルーコスモスのメンバーとされる人物達と話す写真
どういうこと何だ、これは!
「悲しいですが事実です。
ジェス・リブルというカメラマンが私の所に持ち込んだ写真だそうです。
私もジェスから説明を受けて驚きましたよ
もっとも私には写真がどのような状況下は確かめようがございませんが……」
信じられない気持で、アルバムを捲る
嘘だ、嘘だと言ってくれ!キラ
キラとラクスとガルシアの話し込んでいる様子の写真が出てきた。
その瞬間、アルバムを落としてしまった。
アスランの頬を熱い何かが伝った。
彼はその場に崩れ落ちた。
案内役の男が彼を抱きかえ、長椅子に横にさせた。
マルキオはすっと立ち上がり彼の方へ歩いて行った。
「アスラン、あなたの知らない間に彼は遠い世界に行ってしまったのです。
貴方の母を、消し去ってしまった者たちの方へと」
アスランは起き上がり、頭を抱えて
「少し考える時間をください」

 

 

アスランは熱い風呂に入っていた
裸になった自分を見ていて、一人で悩んでいた
俺ももう50か、親父と同じ年になったのか
「お背中をお流ししましょうか」
不意に若い女の声が聞こえた……
一瞬ドキッとしたが
「君じゃなくていい、男で誰か手の空いてる人でいいから呼んできてくれ」
導師が気を使ったのか、違うだろう?)
そういうと湯船に身体を首まで沈めた
瞑想していると、ザフトの軍服を纏った若い男が入ってきた
「君か。まあいい」
そういうと湯船から出て椅子に座った
「さあ、始めてくれ」
若い男は腕まくりをしてスポンジでアスランの背中を洗い始めた
「君は、どこの出身だね。
訛りがないようなところを見ると、アプリリウス?」
「いえ自分はシドニー出身です」
「珍しいな」
「両親がプラント生まれですが……
軍団長、なぜザフトに戻られたんですか
御自分の意思で、それとも評議会の決定で」
「悪いが、それは、はっきりとした答えは、いけないことになってる」
「はい」
若い男に湯を架けてもらうと風呂を出ようとした
「着替えは出してあります
何分官給品なので着辛いとは思いますが……」
アスランは若い男の方を向くと名前を尋ねた。
男はイワノフと名乗った。
ロシア人だろうか、と思いながらも風呂を後にした。

 

 

CE104年2月15日
ザフト軍襲撃の報を受け、奉祝式典に集まった各国首脳の面々はすぐさま帰国した
が、列強国は日本でそのまま対策会議を開いてから帰国するという決定をした
場所は赤坂離宮で開かれた。
参加者は、ユーラシアからジェラード・ガルシア連邦議会議長、大西洋から国務長官(外相相当)、他2名
オーブからは摂政キラ・ヤマト、オブザーバーとしてブルーノ・アズラエル、アダム・ヴァミリア等々……
議事進行役はホスト国日本の首相の板垣公三であった。
ガルシアは開口一番
「あのエイリアンどもに核爆弾を打ち込んでやるべきです。
ユーラシア議会はフランスとドイツの陸軍に招集をかけました」
大西洋連邦国務長官が
「しかしザフトのNJは先次大戦とは比べ物にならないぐらいのものとの情報があります。
これをもう一回落とされたら、現状では手立てはありません
ニュートロンスタンピーダーとかいう凶悪兵器は最低でも3機あるということは公然の事実です」
ガルシアは書類ばさみで机を叩き「失敗作の、あの馬鹿コーディネーターが、盲坊主の所に逃げ込まなければ……」
ガルシアは自身の不手際で鹵獲したNJC試作機を脱走兵に強奪されたことを悔やんだ。
大西洋連邦国務長官が半ば笑いながら、
「ヤマト摂政殿下、オーブは参戦されるおつもりなのですか?
よもやウズミ元代表の理念などを持ち出して、今回も忌避されるおつもりですか」
「我が国は国法上、議会の承認を得なければ参加できませんが、皆様の前でこれだけは伝えて置きたい」
キラはすっと立ち上がり
「我が国は日本帝国にカグヤのマスドライバー施設の貸与と使用権限の租借、パラオの日本海軍基地からの優先的通行権をする準備があります」
「!!」「どうゆうことだね、キラ・ヤマト君」「まさか」
一同が騒がしくなった
「これは先般、日本国とオーブとの間で結ばれた秘密条約による物で、すでに決定条項であります。
もっともこれは従前から施行されている世界安全保障条約の効力を反故にするものではございません」
キラは芝居に打って出た。
日本とオーブの間には秘密条約もマスドライバー貸与構想もなかった。
もしも地球連合軍、その主力軍としての大西洋連邦との事を構えるのを防ぐための安全策であった。

 
 

ガルシアは、板垣首相に
「板垣さん、これは事実ですかね!」
「オーブ連合首長国との間に友好条約は存在しますが、秘密条項なるものは日本政府としては結んではいませんし、そのようなものは存在致しません」
黙って聞いていたブルーノ・アズラエルが
「まあ、事実か事実でないかは置いといて、オーブは参戦する準備はあるということかね」
「そう、受け取ってもらってかまいません。少し時間を戴きたい」
「それは準備する時間をかね」
キラは水を飲むと
「それは貴方がたの解釈の問題です」
と答えて座った。
ガルシア苛立った様子では書類ばさみで机を叩き
「結論は出たな。さっそく取り掛かろうじゃないか!」
そう云ってドアを開けて出て行った。
キラはその場から休憩室に向かった。
休憩室で休んでいるキラに、大西洋連邦国務長官が声をかけてきた
「キラ、君が言ったことは本当かい」
「ああ」
そう云って彼は懐から葉巻を取り出し、火をつけた
「この策は誰の作品だい?まさか……」
「僕の考えさ。一本もらうよ」
そういうと葉巻をくすねて、ライターで火をつけた
「珍しいね、君が煙草を吸うなんて」
「そういう気持にもなるさ、マイク。
軍学校に行ってる息子さんは」
「家には帰ってこないがたまに手紙ぐらいしかよこさん」
「そっか。うちのおちびちゃんも、もうそんな年頃になるだったな」
「三番目の倅さん、何してる」
「学生だよ。彼には僕たちみたいな辛い思いはさせたくないんだ……」
腕時計を見て
「おっと、煙草を吹かしてる様なわけにはいかないんだった。
じゃあ、マイク。
今度は官職名抜きで会いたいね」
マイクは笑いながら
「あと10年は無理だろ、お前さんの国が許してくれまいよ」
笑いながらキラは車の方へ行った。

 

車に乗り込むと、隣にエイジ・マシマが乗りこんできた
「どうでしたか。手ごたえは」
「厳しいね。でもなんとかなるとは思うんだ。
希望があれば、オーブという国を守り立てていくという希望があれば」
前の席に乗っていたタツキ・マシマが
「誰とお話をなさっていたのですか、キラ様」
「大西洋連邦国務長官のマイク、マイケル・ウィルソン」
「たしか地球連合軍カルフォルニア士官学校の同級生でしたか」
「戦略課のね。もっとも僕は聴講生だったけど」

 

 

同日、日本軍は先のザフト軍を名乗るテロ集団の襲撃を受けて、志願兵の応募と予備役・後備役の緊急招集をかけ始めた。
各地の軍関係学校や、軍事科目のある大学・高等学校では短期士官育成を決定した。
シン・アスカはその報を聞くと葬式の準備の途中であったが、すぐさま出かけて行った。
シンにとって葬式よりも血を持っての復讐の方がルナマリアへの餞に思えた……
(俺は、許さないぞ!アスラン)
シンは陸軍の臨時志願兵募集所に来ていた。
待っていると受付で呼ばれた
「10893番!」
「ハイ」
そう云うと立ち上がり、面接室と張り紙がしてある部屋まで行った
「失礼します」
「はいりたまえ」
ドアが開き、部屋に入った
「まず、氏名、年齢、本籍から確認する」
「シン・アスカ、46歳、現住所は東京都港区西麻布……、本籍は和歌山県……、教師、いや私立学校の運営をしてます」
資料を取った男が話を始める。
肩を見ると赤地に金の線の上に星が三つ載った肩章をしているところからすると、階級は、大尉だろうか。
「では、オーブ生れで、プラントで5年間暮らしたという書類があるが」
「はい、たしかに生れはオーブです。プラントでは14〜19歳まで、20歳の時に帰国しました」
「ほう、プラント人ではなくオーブ人か?」
「はい。父母とオーブに14歳まで住んでいましたので」
「君はザフトにいたという話があったが」
「はい、ザフトではグラディス隊で軍艦ミネルバに乗船した後、第8連絡船守備隊のサルキソフ隊にいました。その隊を最後に除隊申請して、受理されました」
口髭を生やした中佐が話しかけて来た
「プラント帰りだそうだが、帰ったあとは何してた?まさか園長先生にすぐなったわけじゃあるまい」
「大学を出た後、ユーラシアとの通商をする商社に6年いました」
「で、何が出来る」
「プラントでは英語が公用語だったので、英語、フランス語が話せます、ロシア語は日常会話しかできませんが……」
「目が赤いようだが……コーディネーターか」
一番最初に質問を掛けて来た中尉が嫌な言い方をした。
コーディネーターが嫌いなのだろうか……
「はい」
「追って連絡する。それまで待て」
「おい、心配するな、もしどこもダメだったらおまえは俺が拾ってやるよ」
口髭の男はそう言って、笑った。

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