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SEED-IF_30years_13

Last-modified: 2009-07-18 (土) 03:01:59

アスランは、風呂を出ると、指揮官用標章の付いた野戦服に着替た。
そしてこの館の主の部屋に向かった。
ドアをノックして中に入ると、マルキオの他に見知らぬ女がいた。
その女の肌は若干浅黒いように見える。年のころは30前後であろうか
黒人の血でも入ってるのだろうかと彼は考えた。
「導師、だれです、このジプシー女みたいなのは!」
女が黙って睨みかえしてきた。
「彼女は風花・アジャーさん、私の知り合いのサーペンテールのものです」
マルキオはそう云った
「サーペンテール?なんですかそれは」
「力無き者の剣、つまり傭兵ですよ。何かとあなたの役には立つでしょう。風花さんを、彼女を連れて行くと良いでしょう
貴方の、精神的、肉体的な支えになってくれるはずです」
「肉体的?どういう意味ですか」
「後にわかります」
何を考えてるんだ、この人は?)
マルキオの要領の得ない話に苛々したアスランは時計を見た。
もう深夜12時過ぎだ。
明日の午前中にここを出発して東アジアに行きたい……
「おいとまさせて貰って宜しいでしょうか」
そう云うと彼はドアを開けて出て行こうとした。
出て行く間際、声がした
「明日、使いの者を基地に送ります」

 

 

車で基地まで送り届けられたアスランは、購買所で肌着と旅行鞄を買うと部屋に戻った。
部屋に着いて10分ほどした後、電話が鳴った
こんな深夜にと思い受話器を取ると……
「俺だ、アスラン」
イザークが落ち着いた声で話しかけて来た
「なんだ。こんな時間に」
「基地には既にお前の機体は搬入してある」
アスランは受話器を持ちながら寝そべった。
長くなりそうだな。これは
「で、お前がこうやって電話を掛けて来るなんて何か事情があるんじゃないか」
「……実は……その、…」
「どうした。何かあったのか」
「お前の行く部隊には兵站が十分ではないのだが、評議会から2週間以内に北京までの移動命令が出てる」
受話器を持った驚いて飛び起きた
「おい、俺の部隊は五万台もMSを抱えてるんだぞ。2週間で補給も無しにって、どういうことだ!」
その問いかけに対して、はっきりと返事は返ってこなかった。
一体、何を考えているのだろうか
少し間をおいて返事が返ってきた。
「つまり、場合によっては死んでくれと言うことと受け取って貰っても構わない・・・・・・」
受話器を握る手が汗で濡れる。脇の下も湿ってきた……
まるで冷水を掛けられた様な気分だった……
「が、死ぬなよ」
そういうとイザークは電話を切った。
……命令の重さに耐えられるだろうか?……
首に手を伸ばして縛り首の紐の長さを想像しながら、冷蔵庫から酒を取り出し飲み干した。
酒に酔いながら、目を瞑った。

 

 

眠れずに起きたアスランは、基地内を歩き回っていた。
昨日から出頭命令の出ている司令室に顔を出さずに、そのまま格納庫にやって来ていた。
自分の機体を探してるうちに、なにやら機械音がするのに気付いた。
思わず腕時計を見た。まだ朝の6時過ぎだ。
機械弄りの好きな奴が居る様だ。どんな馬鹿だろう、と彼は考えて、その顔が見たくなった
近づいて行くと、どうやら自分の機体らしい。
MSの頭部と両手が外された状態で転がっている。
誰だ!俺の許可なく
思わずホルスターに手を添えて、拳銃を取れる体制にした。そして声を掛けた
「おい!貴様、誰の許可を得て修理している!」
コクピットから誰か、出てきたその瞬間、銃を構えた。
半袖を着た男は両手をあげて工具を離した。
「待ってくれ。撃つな。ジャンク屋組合から来た」
「ジャンク屋?ともかく降りろ」
そう云うと男に降りて来るように促し、左手で降りろという指示を出した
ジャンク屋を名乗る男は工具を拾いながら、アスランの方をちらちら見ていた。
撃ってくるのか、心配だったようだ。アスランは仕方なくホルスターに銃を戻した。
「俺はジャンク屋、ロウ・ギュールだ」
工具箱を持って降りてきた男は自ら名乗り出て、握手を求めて来た。
油まみれのズボンに半袖、ヘアバンドを着けている。
ボロボロのチョッキを着たその男は、ロウ・ギュールとか言った。
どこまでも、ふざけた奴だ
彼は出自のせいだろうか、ジャンク屋や傭兵というドロップアウトした連中が嫌いだった。
もっとも彼自身もザフトを2度ドロップアウトして車引きやボディガードの真似をしたことがあったが。
彼は挨拶も返さずにこう切り出した
「どう言うつもりなんだ。俺の機体を!」
ロウは話を聞き流しながら、こう答えた。
「ま、メインカメラは、外させてもらった。
両腕のドラグーンシステムは大気圏上じゃ使い物にならないからゲイツRの腕に変えておいた。
本当は設定を一から直してやりたいんだが、時間がないし、人を迎えに行かなきゃいけねえ」
そういいながら、アスランに指示書を渡した。
「そっか。解った。
あんた誰の許可でこんな所に入ってる」
振り向くとこう答えた
「マルキオのおっさんさ」
「マルキオ導師……」
その言葉を聞いた瞬間、アスランの態度は豹変した。
高圧的な態度から急に委縮して
「ミスター・ギュール、お忙しい中、失礼した」
「は!」
ロウは苦虫を噛み潰したような顔をした。
その余所余所しい態度がよほど嫌だったのだろう。
「ちょっと尋ねたいことがある」
「ナンだい」
「サーペンテールというのは凄いのか」
頭を掻き毟りながら
「サーペンテール?、ああサーペントテールね。俺は今から、その元リーダー、叢雲劾って大馬鹿野郎を日本まで迎えに行くのさ」
叢雲劾という言葉をどこかで聞いたことがあるが思い出せない……気のせいだろうか?
彼は不思議な感覚に囚われたが、気を取り直して
「ついでで悪いが、俺も一緒に連れって欲しい。俺の義弟に会いたいんだ」
「!! 、待ってくれ。俺はザフトじゃない」
「なら俺の義弟を探して来てくれないか!」
そう云うとロウの両肩に掴みかかった。
「わ、わかったから!放してくれ。
途中までなら連れってやるよ。日本でアンタの義弟も探してやるよ」
「おお、それは助かる」
そう云うとアスランの手を払いのけて
「しかし、あんた酒臭いな。飲酒運転は危ないから乗せってやるよ」
話し終わらない内に、兵士たちが駆け寄って来た
「ここにいましたか、アスラン・ザラ。司令室まで来て貰いますよ」
兵士に半ば無理やりに連れて行かれると広い会議室のような部屋に来た。
大きなモニターのある講堂のようなものもある変わった部屋だ。
黒の長い軍服を着た指揮官らしき男が数名の戦闘服姿の高級士官と共に歩いて来る。
その後から、半袖の熱帯用軍服を着た男がやってくる。
帽子を目深に被り、胸には戦闘指揮官の表彰。司令官だろうか。
向こうが敬礼をする前に、アスランは敬礼をした。
敬礼が終わると向こうが名前を名乗った。
「カーペンタリア総司令官、アーサー・トラインだ。宜しく」
再度敬礼して、返答した
「昨日復隊しました、東アジア方面隊(極東方面軍)戦闘モビルスーツ軍団軍団長の職を拝命致しましたアスラン・ザラです」
「え!!」
そういうと司令官は体をのけぞらせて、情けない大声をあげた。
「えー、あ、う……君が復隊していたとは驚いたよ」
「何よりお元気で、良かったです、司令」
黒の長い軍服を着た男が話しかけてきた。
ついさっき名乗ったがマイヤーだかマイセンだか良く聞き取れなかった。ドイツ風の名前だったと思えた。
後でわかったことだがザフトアカデミーの政治教育の教官だった男だった。
「メイリン・ホーク君、今はメイリン・ザラ君だったね、彼女は元気かい
私のザフトアカデミー時代の教え子でね」
アスランは少し間をおいてから
「メイリンはブルーコスモスの連中に惨殺されました……」
彼は、妊娠中にもかかわらずと言おうとしたがやめた。
もっとも惨殺はされはしたが、ブルーコスモスか、土匪か、諜報機関の工作かは彼自身も分からなかった。
マルキオの情報を鵜呑みにしたことを其の儘返してしまったのが実情だ……
その場を静寂が包んだ。
彼は続けた
「息子が居たんです。二人、今生きていたら30目前だったでしょう。私の目の前で無残に殺されたんですよ!
私は何もできなかったんです……」
ふらふら会議室を歩き回りながら、話し始めた
「なんでこんなことになってしまったんでしょうね」
「君が、パトリック・ザラの息子だからだよ!
その答えは君自身で見つけたまえ」
不意に立ち止まり、振り返った
「なぜ東アジア共和国政府領土内に、ザフトが居るのですか!」
「アスラン君、そのことについてだがちょっとばかり勉強が足りんようだな。昼間に子供新聞を届けさせるよう連絡しておく」
「その必要はございません。私自身が早速昼間から東アジアまで行って現状を見てきます」
そういうと敬礼をして司令室のドアを開けた。
まるで追いかけるように声がした
「じゃあ行ってくれ。子供新聞は届けさせるよ」
「司令、その必要はございません」
「アスラン君、気をつけなさい。現地のナチュラルは一筋縄ではいかんということを!」

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