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SEED-IF_30years_24

Last-modified: 2010-01-12 (火) 01:15:37

シン・アスカは日本軍に軍事通訳として志願し、特務少尉の待遇を受け、参加した。
家族を戦争で失い、愛する人を二度も目の前で殺された男は再び天涯孤独の身になった……
ザフトを退役して日本で教師として暮らしていた彼に戦争はもはや過去のものに思えた
全ては、禿頭の義兄、アスランザラによって変わった、――事実は兎も角――彼自身は少なくともそう考えていた
そんな思いに耽っていると仲間に声をかけられた
「アスカ少尉、起きてますか」
「大丈夫だ。ちょっと煙草吹かしてくる」そういって椅子から立ち上がり天幕を抜けだした
外はもうすぐ3月だというのに氷点下だ。
ポケットからゴールデンバット(日本タバコ)を取り出すと火を付けた
この寒さは、生まれ育ったオーブとは全然違う。もうあの国には30年も行っていないし、行きたくもない
父母の遺骨も結局不明なまま何処かに放置されたというし、そもそも墓すらない。
とはいってもザフトには居場所が無かった。オーブ出身でデュランダル議長派ということで因縁をつけられた。
(喫煙者故か)麻薬常習者のレッテルを貼られ、名誉除隊の形で軍から強引に除隊させられた。
アスランの縁者ということも大きかったのかもしれない。或いは子供が居なかった所為なのか……
待てよ、俺がザフトを除隊した時は未だ独身だったじゃないか!
「アイツさえいなければ、アイツさえいなければ俺は、今こんな事に為らなかったんじゃないのか!」
不意に天幕が開き、兵士が出て来た
「どうかしましたか、少尉」
どうやら言葉に出してしまったようだ……
「いや、何でも無い。寒いな、中に入るわ」

 
 

 
 

「なんです、大尉もう一度言ってください」
シンは聞き返した
「この近くにザフトの補給所がある、そこを明日の晩、攻撃をかける」
「待ってください。俺はそんな話聞いてませんよ」
右手で大尉の服につかみかかる
「俺は偵察隊の軍事通訳としか聞いてません。軽装甲車とロケット砲で……何ができるんですか」
シンの手を振り払うと、大尉はおもむろに煙草を取り出し、火を付けた
「まだ何も話していない段階から弱気でどうする。君にはやってもらう仕事がある」
そう言うと大きな旅嚢を手渡した
「これは?」
「昔取った杵柄と云うだろう。君はちょっとその服を着て侵入してほしい。これは正式な軍事作戦としてだが」
渡された旅嚢ををゆっくりと開ける
「!!」
そこにはザフト軍服一式が入っていた。色はシンがザフト時代に着たレッドジャケット……
名札はおろか帽子まで丁寧に有る
大尉は立ち上ってこう話しかけて来た
「君は既に20年以上前、プラントを捨て、日本国国旗に宣誓し、天皇陛下に忠誠を誓ったはずだ。
過去がどうとか、コーディネーター云々は言うつもりはない。戦争にも参加したと聞く
後は任せた」
(《過去を捨てるんだ、シン》)
一瞬であったが、アスランが曾て戦場で叫んだ言葉が繰り返し聞こえた様な気がした
「……」
アスラン……
大尉の姿がアスランの姿に重なって見える気がする……
その様子を見た彼はシンに物を放り投げる
「これは……、こんな物頂いても……」
「安物の葉巻さ。そいつを吸ったら直に着替えて行って来い。帰ってきたら熱いコーヒーでも飲もうな」

 
 

「どこからどうみても、《ザフト野郎》だな」
さっそく着替えたシンへの第一声だった
「ま、信じてるぜ」
そう言うと待機した数名の物とジープに乗って出発した

 
 

 
 

同時刻 ―地球連合軍 前線基地―

「オーブ軍所属、キラ・ヤマト准将、入室します」
白い手袋をして、軍帽を被り部屋に入った
ステンレスのマグカップを持ち、椅子に座った初老の男が立ち上る
連合軍中佐の軍服を着ているが、実際は元帥だった。後で聞いた話だと狙撃を恐れての為だと言う
「グリーンハウスだ。宜しくキラ・ヤマト君
君も紅茶でも飲むかね」
そう言ってマグカップとスプーンを並べ始めた
「結構です、閣下。明日の作戦開始についてですが」
男は立ち上りながら
「作戦開始時間は0500(五時)、装備は、マルチ(ストライカー)、ランチャー、ダブルホーン(ドッペルホルン2連装砲)、バスターダガー、
あと戦車と自走砲をかき集めておけ」
テーブルに有ったクッキーを弄りながらキラは答える
「アウトレンジ攻撃ですか」
「嗚呼、君ももう指揮官なのだから無茶はするな。あんなザフトの骨董品で変な芸当は飽きたよ」

思わず苦笑をしてしまった
「どうやら図星のようだね。まあ良い。明日五時に会おう」
そう言って彼は外側に手を振った。出ろの合図だ。
(……サザーランドの副官だけある。コーディネーターが嫌いなようだ
「失礼しました」
敬礼をして去った。
僕がオーブ人だからだろうか、今一つ信用してゐない様だ
元帥なのに中佐の軍服を着ていた事が酷く滑稽に思える。
随分意気地のない人だ
クッキーを頬張りながら、部屋に向かった

 
 

 
 

午前五時前、フリーダムを駆り、低空で近づくと大規模な車列が見えた
戦車隊だ。150両は有るだろうか。
MSの登場とNJによる電子通信網の破壊以降、その価値を無くして仕舞ったかの様に見えたが、長距離攻撃に対しては未だまだ有効であった
機動性こそ劣るがMSの相互支援を利用すれば十分に戦略的価値の有る武器であった
無論既存車両の搭載砲の大口径化と装甲の強化が必須で有ったが。
そして彼等を支援する遠距離装備のMSと陸上戦艦……
「戦車が何をしようって言うんだ。ただ的になりたいのか?」
ふと、腕時計を見る。もう4時59分だ。
ゆっくりと高度を上げてその場から離れる
下からラッパの音が聞こえた。作戦開始の合図だ
「戦闘準備!」
戦車隊が一斉に仰角調整を始めた。MSが移動を止める
歩兵が手旗信号で指示を出す。「全車両、砲撃開始」
陸上戦艦からの指示が飛ぶと一斉に砲撃が始まった。
試射無しの直接射撃だ。
「Aチーム、この後の砲撃終了後に吶喊準備に書かれ」
この砲撃は宛らザフト軍へのモーニングコールだと言えるであろう

 
 

 
 

太陽を背にして、バビとグフ大群がやって来る
不味い
フリーダムで急上昇をかけると一気にフルバーストをかけた
有効射程外での攻撃だが、効果は確実だろう……それに高射砲で支援が有るはずだ。
……
ライフルを腰にマウントすると、ビームサーベルを抜いて急降下した
「墜ちろ!」
バビ数機をビームサーベルで薙ぐ。
「フリーダム死ね」
グフが足をスレイヤーウィップで絡めて来た。

左手でウィップを切り、すかさずメインカメラを一突きにして蹴り上げる
そしてMS群の間に滑り込み、ライフルを構える
「うわー。フリーダムだ、各自散開……」
スラスターとコックピットを外して武装とメインカメラを一瞬で破壊した
「こんな連度の低い連中が、今のザフトか……」
爆発の寸前に、その場から離脱する
レーダーに新たな機影が映る
「アスラン、君は何がしたいんだ」
フリーダムは、なおも高速で次の戦闘機群に向かった

 

 
 

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