Top > SEED-IF_4-5氏_07
HTML convert time to 0.006 sec.


SEED-IF_4-5氏_07

Last-modified: 2008-05-09 (金) 19:48:31

ミネルバのハッチから、白いザクファントムが現れた。レイの乗機だ。
カタパルトが使えないので歩いてである。
ウィザードはブレイズウィザード――多数のスラスターを備えた宇宙用高機動型ウィザードを装備している。
後ろにショーンとゲイル、2機のザクウォーリアが続く。

 

ミネルバにはギルが乗っているんだ。絶対にやらせるものか!
レイは心に誓う。
ギル――ギルバート・デュランダルの事である。
人には話さないが、二人は親しい間柄である。デュランダルはレイにとって親代わりと言ってもいいかもしれない。
大切な人のために……レイは出撃する!

 

「右舷のスラスターは幾つ生きてるんです!?」
アレックスはタリアに尋ねる。閃いた事があったのだ。
「え? 6基よ。でもそんなのでノコノコ出てっても、またいい的にされるだけだわ」
「同時に、右舷の砲を一斉に撃つんです! 小惑星に向けて!」
「ええっ!」
アーサーが驚きの声を上げる。
「爆発で一気に船体を押し出すんですよ! 周りの岩も一緒に!」
「あ……」
「馬鹿言うな! そんな事をしたらミネルバの船体だって……」
「今は状況回避が先です! このままここに居たって、ただ的になるだけだ!」
「タリア……」
やってみよう。
そんな思いを込めてデュランダルはタリアに声をかける
「確かにね。いいわ、やってみましょう」
「えー! 艦長!」
アーサーは、また驚いた声を上げる。
「この件は後で話しましょう、アーサー。右舷側の火砲を全て発射準備。右舷スラスター、全開と同時に一斉射。タイミング合わせてよ!」
「右舷側火砲、一斉射準備」
「合図と当時に右舷スラスター全開」

 

「くっ、デブリが。でも!」
敵機2機がこちらに向かって来る。戦闘機形態で相手の後方にダッシュ!
後方に位置する、マユと撃ちあっている砲戦仕様機にビーム砲を連射!
――!
敵機2機がルナマリアの事をあきらめ、マユの方に向かおうとする。
ターンする! ――! 大きな岩!
ルナマリアは、目の前に大きな岩塊が現れると、モビルスーツ形態になり、一瞬の間に開けた空間を見つけ、再び戦闘機形態になってダッシュする。
敵機2機に、後ろからビーム砲を連射する。相手もわかっているのか、避けられる。
マユから引き離さなきゃ!
あえて挟み撃ちの形で後方から撃つ! 2機が充分マユから離れる。
ルナマリアが挟み撃ちに遭いそうになる。一気にダッシュしてターン!
それを繰り返す。
じりじりする思い。
いや、うまくいってるのだ、と言い聞かす。。
確か昔読んだ『大空のサムライ』にこんな場面があったはず。硫黄島上空でフクロにされそうになった時……。
そうだ。
まだ自分もマユもやられていない。むしろ、戦法を変える方が、危険。
ルナマリアは自分に言い聞かせる。

 

「……!」
レイは何かを感じた。咄嗟に回避行動を取る。ザクファントムがいた場所を、ビームの光が貫く。
「あれは……ドラグーン? いや、地球軍ならガンバレルか!」
小さな紫の物体が、ヒュンヒュンと飛び回りビームを撃ってくる!
「うわぁ」
「……っつう! なんだ、こいつは!」
「無事か!?」
「機体中破、無事です」
「同じく小破、まだまだやれます!」
部下達の無事を確認してレイは安堵する。
「ショーン! ゲイル! お前達は下がれ! こいつは並みの相手じゃない!」
「し、しかし……」
「いいから戻れ!」
そう言っている間にも小さな物体は攻撃を続けてくる。
「邪魔な奴!」
避けながら、レイはビームライフルを発射する。敵のモビルスーツが一機、爆発する。
「この隙だ! 行け!」

 
 

「何なんだ君は一体!? 白い坊主君!」
ネオは少し焦った。ガンバレルを使ったオールレンジ攻撃に少しは自信を持っていたのだ。それが……。
緑のザク2機は撃墜は出来なかったものの撃破した。たいした相手じゃない。しかし、白いモビルスーツはこちらがどこに撃つのかわかっているかのように、避ける。
――!
相手も撃ってきた!
「ああ! フクダ! フクダがやられた!」
部下の機が一機、爆ぜる。
「下がれ、モロサワ! こいつは手強い! お前は艦をやれ!」
「はっ!」
残る部下一機は敵艦攻撃に向かう!

 
 

敵モビルスーツ一機は撃墜した。もう一機は……離脱してミネルバの方向に向かう!?
「させるか!」
レイは自分も機首を反そうとすると、またあの小さいのが攻撃してくる。
「ちぃっ!」
レイは舌打ちをする。
小さいのをどうにかしなければ!
レイは機体の両側スラスターブロック先端部に内蔵されたAGM138 ファイヤビー誘導ミサイルを全弾発射する。
次々と浮遊物に当たり、炸裂、デブリが増える。
――!
小さい奴がデブリを避けるように遠ざかっていく。今だ!
レイはMMI-M633 ビーム突撃銃を構え、ミネルバに向かう敵機に狙いを付ける。
……!
ビームは過たず、敵機を貫いた!

 
 

「さて、とどめだ」
戦況を見ていたリーは、敵艦が動けなくなっているのを確認して、言った。
「岩塊に邪魔されて直撃は期待できませんが……」
「追撃不能にまでに追い込めばいい。大佐は面白くないかもしれんが、こちらのモビルスーツもそろそろパワーが辛いだろうからなあ」
ガーティー・ルーは敵艦に接近を開始する。とどめを刺すために……。

 
 

「ボギーワン、距離150」
「総員、衝撃に備えよ。行くわよ! 右舷スラスター全開!」
「右舷全砲塔、てぇ!」
タリアの指示と同時に、アーサーは右舷全砲塔の発射を指示する。
「「うわぁ!」」
艦が、大きく揺さぶられる!
「回頭30! ボギーワンを撃つ!」
「タンホイザー照準、ボギーワン!」
「てぇ!!」

 
 

「「うわぁ!」」
ミネルバの動きを見たリーの咄嗟の回避指示で、間一髪、タンポイザーはガーティー・ルーの右舷を掠めるだけに終わった。それだけでも結構な被害をもたらしてくれたが。
そのまま反対方向にすれ違うように指呼の間をガーティー・ルーと敵艦はすれ違い、離れていく。

 

「ええい! あの状況からよもや生き返るとは!」
その様子を見ていたネオは毒づく。
「こうなったら俺が……うっ!」
攻撃に向かおうとすると、敵艦を守るように、白いモビルスーツが立ちふさがる。
「くっ! 潮時か!」
ネオはそのモビルスーツとやり合いながら、徐々に距離を取り、作戦終了の信号弾を上げる。
「またいつの日か、出会える事を楽しみにしているよ。白い坊主君。そしてザフトの諸君!」
そう言うと、ネオはガーティー・ルーに帰還していった。

 

「カル・バヤン達に帰還信号を。宙域を離脱する!」
ネオの上げた信号を見ると、リーはスウェン達に帰還の指示を出す。
「やれやれ」
リーは額の汗を拭いた。
「手強い相手でしたね」
副官が声をかける。
「ああ、まったくだ」
「再戦の日まで健在なれ、と言う所ですか」
「いやいや、あんな手強い相手とは出来ればやりたくないね。ははは」
リーは笑う。
「ふふふ」
副官も笑う。

 

「ちっ、2機落とせただけか」
帰還信号を見たシャムスが悔しそうに言う。
「仕方ない。帰るぞ」
「ああ……」
スウェン達も、敵のモビルスーツと徐々に距離を取りながら、ガーティー・ルーへと向かう。

 
 

「ボギーワン、離脱します」
「セイバー、ザク、マユ・アスカ機、パワー危険域です」
シンが安堵と緊張の混じった声で報告する。
「艦長、さっきの爆発で更に第二エンジンと左舷熱センサーが!」
「グラディス艦長。もういい。後は別の策を講じる」
デュランダルがタリアに告げる。
タリアは悔しそうな顔をして下を向く。
「私もアスハ代表をこれ以上振り回すわけにはいかん」
「申し訳ありません」
タリアは頭を下げた。

 

「はぁはぁ……あいつら、行っちゃったよね?」
敵モビルスーツが去った宙域で、ルナマリアは荒い息をついていた。
さしものルナマリアも長時間の空戦機動で体に負担が溜まっていた。
「ええ、行っちゃったわ。ミネルバも無事みたい」
「ああ……、よかったぁ! マユ! あんたもよくやったわ! 偉い!」
「ふふ……これが私は実質初めての実戦ね」
ルナマリア達も、ミネルバへと帰還する。

 

ミネルバのブリッジの遮蔽が解かれ、通常位置へと替わる。
カガリ達は、ブリッジを出て士官室へと向かう。
「本当に申し訳ありませんでした。アスハ代表」
廊下を歩きながらデュランダルがカガリに謝罪する。
「こちらの事などいい。ただ、このような結果に終わった事、私も残念に思う。早期の解決を心よりお祈りする」
「ありがとうございます。そう言えば、本国ともようやく連絡が取れました」
「既にアーモリーワンへの救援、調査隊が出ているとの事ですので、うち一隻をこちらへ皆様のお迎えとして回すよう要請してあります」
タリアが報告する。
「ありがとう」
部屋に着いた。カガリとユウナは部屋に入る。
その時、デュランダルがタリアに話しかける。
「しかし先ほどは彼のおかげで助かったな、艦長」
「ぇ……はぁ……」
アレックスは振り向く。と、ドアが閉まりアレックスだけ取り残された形になってしまった。
「さすがだね、数多の激戦を潜り抜けてきた者の力は」
「いえ……出過ぎた事をして申し訳ありませんでした」
アレックスは謝罪して見せるが、タリアは優しく言う。
「判断は正しかったわ。ありがとう」
「……」
「では――」
タリアはアレックスに敬礼すると、踵を反す。デュランダルも不思議な笑みを浮かべてアレックスを見つめると、タリアの後に続いて去っていく。

 

先程の戦いの最中に覚えた感情がアレックスの中に甦る。
ザフトを……プラントを、捨てたはずなのに……。
ふいにやりきれない思いが突き上げてくる。
「くそっ」
アレックスは唇を噛み締め、部屋に入らず踵を反すと一人休憩室へと向かった。

 
 

「さぁ、お兄様。今日はラザニアを作りましたのよ」
セトナはジブリールに声をかける。
「すまないな、せっかくの休日に色々させてしまって」
「ふふ。私料理も好きですもの。さあ、召し上がって?」
「では、頂こうか。……うん、これはうまい!」
その時、猫と言うには大きい、体長1メートル程の、ちゃんちゃんこ風の赤い服を着た猫が寄ってきた。
「あら、ブータニアス。お前も食べたいの? でもこれはタマネギを使ってあるからだめよ。ディーンズのレトルトをあげますからね」
セトナはレトルトパウチを開けると皿に盛り、猫のブータニアスの前に出す。
ブータニアスはガツガツとそれを食べだす。
「ふふ……」
セトナはそれをにこにこと眺める。
穏やかな時間が過ぎていく……。

 
 
 

前>】【戻る】【