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SEED-IF_4-5氏_24

Last-modified: 2008-08-21 (木) 18:28:31

「やぁ。ただいま戻りました。父上」
アメノミハシラから戻ったユウナは執務しているウナトに声をかけた。
「うむ。首尾は?」
「成功ですよ。やってくれるそうです。宇宙軍の再建」
「平和になれば、軌道エレベーターの計画も進めたいし、宇宙コロニーも再建したいが……一歩一歩進むか」
「それにしても、あれほどの希少鉱物の量、先方も驚いてましたよ。私も驚きましたが。一体どうやって手配したんです? しかもまだあるんでしょう? 宇宙コロニーを作れる位の量が」
「……我がセイラン家には秘密があるのだ」
ウナトは視線を逸らした。
「じゃあ、お前は港へ行ってくれ。タケミカズチにトダカ一佐がいる。これだ。オーブ義勇海軍リスト」
ユウナはリストを受け取った。
「空母1にイージス艦8隻か……。なかなかの戦力ですね」
「とりあえず地上での戦いは、ザフトの降下作戦があって様子が見えん。お前の任務はできるだけ被害を受けずに帰って来る事だ。いいな?」
「本気でやるな、と?」
「そうではないが……。もし万一地球軍の負けが込んだ時、地球軍と最後まで付き合う必要はない。オーブを無碍に扱えぬように手も打ってある。うまくやる事だ」
「はい」

 
 

「やはり、ずいぶんと被害を受けておるな」
老魔法王ベネディクトは辺りを見回しながら、呟く。
ここはローマの近郊。ローマ自体は無傷ながら、その近郊にはユニウス7落下の被害の爪跡が刻まれていた。
「それでも、猊下のお力でこの程度に収まったのです」
ベルットーネ枢機卿は言った。
「本来ならば、ここら辺一帯は壊滅していたでしょう」
「しかし、自分の力不足が身に染みるのじゃよ……。よいか、アナキン」
ベネディクトは傍らに控えていた少年に話しかける。
「フォースの力は限りがない。ワシは、ワシの力の後継者はお前だと思っている。研鑽に励むのだぞ」
「はい」
その少年――アナキン・スカイウィーカーはしっかりとした返事をすると、真っ直ぐな瞳でベネディクトを見つめた。
「あれです。あの少女です」
ベルットーネ枢機卿は立ち働くセトナを指して言った。
「そうか」
ベネディクトはセトナの元へ歩いてゆく。
「お嬢さん」
「はい……あ、ああ!? もしかして!」
「よいよい。気楽にな」
緊張するセトナにベネディクトは手を振った。
「お嬢さんのおかげで、被災者達が大層助かっていると聞いてな、礼を言いに来たのじゃよ」
「そんな……大した事なんて」
「国や、我々も活動しているが、組織が大きい分だけ、細かい所で見落としがあるかも知れん。何か気がついた事があったら遠慮なく言ってきてくれ」
「は、はい!」
セトナはベネディクトに頭を下げた。

 
 

「ここがオーブか……」
アキダリアから降りたアグニスは感嘆の声を漏らした。赤道地域を通った事は、それはあるのだが、パナマでは運河の両岸はジャングルだった。しかし、ここでは海と陸がうまく調和を取って、美しい景観を作っていた。
「代表首長がすぐに会ってくださるそうです。対応が早いですね。……あなた達はどうします?」
ナーエがアイザック達に問い掛ける。
「オーブは地球軍に義勇兵を出すんでしょう? 私は遠慮しておきます」
「わかりました。まほさんは?」

 

「あたしは行くわ。いつまでも艦の中ってのもなんだし」
「じゃあ、アイザックさん、留守番をよろしくお願いしますね?」
「ええ、いいですよ。もう」

 

「やあ、火星の方々」
カガリは手を広げてアグニス達を出迎えた。
「私はオーブ連合首長国代表首長のカガリ・ユラ・アスハだ」
「ようこそ。宰相のウナト・エマ・セイランです」
「俺は使節団団長、オーストレール・コロニーのアグニス・ブラーエだ」
「副団長のナーエ・ハーシェルです」
「地球軍オブザーバーの井沢真秀です」
「まぁ、座ってくれたまえ」
皆は椅子に席を下ろした。

 

「……つまり、火星はどこの敵にもなりたくないと」
「そうだ」
「よくわかるよ。うちの国だってどこの敵にもなりたくない」
カガリは溜息をついた。
「よく、オーブは中立を守られましたね?」
「幸いウナト宰相を始め優秀なスタッフに恵まれてね。遠慮なくこき使えと言う奴もいるな。ふふ……。それでも、義勇兵は出さざるを得なかった。うちは小国だから」
「なにか出来る事があれば、力になろう!」
「ありがとう。嬉しいよ。友人が増えるのは心強い」
カガリはにっこり微笑んだ。

 

「少し、聞きたい事が。キラ・ヤマトと言う男を知っているか?」
アグニスは尋ねた。
「……ああ、もうこんな時間か。用事を思い出しましてな。では、ごゆっくり」
突然そう言ってウナトは出て行った。
「もしかして、ご存知ですか? キラ・ヤマトを?」
ナーエはカガリに聞いた。
「ま……ぁ、知っている。だが、なぜわかる」
「ウナト宰相が、席を外してくれたような気が?」
「その通りだろうな。うん。キラ・ヤマトは知ってる」
「では、ぜひ会わせて欲しい!」
カガリの言葉を聞いてアグニスは身を乗り出し、言った。
「なぜ、そんなに会いたがる?」
「キラ・ヤマトは先の大戦の戦いを止めた男だと聞いた。敵を作りたくない我々にとっては、ぜひ会いたい相手だ」
「そうか……。我々はただ、大量破壊兵器を阻止しただけだ。後の事は地球連合の穏健派とプラントの穏健派がやった事だ。偶然だ。戦争まで終わらせたのは運が良かったのさ」
「そうであってもぜひ!」
「だが、だめだな。今は会わせる事はできない」
「なぜ!?」
「キラは、心が優しい奴だった。それで、かな。戦争が終わった後心を病んでしまった。オーブで療養中だが……なかなかな。心の中の事だ。簡単にはいかない」
「そう……か。では、一日も早い回復をお祈りする」
「ああ、元気になったら、伝えよう。さぁ、座って話すのも飽きたろう。オーブ軍でもお見せしよう」
カガリ達はタケミカズチへと向かった。

 
 

「ほう、これがユークリッドかぁ」
ネオは感嘆の声を上げた。
「ええ!」
技術官も自慢げに言う。
「メビウスに代わる連合の主力モビルアーマーとして鋭意増産中です!」
「武装は?」
「機体前面にM551 52mm7連装ガトリング機関砲2門、機体両側にM464 高エネルギービーム砲『デグチャレフ』2門です。機体前面にはさらにビームシールド『シュナイドシュッツ4179love』が展開できます! 実弾も、ビームも防ぎます! 機動性も速度も、メビウスやグラスパーに劣りませんよぉ!」
「うん、いいね」
ネオは満足そうに頷いた。
「大佐殿の専用機には、ザフトから奪ったカオスの機動兵装ポッドを参考にした無線式ガンバレルが4機取り付けてあります。地球上では無理ですが、宇宙ではオールレンジ攻撃が可能です」
「ガンバレルユークリッドか。いいねぇ」
ネオの笑みは更に大きくなった。

 
 

「ラクス。ラクス、どこ?」
キラはラクスを探す。
「まぁ、どうしましたの? 向こうでお母様のお手伝いをしてましたのよ」
「いや、不安になっちゃって。ラクスがどこかに行っちゃうんじゃないかと」
「私はキラから離れて、どこにも行きませんわ」
ラクスはキラの頭を胸に抱え込む。
「うん……」
キラは安心した声を出す。

 

「どうしたものかしら」
マリューが心配そうな声を出す。
「フレイさんから解き放たれたのはいいけど、あれでは今度はラクスさんに依存だわ」
「うーん」
バルトフェルドが呻る。
「どうしたらいいかしらね」
「ラクスともちょっと話したがなぁ、ラクスは、まったく問題に思ってない」
「え?」
「むしろ、邪魔しないでくれと釘を刺されたよ」
「そうラクスさんも……共依存って奴かしら」
マリューは溜息をついた。

 
 

「やあ、どうしたんだい? カガリ」
空母タケミカズチにカガリがマーシャンを連れてやってきた。
「やあ、ユウナ。船酔いは大丈夫か?」
「さすがに大型空母だとね。それほど揺れない。平気だよ。今日はどうしたんだい?」
「マーシャンの使節団の方々だ。オーブ軍をお見せしようと思ってね」
「――! マーシャン!」
「そう、火星人だ。そんなに驚く事か?」
「ロウ! そうだ、君達ロウ・ギュールを知ってるか?」
勢い込んでユウナは尋ねた。
「ロウ? これは懐かしい名前を聞きましたね。知っていますよ?」
ナーエが答える。
「今オーブにいるんだ! ちょっと待て、呼んでくる!」
ユウナは駆け出していった。
「なんだ? まぁいい。トダカ一佐、オーブ軍の装備をお見せしてくれ」
「はっ」
トダカの指示で、ローター付きの翼を付けたモビルスーツが発艦して行く。
「あれが、前大戦時に活躍したM1アストレイに大気圏内飛行用オプション『シュライク』を付け飛行能力を持たせた物です」
「ほほう」
「次に……」
戦闘機が発艦して行く。上昇してこちらに戻ってくると、変形する。人型だ。
「モビルスーツだったのか!」
「ええ、現在のオーブ軍主力モビルスーツ、『ムラサメ』です」
「おおい、アグニスじゃねか!」
その時、ユウナと一緒にロウ・ギュールが入ってきた
「ひさしぶりだなぁ!」
「どうしたんです?」
「どうもこうも、地球降下の時に俺のレッドフレーム、ディアゴに持ってかれちまってな。ディアゴの奴見なかったか?」
「そうでしたか。ディアゴならセトナ様と一緒にいるでしょう」
「セトナ?」
ロウはナーエに尋ねた。
「あなたはまだ知りませんでしたね。アグニスの姉ですよ。医者の卵で、現在各地で被災地の救援活動を行っています」
「セトナってセトナ・ウィンタースの事か?」
カガリが尋ねた。
「ええ。なにか?」
「いやー。お前達の知り合いだったのか。ラクスにそっくりだったから、地球軍がコマーシャルのためにそっくりさんでも作ったかと……」
「ははは……。ラクス・クラインですか。確かにそっくりでしたね?」
「ああ、だが、紛れも無く俺と一緒に育った俺の姉だ」
「そうか。『地球の天使』とか言われて有名になってるから居場所はすぐに分かるだろう」
「『地球の天使』?」
ロウは頭を傾げる。
「ほら、ラクス・クラインが『プラントの歌姫』だろう。そっくりだから、自然にそんな異名が付けられた」
「そうか。じゃ、ユウナ、今までありがとな」
「なーに。簡単に見つかってよかったな」
「じゃ、アグニス達も元気でな! 俺はそのセトナさんがいるとこに行ってみる!」
ロウは去っていった。

 
 

「ほんとですか? 補充されるのはこれだけ!?」
アスランはタリアに詰め寄った。
「本当よ。貴方のインパルス用の交換部品、ソードシルエットにブラストシルエット。後チェストフライヤー、レッグフライヤーがいくつか」
「それだけでジブラルタルまで行けと? 地球軍が本腰入れてきたら間違いなく潰されますよ!」
「しょうがないじゃない。上がそう言っているんだもの。ああ、ボズゴロフ級のニーラゴンゴが付くそうよ」
「それでも! 飛行可能なモビルスーツが2機じゃあ……」
「ニーラゴンゴにもバビが5機あるわ。与えられた中で最善を尽くすのが軍人よ」
この時期、可変型空戦用モビルスーツ『バビ』の配備を持って、ボズゴロフ級はVTOL機用のVLS(垂直射出装置)4基を廃し、モビルスーツ用VLS2基、計モビルスーツ用VLS5基に改装していた。
「そうは言っても……失礼します」
アスランは駆け出した。

 

「あれ、あれれ? ゲイル、アスランさん、見なかった?」
「いや、知らないなぁ」
マユはアスランを探していた。
「マユ? アスランさんならさっき基地の方へ出かけたぜー」
ヴィーノが言う。
「えー! 用事があるって言うから残ったのにー!」
「まぁまぁ。じゃ、俺らと基地に出かけるか? ちょうど俺ら出かける所だ」
ショーンが言った。
「……。じゃあ、そうしよっかなぁ」
寂しそうにマユは答えた。

 

「失礼する。フェイスのアスラン・ザラだ。基地司令官にお目にかかりたい!」
アスランは司令棟へ出かけていた。
「まぁ、待ちたまえ。基地司令官は会議中だ」
痩せぎすの男がアスランに声をかけて来た。
「御用は何かな?」
「あ、私はフェイスのアスラン・ザラです。実は……」
「ま、こんな所でもなんだ。来たまえ」
その男はアスランを応接室へ誘った。
「アスラン・ザラ。以前会った事があるね」
「そうでしたか。失念してしまい、申し訳ない」
「いや……。変わってしまったからねぇ。人も、プラントも」
「……」
「私の名前ははマイケル・ジェフリーだ。実は、私が君と会ったのは、私がまだこの基地の司令官だった頃だ。先の大戦だよ。あの頃の君はまだ初々しかったな。初めて隊を任されて頑張っていた」
「ああ……!」
「君のお父上の事は聞いている。君のヤキン・ドゥーエでの活躍もな」
「いえ……たいした事は……」
「だが、どうしても納得できんのだよ」
「何がでしょう?」
「ザラ議長は常々『戦争は勝って終わらなければ意味が無い』と言っておられた。それが、ヤキン・ドゥーエを自爆などさせるはずが無い」
「ああ……!」
「君が自爆スイッチを押したのでもないだろう?」
「もちろんです! ジェネスシ発射とヤキン・ドゥーエ自爆は連動していました。あれはそう簡単な仕掛けではなかった。では、一体誰が……?」
疑念がむくり、とアスランの胸に沸き起こった。
「私は未だにザラ議長は何者かに騙されていたんじゃないかと思うのだよ。大戦後のザラ派への糾弾を知っているかね?」
「いえ……」
「ひどい物だよ。クライン派がまるで戦勝国側の様に振るまい、そしてザラ派を敗戦国側の様に扱う。軍事裁判でかなりの数の人間が有罪判決を受けた。死刑を求刑された人も多かった。……自分達が正義と信じていた物が、同胞であるコーディネーターによって次々と裁かれていく。信念を持って戦っていた仲間が、地球の言いなりになって、同胞を裁いていく。わかるか、この悔しさが」
「……」
「いや、埒もない事を言ったな。アスラン君、君の用事は何かね? 出来る限り、力になろう……」
アスランは、元司令官に深々と頭を下げた。

 
 
 

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