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SEED-IF_4-5氏_33

Last-modified: 2008-10-29 (水) 18:16:56

「ゲイル・リバースであります」
翌日、ミネルバ艦内。一人だけ、ハイネと顔を合わせていなかったゲイルがハイネに敬礼する。
「ああ。ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしく。しっかしさすがに最新鋭だなぁミネルバは。な? ナスカ級とは大違いだぜ」
「ええ、まあそうですね」
アスランは答える。
「ヴェステンフルス隊長は今まではナスカ級に?」
「ハイネでいいよ。そんな堅っ苦しい。ザフトのパイロットはそれが基本だろ? 君はルナマリアだったね?」
「あぁはい」
「俺は今まで軍本部だよ。この間の開戦時の防衛戦にも出たぜ?」
「隊長……あの私達は……」
「ヴェステンフルス隊長の方が先任だ、ショーン」
「ハイネだって」
確認するようにハイネが言う。
「ぁ……」
「あ、でも何? お前隊長って呼ばれてんの?」
「ぁぁいえまぁ……はい」
「戦闘指揮を執られますので私はそう」
「え゛ー。んー、いやでもさぁ、そうやって壁作って仲間はずれにすんのはあんま良くないんじゃないの?」
「「ぁ…」」
「俺達ザフトのモビルスーツパイロットは戦場へ出ればみんな同じだろ? フェイスだろうが赤服だろうが緑だろうが、命令通りにワーワー群れなきゃ戦えない地球軍のアホ共とは違うだろ?」
「はい」
「だからみんな同じでいいんだよ。あ、それとも何? 出戻りだからっていじめてんのか!?」
「え?」
「あ、あたしは名前で呼んでます!」
「あ、私だって!」
マユとルナマリアが争うように言う。
「なら、ショーン、お前も隊長なんて呼ぶなよ? お前もお前だなアスラン。何で名前で呼べって言わないの?」
「すいません」
「ま、今日からこのメンバーが仲間って事だ。息合わせてばっちり行こうぜ!」
ハイネは歩いていく。
「俺もああいう風にやれたらいいんだけどね」
「え?」
「ちょっとなかなか」
「アスランはアスランらしくやればいいですよ」
ルナマリアはアスランに微笑みかけた。
「ありがとな。ルナ」
アスランはルナマリアに微笑みかける。
「おーい何やってんのアスラン! お前が案内してんだろうが!」
「あ、はい、すいません!」

 
 

「ラクス様」
廊下で、ノイマンはラクスに声をかけた。
「あ、ノイマンさん。どうしたのですか?」
「大丈夫なのか」
ラクスにだけ聞こえるような声でノイマンはささやいた。
「何がですの?」
「あなたは、目的のためにはどんな手もいとわないと言った。だから着いてきた」
「……わかっていますわ」
ラクスはきっとなった。
「昨日のD-1ブロックの監視記録を見つけた。海底の見える廊下だ。キラとの恋に引かれていいかげんになるなよ。引き返せると思うか? 俺の手もあなたの手も、もう汚れているんだ。ウナト・エマ・セイランを殺した時から。その道を選んだのはあなただ」
ラクスは無言で俯いた。
「D-1ブロックの廊下の監視装置は切っておいた。またキラと話したければそこにしろ。ログも消しておいた。どうせ大した事はないだろうしな。見る者などいないし。だが注意はしておけ」
「あ」
ラクスがはっと顔を上げると、ノイマンはさっさと向こうに歩いていくところだった。
「ノイマン……ありがとう……」

 
 

「だいぶ荒れてきましたね」
オーブ軍のアマギ一尉は言った。
ここはすでに大西洋である。
「まだ序の口だろうがな。一時間くらいか?こいつを抜けるのに」
トダカ一佐は答える。
「そうですね。そう大きい低気圧ではありませんから。しかしまさか喜望峰回りとは思いませんでしたよ」
「仕方ないさ。ステージは黒海だ。インド洋じゃ観客がいないんだろ。戦う相手は同じでも」
「……しかし、このようなことは口にしてはいけないのでありましょうが、今回の派兵、自分にはやはり疑問です。他国を侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入しない。それがオーブの理念であり、我等オーブ軍の理念でもあったはずです。なのに……」
「ああ、解っている。だがこれも国を守るためと言えばためだ」
「はい」

 
 

「んー、オーブの派遣軍ねぇ」
「空母1、護衛艦8、明日の夕刻にはこちらに入る予定だそうですが」
「んー、それを使って黒海を取り戻せか。いろいろ大変だなぁ俺達も。やる事多くて」
ネオはぼやいた。
「はぁ」
「ま、いい。解った。確かにあの辺りは押さえとかなきゃならない所だからな」

 
 

「え! それほんと?」
ミリアリアは驚きの声を上げた。
「ああ、間違いない。スエズに増援だ。こりゃまた近くおっぱじまるぜ。市街地に被害が出ないといいけどな」
「ごめんなさいね、ジェスさん。セトナさんの取材に行くの、先になりそう」
「いいって事よ。俺も、そんな事なら取材したいからな!」

 
 

スエズにいる諜報員からの知らせは、ミネルバにも届いた。
「ジブラルタルを狙うつもりかこちらへ来るかはまだ判らないわ。でもこの時期の増援なら巻き返しと見るのが常道でしょう。スエズへの陸路は立て直したいでしょうし。司令部も同意見よ。もう本当に鬩ぎ合いね。ま、いつものことだけど」
「はあ……」
「その増援以外のスエズの戦力は? つまりはどのくらいの規模になるんです? 奴等の部隊は」
「10隻以上にはなるでしょうね。兎も角本艦は出撃よ。最前衛マルマラ海の入り口、ダーダネルス海峡へ向かい守備に就きます。発進は○六○○」
「はい!」
「はっ!」
「貴方も、よろしい?」
タリアはハイネに聞いた。
「ええ、それはもう」
「では直ちに発進準備に掛かります」
アーサーが言う。
「ええ、お願い。それとアスラン」
「はい」
「今度の地球軍の増援部隊として来たのは……オーブ軍と言う事なの」
「え!?」
「なんとも言い難いけど今はあの国もあちらの一国ですものね」
「オーブが……そんな……」
「でもこの黒海への地球軍侵攻阻止は周辺のザフト全軍に下った命令よ。避けられないわ。避けようもないしね。今はあれも地球軍なの。いいわね?大丈夫?」
「……はい」
ショックを受けた顔のままアスランは答えた。

 

「ええ!? オーブ!?」
「そ、援軍、オーブだって」
ルナマリアにマユが言った。
「そんな……なんであの国が……」
「もう信じらんないわよねーほんと、こんなとこまで。でも、今は地球軍だもんね、そゆ事もあるか」
「……」
ルナマリアは黙ってしまった。

 

「オーブにいたのか、大戦の後ずっと。いい国らしいよなぁ、あそこは」
甲板で夕日を見ていたアスランにハイネは話しかけた。
「ええ、そうですね」
「この辺も綺麗だけどなぁ」
「はい」
「戦いたくないか」
「ん?」
「オーブとは」
「……はい」
「じゃあお前、何処となら戦いたい?」
「え? いや、何処とならって……そんな事は……」
「あ、やっぱり? 俺も」
ハイネは笑った。
「ぁ……」
「……そう言う事だろ? 割り切れよ。今は戦争で、俺達は軍人なんだからさ。でないと、死ぬぞ?」
真剣な顔になってハイネは言う。
「……はい」
いい台詞を聞いたな、とアスランは思った。ハイネをかっこいいと思った。

 

「ルナマリア」
アスランはあちこち歩き回り、ルナマリアを探し当て、声をかけた。
「はい?」
「戦いにくいな。オーブとは」
「そんなの! オーブが敵になるって言うなら私がやっつけてやりますよ!」
「無理するな。お前がオーブとは戦いたくないのはわかっている」
「うっ」
「……じゃあルナ、何処となら戦いたい?」
「え……そんな……どことなんて……」
「はっはは。俺もだ」
アスランは笑った。
「……そう言う事だろ? 割り切れよ。今は戦争で、俺達は軍人なんだからさ。でないと、死ぬぞ?」
「はい……」
去っていくアスランの背中を見つめるルナマリアの視線には、憧れと尊敬が混じっていた。
言ってやった言ってやった! 俺ってかっこいい!
艦内に入って行くアスランの心は弾んでいた。
実の所、2年暮らしたオーブに、カガリは別としてアスランはさほど拘ってはいなかったのだ。

 
 

「はあ、捨てずに取っておいてよかった」
疲れた足取りのカガリは自分の部屋になんとか辿り着き、、鍵をかけるとノイマンからもらった栄養ドリンクの瓶を取り出す。本当は捨てるはずだった、その瓶の中身。そして……現れたのは封が切られていない瓶が2本。
もう、朝用意した薄めた栄養ドリンクはとっくに飲んでしまったのだ。そして、離脱症状でようようこの部屋にたどり着いたのである。
「そのままでも……少し……半分だけなら……いいよな? 今朝もらった分が丸々2本もあるし」
一本の瓶の栓を開け。
コクっと中身がカガリの喉を通っていく。
半分で止めるつもりが一本飲んでしまった。
薬の効果がカガリの身体に染みとおっていく。
「ああ、いい。疲労がポンと取れるようだ」
カガリの声に張りが戻る。たとえ仮初だとしても、今はそれが必要なのだとカガリは思った。

 
 

オーブ艦隊は地球軍艦隊と合流した。
合同で作戦会議が開かれる。
「なるほどね。黒海そしてマルマラ海。私ならこの辺りで迎え撃つことにするかな。海峡を出てきた艦を叩いていけばいいんだから。そう考えるのが最良かと」
ユウナはネオに作戦を告げる。
「ふん」
「ザフトにはあのミネルバがいると言う事だけれど、あれはあなた方大西洋連邦軍にお任せしてよいでしょうか?」
「おや? やはり自国で修理された艦には戦いにくいと? 縁があった艦とは?」
「そうではありませんよ。なにしろ我が軍は再建したばかりでしてね。討つ自信がないのですよ。何しろミネルバと言えばザフトの最新鋭艦ですからなぁ」
「またまたご冗談を。オーブ軍の精強さはよく知られておりますよ」
「いや、ほんとの事です。オーブ近海での戦いは我が国もよく観察できましたからね。ミネルバの強さはよくわかっています。大西洋連邦にもデータをお渡ししたはずですが」
ユウナの本音だった。オーブ近海での戦いの時に、大体の能力は掴んでいる。相手などしたくもない。
「……いいでしょう。では先陣はオーブの方々に。左右どちらかに誘っていただき、こちらはその側面からと言う事で」
これ以上は無理は押せないか。
ユウナは心の中で溜息をついた。
「……いいでしょう」
「海峡を抜ければすぐに会敵すると思いますが宜しくお願いしますよ?」
「ええ、お任せください」

 
 

「ダーダネルス海峡まで距離3000」
「コンディションレッド発令。ブリッジ遮蔽。対艦対モビルスーツ戦闘用意」
タリアが命令を下す。
「対艦対モビルスーツ戦闘用意」

 
 

「トダカ。モビルスーツは防空用にM1アストレイだけ出せばいい」
「いいのですか? ユウナ様」
「いいさ。無駄に消耗する事もない。地球軍がモビルスーツを発進させない限り、こちらも出すな」
「はっ! モビルスーツ隊発進開始!」
「モビルスーツ隊発進開始! 第一小隊、発進せよ! イーゲルシュテルン起動、オールウェポンズフリー」

 
 

「敵艦隊、射撃開始しました」
「セイバー、インパルス発進。離水上昇取り舵10!」

 

「ルナマリア・ホーク、セイバー、行きます!」
「アスラン・ザラ、インパルス、発進する!」

 

「取り舵30。タンホイザーの射線軸を取る」
「え?」
「海峡を塞がない位置に来たら薙ぎ払う。まだ後ろに空母がいるはずよ」
「ぁ、はい!」

 
 

「相手もモビルスーツを出してきたか。動きはどうだ?」
ユウナは尋ねた。
「たった2機だけです。相手も、こちらに向かってきません」
『ユウナ・ロマ・セイラン、敵に碌にダメージを与えられてないようだが?』
ネオからの通話だった。
「ちっ、残りのムラサメ隊全機発進」
「いやそれは……」
トダカが異議を唱えようとするがユウナは構わず言う。
「3隊に別けろ。2隊は各10機とする。その2隊は連携して敵のモビルスーツに当たれ」
「……それは、大げさ過ぎるのでは? たった2機相手に」
「いいんだ。あの機体はオーブ近海で見た事がある。侮るべきじゃない。艦隊の安全が第一だ。落とそうなんて思うんじゃないぞ。邪魔すればいいだけだ。戦闘機型による一撃離脱戦法に徹しろ。その隙に1隊はミネルバ以外の艦を攻撃しろ!」

 
 
 

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