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SEED-IF_4-5氏_39

Last-modified: 2008-12-10 (水) 18:16:33

「敵艦からモビルスーツの発進を確認!」
「八式弾の中を……掻い潜って来ます!」
「ちっ。あの2機か!」
ミネルバから出撃してきたのがセイバーとインパルスである事を確認するとユウナは舌打ちした。
「八式弾砲撃中止、迎撃用意、攻撃隊発進せよ! ミネルバの周囲の艦艇を叩け!」
「了解!」
「護衛艦は有線大型対艦ミサイルでの攻撃に移れ!」

 
 

「2時方向上空にオーブ軍ムラサメ9!」
「レイとマユを出して。トリスタン、イゾルデ照準左舷敵艦群!」
「はい!」
「まだあの空母がいるはずよ。索敵急げ!」
「はい!」

 
 

「またモビルスーツを出してきたか……ん? あれは!」
ユウナはグゥルに乗ったザクである事を確認する。
「攻撃隊に退避命令を出せ! 敵艦に八式弾一斉射!」

 
 

再びミネルバに八式弾が襲い掛かる!

 

「きゃあ!」
『大丈夫!?』
ルナマリアから通信が入る。
「馬鹿! こっちに気を取られるな! ……無事か!? マユ!」
「なんとかね……ちょっち被弾したけど、まだ動けるわ!」
マユはレイに答える。
八式弾にグゥルを破壊された二人はミネルバの甲板に降り立つ。
「まだまだ! 負けないわよ!」

 

「ちっ」
タリアは舌打ちした。
「甲板に落ちたならしょうがないわ。マユとレイのザク、ミネルバとエネルギー直結準備! 防空に当たらせて!」
「はっ」
「これ以上自己鍛造弾を撃たせるな! インパルスとセイバーには敵機をこちらに誘導するように言って! 敵機を盾にするのよ!」
「はっ」

 

「トリスタン、イゾルデ、てぇ!」
アーサーがもう何度か数え切れない台詞を叫ぶ。
一機のムラサメが射線に当たり、海上にその残骸を撒き散らす。
「グレートシトキン、パブロフ、トライデント、セントオーガスチン、レダウトおよびカトマイ浮上! 各艦よりバビ隊発進しました」
すべてボズゴロフ級潜水艦だ。彼らの護衛はありがたかったが、逆にミネルバの行動を縛ってもいた。
ミネルバだけなら高空を飛んで逃げられたかもしれない。だが今はそんな事を考えている場合ではなかった。
「9時方向よりオーブ艦群、更に接近!」
「アーサー、対艦ミサイル。レイとマユにも牽制させて。余裕が出来たらエネルギーをミネルバと直結させるのを忘れずに!」
「はい!」
「クレタを基点に挟むつもりね。はぁまずいわ。転進しても、もう一方に追い込まれる……グーン隊を出すように要請して! 下から攻めて突破するのよ」
「グルジア所属の護衛艦群、上甲板に深刻なダメージとの事!」
「はぁ、仕方ないわね、撤退させて」
「はい……『幸運を祈る』との事です」

 
 

「ソコワダツミ、ミサイル発射口被弾」
「クラミズハ、前へ出ます」
「目標、針路を二四○に転進」
「意外とボズゴロフ級の数が多いな。これは手ごわいぞ」
「はい、ユウナ様」
「防空隊は例の敵モビルスーツ2機を牽制できているな」
ユウナは言った。
「はい。その後発進した別の敵飛行モビルスーツ群には別の隊を当たらせています……あ、地球軍艦艇より防空隊モビルスーツの発進確認しました」
「それでいい。今のまま牽制に専念させろ。くれぐれも、色気を出させるなよ。八式弾を掻い潜って出撃してきた奴等だ。あれは特注品だぞ。機体も、パイロットも」
「はっ」
「八式弾はまだあるな」
「あるはずです」
「もったいないな。一部の護衛艦を、迂回させろ。八式弾を叩き込むんだ」
「しかし……この艦の防御が」
「この艦はムラサメで守る! 後方にいるんだ。稀な攻撃位回避して見せろ!」

 
 

「とうとう始まったなぁ」
ジェスがミリアリアに言う。
「ええ。でも、モビルスーツから戦闘を見るなんて初めて」
『ほいほい前に出て行くんじゃないぞ』
カイトから通信が入る。
「はいはい」

 
 

「右舷後方、上空よりムラサメ12!」
「取り付かせるな! 撃ち落とせ!」
「はい!」
ここでタリアは最後の予備兵力を出す決断をする。
「敵機がここまで接近してきたならもう自己鍛造弾はない! グフ、バビ、発進させて! ゲイルのザクもガナーウィザード装備、エネルギー供給ミネルバと繋いで甲板に上がらせて!」
「はい!」

 

「お前らいい気になるんじゃないよ!」
発進したグフが、ドラウプニルを連射する。降下体勢に入ったムラサメが被弾する。
「さて、どうするかな」
バビに乗ったショーンはつぶやいた。
「なんも指示がないとなぁ。俺にはハイネほどの腕はない。単独行動は危険だな。ま、ハイネの援護でもするか」
ショーンはハイネの後方に陣取った。

 
 

「奴等のモビルスーツはほっとけ。防空隊の連中に任せて我等はミネルバを!」
攻撃隊の馬場は叫んだ。
「馬場一尉!」
「あれさえ落とせば全て終わる!」
「は!」

 

「トダカ一佐、別働隊より水中に感ありとの報告! 反応約50! モビルスーツの模様!」
「くっ! 数が多すぎる! 護衛艦を分離させるべきではなかったか?」
トダカは焦る。
「……水中電話は使えるな? トダカ?」
ユウナは落ち着いた様子で言った。
「はっ。しかしあんな物で何を?」
「いいから僕のマイクと繋いでくれ」
「はぁ」
マイクが繋がった事を確認するとユウナは言葉を発する。
「こちらはユウナ・ロマ・セイラン。ブラウ・サロン応答せよ」
古い時代の水中電話特有のくぐもった声でなく、デジタル復調されたクリアな声で応答が返ってくる。
『こちらブラウ・サロン。符丁を確認する』
「了解した」
『K―113203』
「Y−432210」
 それからまた沈黙。そして通信が入る。
『了解。そちらをユウナ・ロマ・セイランと確認』
「良し、ザフトの水中用モビルスーツらしき物約50、展開中だ。叩けるな?」
『了解』
通話は終わった。
「……今のは?」
トダカが疑問符が顔に付いたような口調で尋ねる。
ユウナは肩をすくめていたずらっぽく答えた。
「なに、オーブの秘密兵器さ」

 
 

「セイバー、インパルスは?」
タリアが尋ねる。
「共に敵機10機余りと戦闘中!」

 

「艦長!」
降下してくるムラサメ隊を見てアーサーが叫ぶ。
「取り舵いっぱい! 機関最大!」
ミネルバと繋がり、エネルギー切れの心配の無いガナーウィザード装備ザクのオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲からビームが連射される!
2機のムラサメが被弾する!

 

「はあぁぁぁっ!!」
ムラサメ隊からミサイルが放たれる!

 

そのミサイルが――一斉に爆発した。

 

「なに?」

 

「オーブ軍! ただちに戦闘を停止して軍を退け!」
天空から、フリーダムが舞い降りた。

 

アークエンジェルが、海中から上昇してくる。オーブ軍艦艇の前に主砲を撃ち、進路を妨げる。

 

「オーブはこんな戦いをしてはいけないんだ! これでは何も守れはしない! 地球軍の言いなりになるな! オーブの理念を思い出すんだ!」

 
 

一瞬、オーブ軍の手が止まる。
「ちゃーんす!」
ルナマリアは一気に反撃に転じた。
「いい気になるんじゃないわよ!」
たちまち数機のムラサメを叩き落す!
ムラサメの包囲網を突破する!
「艦長! 私が道を開きます!」

 

「了解、気をつけてね。アークエンジェル、フリーダムは攻撃されない限り攻撃するな。今はこれ以上敵を増やしたくない!」

 

「いっくわよー!」
セイバーは逆落としにオーブ護衛艦に突き進む。大出力プラズマ砲をぶち込む!
海面すれすれで引き起こし、隣の護衛艦へとまたプラズマ砲を叩き込む!

 
 

「ああ!」
カガリはオーブ艦がやられる光景に呻き声を上げた。ドラッグのフラッシュバックのように視界が歪み、めまいがして前に倒れかかる。
その身体を脇から支える手がある。
「大丈夫か!?」
「あ、ああ。ユウナ。すまん」
カガリはぎりっと歯噛みをするとスクリーンを睨みつける。
そこでは、ザフトの赤いモビルスーツが次々にオーブ別働隊を攻撃していた。
だるい……
ふいに倦怠感が襲って来る。リタリンで押さえていた覚醒剤の禁断症状が現れてきたようだ。
負けるか!
カガリはフリスクと頓服のリタリンとL-チロシンのカプセルを口の中に放り込み、噛み砕く。苦さと痛いほどの爽やかさが口の中に広がる。

 
 

「ルナ! 援護する! 思いっきりやれ! 艦橋を潰せ!」
うるさく付きまとっていたムラサメを撃破して包囲網を抜けたアスランが叫ぶ。
「任せてください!」
アスランの言葉にルナマリアは勇気100倍! アスランの援護に万全の信頼を置き、後ろの心配をする事無しに、目の前の護衛艦の艦橋に向かって大出力プラズマ砲をぶち込み! 護衛艦は内部から破裂したように艦橋が吹き飛んだ。

 

「あ……」
キラはセイバーに向かってフルバーストする。
しかし大気圏内での空中戦・それに伴う砲撃戦に特化しているセイバーはそれを避け、セイバーはクレタ島西岸から回りこんできた護衛艦にプラズマ砲を叩き込み続ける。

 

「道が開いた! 全速全進! 僚艦にも伝えて!」
タリアは叫ぶ。

 

「あいつ……!」
キラは眉をひそめ、スラスターを全開にしてセイバーを追う。
「やめろキラ!」
そこに、インパルスが飛び込んできた。
「アスラン!」
「こんな事はやめろと、オーブへ戻れと言ったはずだ!」
「……」
キラは無言で答えた。
アークエンジェルがオーブヘ戻れない事情など、アスランは知らない。

 
 

「あれ……あのモビルスーツ、キラとアスランだ……」
戦いを見ていたミリアリアがつぶやく。
「なんだって!? 前戦役時の英雄か?」
「ええ……」
「なんでまた戦う事に……」

 
 

「カガリ様……あれは……」
トダカが観戦しているカガリに尋ねる。
「ほっとけ」
少し怒りの混じった声でカガリは応じる。キラの言葉のせいで、ザフトのモビルスーツの逆檄をくらいムラサメが落とされたのだ。オーブの軍艦がやられたのだ。オーブ国民が死んだのだ。それもこれも……
「くそう、今は力が無い。だが……ラクスの野郎、いつか必ず……ぶっ飛ばす!」

 

「うおぉぉぉーーー!」
キラがアスランに拘束されている隙に。
ムラサメ隊がミネルバに向かってミサイルを発射する。
彼らが機首を返したのと同時に、ようやく迂回に成功した護衛艦群が八式弾を連射する!

 

「きゃあ!」
甲板上のザクに着弾する。
「マユ! ゲイル!」
ミネルバも八式弾の着弾に揺れた。

 

その時、アークエンジェルの主砲がミネルバとムラサメ隊の間をなぎ払う。護衛艦群の進路を邪魔するように海上目掛けてリニアカノンが放たれる!

 

「本格的に邪魔に入るねぇ。潮時かな」
ユウナはむっつりと言った。
「残念ですが。潮時でしょうな」
トダカが応じる。
「攻撃隊下がらせて。別働隊、敵艦隊と距離を取らせろ」
「はっ」

 
 

「下がれキラ! お前の力はただ戦場を混乱させるだけだ!」
アスランはキラと対峙した。
「アスラン! カガリのした事を無駄だって言うの?」
「仕掛けてきているのは地球軍だ! ならなにか!? お前達はミネルバに沈めと言うのか!!」
「どうして君は!」
「『どうして君は』の後はなんなんだ! 意味のある事が言えるなら言ってみろ! まともな反論が出来るならしてみろよ!」
「なんで君は!」
「だからその後の台詞はなんなんだ! どうせ言えやしないだろう! 意味のある事なんか! だから戻れと言った! 討ちたくないと言いながらなんだお前は!!」
「分かるけど……君の言うこともわかるけど……でもカガリは、今きっと泣いているんだ!」
「はぁ!?」
「こんな事になるのが嫌で、今きっと泣いているんだぞ! あのオーブ艦隊の中で! 何故君はそれが分からない! なのにこの戦闘もこの犠牲も仕方がない事だって、全てオーブとカガリのせいだって、そう言って君は討つのか! 今カガリが守ろうとしているものを!」
「カガリの名前を出すな! 結局お前はお前の祖国を、オーブを優先的に守りたいだけじゃないか! 男がピーシャカ喚くな! お前がザフトを討つと言うなら……!」
アスランの目が光った。
「なら僕は君を討つ!」
「俺はお前を討つ!」
二つの機体がぶつかった。
キラは思った。
このアスランの攻撃は!
手加減できない――!
まだ死ねない!
キラは無意識にインパルスの胴体を狙った!
「――!」
ふいに、アスランを取り巻く世界が遅くなる。
フリーダムのまだほんのわずかな動き。だが……
「軌跡が見える!」
アスランは一瞬でキラの意図を把握した。
咄嗟にインパルスの下半身を切り離す! 重量が軽くなったインパルスの上半身はフリーダムのビームサーベルを下にかわし、フリーダムの両腕を切り裂いた!
「あ……?」
キラは呆然とした。信じられなかった。フリーダムが、自分が、アスランに負ける事など。

 

「アスラン!」
その時、セイバーが下から上昇してプラズマ砲を打ち上げてきた。
虚を突かれフリーダムの脚が撃ち抜かれ飛散する!
「くっ、脚なんか飾りだ!」
キラは気を取り直した。
スラスターを全開にして急上昇すると、フルバーストで牽制しながらアークエンジェルの方へ帰還していった。

 

「アスラン! 大丈夫ですか!?」
「ああ」
アスランは再びインパルスの上半身と下半身を合体させる。
「さあ、ミネルバは敵陣を突破したようだ。俺達も帰ろう、ルナ」
「はい!」

 
 

『これはどう言う事ですかな』
ユウナはネオに尋ねてきた。
戦いが終わった周囲では地球軍艦隊とオーブ艦隊の救助作業が行われている。
『地球軍がもっと気を入れて攻撃してくれていれば、敵艦を撃沈できたかも知れないのに。あなた方は防衛していただけのようですが? そう見えたのは私の気のせいですかね?』
少し怒りの混じった声でユウナは尋ねた。
ネオは唇を吊り上げた。
「正直に言いましょう。前回の行動から考えて、オーブ軍に全幅の信頼を置けなかった。それだけですよ。それに、こちらは元々ミネルバが沈もうが逃れようがかまわない戦いだったのでね、あなた方と違って」
『――!』
ネオの言葉に込められた意味をユウナは察した。この戦いは、オーブにとって身の証を立てなければならない戦いだったと言う事だった。地球軍の信頼を得るために。
「いやぁ、しかし、あなた方はこうしてザフトと戦う意思を明確に示してくださった。信頼していますよ。今は、ね」
『くっ』
「ああ、アスハ代表のご助言の通り、アークエンジェルを攻撃せずに無駄な損害を出さずに済みました。お礼申し上げます。オーブの諸君の活躍、黒海の奪回の折にも頼りにしてますよ。では」
ネオは通信を切った。
「ふふん。まぁ我が軍には損害は少なかったし、まぁまぁかな?」
「お人が悪い事で」
J.P.ジョーンズの艦長が笑った。
「しょうがないだろう? 損害を抑えよ、とのジブリール殿のご命令だったんだから。まぁ、オーブ艦隊はスエズに戻ったらしっかり修理してやるさ」

 
 

「キラ! キラ君! どうしたの!?」
コクピットから降りてこようとしないキラを気遣ってマリューが声をかける。
「アスランが……本気で僕を殺そうとした……許せない……」
キラはコクピットの中でガタガタ震えていた。その顔は恐怖と怒りの表情だった。

 
 
 

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