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SEED-IF_4-5氏_40

Last-modified: 2008-12-17 (水) 18:11:40

「では行こうじゃねえか。お行儀よくな、おめえら」
地球軍のコンドラチェンコ大佐が言った。
周囲から笑い声が起こる。
ガルナハンで何が起こったかは既に地球軍に知らされていた。
誰もがガルナハンで虐殺された戦友の仇を取りたがっている。
カスピ海のトルクメニスタン沿岸から次々とジェットストライカーを付けたダガーLを主力としたモビルスーツ隊が発進していく。
その後を武装した兵員を乗せたヘリコプターが追う。
……
「第一小隊、準備良し」
「第二小隊、準備良し!」
「第三小隊……」
程なく。
暗闇の中、モビルスーツ隊はガルナハンを包囲した。
「降伏勧告をしろ。一応な」
「はっ」
スピーカーからガルナハンに向かって降伏勧告がなされる。
『ガルナハン住民に告ぐ! 先に行われた地球軍兵士虐殺の犯人、テロリストどもを引き立てて連れて来い! そうすれば残りの住民には寛大なる措置を約束する。一時間待つ――』
その時、ガルナハンから一斉に銃撃の音が起こった。バズーカの音も聞こえてくる。
「ガルナハンの馬鹿野郎どもが! 攻撃開始!」
「「了解!」」
何機かのダガーLは飛び立ち、空中からロケット弾を浴びせる。
地上からはモビルスーツの援護で歩兵が地歩を固めていく。
わらわらと町の住人らしき者が銃を手に向かってくるが、スローターダガーの足の甲部に内蔵された50口径12.5mmの対歩兵用機関砲が火を吹き、彼らを掃討する。
「大佐! 子供が銃を持って撃っております!」
「潰せ」
「はっ、あの……」
「子供だろうが銃を手に取って向かってきたら敵だよ、少尉。子供でも立派なテロリストだ。彼らの勇敢な心に報いるには、弾丸を持って報いるしか俺は知らん」
「はっ」
「……ゲリラ戦なぞやる方が悪いんだ。民間人に多大な被害が出るのは当たり前だ。もし無実の者がいたならゲリラを恨め!」
そう言うとコンドラチェンコ大佐は夜明けの光の中を、そろそろ終盤に入った掃討作戦の指揮を執るために飛び立った。
……
この日、ガルナハンの町は崩壊した。生存者は当時の住人の1/5だったと言う。
その中にコニール・アルメダと言う少女の名前があったかは定かではない。
生き残った住人達はロシアの奥地へ強制移住を余儀なくされた。
ガルナハンの町には、寒冷なロシアの奥地から、エイプリルフール・クライシスに耐え抜いた者達が移住して来、明るい顔でガルナハンの町の再建に取り組み始めた。

 
 

「メインエンジンに深刻な損傷はありません。ですが火器と船体にはかなりのダメージを負いました」
アーサーがタリアに報告する。
「ふぅ、所詮は試験艦……か。もうちょっと装甲に気を配ってもらいたかったわね。いくら機動力に優れると言っても砲のスピードに対抗できやしないのだから」
ここはギリシャのイオニア海に接する西側の岩陰である。ここにミネルバとボゴスロフ級の7隻は息を潜めていた。
「モビルスーツもウォーリア2機が大破、ファントムが中破と厳しい状況です。ボゴスロフ級の方も半数のモビルスーツがやられたとか。バビに……水中でも、データに無い巨大なモビルアーマーらしき物と真ん丸いモビルスーツ群に撃退されたと。敵の新型でしょうか?」
「はぁ、新型、か。景気がいいことね、地球軍も。ジブラルタルまでもうあと僅かだというのに。またここで修理と言うのは辛いけど、仕方ないわね」
「はあ……」
「毎度毎度後味の悪い戦闘だわ。敗退した訳でもないのに」
「……」
「対空、対潜警戒は厳に。あとお願いね」
「はっ」

 

「じゃあ結局またルナがやったのか? 敵艦」
ヴィーノがシンに尋ねる。
「敵艦隊だって。ミネルバの前に立ちふさがる敵艦隊にさー、急降下してドドドーとプラズマ砲を」
「へぇ〜」
「アスランさんもすごかったんだよ! 迫り来るフリーダムのビームサーベル。インパルスは咄嗟に――」
「シン!」
そこに、マユが声をかけて来た。
「ぅ、あ、お姉ちゃん! 大丈夫?」
「『大丈夫?』じゃないわよあんたはもう……。人が被弾したって言うのに見舞いにも来ないで」
「ぅぅ…だって僕ずっとオンだったんだもん」
「……まあ、いいわよ。それよりアスランさんは? どうしてるか知らない?」
「ああ、そう言えばあっこに居たかなぁ……」

 

「く……ぁ?」
「あ、アスランさん!」
マユはモビルスーツデッキにいるアスランに声をかけた。
「こんな所にいたんですね」
「あ、ああ」
「……私のザク、やられちゃって」
下ではマユのザクを前に整備員が頭を抱えていた。
「ああ。怪我は大丈夫か?」
「おかげ様で。機体が壊れてくれたんで、私は軽症で済みました」
「そうか……」
「見ましたよ、録画で! すごいじゃないですか! 咄嗟にインパルスを分離させるなんて、さすがアスランさんです!」
「いやぁ……。あ、ルナはどうしてる? ルナもたいした活躍だったじゃないか」
「ルナは……部屋で落ち込んでます」
「落ち込む?」
「ほら、あの子、オーブ出身でしょう? だから」
「ああ……」
アスランは苦笑した。
そう言えば軽く落ち込んでいるこの気分はなんだろうと思っていた所だ。
似た物同士、か……。

 
 

「さてさて、スエズまで下がれて良かったと言うべきか。しっかり修理や整備が出来るな」
「さすがに被害が大きかったですからな」
ユウナの言葉にトダカが答えた。
「少し、積極的になりすぎたか。ムラサメだけで遠くから攻撃させとけばよかったか?」
「さぁ、どうでしょう。モビルスーツに載せられるだけのミサイル、空対地ミサイル『ドラッヘASM』では、攻撃力もそれなりしかありません。八式弾の効果もありましたし。護衛艦が近づいての大型ミサイル有線誘導もそれなりに効果があったものと思われます」
「ふむ」
「……地球軍の奴ら……」
カガリは悔しそうに呟く。
「オーブは小国だからねぇ」
ユウナはのんびりとした口調で答える。
「そうしてこのまま良い様に扱われるのか? それでいいのか!?」
「オーブは中途半端なんだよ」
「中途半端?」
「スカンジナビアくらい国力が大きければ、侮られるほど弱からず、やれるだろうけどもさ。オーブは圧力掛けて使いやすい国力なんだ」
「スカンジナビアか。中立志向だよな」
「ああ。オーブよりはるかに強力な軍隊を持っているにも関わらず、オーブに対するような圧力は地球連合は掛けないね。強力な軍隊を持っているからこそ、かな。オーブは再構築戦争で独立国として残ったのが不思議なくらいだ。ご先祖様達は思ったんだろうねぇ、国力上げなきゃってさ」
「もっと、強くならなきゃいけないのか」
「逆の道もあったんだよ。マスドライバーとか価値あるものを作らず、オーブの周辺の島国がやってるように原始生活のままでさ。そうすりゃわざわざ干渉もしてこない」
「だが、それは……」
「そうだね。今更できない。それに、大洋州との位置が悪すぎる。どっちにしても戦争に巻き込まれてたなぁ。ははは。それでかな。小国にも関わらず宇宙コロニーを建設したのは」
「オーブが道を求めるなら、宇宙?」
「かも知れない。……資金はある。事態が落ち着いたらもう一度再建しよう」
「資金? オーブの復興に大西洋の資金が関わってるんだろう? 更に出させる気か? あまりにひも付きになってしまわないか?」
「いや、まったくフリーの資金だ」
「そんな金がどこに!?」
「聞くな。僕にだって訳がわからない資金なんだから」
その時、兵士が入ってきた。
「カガリ様、飛行機の準備が出来たとの事です」
「そうか。じゃあ、ユウナ。無事でな」
「ああ、カガリも元気で。タツキ・マシマは信頼できる人だと思うよ。彼とよく相談して、やってくれ。国に帰ったら、身体を大事に、ゆっくり休んでくれ」
「ああ」
カガリは応接室を出て行く。ユウナも後を追う。
外に出ると、大型の飛行機が待っていた。これで、ビクトリア基地を経由して一気にオーブまで行くのだ。
カガリはそれに乗り込む時、後ろを振り向いた。
父――ウズミ、ウナト。アスラン。キラを始めとするアークエンジェルの乗員。
ある者はこの世を去り、ある者は行方知れず。またある者とはいつの間にか心が違え……。
暑い砂漠であるのに、カガリは衣を剥ぎ取られたかのような寒さと寂しさを感じた。
また、会えるよな?
カガリは自分に言い聞かすと、飛行機の中へ入っていった。

 

「いやぁ、とうとう来てくれましたか!」
ネオは手を広げてスエズ基地に着いた空母ジョージ・w・ブッシュの艦長達を出迎えた。
「ご活躍は常々。お待たせしました。新編なったユークリッド隊を持ってきましたぞ」
「期待しています。さぁ、基地には地元のうまい料理が用意してありますよ!」
ネオは一行の先頭に立つと歩き出した。

 
 

その頃アークエンジェルは海底に潜んでいた。
「あーあ、どうしますかね」
アーノルド・ノイマンがぼやいた。
「ええ、ほんとに。フリーダムの修理はなんとかできたけど……」
マリューが答える。
「アークエンジェルだけじゃ、争いを止めるといっても限界があります。パイロットの替えがいないのがどうしようもないですね」
「……待ちましょう。キラ君はきっと立ち直ってくれるわ」
「ええ……お茶でもどうですか?」
「頂くわ」
ノイマンは皆にお茶を配って廻った。
画面では、ニュース番組に混じって、時々CMのようにラクスの演説映像が流されている。ノイマンが流しているのだ。
「またラクス様の映像か?」
茶化すようにダリダが言った。
「好きなんだよ」
照れたようにノイマンは言った。
「ラクスの歌じゃなく演説動画が好きってのも変わってるな、お前」
「ははは……」
ノイマンは苦笑した。その目は笑わず、乗員を観察していた。

 

「お邪魔してもいい?」
マリューはキラの部屋に入った。
「あ、すみません。こんなところでサボってて」
「いいわよ。貴方一人でほんとによく頑張ってるもの、また」
「え?」
「大丈夫?」
「……なんか、何でこんな事になっちゃったのかなって思って。何でまたアスランと戦うような事に。アスランの奴本気で僕を殺そうとした……。僕達が間違ってるんですか? ほんとにアスランの言うとおり、議長はいい人でラクスが狙われた事も何かの間違いで……僕達のやってる事の方がなんか馬鹿げた、間違った事だとしたら……」
「キラ君……。でも、大切な誰かを守ろうとする事は決して馬鹿げた事でも間違った事でもないと思うわ」
「え?」
「世界の事は確かに分からないけど。でもね、大切な人がいるから世界も愛せるんじゃないかって、私は思うの」
「マリューさん……」
「きっとみんなそうなのよ。だから頑張るの。戦うんでしょ。ただちょっとやり方が、と言うか思う事が違っちゃう事もあるわ。その誰かがいてこその世界なのにね」
「……」
「アスラン君もきっと守りたいと思った気持ちは一緒のはずよ。だから余計難しいんだと思うけど、いつかきっと、また手を取り合える時が来るわ。あなた達は。だから諦めないで。貴方は貴方で頑張って」
「はい」
「ね。うふふ」
「……マリューさん」
「なぁに?」
「僕、宇宙に行ってきます!」
急に、躁転したようにキラは明るく口調を変えた。目がキラキラと輝いている。
「ええ!?」
「僕がアスランに負けるなんて、変だと思いませんか?」
「え? え……」
いきなり変わった、憎しみの籠もるその表情にマリューは戸惑う。瞳が、ぎらぎらした物に変わった。マリューは思わず後ずさる。
そしてそれは気のせいかと思うほど一瞬に消え、寂しげな少年の表情に変わる。
「やっぱりラクスがそばにいないと僕は……だめなんです」
「そんな事ないわよ、あなたはしっかり……もうすぐラクスさんも戻るわ。そうすればきっと。ね? だからそれまで頑張って」
「もう、決めました」
キラはさっぱりした顔で微笑んだ。
「まず決める。そしてやり通す。いつもの事です。アークエンジェルは、見つからないように海底に隠れていてください。必ずラクスを連れて戻ってきますよ」
「ふぅ。そう……」
マリューは気遣わしげに溜息をついた。

 

宇宙――
「オーブの件ですが、どうしたしましょうか? だいぶ、オーブ軍人への浸透は進んでおります。……例のサイオキシン麻薬も使いまして」
『ターミナル』のメンバーがラクスに報告をする。
ターミナル――先の戦役時より以前に、ラクス・クラインが父、シーゲルにも秘密に作り上げた組織である。
「それでいいわ。麻薬付けの軍人など使い物にならない物だけど、オーブ軍に戦う事を期待している訳ではないから。……カガリ・ユラ・アスハをクーデターの際に再び捕まえて駒にすることもできます。駒にできなければ表に出ずに代表首長として発言していてもらう事も。オーブの後ろ盾を得る事には大きな意味があります」
「では、計画通り、進めます」
「はい」
「ところで、プラントのラクス様の贋物の事ですが。一応の目処が付きました」
報告する、ラクスを支援する組織『ターミナル』の人員の『贋物』と言う言葉に嫌悪感が混じる。
彼はラクスの信奉者なのだ。
「仕込みは出来たのですね?」
ラクスは、ターミナルの組織の者に尋ねた。
「はっ。ターゲットにはさすがにガードが固く、近づく事が出来ませんでしたが、その身近な者達には」
そう、前戦役時に、いや、それより以前からラクスが作り上げた支援組織、『ターミナル』はプラントに深く食い込んでいた。
「後、報道関係の者にも手広く。大抵の出来事には対処できるでしょう。後はあなたがは引き金を引けば、発動します」
「そう、ありがとう。わたくしはあのような者が存在する事が許せないのです」
壁に向かって、ラクスは冷たく嗤った。キラなどには決して見せない顔をして――

 

「止めてくれ! ここは俺達の土地だ!」
「ふん、動物が口を開くか」
ウラン鉱山の技術員らしい男が悪態をつく。
「やれ!」
銃声が響く。抗議したアボリジニの頭が弾ける。後ろのアボリジニの腹に血の花が咲く。次々にアボリジニ達が倒れていく。
「ははは」
オーストラリア人はかつてと同じように、まるで動物を狩る様にアボリジニを『狩った』。
しばらくの後、動いているアボリジニは一人もいなくなった。
銃を持った男が一人のアボリジニの死体に近づく。
そのアボリジニは手に絵筆を持っていた。
「ふん。少し留守した内にゴミが入り込みやがって。何が世界遺産だ」
男はつまらなそうにその絵筆を踏み潰す。
ここはオーストラリア――カカドゥ。古くからアボリジニが太古から文化を刻み付けて来た場所である。
「さあ! さっさと採掘を再開するんだ! ……へへへ、これでいかがです?」
「うん、ありがとう。綺麗になったね」
後ろに控えていた大洋州の要人達は鷹揚に頷く。
もし、カガリ・ユラ・アスハがその男を見れば気づいたかもしれない。その男達の表情が、目の輝きが、ラクスを称えるアークエンジェル乗員の表情にそっくりだと。
アボリジニが世界最古の文化を刻みつづけてきたカカドゥ。
大湿原に水鳥が、ワニが命を育みつづけてきたカカドゥ。
世界遺産に指定された人類の宝であるカカドゥ。
そこでは今、ブルドーザが大地を切り裂き始める。
地下のウランを掘り出すために――

 
 

スカンジナビア王国――
二人の男女が話していた。
「まったく! ユーラシアの独立派! この段階で暴発するなんてとんだ計算違いだわ!」
「さようで。まさか今、行動に移れるような装備、資金を調達できるなどとは思いもしませなんだ。供給元がどこだか調べさせますか?」
「いいわ、今更。充分な装備・資金があれば我が国が止めたって聞かない連中よ。我が国の働きかけで活動を休止したと言う事は追加の供給が無かったと言う事。裏にどこがいるか知らないけれど、彼らにとって独立派の役目は済んだ言う事だわ。さほど損害を受けない内に潜伏させる事ができたのでしょう?」
「はっ」
「それより、ザフトが黒海から撤退したようね」
「はい。ジブラルタル基地からも撤退する動きがあるようです」
「それは困るわねぇ。ザフトにはまだまだ西ヨーロッパで頑張ってもらわないと」
女性がクスクス笑った。
「ザフトに、手助けをしてあげましょう。西ヨーロッパへの働きかけ、鈍り無い様にね。東アジアもね。混乱は大きい方がいいのよ」
「はっ」
男は出て行った。
……諸国民は混乱の収まる事を希求し……か。
女性はある言葉の一節を思い出した。確か前戦役時にスカンジナビア王国が出した声明の一説だった。
だが。混乱を望む者はいるのだ。今ここに。
スカンジナビア王妃アレクサンドラは声を立てずに嗤った。

 
 

「お願い! レイジングバール、持ちこたえて!」
「行け! バールディッシュ!」
「なーにやってんだ、おめえら」
「あ、隊長」
「いやぁ、ただ黙々と作業するのも面白くないもんで」
ここはガルナハン。
地球軍兵士がモビルスーツに乗ってバールの様な物で作業をしている。
「これはなんです? 隊長?」
兵士が尋ねた。
そこにはモビルス−ツの装備らしい新しいコンテナが運ばれてきていた。
「ああ……。これは、高周波円匙だそうだ」
「要するに、シャベル?」
「無駄に技術使ってませんか?」
「何を言うんだ」
心外そうに隊長は言った。
「塹壕戦でもっとも敵の命を奪った頼りになる相棒は拳銃でも銃剣でもなく円匙だぞ?」
隊長は高周波円匙を手に取った。
「す、すごい!」
「まるでバターに突き刺しているようだ!」
ガルナハンの復興は順調に進みそうだ。

 
 

「ラクス!」
宇宙に来たキラは、エターナルと合流すると、ラクスに飛びつくようにして駆けてきた。
「来てしまったのですね」
ラクスは溜息をつくとキラに言った。
元より、いざとなれば上昇するシャトルに追いつくほどの推力を持つフリーダムである。簡単なブースターを取り付けるだけで宇宙に来てしまえた。
「うん……。これが正しいのかわからない。でも今行かなきゃ後悔する。そう思ったんだ」
「まぁ、しょうがないですわね」
ラクスは少し嬉しそうに苦笑した。
「では、キラ、付き合ってくださいな」
「どこかへ行くの?」
「……メンデルへ」
「メンデル!?」
「ええ。ギルバート・デュランダルが研究員として勤務していたといいます。そこに行けば、彼が何を望み何を考えているのかわかるかもしれません」

 
 

「不気味だな。まるで……」
ユウナはつぶやいた。
「ええ。もぬけの殻です」
トダカも訝しげに答える。
オーブ軍は指示された港湾に侵攻する計画だった。ザフトから奪回するために。
だが……そこにはすでにザフト軍は存在しなかった。
オーブの攻撃は、罠を警戒して長射程のミサイルとムラサメだけを送り、すでに損傷も激しいまま係留されている現地の国の艦艇を沈めた。
攻撃が港湾施設を叩き終わる。
程なく、降伏する旨と交渉を求める通信が現地政府より送られてきた。

 

「じゃあ、俺も出てくるわ。後を頼むぞ」
艦隊がディオキアが近づくと、ネオは副司令官に言った。
「はぁ、しかし大佐の身で自ら出撃というのは……」
「いいじゃないの。第二次大戦で地上勤務拒否して出撃しまくったドイツのルーデルは大佐だぜ?」
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル――アンサイクロペディアに嘘を書かせなかった男――あんな人外を常人が真似していいものか?
副司令官は尚も諫言しようとしたが、ネオの猫を思わせる仮面が目に入る。
この人も常人じゃないよなぁ。こんな仮面被ってるなんて。
副指令はため息を一つついた。

 
 
 

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