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SEED-IF_4-5氏_43

Last-modified: 2009-01-07 (水) 18:12:35

『まあ、メンデルへ行ってきたの?』
「ええ、カナーバさん。そちらは変りありませんか?」
ラクスは誰もいないエターナルのブリッジで、アイリーン・カナーバに語りかけた。
『順調に、状況は悪くなっているわ。つい先日配給制が再開されたわ。それで、メンデルには何を?』
「ええ、デュランダル議長の瑕疵になる物が見つかったのです」
『ああそう。彼も、クライン派からも非難する声が上がり始めているわ。同士を取りまとめ中よ。無理ないでしょうね。戦争がうまく行ってないのだもの。プラント市民も気まぐれなものよ。私もユニウス条約を結んで早々に辞任させられて幸いと言うところかしらね』
「――カナーバさん。先の戦役後、あなたが評議会議長を引き受けてくれた事は決して忘れませんわ。あなたが成し遂げた事の大きさもわたくしはわかっていますわ」
『ふふふ。ありがとう。でも、あなたにも同じ事ができたと思うわ」
「いえ、まさかわたくしにそんな……」
「あら本当よ? まぁいいわよ。あなたに泥を被らせる訳には行かなかったものね。プラント市民はそれはもうユニウス条約に不満を持ったようだから。それよりプラントにはいつ帰ってくるの? ここではあなたの贋物が大人気よ。プラント市民にもあきれたものね』
「今は……まだ。機会を待ってください」
「ああ、待ち遠しいわ、ラクス。早く帰って来てね? あなたがいなければどうしようもないもの。待っているのよ、本当に」
「ええ、ありがとう」
通信は終わった。
ラクスはふいに眉をしかめた。何か、砂糖を入れすぎた紅茶を飲まされたような気分になったのだ。
このもやもやした気分は何だろう?
ラクスはぶるんと頭を振ると、大洋州に根を張るテロリストグループ、『海の猟犬』のボスに向けて次の通信をはじめる。
「ああ、ポール・ワトソンさん。ご機嫌いかが? 相変わらず捕鯨船に酪酸投げ込んでますか? 大洋州の様子はどうかしら? ウランとプルトニウムの確保は……」

 
 

――バチカン――
「アナキン。君が友達に暴力を振るったと言うのは本当ですか?」
一人の神父がアナキンに話しかけた。
「はい。事実です」
アナキンは悪びれずに言った。
「でも、そいつは殴られて当然の事をしました。ちゃんと手加減もしました」
アンデルセン神父は振り返ると言った、
「アナキン、君は強い。だからこそ、言います。今度やる時は、七倍、いや、七の七倍手加減をしてやりなさいと。外に出せば、普通の暴力事件の被害者で通る傷を負ったのですよ? あなたの友達は?」
「……はい」
アナキンはうつむいた。
「理解しているようですね? では、友達に謝りに行けますね?」
「はい!」
「よろしい! いいですか? アナキン。よく覚えておきなさい。容赦なく暴力を振るって良い相手は悪魔共と……」
神父はにこりと笑って言った。
「異教徒共だけです」

 
 

「私がインパルスに?」
「そうだ。艦長とも相談して決めた」
アスランはレイに微笑んだ。
「マユは、射撃ならお前と同じくらいの腕前だが、お前は格闘戦でもそつなくこなせる。インパルスの特長を活かせるだろう」
「しかし、ハイネが居るのでは?」
「ハイネは、グフで対モビルスーツ格闘に専念したいそうだ。やれるな? 俺はお前ならやれると信じている」
アスランは微笑みながらレイの肩に手を置く。
「はい、微力を尽くします!」

 

「私がセイバー……大丈夫かなぁ?」
「マユなら大丈夫よ」
「格闘戦なんて自信ないし」
「あら、私だってセイバーで格闘なんてした事ないわよ?」
「そうだっけ?」
「うん。とにかくまずはモビルアーマー形態を生かして敵の攻撃に当たらないように動き続ける事。それだけでかく乱と言う役割は果たせるわ。攻撃なんて慣れてからやればいいのよ。砲撃はマユのお得意でしょ?」
「うん、私頑張る。頑張るから!」

 

「やっと宇宙へ帰れるんだねぇ」
ショーンは呟いた。
「ああ。とんだ地上暮らしだった。ほっとするよ」
ゲイルが答える。
「そう言えば、カーペンタリアで積んだゾノ。なーんにも使わなかったなぁ」
「使う機会がなくて幸いさ。護衛が付いててくれたからな」
「バビともお別れか。いい機体だったがな。機動性が高いのが、いいね」
「宇宙じゃねえ。ブレイズウィザード使うか、いっそグフでももらっちゃどうだ?」
「それもいいかもなぁ」
「グフ! いいねぇ!」
二人の後ろから声がかけられた。
「あ!」
「ハイネ!」
二人は敬礼する。
「グフで活躍してぐふふ。なーんてな」
三人は吹き出した。

 

石鹸をたっぷりスポンジに付けて、身体を拭う。その刺激が肌に心地よい。ひとしきり洗い終わると、シャワーで石鹸の泡を流す。瑞々しい肌が水滴を弾く。
「ん……ふぅ」
水流が肌を流れる心地よさにため息を付く。
きゅ、と蛇口を閉めるとお湯が止まる。
肌に水滴が残る。キラキラとした宝石のようなそれをタオルで拭う。輝かしい肌が姿を現す。

 

「あ、アスランさん!」
シンが部屋を出ると、ちょうどアスランに出会った。
「お、シンじゃないか。シャワー浴びたのか?」
アスランは目ざとくしンの濡れた髪に目を留めると、くしゃっと撫ぜた。
「は、はい……。……いいなぁ……」
シンはアスランの逞しい身体に見惚れた。
「ん? 何がだ?」
「ほら、僕って男っぽくないでしょう? お姉ちゃんはモビルスーツに乗って戦っているのに、僕はオペレーターで……」
「なんだ」
アスランは、シンの頭をもう一度くしゃっと撫ぜた。
「オペレーターだって大事な仕事だぞ? オペレーターがきちんとオペレートしてくれなければ、俺達はまともに戦う事もできん。自分に自信を持て」
「……はい……ところでアスランさん!」
シンは、明るい声に変わって聞いた。
「ん?」
「女の子の裸って見た事あります?」
「ぶっ……!」
「僕、お姉ちゃんのならありますよ。よかったら、お姉ちゃんのシャワーシーン隠し撮りしてきてあげましょうか?」
「ば……! からかうな、シン!」
「あはは、本気ですよ。お姉ちゃんも喜ぶかも知れないな。アスランさんが自分の裸に興味あるって知ったら! その気になったらいつでも言ってください。じゃ!」
シンは走り去った。
「まったく……」
アスランはため息をついた。

 

「あっ!」
アスランは向こうから歩いてくる二人組みを見つけた。ルナマリアとマユだ。
「あ! アスランさん!」
マユが敬礼する。ルナマリアも、少し緊張感の混じった視線をちらっとマユに投げかけると、アスランに敬礼する。
マユの……裸か……。
アスランは思わずマユの裸身を想像してしまった。
栗色の髪に肌を……。胸の大きさも。
うん、ミーアよりも、俺の好みに近いかも知れない。
「どうしたんですか? 顔、赤いですよ?」
マユがアスランの顔を覗き込む。
「わぁ! い、いや……」
アスランは慌てて心を立て直す。
「いや、マユ。セイバー、頑張れよ」
「はい! 頑張ります!」

 

ルナマリアとマユ、二人が去って行く後姿をアスランは見る。
ルナマリアのミニスカートとニーソックスの間に目が吸い付けられる。そこから見える太腿の肌が艶かしく感じられる。その輝くような肌色がアスランの脳裏でルナマリアの身体全体に広がり、ルナマリアの裸体が完成する。
「ルナの裸か……見てみたいな」
思わず呟いて、アスランは慌てて周りを見回し、誰もいない事にほっとする。
「いかんな、シンがあんな事言うからだ」
アスランは2・3回頭を振ると、ルナマリア達と反対方向へ歩いて行った。

 
 

「うーん、おいしい!」
「ミューディーのおかげだな」
スウェン達は小さな小料理屋で食事をしていた。
「こう言う事は地元の人に聞いた方が一番だからね。イタリア語習ってて良かったわ」
ミューディーは得意そうにフォークにパスタを絡めて食べる。
「やあ、君達」
声がかけられる。
「あ! 笹井少佐!」
スウェン達は立ち上がると敬礼する。
「この店はおいしいかい?」
答礼しながら笹井は尋ねる。
「はい! おいしいです!」
「そうか。じゃあ、ここにしようか」
笹井は後ろに立っている坂井達に言う。
「ええ、そうしましょう。じゃあ、君達、ご一緒させてもらうよ」
坂井がスウェン達に言った。
笹井達はしばらくメニューを眺めると、笹井が注文を取りまとめ、注文していく。
「笹井少佐は、イタリア語がお出来になるのですか?」
シャムスが尋ねた。
「ああ、士官学校で習った。君達は?」
「ミューディーが個人的に習っていて。ここの店も地元の人に紹介してもらったんですよ。おかげでうまい物が食べられます」
「そうか」
笹井は微笑んだ。
「ジョン、そのナイフは実用品かい?」
西沢が、ジョン・デイカーが腰に下げている小さなナイフを見て尋ねた。
「ああ、これですか。んー、お守りって言うか。家に代々伝わっている物でしてね。親父がお守り代わりに持ってけと」
ジョンは鞘からナイフを抜いて見せた。黒い刀身が現れる。
「ふうん。珍しいな」
「ええ、どうやら黒曜石で出来ているみたいで」
「綺麗にクラック(内部のひび)が入っているな。光が当たると虹色で綺麗だ」
「ああ、祖父は『暁の剣』なんて呼んでましたっけ。惚けた祖父ですが、この剣が冒険に誘うとか何とか」
その時、店の中が急に騒がしくなった。
店の主人がラジオの音量を大きくする。
「なんだってんだ?」
笹井とミューディーは、ラジオの音に耳を傾ける。ラジオからは緊迫した声でアナウンサーが何かを伝えている。
「……ちょっと! こりゃ、とんでもない事が起こったよ!」
ミューディーが驚きの声を上げた。
「ああ。艦に戻った方がいいな」
笹井も、その柔和な顔を緊張させて立ち上がった。

 
 

「なんだと!?」
その知らせにジブラルタル基地司令官は驚きの声を上げた。
「間違いないのか?」
「間違いありません。西ユーラシア――スペイン、ポルトガル、フランス、ドイツでクーデターが発生。新政権は地球連合を非難、プラントへの支持を表明しております」
「……」
それは、外部の者から見ればザフトにとって喜ばしい状況になったと思ったかもしれない。だが……
「これでは……」
司令官室はまるで通夜の様な沈黙に包まれた。
「この基地を撤退、する事はできなくなったか……」
「ええ。この状況でジブラルタルを放棄すれば、ザフトへの支持が一気に崩れます」
「どうせ、クーデター政権など脆い物だと言うのに! プラントが彼らを支援する国力があればまだしも……」
「そんな物、ありませんな。プラントが支援を欲しいぐらい疲弊していると言うのに」
「ここで耐久するしかありませんな。撤退が許されるくらいに損耗するまで」
「……」
「そして壊走にならない程度に、か。難しい仕事だな」
「しかし、やらねばなりません」
「ともかく、デュランダル議長にはすぐにプラントにお戻り頂かねば!」

 
 

そして世界は更に混迷の度合いを深める。
東アジア共和国でクーデターが発生、ザフトへの指示を打ち出す。これに反発した各地は東アジア共和国からの分離独立を宣言、地球連合への支持を表明。
更に、中部ユーラシアでクーデターが発生、ザフトへの支持を表明。スカンジナビア王国は現地民に治安維持を要請されたとして、中部ユーラシアへ国境を越えて進出した。

 
 
 

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