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SRW-SEED_ビアンSEED氏_第11話

Last-modified: 2013-12-26 (木) 20:48:17

SRW-SEED_ビアンSEED氏_第11話
第十一話 エース対エース

頻繁に行われるDCの奇襲にせっかくの援軍を次々と潰され、一時的に後退した連合軍であったが、もともと国力の差は覆せぬ壁として聳える両者だ。
どれだけDCの部隊が輸送艦隊を撃破しても、その監視の目から逃れた艦隊が運び込む物資で、オノゴロ島で失った以上の戦力を取り戻していた。
とはいっても輸送艦隊が失った戦力が惜しくないわけではない。
なにしろ四十機近いストライクダガーと高級機であるデュエルダガーやバスターダガーさえも何機か失われたのだから。
連合艦隊旗艦内部のある一室のモニターの中で、ムルタ・アズラエルはワイングラスを片手に愚痴を小さく呟いていた。
『まったく、DCも無駄な足掻きをしてくれますね。おかげで出費がかさむばかりですよ』
財界の大物としてもブルーコスモスの盟主としても多忙なアズラエルは、既に連合の艦隊から離れ、北米にあるアズラエル財閥の関連施設に移っていた。
既にアズラエルはついこの間まで構想していた今後の戦略とビジネスが崩壊しつつあるのを悟っていた。
ビクトリアでは、オーブ侵攻を悟ったロンド・ギナ・サハクが切り裂きエドと三人のソキウスに加えて彼らの機体を奪い去り、彼らが抜けたから、とは思いたくはないがビクトリアのマスドライバー奪取に苦戦してしまい、ザフトの特殊部隊が仕掛けた爆破装置がいくつか作動してしまって再建するのに一カ月はかかる。
旧日本の種子島やケネディなどを始めとする小規模のマスドライバーや新たなマスドライバーも建設しているが、宇宙への物資や艦艇、MSの補充スケジュールはいささか遅延を迎えている。
酷薄な光を浮かべる瞳に危険なものを更に重ねて、アズラエルはモニターの向こうの老人へと矛を向けた。
『コッホ博士、生体CPUの連中をもう少し使い物にしてくれないと困りますよ? 何ですかあの様は。あんなふざけたMSを相手に完全に押されていましたよ』
 オレンジ色の帽子とコートを羽織った老人はアズラエルの言葉をふんと小さく笑い飛ばした。ぎらぎらと精気に満ち、野心に光る瞳は皺が深く刻まれた顔の中で異様に輝いている。
額から鼻先にかけてまでビスで留められたT字型の金属がなんとも怪しい。テレビアニメに出てくる悪の科学者そのままの容貌をした老人――アードラー・コッホ博士だ。
「わしが最初から開発に関わっておればあのような醜態は晒しておらぬわ。あ奴らを仕上げた連中にその台詞を言うんじゃな。これでもわしの調合した薬品で戦闘時間は延びておる。 わしはゲイム・システムの完成を待てと言ったはずじゃぞ」
『そうは言いますがね。その機体に人間を合わせるゲイム・システムの開発滞ってるそうじゃないですか。それに宇宙の化け物どもを一刻も早く掃除したいんですよ。
その為にはオーブのマスドライバーが有用でね。できるなら無傷で、できるだけ早く手に入れたいんです』
苛立ちを徐々に表に出し、一息にワイングラスの中の鮮烈な赤い液体がアズラエルの喉を流れる。
アードラーは気にした風も無く反論する。自分以外に極端に興味がない人間の反応だ。
「じゃったら最初から出せる限りの戦力を持ってくればよかろうが。新型のGに期待を寄せすぎて持ってくる戦力をけちったのが災いしたの」
『それは反論できませんね。お陰で海の上で時間をだいぶ無駄にしてしまいましたよ。身体は一つしかなく、時間は有限だと言うのにねえ? 
ですがあのヴァルシオンは完全に反則ですよ。何です、あれ? 核動力でも使っているのかと思いましたが、とてもじゃないですがあんな真似できません。おまけに重力操作。まったく悪い冗談ですね。
あの巨大ロボットには人類の手にしていない技術が入っているとしか思えませんよ』
(ふん。お前はあのヴァルシオンの真の力を知らん。あれでもおそらく70〜80パーセント程度じゃろう。 忌々しいがわしが手を加えたヴァルシオン改と、あの状態でも互角かそれ以上に近い。ビアンの天才を否定はできぬ)
 内心でアズラエルの無知を嘲笑い、しかし看過できぬ事態である事はアードラーにとっても同じであり、認めざるを得なかった。
(ここでもわしの前に立ちはだかるか。ビアン総帥、いやビアン・ゾルダーク! だが、この世界でこそわしの宿願を果たすぞ)

「じゃがDCも所詮はオーブを母体とした小国じゃろう。MSの数も連合の方がはるかに多い。結局は時間の問題じゃ」
『そうだといいんですがね。どうもあの連中、油断できないんですよ。今回はこちらのエースをまわしておいたので結果が出るとは思いますが』
「ふん。お前の愚痴に用はないわ。わしは研究に戻らせてもらうぞ」
アードラー・コッホ。外道・非道の科学者であり、巨大な野心を秘めた老いた蛇蠍であった。
ビアンが基本設計した先行量産型ヴァルシオン、通称ヴァルシオン改に手を加える程度には工学知識も持ち合わせているが、それがゲイム・システムと言う名の悪魔の契約書を搭載するだけのことであり、アードラーにとってMSなどの機動兵器関連についての知識は専門外であった事は、少なくともDCにとっては幸いな事だった。

アードラーとアズラエルがモニター越しに互いの腹の内を探り合っている頃、クライウルブズは予想だにせぬ苦戦を強いられる事となる。 

「奇襲作戦、存外戦果が出ているな」
NJ下でも有効な通信手段であるレーザー通信でDC本部との情報交換から得られた今回の奇襲における戦果に、アルベロは少しばかり感心の色を乗せる。
グレッグやギナ、アルベロらタマハガネの司令官クラスが一時的に艦長室に集まっている。現在はオーブ領海北北東三〇〇キロの地点に、タマハガネは待機中だ。
「流石にエムリオンも何機か食われたようですな。幸いパイロット達はほぼ生還。加えて脱出したパイロット達もMSにも再び乗れるようですし、エムリオンの機構は正解でしたな」
強面ながらも温厚な気性から部下から信頼の厚いグレッグが、不幸中の幸いと言うニュアンスで呟いた。
ダメージコントロールが容易かつパイロットの生存性を重視し、損傷したのがリオン・パーツであるなら即座に補修・換装可能なエムリオンの面目躍如と言った所だろう。
「鹵獲したストライクダガーもかなりの数になっている。エリカ・シモンズも人工知能の開発を終えたと言うし、戦力と見て良さそうだな。
所でギナ、おれ達クライウルブズは次の戦闘で今回の作戦の一区切りとし、オノゴロ島の地下ドックに戻る。お前達はそれから後の事はどうするのだ?」
黒革張りのソファに悠然と座したギナは、左手で頬杖を突き、優雅な貴公子の絵画の様な姿のまま、アルベロの問いに対する答えを紅い唇から紡いだ。
「私とソキウス達は宇宙のアメノミハシラへ上がる。生産の終わったエムリオンの改良型を十機とガームリオンを二機、完全に砲撃支援用に再設計したバレルエムリオン四機、ストライクダガー八機を土産にな。
宇宙にもそろそろきな臭い動きがある。マイヤーとトロイエ隊は優秀だが、限度はある。加えてビアンの頼みもあるのでな」
「総帥の?」
訝しむグレッグに応える事はせず、ギナは虚空を見つめていた。ビアンが期待を寄せる『種』。それに対して、ギナはどれほどの価値を見出しているのか。
沈黙を選んだギナにそれ以上追及する事はせずに、グレッグは小さく溜息を吐きだして椅子に座り直した。人柄・能力共に優秀な人物だが、この面々の中では一番常識的だから苦労しそうだ。
艦長帽をかぶり直して、やれやれと呟く。
「さて、次で本艦の初任務も締めくくりですな。誰も死なせぬ様全力を尽くすとしましょう」
それには同意なので、ギナとアルベロも頷く。一癖あってもこの二人が非常に有能なのは事実で、そればかりはグレッグにとって救いだった。
そして、間もなく彼らは今回の奇襲作戦において最大の敵と遭遇する事となった。

「こりゃまた、豪勢な敵さんだなあ」
エドの呑気な、しかしわずかに緊張を孕んだ声が、ソードカラミティのコクピットに響く。
タマハガネから回された光学映像には、正規空母一隻、巡洋艦三隻、駆逐艦十隻、フリゲート艦十隻、輸送艦五隻の大規模な艦隊が映し出されている。
ガームリオンの中のスティングも、エドの呟きに賛同し、マジかよ、と溜息を吐いていた。
「最後の最後で大物に出くわしたな。本当にこれにしかけるんですか? アルベロ隊長」
「そうだ。良かったな、お前たち全員エースになれるぞ」
「もう全員五機以上撃墜してますよ」
アルベロは不敵に笑って答えるばかり。疲れたように小さな声で返すスティングを笑い飛ばした。
「はっはっは、そう気落ちするな。オークレー。今回の作戦が終わればオノゴロで休暇の一日くらいは貰えるだろうしな」
「にしても連合の生産能力には脱帽ですよ。これだけの国力がDCにあったら、なんて思わざるを得ないですし」
「無い物ねだりをしても始まらん。よし、ウルフリーダーより各機へ、何時も通りタマハガネの砲撃後に仕掛けるぞ。シックスとアウルは水中から奴等を叩け。攻撃型潜水艦も何隻かいる。二機だけでは厳しいかも知れんが、やれるな?」
「はい」
「任しときな、おっさん」
「ふん、その意気だ。あれだけの数だ。ストライクダガーでもかなりの弾幕になる。おそらくDC攻略に向けて水中用MSや空戦可能な機体も配備されているかもしれん。全員油断するな」
「了解」
そして、戦いが始まった。

カタパルトデッキから出撃したシンの視界には、望遠モニターに映し出される連合の大規模艦隊が映っていた。
さすがにオノゴロ島で見た艦隊に比べれば少ないが、こちら側の機体はもっと少ない。
シンのエムリオンの装備は今まで通り、アサルトブレードにプラズマ・ステーク、イーゲルシュテルン、マシンキャノン、レールガンと実体系でまとめてある。
PS装甲を持つGAT−Xナンバーが相手だとかなり不利な装備だが、連合側はXナンバーそのものではなく、コストダウンした量産型の配備を押し進めているようで、まずXナンバーと遭遇する事はないだろう。
「水深の浅い所とか小島が多いからストライクダガーも展開できるな。最後の最後で一番手ごわいのとぶつかるなんて」
「おら、シン。愚痴ってねえでさっさと艦隊に突っ込むぞ!」
「テンザン隊長、砲撃支援用のバレルでよくそんな真似できますね?」
「あ〜? おれからいわせりゃそんな事も出来ねえ奴がノロマなだけだっての!」
というか鈍重なバレルエムリオン(それでもディン並に動くが)でシンのエムリオン以上の機動を見せるテンザンの腕前が異常と言うべきだろう。
タマハガネの連装衝撃砲やVLSホーミングミサイルランチャーが次々と機体を追い越して連合艦隊に群がり、水柱が怒涛の勢いで立ち上ってゆく。
DC製ステルス・シェードの効果は連合にとってまさしく対処しようの無い頭痛の種となっていて、接近するタマハガネに気付いた時には強烈な一撃をもらわざるを得ない。
406mm連装衝撃砲の直撃を受けたフリゲート艦と駆逐艦が早々に戦闘能力を失い、タマハガネのブリッジクルーは内心で喝采を挙げる
連合の空母の甲板からスカイグラスパーやスピアヘッドが次々と発進し、ストライクダガーも姿を見せ始めた。
これまでの三度の戦いは完全に洋上で行われたため、シン達にとっては制空権を握る事の出来た優位な戦いだったが、今回は付近に陸地や浅瀬があるため、ストライクダガーもある程度自由に動けて、それなりに手強い相手となるだろう。

怯みそうになる自分を叱咤し、シンはエムリオンを駆り、正規空母めがけて一気に加速させた。
「旗艦を潰せば!」
単独で突出するシンに気付いたアルベロが、小さく舌打ちしてすぐさまその後を追い駆ける。
指揮官様に通信・索敵機能を強化し、左肩を黒く染めたガームリオン・カスタムが、手にもったバーストレールガンで周囲の敵機を牽制し、スティングのガームリオンに通信を入れる。
「! シンめ若すぎるな! スティング、おれと来い! シンが空母に突っ込んだ」
「単細胞だからな! あいつ」
たちまちシンのエムリオンはストライクダガーや巡洋艦、スピアヘッドの集中砲火を浴びる事になり、時折かわしきれぬ砲火が、EFと接触して機体を揺らす。
エムリオンの青ざめた白い装甲にも銃痕や焼け焦げがわずかずつ刻まれてゆくが、シンは怯まずエムリオンに全身を命じ続けていた。
前方左右から迫るスピアヘッドの発射したミサイルをイーゲルシュテルンで撃墜し、爆煙の晴れる前からスピアヘッドの回避行動を予測、レールガンの精密射撃で撃墜したスピアヘッドの傍らを飛び抜ける。
そのすぐ後を飛ぶスティングのガームリオンと、アルベロのガームリオン・カスタムは、スカイグラスパーに纏わりつかれ、わずかずつではあるがシンと引き離される。
「ち、このスカイグラスパー、手強い! ベテランか」
スティングの罵声を無視して、アルベロは周囲の状況を把握しようと努める。
(フォーのソードカラミティとサーティーンのレイダーはタマハガネから離れられんか。シックスとアウルは敵水中用MSで手一杯、エドとギナは駆逐艦の掃討、テンザンとステラはストライクダガーの相手、か)
「スティング、シンにはこのまま空母に突撃させる。おれ達は露払いをするぞ!」
「シン一人で? 落とされますよ!」
「その時はその時だ」
ガームリオン・カスタムの両肩に搭載された力場誘導子を起動させ、機体全面に淡く発光する半球のブレイクフィールドを形成される。
「ソニックブレイカー、セット。落とすぞ!」
光り輝く人造の流星となったガームリオン・カスタムが、スカイグラスパーに突撃し、瞬く間に二機を葬る。
「AI1、シンの機体にリアルタイムで戦況を伝え続けろ! いざとなったらコントロールを奪ってでも生還させろ!」
ガームリオン・カスタムに搭載されたAI1は了承の意を伝え、シンのガームリオンとパスをつなぎ、シンが気付く間もなくエムリオンを掌握する。
これはアクタイオン・インダストリーの開発したゲルフィニートという機体に搭載されていた量子コンピューター用のウィルスを、裏の取引で入手し、かつてアルベロとAI1が交戦したナデシコという戦艦に搭載されていたオモイカネというコンピューターとホシノ・ルリと言う少女のデータを参考に手を加えたものだ。
といっても開発段階なので、干渉した機体を完全に掌握する事は出来ない。
だが、完成すれば量子コンピューターを使用したMSならば自在に行動を操れるようになるという、マガノイクタチ並に凶悪な代物だ。

「こんちくしょおおおお!!!!」
一方でAI1の干渉によってFCS(射撃管制システム)や姿勢制御にわずかずつ補正が加えられている事に気付かないシンは、なかばやけになって対空砲火の中を突っ切っていた。断じて行えば鬼神もこれをさく、というがまさしくそれに近い。
モニター一杯に広がるオレンジ色の対空砲火に、むしろ当たっても構うものか意気込み、お返しとばかりにレールガンとイーゲルシュテルンを、残弾を気にせずばらまき続ける。
空母の甲板に連続して着弾したレールガンが、船体を大きく揺らがせ、まだ発進途中だった航空機が何機か海へと落下している。
「直接艦橋を潰せば、空母だって!」
空母まで残り100メートルの時点でテスラ・ドライブによるバーニアやスラスターでは不可能な急制動を掛けて、甲板に強引に着地して艦橋を制圧しようというシンの目論見は、空母の甲板に飛び乗った白いロングダガーによって潰える事になる。

「何!?」
フォルテストラ=強いドレスの意味を持つ増加装甲を纏ったロングダガーの放った正確無比なビームライフルが、シンの回避能力を上回り、EFに連続で着弾し、更にロングダガーの右肩に搭載された115mmリニアガンがEFを突破し、リオン・パーツの左腕が吹き飛ばされた。
「くそ、あのダガー強い!」
機体のバランスが崩れた所に更に、ロングダガーの左肩に装備された8連装ミサイルポッドから放たれたミサイルが群がり、とっさにイーゲルシュテルンで三基を撃墜し、残りをテスラ・ドライブだよりの直角に近い機動でかわし――
「かわしきれない!?」
シンのエムリオンは一瞬で爆発に飲み込まれた。
強奪されたG五機のうちデュエルを元にして作られたダガーシリーズの派生機の一種、コーディネイターか同等の能力を有するエースパイロット様に調整された連合の高級性能機ロングダガーだ。
そのコクピットで、ジャン・キャリーは苦いものを表情に浮かべていた。
ジャン・キャリー、両親がナチュラルの第一世代コーディネイターであり、彼を語る上で外せないのは連合に所属するコーディネイターである事だ。
既に両親はかつての流行病で亡くし、プラントに移住したジャンだったが、ナチュラルとの戦争を声高々に叫ぶ同胞達を受け入れられず、地球に舞い戻った経緯がある。
工学博士だったジャンがMSパイロットとして連合に与しているのにも一つのわけがある。
それはMSによる一方的な虐殺を少しでも是正するためで、ジャンは鹵獲されたジンを駆って同胞たるザフトのコーディネイター達と闘ってきたのだ。
だが、この戦いもまたコーディネイターであるジャンの立場を、ナチュラルの上司から疑われるものだった。
ジャンは可能な限りにおいてだが、敵機の戦闘能力を奪うに止めて、パイロット達を極力殺さなかったのだ。
不殺と呼ばれる戦闘スタイルを、同等の性能を持つジンでやってのける事は、ジャン・キャリーのパイロットとしての能力が極めて高いことを示していたが、不幸にも彼の上司はコーディネイター憎しの典型的なナチュラルであり、ジャンへの冷遇は今も続いている。
純白に染められた機体はジャン・キャリーという裏切り者のコーディネイターを象徴し、同時に連合からの監視を戦場で容易にする為のものでもある。
それでも、ジャンは不殺の戦闘スタイルとMSを持たぬ連合に味方する事で少しでも憎悪の連鎖を断ち切る事が出来ると信じて闘ってきたのだが……。
ナチュラルでも扱えるMSの開発によって、ジャン・キャリーという希少な存在の価値は連合にとって失われているのだ。
やや白みを帯びた金色の髪を撫でつけ、いかにも学者風の知的な風貌のジャンは、内心で着いた溜息を飲み込み、思考を切り替えようと務める。
40代に入り、MSという機動兵器の適齢期をとっくに超えてなおスーパーエースと呼ぶに値する腕前のコーディネイターであっても、精神ばかりは人と変わらない。
連合がアラスカで行ったサイクロプスの自爆による敵味方無差別の大虐殺。パナマで繰り広げられたザフト兵による連合兵のリンチと虐殺。
世界はジャンにとって好ましからざる方向へと進んでいる。
「あの機体のパイロットが無事脱出できているといいが……」
暗澹たる気持ちをごまかすようにそう呟いて、ジャンは次の敵機を見定めるべくロングダガーを動かそうとし
「反応あり? そうか、撃墜してもなお別の機体が出てきたと、妙な報告があったらしいが、このロングダガー同様に装甲をパージできるのか」
そう、ロングダガーの目の前にはリオン・パーツをパージし、身軽なM1となったエムリオンが軟着地していた。
細かいスラスターの制御で驚くほど軽やかに着地するエムリオンに、ジャンはいささか険しい目つきに変わる。
「さっきは不意を突けたが、これは強敵かもしれんな」
一方でエムリオンの中でシンは冷や汗を全身に流していた。
「死ぬかと思った」
死を間近で体験したことで、頭に上った血が冷えてクールダウンしたのだろう。
初戦以来多少は戦場に慣れたと思っていたのだが、戦力差に焦って軽くパニックを起こしていたようだ。
MSパイロットとしての訓練は死ぬほど、というか本気で殺されるんじゃないかと言う密度で積んでいるシンだが、いかんせん軍人としての精神、覚悟を身につけさせるには時間が足りていない。
「と、とにかく、あの目の前の奴を何とかしなきゃ」

ライブラリに照合するデータがあり、それに目を通すとどうやらコーディネイター並の能力を有するエース用の機体ロングダガーである事が分かった。
外見はストライクダガーとさして大差なく、バイザー状のカメラアイと左右で長さの違う棒状のアンテナ、後は四角いごつごつとした増加装甲を着せられたようなシルエットをしている。
右肩に115mmリニアガン、左肩に8連装ミサイルポッド、100トン近い重量を強化した推進力で無理やり高速機動させる機体だ。
以前鹵獲したデュエルダガーがナチュラル用だから、それの質をパイロット共々引き揚げたようなもの、とシンは解釈した。
実際にはロングダガーが先に作られ、その後にナチュラル用のデュエルダガーが製作されたというナチュラル主導の連合にしては変な順序を経ている。
「実質ヘリオポリスで作ってたXナンバーと同等の性能なんだよな。しかも稼働率とか整備性は上らしいし、でもエムリオンだって!」
実際、エムリオンのテスラ・ドライブによる機動性はバーニア頼りの連合・ザフトの機体に比べ圧倒的に有利だ。
これで動力源がバッテリーで無く核融合ジェネレーターやプラズマ・ジェネレーターであったら、Xナンバーだろうが、問題なく相手が出来る高性能機なのだ。
核動力MSとも互角に渡り合えるだけのポテンシャルを秘めており、実際DC本部ではエムリオンの潜在能力に目を着けた大規模改修計画も進行中だ。
これは現在二つの計画が同時進行中で、一つはエムリオンのリオン・パーツの徹底的な強化計画プロジェクト・TD(テスラ・ドライブ)。
ビアンの部下であり、かつて夢の中でカザハラ博士とアイドル・ソングを熱唱していた若き天才フィリオ・プレスティが新西暦で推進していたものに近い。
もう一つは、エムリオンのほか収集した各勢力のMSとビアンが持ちこんだPT、AMの技術、そして今はアークエンジェルの下にあるラピエサージュに記録されていたデータをもとにした統合再開発計画。
プロジェクトTDはMS出現まで主戦力だったMAや航空機に近い形でテスラ・ドライブ搭載機を再開発し、常軌を逸した高機動性を持たせるものだが、専門パイロットの不足と技術的な壁にぶち当たり、今大戦中の機体の完全なロールアウトは絶望視されている。
一方で統合再開発計画の方は、既存で確立されている技術の質向上といったもので、比較的容易であり順調に進んでいる。試作機の完成ももう間もなくだ。
話を戻そう。
エムリオンは被弾時の事を考慮し、リオン・パーツパージ後も防御能力を維持するためにEF発生機構はM1の腰部リア面に収納されているのだが、ミサイルの着弾の際に不具合でも起こしたらしく、コンディション・パネルにはエラーの文字が明滅していた。
空母の甲板上、ざっと60メートルの距離か。シンのエムリオンは飛び道具はほとんどなく、プラズマ・ステークとかろうじて回収できたアサルトブレード、後はなけなしのイーゲルシュテルン。
こんな事ならビームサーベルも持ってくればよかったとは泣きごとなので、シンは黙って飲み込んだ。
パージする際にリオン・パーツに組み込まれているレールガンも一緒に回収できるようプログラムされているのだが、生憎とミサイルに吹き飛ばされてしまい、回収できなかったのだ。
内心焦りを覚えるシンに、アルベロからの通信が入る。
「シン、すぐにお前の援護に行く。それまでもたせろ。いいか、そいつは『煌く凶星J』。連合のコーディネイターだ。ザフト・DCと合わせて見てもスーパーエースの一人だ!」
「連合にコーディネイター? ていうかそんなエースが相手なのか」
これまでで最強の敵に遭遇した事を悟り、シンの心拍数が跳ね上がる。アルベロはシンに余計な緊張を与えてしまった事を察し、すぐにフォローを入れた。
「シン、いざとなったらAI1がフォローを入れる。おれが行くまで逃げ続けていろ!」
「え? AI1が」
モニターの一つが暗転し、AI1と表示され次々と機体のステータス及び周囲の状況などが克明に表示される。アルベロが用いているという人工知能らしい。
役に立つのかな? と思わない事も無いが、今は眼前の強敵に集中だ、と切り替えたシンが、アサルトブレードを両手で保持し右蜻蛉に構える。
TC−OSのモーション・データの中でも特にシンが信頼する薩摩示現流の一撃必殺の剣撃だ。登録者はリシュウ・トウゴウ、ゼンガー・ゾンボルトとある。一度で良いから会ってみたいと密かに思っている。

下腹が破裂しそうな位に気迫を込めて、シンが固唾を飲み込み、ヘルメットの中で汗を一筋流した時、両者が動いた。
元々CEのMSとしては軽量で運動性に富むM1の性能を底上げしたエムリオンが、テスラ・ドライブとスラスターの加速にモノを言わせ甲板に足跡が残るほどの踏み込みを見せる。
TC−OSがなかったら街角のチンピラめいた斬撃に終わっていただろうが、流石に薩摩示現流の達人二人の動きを元としたモーション・データはそこまで不格好では無い。
振り上げられたアサルトブレードの銀の刀身はシンの気迫が乗り移ったかのごとく陽炎を纏って振り下ろされる。
「速い!」 
エムリオンの信じ難い速度に、さしものジャンも驚きを覚えた。なによりエムリオンの人体とさして変わらぬのではと思わされるほどの滑らかな動き。
豊富な工学知識を併せ持つジャンだからこそ驚かずにはいられない。これほど高いレベルで完成された機動兵器を有するDCとは一体何なのか。少なからず疑問が湧いたが、それを優先する事は出来ない。
目の前に迫るエムリオンの巨体。コーディネイターといえどもかなり、高級なコーディネイトを施されていなければ気付くのは両断された後だろう。
だが、ジャンは対MS戦闘においておそらく現在もっとも経験を積んでいる人間の一人であり類希な能力をもったパイロットでもあった。
振り下ろされるアサルトブレードをAB(アンチ・ビームコーティング)シールドで斜めに受け、刀身を滑らせる。
切断する相手に対して可能な限り直角に刃を立てなければならないこの手の実体武器の弱点を、ジャンは戦場で学んでいる。
薩摩示現流は一撃必殺を旨とする分、二の太刀を一切考慮していない。故に一撃をかわされればそこに残るのは己の骸。
ジャンはエムリオンの踏み込みの凄まじさに、ビームライフルによる迎撃を捨てていた。構え、狙いをつけ、トリガーを引き絞る動作の間に機体を真っ二つにされると瞬時に判断したのだ。
シールドで受けると同時に背のビームサーベルの柄に伸ばしていたロングダガーの右手が、光の軌跡を描いてビームサーベルを抜き放ち、弧を描いた光の刃は淀みなくエムリオンに振り下ろされる。
「間に合わ……!」
『……』
全身全霊の一刀を交わされ、棒立ちになるエムリオン。死を悟るシンを救ったのは即座にエムリオンのコントロールを奪ったAI1であった。
アサルトブレードを未練なく放り捨てて、イーゲルシュテルンをロングダガーの右腕に集中して浴びせたのだ。
PS装甲こそないが増加装甲であるフォルテストラで高い防御能力を誇るロングダガーだが、局所に集中する75mmという口径の弾丸の砲火は堪える。
ビームサーベルを振り下ろすモーションが遅れ、AI1が掌握したエムリオンは、その隙に先程の踏み込みの位置にまで後退する。
伊達にAI1はニュータイプと呼ばれた本当に人間か、と疑うようなパイロット達が乗る超高性能機や、素人だったのにいつの間にか超エースになった少年らが乗るD兵器、IFSという画期的なシステムを搭載したエステバリスなどしか保有していない反則じみたマグネイト・テンという部隊と交戦してはいない。
AI1に蓄積された実戦データは、CE世界の如何なるパイロットでも悲鳴を挙げるのが当然というレベルなのだ。
「今の、お前か? AI1」
AI1は答えない。変わりというわけではないだろうが、あろう事かロングダガーから通信が入り、シンは驚きと共にそれを受けた。
『エムリオンのパイロット、すまないが君は手強い。なるべく君を傷つけないように戦うつもりだったが、それも難しい。君を殺してしまうかもしれない』
「はあ!?」 
正気か、シンがそう疑ったのも無理はない。実際ジャンの方にも、空母の艦長や艦隊司令から怒涛の罵声が寄せられているのだから。
だがジャンの言葉を補足するようにAI1が先程のロングダガーの斬撃のシミュレートを映した。
あのまま回避が間に合わなかった場合、エムリオンの左腕と頭部が切り落とされるもの、コクピットは無傷で済んだようだ。
無論四肢のどれかやセンサー類の密集した頭部を失えば戦闘能力は著しく低下し、また機体に不具合が起きてパイロットにも影響が出る可能性は否めない。
それでもジャンが言葉通り不殺を貫こうとしていたのは事実だとシンにも分った。そして、ジャンがそれを貫けぬ強敵だと自分を認めた事も。

『難しい注文とは思うが降伏してはもらえないだろうか?』
「ふ、ふざけるな! おれもエムリオンもまだ戦える! 他の皆だってあんた達と互角以上に戦ってる。降伏するのはあんた達の方だ」
「子供?」
癇癪を起したシンの声に、ジャンは少なからず驚いた。まだ十代半ばにようやく差し掛かった位の子供があの機体のパイロット。だがその事実が一つの可能性をジャンに示した。
「コーディネイターか」
それはオノゴロ島でシンに撃墜されたストライクダガーのパイロット同じ呟きだが、そこに含まれる感情はだいぶ違った。
「DCに強制されてMSのパイロットをしているのか、それとも自ら志願したのか」
だが悠長に構えている余裕はない。なぜならシンの言う通りクライウルブズのMS達は数倍する連合側を相手に終始優勢なのだ。
すでに駆逐艦と巡洋艦は八割近くが航行不能、残った艦もブレイクフィールドを展開したスティングのガームリオンの、ソニックブレイカーの直撃を受けて浸水している。
近くの陸地に上がったストライクダガーはタマハガネにビームライフルを叩きこんでいるが、戦艦クラスのEFとラミネート装甲、超抗力チタンや強化セラミックなどの重装甲を誇るタマハガネにはほぼ無効であった。
加えてタマハガネを守るシックス・ソキウスの駆るソードカラミティに良いようにあしらわれて、四肢の一部を失ったり頭部を潰されて戦闘能力を失っている。
相手が同等に近い技量のエースやベテランだと苦戦せざるを得ないソキウスだが、経験の浅い連合のパイロットには十分な脅威であった。
それにソードカラミティの中身は一部別物に変わっている。OSから始まり改良型のバッテリー、TGCジョイント、サーボモーターの増設などなど。元の三割増しの性能向上だ。
上空ではサーティーン・ソキウスのレイダーが、携帯火器であるM930マシンガンやGリボルバーでスカイグラスパーを牽制し、タマハガネのレーザー機関砲の雨に航空戦力は撃墜されている。
元々は実体弾による機関砲だったのだが、弾切れと誘爆を考慮してレーザー式に変えられた経緯がある。
これはアークエンジェルの交戦データを教訓として活かしたものだ。
唯一互角に戦えているのは少数生産されたフォビドゥン・ブルー部隊位だろう。それでも数ではブルーが六機、DC側は二機だと言うのにかろうじて互角というお粗末な内容だ。
もっともこれは隊長機である『白鯨』ジェーン・ヒューストンが私情を優先し、切り裂きエドと交戦に入ってしまった事もある。二人は恋仲であった。

「確かに、これは少年の言う通り、私達の負けかも知れんな」
 冗談ごとではなく本気で負けを意識して、ジャンの唇がひくついたが、それでもここで自分が負けるわけにもゆくまいと気を取り直す。
『では、どうしても降伏はしないというのだね?』
「当り前だ! 煌く凶星だかなんだか知らないけど、やってみなくちゃ分からないだろう!」
『ふっ、若いな。だが嫌いではない』
やばい、向こうから仕掛けてくる気だ。
ジャンの戦意を確認したシンは焦りを覚えていた。
パイロットとしての技量は自分の方が確実に劣る。AI1がサポートしてくれるようだが、どこまで信用してよいのか。それに、できるなら自分の力で勝ちたいとも思っていた。
「残っているのは左手のステークだけか……。一か八か、いや一十くらいの賭けだけど!」
先程の、もう一度やれと言われても到底無理な斬撃を凌ぐ相手だ。シンはいろいろと覚悟しないと何だろうな、とどこか他人事のように考えていた。
エムリオンが左半身を下げ、右半身を前方に傾斜させる。これを外したら後はない。エムリオンの左手から生える三つの棒状の突起が青白く輝きプラズマを纏って青く輝く。
「勇猛だな。それとも焦ったか……」
ロングダガーの右腕のフォルテストラをパージしビームサーベルを左下段に構え、シールドを前面に押し出す構えを取らせる。
空母の甲板上での戦いには双方の味方が誤射を恐れて介入がない。
「うおおおお!!」
『来るか!』

エムリオンがまさしく飛んだ。脚部、腰部のスラスターを全開で吹かし、先程の一刀に迫る速度でロングダガーに真正面から突っ込む。小細工なし、駆け引きなしの真っ向勝負。
ジャンのロングダガーはシールドを前面に押し出したままエムリオンに合わせて突撃してきた。シールドに邪魔されロングダガーの機体が見えない。
「だったらシールドごとやってやる!」
腰脇に引き絞った左手のステークをアッパー気味に打ち込もうとするシンの不意を突いてシールドが投げつけられた。
「っしまった!?」
思わずたたらを踏み、無理な急制動がエムリオンのバランスを崩す。シールドは左に機体を傾けて回避できたものの、崩された姿勢を立て直す一秒が勝負を決める。
シンの視界に映るロングダガーの両手に握られたビームサーベルの輝き。シールドを投げつけて右上段から振り下ろされる袈裟斬りの一刀に、シンは瞬時に狙いを絞った。
「ステークセット! 全弾持っていけえええ!!!」
ステークの放つプラズマが甲板を削りながら振り上げられ、ビームサーベルを握るロングダガーの拳を捉えた。
『ぬ!?』
通信越しにジャンの驚きの声が聞こえる。
「一つ!」
ロングダガーの拳をプラズマ・ステークが砕く!
「二つ!」
そのまま振り上げられたエムリオンの左腕はロングダガーの右ひじを粉砕し
「三つ!」
一気に右腕をジョイントごと吹き飛ばした! 
左腕を振り切った姿勢のエムリオンを即座に動かし、ロングダガーにとどめの一撃を加えるべくシンはコントロールスティックを握りしめ、そこでAI1の警告に動きを止めた。
「え?」
目の前には、コックピットに突きつけられた刃の出ていないビームサーベル。ジャンはステークが右拳を砕く寸前、ビームサーベルを左手に持ち替えていたのだ。
「殺られる!?」
だが、ロングダガーは動かない。
『負けたよ。先程の一撃で機体のシステムがエラーを起こした。その左手の武器のプラズマによる電磁干渉が原因だろう。私のロングダガーはもうおおよその機能を停止している。まさか、私の子供でもおかしくない年の君に負けるとはな』
どこか晴々と、しかしわずかに悔しさを交えたジャンの台詞に、シンは我知らず大きなため息をついた。かろうじて賭けに勝ったと、実感したのだ。

『どうやら全体の決着もついたようだな』
そういうジャンのロングダガーの背後では、空母の艦橋にトリケロス改を突きつけるGF天の姿があった。ミラージュコロイドで姿を隠し、瞬く間に空母に接近していたようだ。
「降伏せよ。さもなくば艦橋を吹き飛ばす。降伏すれば乗員の安全は保証するが、私はあまり気が長くないぞ?」
(うわあ、本気で吹き飛ばす気だ)
ギナの気性を身をもって知るシンは、軽く連合の兵に同情した。
『エムリオンのパイロット、名前を教えてもらえるか? 私はジャン・キャリーだ』
「……シン・アスカ」
『ありがとう。ついでに一つ聞かせてもらえるかね?』
「どうして戦っているのかって?」
『良く分かったな』
「最近よく言われるんだ。おれみたいな子供がなんで戦場にいるんだ、とかさ」
『ふ、確かに誰でもそう思うかも知れんな』
「守りたいからさ。大切な人達を。殺す為に戦う事なんてできないけど、守るためになら戦える。普通はそうなんじゃないかな。DCはそういう戦い方ができる所だとおれは思っている。自分の戦いを貫ける場所、ていうか。あんまり難しい事は解らないけど」
『自分の戦いを貫ける場所、か。君のような子供でもそれを見つけられたというのに、私は……』
「……」
ジャンの沈黙にシンは話しかける気にはなれなかった。目の前のスーパーエースが、敢えて連合に身を置いた事でどんな仕打ちを受け、どんな世界を見てきたのか、それはシンには分からない。
ただ、それが目の前の男に、こびり付き拭っても拭っても取れない疲れと絶望を与えたのだと、少年特有の感受性が感じ取っていた。
ジャン・キャリーという男が、連合という枠組みの中で孤独であり、それに苛まれながらもなお戦い続けていた、それだけはシンにも分った。敬意を払うに値する男だと言う事も。
「あの、どうやら艦隊も降伏したみたいだから……」
『ん? ああ、分かった。すぐにコクピットから出る。間違っても撃たないでくれよ?』
苦笑さえ交えたジャンの口調に、どうやらそうそうへこたれる男ではないらしい、とシンは思った。
周囲から疎外され、拒絶されてなお戦い続けてきた男だ。それくらいの精神的タフネスは備えているのだろう。
こうして、水平線に沈みゆく紅の太陽を背に、シンの初めてのエースとの激突は終わりを迎えた。

ストライクダガーを三機入手しました。
バスターダガーを入手しました。
デュエルダガーを入手しました・
ロングダガー(ジャン・キャリー専用)を入手しました
スカイグラスパーを入手しました。

フォルテストラを四セット入手しました。
ストライカーパックを五セット入手しました。