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SRW-SEED_11 ◆Qq8FjfPj1w氏_第02話

Last-modified: 2014-01-03 (金) 00:27:22

第2話「シンの決意」
「コズミック・イラ?ザフト?ポリグラフは…嘘ではないということか」

とある場所にある秘密の潜伏先の一室。

エルザムは眉間にしわを寄せ、腕を組みながら左手を顎につけ、首をかしげていた。

エルザム・フォン・ブランシュタイン、ゼンガー・ゾンボルトにより救出されたシン・アスカは、
クロガネが日本に戻る前に彼らとともにその潜伏先へと身柄を移され、目を覚ました。
そしてシンが目を覚ましたとの報告を受けたエルザムは、
PTともAMとも言えない機体のこと及びその機体に乗っていたシン自身のことについて
意識を取り戻したシンに尋ねたのだが、彼の口から出てきた言葉はエルザムの理解を超えていたのだった。

「…つまり君はC・E73年、ザフトという組織の、MSという機動兵器のパイロットをしていた、というんだな?」
「はい。俺はザフトを裏切ったアスラン・ザラという男に敗れ、せめて道連れに、とデスティニーを自爆させたんですけど…」
「むぅ…だが先ほども言ったように、今は新西暦195年でコズミックイラという年号はどこの世界にも存在しない。
 ゼンガー、一体これはどういうことだろうな?」

エルザムが彼の脇にいる、長身で銀髪、その腰に日本刀を携えた鋭い目つきの男に目を向けた。

「俺もこの手の話にはあまり縁がないからな…」

珍しく困ったような表情をゼンガーが浮かべ、一瞬の沈黙が生まれる。

「彼はこの世界とは違う、別世界から来た、ということだろうな」
「「ギリアム!」」

その沈黙を破った声がした方へエルザムとゼンガーが驚きの声とともに目を向けると、
そこにはいつものように壁にもたれながら腕を組み、紫色をした滑らかな髪をなびかせた男が突然現れていた。

「推測の域を出んが、おそらく彼が自分の機体を自爆させようとしたときに発生したエネルギーによって
 次元を超えてこの世界に来てしまった、ということだろう」
「次元…彼が自分の世界に帰る方法はわかるか?」

エルザムもにわかには信じられないことであるとは思っていたが、既存の物とは大きく異なる機体構造、
シンが着ていたパイロットスーツの構成物質等のことを考えると別の世界から来た、というのであれば一応の説明はつくし、
何よりも信頼できる戦友の言葉を否定するほどの根拠はなかった。

「いや、すまんが俺にも…」

実際のところ、尋ねられたギリアム・イェーガーには心当たりがないわけではなかったのだが、
彼が最も懸念している事態と無関係であるとまでは断定できずにいたため、口を閉ざしたのだった。

「俺はこの後どうなるんですか?」

今まで3人の会話を眺めていたシンが口を開いた。
今のところ分かったことと言えば未だに信じ難いことだが、ここは別の世界であること、
そして自分のいた世界には戻ることは不明である、ということだけであった。

「我々にも事情があるので今すぐに、とは言えないが自由に決めてくれて構わない。
 君がこの世界で自由に生きることを妨害する理由もないのでな。
 だが我々が聞くばかりでは君も判断できかねるだろう。だから我々の話を聞いてから考えてくれ」

そういうと、エルザム、ゼンガー、ギリアムは新西暦と呼ばれるこの世界について語り始めた。
メテオ3、異星人の存在、南極事件、そしてDCとDC戦争、エアロゲイターの脅威、L5戦役について…

「じゃああんた達はそのDCってのに参加して戦争を起こした訳か!」

一通りの説明が終わったあとシンが静かに、だが力強く口を開いた。

「ああ、そうだ」
「そうすることでたくさんの関係ない人達が傷つくことがわかっていながらそうしたのかよ!」
「否定はしない。もはや我々人類が外宇宙の侵略から己を守るためにはそれしか道がなかったからな。
 さきほども話したが、連邦の高官達は自分たちの身の安全を図るのと引換えにこの星を異星人に売り渡そうとした。
 それを防ぎ、彼らの侵略からこの地球圏を守るため、
 そのための守護者を育て上げるため我らは血塗られた道を行くことを決意したのだ」
「・・・・・・・」
「もしあてがないのなら力を貸して欲しい。異星人の脅威は未だ取り払われたわけではないのでな…」

シンはそれ以上反論することはできなかった。
それまではSFの世界の話でしかなかった異星人の脅威、地球圏を売り渡そうとした高官
異星人の侵略を自らを犠牲にしてまで防ごうとしたビアン・ゾルダーク、彼に立ち塞がったハガネ・ヒリュウ、
ビアン亡き後もその遺志を継ぐべくハガネ・ヒリュウを支える影となることを決意したエルザムやゼンガー…

シンがいた世界で起こっていた戦争とは次元が違っていた、シンはそう感じていた。

そして、リハビリも兼ねてのパーソナル・トルーパーやアーマード・モジュールのシミュレーター訓練、
ゼンガーとの剣術での試合など、エルザム達との数ヶ月の生活の末、シンは彼らとともに行くことを決意した。
もちろん彼らのすべてを信用できたわけではない。
だが逆に信用できない理由というのも特にはなかったし、オーブで家族を失い、間もなくして軍属になったシンは
パイロットのほかに生きていく術を知らなかったというのも大きかった。

「シン、我らに力を貸してくれることを決意してくれたことに礼を言わせてくれ」

少し前からどういう訳か水泳のゴーグルのようなものをかけ始めたエルザムが握手を求める手を差し出す。
シンもそれに応えるものの、その表情はまだ少し複雑そうなものを浮かべていた。

「俺に出来ることなんてほかにないですから」
「いや、今は君の決意だけで十分だ。あとは自分自身の目で世界を見てから考えてくれ」

エルザムがそういうと、シンの横にいたゼンガーが一枚の紙を差し出した。

「これは?」
「君にこれから行ってもらうところだ。そこの者達と行動をともにして直に世界を目にしてから最終的に決めてくれ」
「その部隊は昔俺が隊長をしていたチームだがこいつらであればシン、お前を任せられる」
「嫌な言い方ですけどエルザムさん達の掌の上で踊っている、ってことになるだけじゃないんですか?」

ふと頭をよぎったかすかな疑いをシンはぶつける。

「フッ、安心したまえ。君の考えているような小細工はしていない。
 もっとも我らは表を堂々と歩けるような立場ではないから我々といたことを公にされては困るがな」
「…わかりましたよ、あとは自分で考えてみます」
「シンよ、次会うときにどれほど腕を上げているのか楽しみにしているぞ」

かくしてシンは新西暦と呼ばれた時代を生きる第一歩を踏み出した。
そして、極秘のうちに日本でとある機体を受領し、ある戦艦に赴任した彼が最初に目にしたのは
たわわに実り、極上のプリンのような弾力を持ったエアバッグであった。