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SRW-SEED_11 ◆Qq8FjfPj1w氏_第21話

Last-modified: 2014-01-03 (金) 00:51:40

「絆と正義と…」

 

「アスカ様、ちょいとツラを貸しやがっていただけないでしょうか?」

 

偵察に関する報告書をともに提出し終えて自室に戻ろうとするシンとラミアであったが、そこでラミアが問い掛けた。

 

「ははは、ラミアさん。段々言葉が凄くなってきてますね…何か俺に聞きたいことでも?」
「ええ、1つ気になっちまったものでございまして」

 

先の戦闘からシャドウミラーの本隊の動きが本格化することを知ったラミアであったが、ヴィンデルからこれまでどおりの潜伏・情報収集、そして来るべきと気までの待機を命じられていた。
だが、造られた命しか持たぬ戦う人形にすぎなかった彼女は、遂行すべき命令を受けとったにも拘らず、その心の中は落ち着きを取り戻すことが出来ず、不安な気持ちという彼女が今まで遭遇したこともない精神状態に陥っていたのである。
そこで彼女は、戦いのない世界を強く望んで戦い、そして敗れてこの世界へとやってきたシン・アスカの見解を聞くことで自分が置かれている客観的な精神状態を把握しようとした。
永遠の闘争を望み、そして敗れてこの世界へとやってきたラミアにとっては、シン・アスカという人間は極めて近く、そして限りなく遠い存在であったと言えよう。

 

「アスカ様はなぜご自分の世界で戦いをなくそうとした側についたのでございますことか?」
「…いきなり直球ですね」

 

シンは少し驚いていた。
今までラミアと何回か話したことはあったが、彼女と内面の話など、戦闘に関すること以外の話をすることは滅多になかったからである。

 

「…俺が兵士になった理由は話しましたよね?」
「ええ、ラクシズのパイロットに…」
「そうなんですけど、その時俺は力がないのが悔しかったんです。だから力が欲しくて兵士になりました。戦ってる中で戦争を裏で操ってるロゴスっていう連中のことをしりました」
「軍需産業複合体は戦争が広がれば広がるほど儲かるという理屈は、一定限度の範囲では真理でございますからね」
「フリーダムに守るって約束した女の子を殺されて、ロゴスと戦いながら一応馬鹿な頭振り絞って考えたんですよ、俺みたいに戦争で大切なものをなくす人間なんてもう生まれて欲しくないって。
 だから俺は仲間と一緒にラクシズと戦うって決めたんです…結果は…」

 

シンが生み出したくなかったのはつまり、第2、第3のシン・アスカであった。
彼が戦争の中で失ったものは、ミネルバのクルーの中でも一際多い。両親、妹、戦友、守ると約束した相手…
それ故にシンは戦争による悲しみに対して人一倍敏感であった。
最後にデュランダル側につくことを決断した最大の理由は彼のそのような信念があったからに他ならない。

 

「ですが、戦争がなくなればアスカ様は用無しになってしまっちまうのでは?平和な世界ほど兵士の価値が低いところもござんせんでっせ」

 

この言葉の裏には、ラミアは自覚こそしていないが、戦争がなくなった世界においては自分の存在価値などないのだという彼女の漠然とした不安があった。
そもそも、そのようなこと自体、彼女は考えるべき存在ではなかった。
だが、ハガネ・ヒリュウ改で戦ううちに彼女の思考は徐々に、徐々に周囲の人間の影響を受けて変容を始めていたのである。

 

「…俺は難しいことは分からないですけど、戦う力がなくたって俺は俺のまま、1人の人間として生きてると思いますよ。俺だけじゃない。キョウスケ中尉だって、エクセレン少尉だって、ブリットだってリュウセイだって、戦わないところでだってみんなはみんなのままじゃないんですかね。もちろんラミアさんだって」
「つまり兵士から戦いを取ったら人間が残る、ということでうよろしゅうおすござんすか?」
「ん〜、まあそういうことなんじゃないんですかね。まあ散々偉そうなこと言ってますけど、今の俺は我武者羅に戦うしかできないんですけど…」
「なるほど。参考になりやした。ではおひけえなすって」

 

ラミアはそう言うと早足で自室へと戻っていった。
戦うためのみ生み出された自分自身にはいかなる価値があるのであろうか、いや本来そのような価値はないはずだし、そう考えることに抵抗はない。否、なかったはずであった。
しかし、果たして今はそうであろうか。彼女が今まで有していた戦うことのみに存在価値を見出す考え方に疑問が全くない、という状態ではなくなってきているところにラミアの秘められた不安があったのである。
ある意味において、ラミアという人形は壊れ始めていた。

 

「ふ〜ん、じゃあビルトビルガーってのと戦ってたんだ」
「ああ、増加装甲を排除したときの高い機動性は脅威的なものがある。やはりラーズには飛行能力と機動力が必要だと感じた」

 

場面は変わってアースクレイドル格納庫で準備作業を行いつつ喋っているのは、先日シン・アスカによって人違いをされたラーズアングリフ2号機のパイロットユウキ・ジェグナンとその自称パートナーのリルカーラ・ボーグナインである。
アーチボルド隊は、ラクシズとの交戦及びアースクレイドルへの連行を終えて、リクセント公国への出撃を命じられたため、その準備に追われている真っ最中なのであった。

 

「でもラーズアングリフの修理終わってよかったね。あんなにボロボロにやられたのにさ」
「…やられたのは奴がいきなり再生した後だ。それまでは俺の方が優勢だった」
「でもやられたのは事実じゃん」
「それについては話は終わっている。バン大佐からこれからもラーズの運用をする許可がでたしな」

 

このときユウキは1つのことを黙っていた。
先日、シャドウミラーの部隊が出撃から戻ってきてから、レモン・ブロウニングにユウキは呼び出されていたのである。
どうしてそんなことがあったかというと、想像するのは容易いであろうが、ラーズアングリフの損傷についてこっぴどく怒られていたのである。
修理するのにどれだけの手間がかかるのか、とか、どうして砲撃戦用のラーズアングリフで接近戦をやるのが等、延々と数時間にわたり、厳しい追及がされていた。
静かな喋り口ながらその言葉の節々には秘めた怒りが幾分か漏れ出しており、ユウキの隣で正座させられていた赤い髪の男ともども酷い目にあったのである。
そして、ユウキとその男の2人とも異議を唱えようとしたのであったが、レモン・ブロウニングのひと睨みで沈黙せざるを得なかった。
ちなみに隣にいたその男はレモンの注意がわずかに逸れた隙をぬってユウキを強く睨みつけていたのだが、その理由はユウキには知る由もない。ただ気がかりなことがあるとすれば、先に提出していたラーズアングリフの強化改造案が無碍に却下されるのではないかということが酷く心配であった。

 

「で、あたし達はこれからどこに行くんだっけ?」
「リクセント公国だ。先日、少佐が取り逃がした王族がいただろ?その国だ」
「へえ、少佐らしくないね」
「…何か考えがあったんだろう。王女を保護したのはあのハガネだしな。リクセントでも奴らが仕掛けてくるかもしれんぞ」
「じゃあそのビルガーのパイロットともまた戦うことになるかもね。メキシコ、ハワイ、中国って出くわしたし」
「シン・アスカというらしい」
「シンだと!!??」

 

ユウキとカーラは突如としてあがった声のした方向へ顔を向けた。
視線の先には生え際の侵攻が始まりつつある青い髪の男が驚きの表情を浮かべながらユウキを見ている。
そしてその男はこちらに向かって静かに歩いてきた。

 

「今、シンと言ったな?それはまさかシン・アスカか!?」

 

見覚えのない顔にユウキは大きな違和感を覚えていた。
たしかにアースクレイドルには数多くの軍人がいるが、まったく見覚えがない人間というのも珍しい。
ましてや、ユウキやカーラと同じくらいの背格好をした者であれば、その数は決して多くはないので、見覚えがないというのは引っ掛かるものがあったのである。
不審がる表情をしながらその男を見るユウキは、見たことのない男のその声に聞き覚えがあることに気付いていた。

 

「確かにそうだが見ない顔だな。何者だ?所属は?」
「俺はアギラ博士の研究ラボ所属のアスラン・ザラだ。機動兵器のパイロットをしている」
「研究ラボだと?まさかアメリカで仕掛けてきたのは貴様か?」
「アメリカ?それにその声…貴様、あの時の赤い機体のパイロットか!?」
「奇遇だな。テロリストいや山賊どもの仲間が連邦のパイロットと知り合いとは」
「何?……ふん、負けた犬ほどよく咆えるというのは本当のようだな」
「味方殺しを誇らしげに言うとは、なるほど、さすがは山賊らしい」

 

ユウキとアスランが互いににらみ合い、その場の空気に緊張が走り出していた。
ユウキにしてみれば、アスランは所属がDCであるにもかかわらず、テロリストと交戦していた突然自分達に攻撃を仕掛けてきて、ともに死線を潜り抜けてきた多くの仲間を殺傷した、いわば仲間達の仇である。
他方のアスランにしても、ユウキは覇王そしてキラ・ヤマトが乗っているエターナルに攻撃を仕掛け、あまつさえその命を奪わんとした許し難き敵なのである。
ちなみにアスランとて、メイリン・ホークなどエターナルのクルー達に知り合いがいないというわけではないのだが、彼の思考の中には最優先事項であるキラ・ヤマトがあるためにこのときの思考には入っていない。

 

「まあいい。だが連邦のパイロットであるシン・アスカと知り合いということはどういうことだ?事と次第によっては貴様を憲兵に突き出すことになるぞ」
「シンは俺の元部下だ。だがあいつはまたいいように連邦の奴らに騙されてるから俺はそれを連れ戻したい。それだけだ」
「ほう…たいした思いやりだな。だが貴様とアメリカで戦う直前に遭遇したシン・アスカはたいそう貴様のことを嫌っていたようだったぞ。あそこまで部下に忌々しく思われるとは、ずいぶんといい上司だったようだな」
「貴様…それはどういう意味だ?」
「そのままの意味だが?」
「チッ…だが貴様がシンと戦っていたとはな。まあお前ごときではシンには勝てんだろうがな」
「決着を付けようとしたら邪魔が入ってな。俺の部隊が貴様の仲間に襲われなければ俺が引導を渡していた」
「命拾いしただけじゃないのか?それで今あいつはどこにいるんだ!?」
「そんなこと俺が知っているとでも思ったか。だがサイバスターといたらしいことからするとハガネの向かったアビアノかヒリュウ改の向かった日本だろう」
「さ、サイバスターだと…」

 

ユウキの口からでた1つの単語にアスランは一瞬だけ凍りついた。魔装機神サイバスター。
その名前はDCにとっては絶対に忘れることの出来ない機体の名前なのであるが、アスランは事情が違う。
合流したエターナルに残っていた戦闘記録から、CE世界において一部媒体においては聖剣とまで呼ばれ、
最強と呼ばれたストライクフリーダムを撃破し、彼にとっての至上の存在キラ・ヤマトを傷つけた忌まわしい存在が、連邦とハガネ・ヒリュウ改とともに戦う魔装機神サイバスターなのだということを知った。
そんな彼にとってはサイバスターはこの世のなにものよりも忌まわしく、憎むべき相手なのである。
そしてそのサイバスターの名前を聞き、アスランの思考においての最優先事項であるキラ・ヤマトに関する問題になったことから、アスランの関心はサイバスターへと移り始めた。

 

「おい、サイバスターは今どこにいる?」
「それを俺が知っていると思うのか?……まあハガネとヒリュウは別行動をしはじめたようだからどちらかにいるんじゃないのか?」
「随分と親切じゃないか。何か企んでいるのか?」
「そんな卑怯な真似はせん。単に貴様の機体が強くてもサイバスターに勝てると思っていないというだけだ。…………もっとも奴がアビアノに来れば俺がサイバスターを落とすつもりでいるがな」
「面白い…その言葉、覚えていろよ?」

 

そう言って、自身とやる気に満ちた笑みを浮かべてアスランはその場を去っていった。
この後、アスランがイーグレット・アギラを介して日本へ向かうこととなっていたシャドウミラーの戦力に加わって日本へ向かったのは言うまでもない。
アビアノではなく日本へ向かうことにしたのは、単純に自分にとって不愉快なユウキがいないからという割と単純な理由だったのであるが。

 

「おい、シン!ちょっとこれ見てくれよ!」

 

ラミアとの話を終えて、自室へ戻る最中、シンはリュウセイに呼び止められた。
彼の手元にはポータブルプレイヤーがあり、リュウセイが何かをシンに見せようとしているのだということはすぐにわかった。

 

「いいけど、一体なんなんだ?」
「何だかんだ聞かれたら!答えてあげるが世の情け!ってな」
「???」
「いや、なんでもねえ。実はコレ、日本にいる仲間に録画してもらってるやつなんだけど、特撮好きっていってたろ?」
「ああ確かに…まあ今はそれほどでもないけど…」
「まあ、まあそういわずに見てみろよ」
「車が変形して戦うシーンが結構燃えるんだ。…始まったぜ!」

 

燃える所がちょびっと違くないか?と思ったが突っ込むのはやめた。
まあ久しぶりにこういうのを見るのもいいか、と思いシンもポータブルプレイヤーの画面に注意を向ける。
爆発が起こりながら怪人と思しき敵キャラが暴れまわっており、この後に主役が登場するのであろう。
すると案の定一際大きな爆発が起こると同時に、1つの人影が飛び出してきて、怪人の前に立ち塞がった。

 

「俺、参上!!!」

 

長く伸びた金髪、その中から垣間見える強い光を宿した瞳、顔、そして聞き親しんだ懐かしい声…

 

ザ・世界。

 

シンの時が十秒ほど止まり、一時的に時の運行に乱れが生じた。

 

「レイなんとかっていうらしいぜ。ロブによると実はアヤがこっそり夢中になってるらしいけど…どうした?」

 

完全に固まってしまっているシンを見て不思議がるリュウセイがシンに問い掛けた。
だが彼の中では、シンがコレを見て素晴しさから生じる歓喜のあまりに、感動してフリーズしてしまったのだと思っていたが、実際はそうではない。

 

「リュ、リュウセイ…こいつ…仲間…俺の…世界の…」
「へえ〜、じゃあ今度サインもらっておいてくれよ、アヤが喜ぶからさ。ああ、アヤってのは俺達SRXチームの……………って何ぃ!?」

 

この後、ハガネ・ヒリュウ改が部隊を分割する中で、シンが日本へ向かうことを決めたことはいうまでもない。

 

ひょんなことから、ともに死線を潜り抜けた大切な戦友を発見したシンは、さっそくレイの元へと向かうことにした。
だが、彼に告げられたのはレイが記憶を失っているのだという衝撃的な事実であった。
しかしそんな衝撃を受けている暇はなく、サイバスターを討つべくヒリュウに襲いかかるアスランとマシンセルの力を得たインフィニットジャスティス。
一方、突如現れた自分の過去を知る者の出現に驚きを隠しきれないレイであったが、インフィニットジャスティスによって追い詰められていくシンの姿を見て自分の中の何かが騒ぎ出す。
そしてその時響いてきた声にレイが答えたとき、少女のほんのきまぐれから得られた新たな力は、新西暦の世界に最高潮の始まりを告げることとなるのであった。
次回、スーパーロボット大戦オリジナルジェネレーションズデスティニー
「動き出したクライマックス」
を期待せずにおまちください