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SRW-SEED_660氏_シン×セツコSS_08

Last-modified: 2014-01-03 (金) 00:20:44
 

 シンとセツコと愉快な変態達  その7というか6.5というかまあ番外? う〜んまあその7でいいか
『シン君はケダモノです by セツコ』

 
 

 常に大切な人のぬくもりが自分の傍にあるという事実は人の心を安らがせる。たとえば、このシン・アスカなどはその最たる例だ。ガルナハン近くの町を離れ、今はライン河のほとりに在る小さな町に腰を落ち着けていた。
 シンとその想い人であるセツコ・オハラが籍を置くビーターサービスの代表を務めるランドとメールは、まだMS運搬用のトレーラーで眠っている頃合いだろう。
 シンとセツコは相変わらず安上がりな――シンがセツコに毎夜挙げさせている嬌声の為に少し余裕があれば、防音設備の整っていそうな――ホテルに寝泊まりしている。
 かつてシンが愛とも恋ともつかぬ感情と共に、守ると誓った少女が焼きつくした都市にほど近いこの町の周囲は、やはりかつての大戦の名残を色濃くとどめ、四季の巡りを経てなお焼け焦げた大地が広がり、破棄されたMSの残骸が風雨に打たれている。
 約一年前には、それに自分も参加していたのだという事実が、時折シンの心に忍び入って暗い影を落とすが、その度に傍らにいる愛しい人がシンの心を慰めてくれた。過去を想うのはいい。だが、それで今を生きようとする足を止めてはいけない。
 どんなに辛くても、悲しくても、苦しくても、過ぎ去った過去は変えられず、変えられるとしたなら、それは今とそこから繋がる未来だけだから。
 そうして、過去の想いの残滓を受け止めて、シンはこの町の付近での仕事に精を出した。
 機能もMSを引っ張り出しての大掃除から故障した家電の修理までと、師走の頃の様な忙しさで動き回り、くたくたに疲れ果てて泥のように眠っていた。
 その疲労を表すように、普段、最低三回はしないと満足しないシンが、セツコとのナニを一回で終えている。
 海の底からゆっくりと海面へ浮上してゆくように、緩やかな意識の覚醒に伴い、シンは裸で横になった姿勢のまま、ゆっくりと瞼を開いた。

 

「?」

 

 いつも目を覚ますシンの目の前で微笑を浮かべているシンだけの女神がそこにいなかった。あれ? という当たり前の出来事がいつもと違う違和感に、シンの脳が不理解を覚えるのに一刹那。
 シャワーかなにかか? と思い、無駄な肉がごっそりと削ぎ落された上半身を露わにして体を起こす。薄いカーテンから沁み込むようにして部屋の中に侵入する朝陽に、薄く暗闇の帳を残しながらされる室内を見渡す。
 ぐるりと周囲を見渡し、求めた人影がいない事に気づいた。シャワーの音もしない。トイレか? とデリカシーに欠ける事を考えながら、隣のセツコの寝ていたスペースが変に盛り上がっている事に気付く。
 まるで丸まった姿勢の子供が頭から毛布やシーツを被っているような不自然な山だ。

 

「セツコ?」

 

 びく、とその山が揺れた。何を思ったのか、セツコはシンの目に触れぬように隠れているつもりらしい。
たぶん、シンが目を覚ます直前にセツコも眼を覚まして何らかの理由でシンの目から隠れようとしているのだろう。それでとっさにシーツを頭から被っているのだろうか?
まさか、いきなりかくれんぼがしたくなったわけはないよなあ、とシンは幼少の頃、近所の子供や、妹マユとして遊んだ遊びを思い出し、優しい記憶に口元を綻ばせた。口元に浮かぶ優しげな笑みはそのままに、伸ばしたシンの手がシーツの塊を揺すった。

 

「セツコ、どうかしたのか?」
「シ、シン君?」
「そうだよ」

 

 声をかければいつもより小さく、どこか幼げなセツコの声が返ってくる。理由は分からないが、不安に震えている事が、シンの心に疑惑の種を植えた。恐怖はないようだが、困惑と不安の度合いが強い声だった。
 セツコがこんな声を出すのを、シンは初めて耳にする。ひょっとして、何か体に異常が表れたのだろうかと、真黒な不安がシンの胸の中で大手を広げ、心を焦らせた。

 

「なにかあったの、セツコ? おれに言えないような事?」
「う、あの、ね。別にどこか調子が悪いというわけではないの。ないんだけど、ちょっと信じられないというか、在り得ないというか……」
「? とりあえずどこか怪我をしたとか、病気かもしれないってわけではないんだな?」
「どう、なんだろう? ひょっとしたら、病気……かもしれない」
「なに? だったら早く医者に診せなきゃじゃないか! まだ早いけど、急ぎだって言えば診てくれるさ!」

 

 “病気かもしれない”と告げるセツコの声に、一気にシンの中で余裕や落ち着きが失われ、ベッドの上で膝立ちになってセツコの隠れたシーツの塊に近づき、両手を添えて優しく揺する。

 

「大丈夫か? ほら、一度おれに見せて。そりゃ医学の勉強なんかしてないけど、それでも単純な打撲とか切り傷とかなら手当てできるし、動けないってんなら抱えてでも、背負ってでも連れて行ってあげるから」
「えっと、あのね、たぶんお医者様に診てもらってもダメだと思う。でも、本当にどこかが痛いとか苦しいとかじゃないの。普通に動けるし、熱があるとかでもないんだけれど」
「なのに、普通じゃないって解るのか? 体のどこかが腫れてるとか、そういうの?」
「……シン君にも見てもらった方が早いと思う。あの、驚かないでね? 私もどうしてこうなったのか、分からないから」
「え? あ、ああ。じゃあ、見せて」
「うん。恥ずかしいけど、ちゃんと私を見て……」

 

 どこか恥ずかしげにセツコが言って、シーツの塊が浮き上がる。中で立ち上がったのだろう――にしてはやけに低い位置で止まった。膝立ちになったシンより少し上くらいだ。
 そして、深窓の令嬢を守る様に閉ざされていた白いシーツが、ゆっくりと左右に開かれていく。その奥に隠されたシン・アスカにとって至上の宝物が徐々にシンの赤い瞳に映し出される。

 

「っな、どうして……」

 

 絞め殺される間際の家畜の様な声を絞り出し、驚愕に瞳を大きく開いて固定したまま、シンは目の前のセツコの変わり果てた姿に、茫然と膝立ちの姿勢から尻餅をついて固まる。

 

「シン君……」

 

 やっぱり驚いたと、セツコはさほど失望はしていない様子で溜息をついた。自分より慌てている人間を目にした事で、かえって落ち着いたからか、先程シンを不安にさせた気弱な調子は、幾分薄らいでいた。

 
 
 

 地平線を黄金に染め上げ、今や眼下に広がる大地を構成する山並みや鬱蒼と生い茂った深い森、大地を横切る雄大な河川を金色に染め上げる陽光の美しさと眩しさに、その男――アサキム・ドーウィンはかすかに目を細めた。
 やや小高い丘の上に佇むこの青年は、その黒づくめの衣装から、遠くから見れば地面ではなく空中に描かれた人影のように映るだろう。
 靴の先から顎先、両手の指先まで徹底的に黒で統一した異装は、どこであっても、いつであっても変わらない。
 地に投げ落とされる影がそのままこの青年の衣服へと変わったかのように、常に黒を纏っている。
 血を凝固させたような赤い瞳に染み一つなく真っ白な領土を広げる肌。それに漆黒の衣装が加わった時に描かれる三色のコントラストが、その全ての色を互いに引き立て合い、元より妖美な魅力を待っていたこの青年に危険な魅力を付与していた。
 その異様な装いさえも、出会うものを惑わす魅了の力へと変えるほどに美しく、どこか浮世めいた雰囲気を持った青年。それがアサキムだった。
 その右手に湯気を燻らせる黒い水面。白い陶器のコーヒーカップに注いだコーヒーである。後ろに立つストライクノワールことシュロウガと共に鮮やかな陽光に照らし出されながら、アサキムはコーヒーを一口含み、細く吐息を吐く。

 

「美しい……、ぼくのシュロウガ。そして違いの分かる男、アサキム・ドーウィンとはこのぼく。ふふふ、今日も退屈しない一日になりそうだ」

 

 黄金に彩られたシュロウガをうっとりと見つめながら呟いたアサキムが、彼方から土煙を盛大に上げながら近づいてくるMSの機影に気づき、愉快気に口元を釣り上げて残っていたコーヒーを一息に飲み干した。
 朝も早くから向こうから楽しい話題がやって来たようだった。
 昇降用のラダーを使ってシュロウガのコックピットまで登り、開かれたハッチに悠然と足を掛けて来客の到着を待った。向こうに害意が無い事は分かっている。さて、どんな理由でぼくの元を訪れたのかと、アサキムはその答えに期待しながら黙して待った。
 シンの愛用しているワークスジンが、点火していたスラスターを停止し、アサキムのシュロウガの目の前で足を止める。勢いよく、とは言っても速度そのものは変わらぬがハッチを開いて、ワークスジンからシンが顔を見せる。

 

「アアアアアサァァァアアキイィィムウウゥゥゥウウ!!!!!」
「ふふ、ははははは!! どうしたんだい、運命の君? まるで瞳が紅蓮の炎を閉じ込めたように激しい怒りに燃えている。獄炎に魂を焼かれる罪人も君の瞳に映る事を恐れるだろう。君の瞳は怒りの赤が実に似合う」
「うるせえ、このヘッポコポエマー!!」
「ふふ、君の怒りの罵声もなかなかに心地よいものだが、一体どういう用件なのかな。いつも隣に侍らせている、君が乙女ではなくした悲しみの乙女はどうしたんだい? よもや、彼女に飽きて男に目覚めたなどとは言うまいね。
 生憎と君の眼差しに心揺れる趣味はぼくにはないのだが。まあ、ランドならいいかな、などと思ったり思わなかったりする乙女心が止まらない昨今のぼくとはいえ、求愛ならば謹んで断らせていただこう」
「だ、誰がお前なんぞを欲しがるかあ!!!」
「ふむ? ではなにかな? ぼくは今ツィーネの相手で忙しくなる予定なのだが」
「本当に心当たりがないのか知らない振りをしているかは分からないけど、セツコの事だ!!」
「?」

 

 そう怒鳴るや否や、シンは一度コックピットに引っ込み、傍らに小さな人影を引き連れてまた顔を見せた。
 シンのものらしいダボダボの白いYシャツ一枚を羽織ったきりの女の子だ。Yシャツの裾から零れた生の太ももは、女の色香よりも幼い子供の活力と無垢さに眩いまでに輝いている。
 どこか気弱な影の射す顔立ちは、幼いながらにも将来慎ましくも見るもの全ての目と心を引き付ける、美しい花を咲かせることを約束した蕾の愛らしさに満ちていた。
 ふっくらとした秋の林檎の様な赤いほっぺに、シンの指先ほどの小ぶりな唇。きらきらと小さな星の光を宿しているような大粒の瞳は翡翠の色。長く伸びた黒髪をそのまま流し、風に揺れる髪は黒い花弁の様に可憐だ。
 シンの左手に右手を握られながら姿を見せた少女を見て、アサキムがおや? と首を捻る。この青年には珍しい素直な感情の発露を示す挙措だ。基本的にアサキムは根性がひん曲がっている。

 

「これは、何時の間に悲しみの乙女を孕ませ、無垢な命をこの世に産み落とさせていたんだい? 言ってくれればぼくなりに祝福の言葉の一つも捧げようものを。ずいぶんと母親似だが、中身は君に似ているのかい? 運命の君」
「……本当に知らないのか? この子はなあ、セツコだ!!」
「ほう? なるほど何処の違法機関とつながりがあるかは知らないが彼女のクローンを作ってまで幼女との禁断の性宴を催したかったというわけか。ふ、存外君も爛れた性根の持ち主だね。それとも悲しみの乙女と三人とで毎夜、朝が来るまで語り合っているのかな?」
「だ・か・ら! この小さい女の子が、セツコなんだよ!!」
「……嘘偽りなく、真実を語っていると誓えるかい?」
「お前にそんなウソついておれに何の得がある!?」
「そうだな……君とその無垢なる幼女と悲しみの乙女が三人で身も心も溶かし合っている淫らな宴を、二次元の世界で展開してあげてもいいが? 無料で進呈して差し上げよう」
「……だ、誰がいるか!! そんな本!!」

 

 ……の部分にシンなりの葛藤が見え隠れしていたが、それを誤魔化すようにシンは怒鳴り返す。シンに手を握られていたセツコ(幼)が、シンの言っている事が事実だと告げる様に口を開いた。

 

「シン君の言う通り、私は正真正銘のセツコ・オハラです。アサキム、貴方ならどうして私がこうなったのか、心当たりはありませんか。私達を困らせて喜ぶのなんて、あなた位でしょう? なにか知っていないの?」
「なにもかもをぼくのせいにされても困る。しかし、本当にセツコ・オハラなのかい? これはまた珍妙なこと極まりないが、確かに彼女の面影が残っている。ちなみに、運命の君にはもう骨の髄までしゃぶられているのかい? その幼い肢体の隅々までを」
「シン君はロリコンじゃありません!!」
「ふむ。まあ、運命の君の性癖がどれほどおぞましくこのぼくにしてさえ口にする事が憚られる様なものだとしても、さして問題はない。それに、悲しみの乙女、君ならば運命の君に与えられるモノが苦痛だろうと恥辱だろうと魂を歓喜させて甘受するだろうしね」

 

 そう言って、またアサキムはセツコ(幼)の爪先から頭のてっぺんまでを見回した。シンとほとんど変わらない背丈は、今はシンの胸くらいにまで縮まっている。身長差はおおよそ4〜50センチと言った所か。
 前方に突き出るシルエットを描いていた乳房や、想い清くくびれた腰に繋がるまろやかな曲線を描く尻肉も、今は引っ込んでなだらかなラインへと変わっていた。いかにも子供な小さな造作だ。
 しかも身に着けているのがシンのYシャツ一枚きりと来た。無論、そんな子供サイズの衣服をシンとセツコが持っている筈もないから、下着の類も穿いていないだろう。
 セツコが残る手でYシャツの裾を抑えて、足をもじもじとさせている事が何よりそのことを証明している。悪戯な風が一陣吹けば、その奥に隠されている体の部位があられもなく露呈してしまうからに違いない。
 そのテの趣味の持ち主なら涎を垂らして自分のものにしたいと願うような美幼女ぶりといえた。アサキムはその趣味はないのか、本当にあの悲しみの乙女らしいと判断したのか、すぐに視線をシンへと向けた。

 

「残念だが、本当にぼくには心当たりがない。それにこんなに面白い事をしておいてぼくがこうも落ち着いているわけがないだろう? 
 とっくにその姿を撮影して、世界中に配信し、『元ザフトのトップガンが幼女と援助交際!? 秩序を失った性の失楽園』だの『年齢を超えた愛、ここに誕生した禁忌の性愛、背徳の幼女愛 プゲラww』とか、面白おかしく副題を付けているさ」
「………………いろいろと気になる所はあるけど、まあ、そうだな」
「本当に心当たりがないんですか?」
「ない。よって君を元に戻す方法も知らない」
「マジかよ」

 

 がっくりと首をうなだれるシンの様子に、当事者たるセツコの方がむしろ慰める様に、握ったシンの手を強く握り返し、気にしないで、と囁いていた。シンの方が十歳近く年上の外見なのに、シンを慰める姿は正しく姉の様にアサキムには見えていた。

 

「そう気を沈める事もないだろう、運命の君。なんなら、このアサキム・ドーウィン、アサのみならず昼ならヒルキム、夜はヨルキムとなって君達の心に潤いを与える道化師にも喜んで扮して見せよう。
 ちなみにそんな僕の好物は豚キムチ、ブタキムと覚えておいてくれたまえ。アサキムヒルキムヨルキムの好物はブタキム、ブタキム。さあ、君達も……」
「死ね」
「バナナの皮で足を滑らせてお豆腐の角で頭を打って死んでください」
「ふ、ふふ、いつにも増して研ぎ澄まされた刃に氷の冷たさを帯びたような言葉。君達の言葉は千の刃に勝る痛みとなってぼくの心を苛むよ。
 なんだったら、黒いゴシックロリータの衣装を纏ったツィーネと二人で、運命の君を『お兄ちゃん』と呼んであげようか? 悲しみの乙女も機会があったら言ってみるといい。彼の脳内で様々な葛藤がイグニッションして君を喜ばすことだろう」

 

 恍惚に赤らんだ頬のままそう言うアサキムに対するシン達の返答は、痛烈な無視であった。もうお前の言う事なんか聞いてらんないよ、とそそくさとワークスジンのハッチを閉めて、元来た道へと向かっていた。
 背後にシュロウガとその主である思考体系がねじり曲がって迷宮を形成している変態を置き去りにして、シンは途方に暮れていた。直感的にアサキムが犯人かと思って来たのだが、最大の宛が外れてしまったのだ。少しは落ち込みもしよう。

 

(ていうかおれよりもセツコの方ががっかりしただろうな。おれが気を落としてちゃ不安にさせてしまうな)

 

 自分の膝の上に座っているセツコの白いうなじを見つめ、幼く変わってしまった恋人に声をかける。かつて愛妹マユ・アスカにそうしたように優しく、君の事が大切なんだと告げるような声で。

 

「大丈夫か、セツコ? なに、そのうち元に戻るさ」
「うん。でもやっぱりお仕事とかでもランドさん達に迷惑をかけてしまうよね。この体でも手伝える事があるといいんだけど」

 

 シンの太ももにずいぶんと小ぶりになった尻を乗せ、シンの胸に頭を預けていたセツコが、愛らしさを数倍に増した顔で振り返し、ミルクのような甘い匂いをふわりと漂わせながら、シンの顔をまっすぐに見つめて答えた。
 見た目通りに幼い仕草をして、中身も子供になってしまったのではないかと思う時もあれば、不意にシンの愛と性欲をすべて受け止めて来た女の艶やかな仕草が現れ、シンの胸を妖しく揺さぶる。
 ランドさん達になんて説明しよう、そう呟いて前を向き直るセツコ。向き直る仕草の一瞬、目に映った光景に、シンは息を呑んだ。
 急いでホテルを出た為に、枕元にあった自分の着替えをセツコに着せているのだが、サイズがとことん合っていないYシャツの隙間から、セツコのまな板の様に隆起を失った胸に二つの薄い桜色の突起がを見て、いやに大きな音を立てて生唾を飲んでしまった。

 

(…………はっ!? いやいやいやいやいやいや、いくら相手がセツコといってもこの外見で欲情したら、おれは間違いなくアブノーマルじゃないか!! まずいまずいまずいまずい、心を鎮めろ。落ちつけ、落ちつけ、おれ)

 

 そんなシンの葛藤を知らず、セツコはどうすればいいのだろうと途方に暮れていた。

 
 
 

「うわぁ、『できちゃった婚』じゃなくて、『できてました』婚?」
「シンよぅ、今月厳しいから、ご祝儀少なめでいいか?(エッチなお店的な意味で)」

 

 というのが、メール・ビーターとランド・トラビスが、セツコ(Ver.幼女)を見た時の第一声であった。
 おい! と突っ込みを入れたい衝動を抑えつつ、ビーターサービス所有の大型トレーラーの応接ルームで、シンとセツコは事情を説明した。
 それからセツコとメールが女同士の秘密として、お互いにだけ伝えていた内緒話をして確認を取り、ようやくセツコは本人として二人に認められた。
 セツコ用のホットココアを出しながら、メールは自分よりも小さくなったセツコをしげしげと眺める。
 両手でおずおずとホットココアのカップを持ちあげたセツコは、メールの視線に恥ずかしそうに頬を赤らめた。

 

「あんまり、見ないでください」
「ええ〜? 可愛いのに〜〜。シンだってそう思うよね?」
「え? ああ、そりゃ、可愛いさ。なんたっておれのセツコなんだからさ」

 

 シンは自慢げに胸を張って言うと、右手でずいぶんと低い位置に変わったセツコの頭を撫でた。愛しい者にする行為には違いないが、今は恋人のそれと言うよりも兄が妹に対してする愛情の度合いが強い。
 シンの手が撫でる度にセツコの頬は喜びに緩んでいた。年端も行かぬ美幼女が、愛情を伝える行為で、花の蕾も笑顔になって開くような微笑みを、少し恥ずかしげに浮かべている様子は、それを見ているランドとメールからしても可愛らしいことこの上ない。

 

(可愛いなあ、おい)
(かわいいねえ)

 

 で結局、セツコは物理的に手足の長さが足りないという事でMSの操縦は断念し、今日一日はメールが普段行っている経理や事務関係の仕事を手伝う事になった。
 ガサツな所のあるランドやシンの代わりに、こういった細々とした業務を手伝っていたから、メールの邪魔になるような事がなかったのは幸いだろう。
 なんとか一日の仕事を終え、借りていたホテルの一室に戻り、二人はシンのベッドに横に並んで腰かける。相変わらずセツコはVer.幼女のままであった。

 

「結局、今日一日戻らなかったね。私の体」
「まあ、寝ている間に何があったのか分からないけど、すぐに戻るようなものでもないのかもしれないな。どう? 体の調子でどこか変なところとかないか?」
「ううん。大丈夫。そっちの方は平気だよ。ただ、今までと同じ感覚で歩いたり座ったりするから、椅子から落ちちゃったり、物を掴めなかったりとかそういう距離感がつかめなかったりで困りはするけど」
「そればっかりは慣れないとなあ。まあ、慣れる前に元に戻るのが一番だけど」

 

 やれやれと嘆息し、シンは隣のセツコを見下ろす。今はサイズが一番近いメールの私服を借りて、薄黄色のパジャマを着ていた。普段、豊潤極まりないセツコの肢体を飽く事無く堪能し、啼かせている為か、こうも平坦な体と言うのはなかなかに新鮮であった。
 あのかすかに膨らんでいる胸はそれでも柔らかいだろうか。まだ青く芯の固さを残しているような小ぶりな桃尻はどんな味わいだろうか。椛の様に小さな手の平や、本当に桜の花びらを張り付けた様な唇は甘い感触のままだろうか。

 

(うわあああ!? おおお、おれはなにを考えているんだよぉ!!)

 

 それはめーでしょーーー!? と心の中で頭を抱えて悶絶しながら、シンはいくらセツコ本人とはいえ、ここここ、こんな小さな女の子の体に性欲を滾らせちゃったら、もう人間として終わりでしょうがあああああああああ。

 

「シン君」
「ひゃいっ!?」
「ふふ、へんなシン君。なんだか考え込んでいたみたいだけど、どうかしたの?」

 

 そう言って、セツコはちょいちょい、とシンに手招きをした。少し頭を下げて、という合図だ。なんだろうと思いつつも、腰をかがめ、セツコに自分の顔を近づける。そっと、小さく柔らかなセツコの手がシンの頬を優しく挟んだ。
 柔らかく、小さく、暖かい手だった。

 

「ごめんね、私がこんな事になって迷惑かけちゃったね。でもね、私、昔より我儘になっちゃったの。
 私がこんな風になったのに、シン君にしてあげられる事がずっと減っちゃったのに、それでもシン君の隣にいたいって思っているの。シン君、こんな私でも、貴方の隣にいてもいいですか?」
「……そんな事を気にしてたのか。馬鹿だな」
「そう、かな?」
「ああ、大馬鹿だ。そんな当たり前の事をおれに聞くなんてさ。セツコがどんなふうに変わったっておれの隣に居て良いに決まっている。それに、おれだってセツコがおれの隣にいたいって思うのと同じくらい、セツコの隣にいたいんだからさ」
「そっか。ありがとう」

 

 ようやく、自分の願いや我儘を言うようになってきてくれたセツコに対し、自分を求めてくれるという事実を感じられて、シンの心は無上の喜びに満たされていた。
 そっとセツコの小さく細い腰に手を回し、ひょいっと持ち上げて自分の膝の上に乗せて、腕の中に収まる位に小さな体を、卵を温める親鳥の様にそっと抱き締めた。
 子供の体温は大人よりも高かっただろうか。慣れ親しんだセツコのぬくもりも少し暑く感じられる、今の幼いセツコの体のぬくもりを感じ、甘さをほんのりと強めた体の香りを肺いっぱいに吸い込み、シンは変わらぬセツコへの愛情を感じていた。
 そのままお互いを抱きしめ合って十数分、シンの腕の中のセツコが小さく、ふわぁ、と手で口元を隠しながら可愛い欠伸を漏らした。体が小さくなった分疲れも溜まりやすいのだろう。
 眠たそうな眼を、小さな手でこすりこすりするセツコの仕草に、シンは微笑む以外の術を知らなかった。可愛い以外の形容詞が見つけられないセツコの姿であった。

 

「もう寝る?」
「うん。シン君は? 私の事は気にしなくていいよ」
「ふふ、一緒に寝るよ。おれだけ起きていても詰まらないからな」
「そっか、じゃあ、一緒に寝よぅ」
「うん、分かったよ」

 

 ひょい、とセツコの膝の裏と背中に手を回し、お姫様だっこで持ち上げて、優しくベッドの上にセツコを横たわらせた。その隣に自分も潜り込み、枕元のスイッチで部屋の電気を消そうと手を伸ばす。
 なんとかセツコの純粋無垢な幼い肢体に対して抱いた欲情の嵐はしのぎ切れたようだった。と安心したのが良くなかった。毛布を口元まで引き上げたセツコが、上目使いにシンを見上げ――

 
 

「おやすみなさい。お兄ちゃん」
「…………」

 
 

 アサキムがシンが喜ぶと言っていた事を思い出し、純粋にシンに喜んでもらおうと呟いたのだろう。しかし、それがシンの理性の堤防を粉砕した。
 ここであえて述べておくが、シンは、死別した妹マユに対して別段強調するほどシスターコンプレックスを抱いていたわけではない。
 とはいえ、父母に加え妹が目の前で焼死体となり果て、自分の目の前には鮮血が滲み、千切れた妹の腕が転がり、形見と言えるものが妹マユの携帯のみとなってしまっては、それに固執するしかないのも、仕方のない事だろう。
 むしろ異国であるプラントへと移住し、わずか二年でエリートの証である赤服を纏い、それなりに友人関係も築いていたバイタリティと社交性は評価してもいいだろう。
 何を言いたいかと言えば、つまりは、セツコに『お兄ちゃん』と呼ばれてマユを思い出したのではなく、その言葉が純粋にシンの中の男をきわめて強力に刺激してしまったという事だ。
 シンは自分の体の中でいろいろなものがブチブチとちぎれる音が聞こえた。堪忍袋の緒、道徳、理性、倫理、そういった人間を人間たらしめるモノの全てが、あっという間に消えてしまった。

 

「シン君?」
「優しく、するから……」

 

 許しを乞うように囁き、シンはセツコのパジャマの胸元をはだけて、露わになった小さなサクランボを口に含んだ。

 

「シン、君……や、あ、ふう、んああん」

 

 胸元から自分の唇までねっとりと唾を乗せて舐めるシンの舌が、自分の唇に辿り着き、唇そのものを呑みこむように暴力的で、貪られるようなキスに、セツコは幼い体でありながら、脳の奥から広がる、痺れるような快感に喘いだ。

 
 
 

 で、翌朝。二人の様子を心配したメールが部屋を訪れ、鉤の掛っていない室内に入り、ベッドの上ですやすやと眠る二人と、ベッドの惨状から昨日の夜一体何が繰り広げられたのかを悟り、こう呟いた。

 
 

「ケダモノだ」

 
 

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