Top > Seed-Ace_794氏_第00話
HTML convert time to 0.003 sec.


Seed-Ace_794氏_第00話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 22:50:40

ふと気付くと、俺は別の世界にいた。

プロローグ『砕かれた平和』

『どこだ?ここ・・・』
周りはさっきまで居たデスティニーのコクピットではなく、何処にでもある街中の風景だった。
道のど真ん中に立っている俺を通行人は迷惑そうに避けていく。
服も普通の格好になっていた。
とりあえず、現状を整理したくて、一人で考え事ができそうなところに歩き出した。

しばらく歩くと、開けた場所に出た。
『公園か。看板かなにかでここが何処なのか調べられるかも。』
看板を見つける。それにはこう書いてあった。

『ロスカナス市民公園』
ロスカナスなんて場所あっただろうか。そう考えても答えはでそうにない。
俺は戦争をしていたのだ。アカデミーの教授や学者ではない。
とりあえず、ベンチにでも座って考えてみた。頭を働かせる。
よく考えてみると、よく大騒ぎしなかったもんだ。
戦闘中に、おそらく攻撃を食らったであろう次の瞬間には、見ず知らずの場所に居たのだ。

「・・・ルジアは何を考えているのかしら、サンサルバシオンが占領されたらしいわよ」
「それじゃストーンヘンジは?落ちてくる隕石のかけらはどうするのよ?」

主婦か何かだろうか。女性が話をしている。占領?隕石?
気付けば、ベンチには誰か読んだ後なのであろう新聞が置いてあった。
俺は記事を確かめる。記事にはこう書いてあった。

『エルジア、サンサルバシオンを占領。ストーンヘンジ接収される』
『この暴挙に、各国は独立国家連合軍を組織。エルジアに対抗』

嘘だろ、こんな戦争なかったはずだ!俺は恐る恐る日付を調べてみた。

『2003年10月29日』

俺は愕然とした。コズミックイラじゃない。もういやでも、ここが別の世界であることは理解できた。

「君はザフトか連合どちらの人かな?」
「え?分かるんですか?」

一人の初老の男性に声をかけられた。もしかして、この人から何か分かるかもしれない!

「ああ、分かるとも。雰囲気で分かる。特に今の君のようなここに来たばかりのものは分かりやすい・・。
私は前大戦で連合の艦長をしていた。君は?」
「前大戦って・・また戦争だって事知ってるんですか?」
「君のように来た人に教えてもらったんだ。オレンジ色の髪をした、君より少し年上の青年だったがね」

オレンジ色の髪・・・もしかして、

「もしかして、その人ザフトじゃありませんでした?」
「そうだが、知り合いかね?それなら君もザフトから来たのだな」

ハイネだ!間違いない!

「その人今何処にいるか分かりますか!?」

俺はつい大声を出して聞いてしまった。

「彼はISAFに志願したよ。この前電話が来た。もうすぐパイロット候補生になれそうだってね」

ISAF・・・独立国家連合軍ってやつか。何でハイネが・・・。俺はつい呟いていた。

「なんでハイネが・・・関係ない戦争なのに・・」
「・・・・人が戦う理由はいくつもある」

老人は少しさびしそうに語った。

「愛する人、家族や友人を守りたい者。金を稼ぐために戦う者。名声を得たいから戦う者。
 ・・・いろいろだ。」

俺は老人の話を黙って聞いていた。

「関係ないと叫ぶことはいくらでもできる。だが純粋な思いで戦うものもたくさん居る。
 彼もその一人だったのだろう」
「でも、どれも理由にならないじゃないですか!別のところから来たのに・・・」

俺は声を荒げて反論した。元からここに居た人なら納得いくが、ハイネや俺は別のところから来たのだ。

「・・・そう思うかね?」

老人は表情を和らげて答えた。

「きっと彼は、ここの平和を守りたかったんだろう。自分が居た世界ではできなかったことを、
 ここでしようと思ったのかもしれない。・・・正義感にあふれてる青年だったからな」

平和・・・その言葉に周りを見渡すと、大人たちは不安そうにしながらも、いつもどおりにすごしているように見えた。
子どもにいたっては、普通にすごしているようにしか見えない。
ふと、ボールが目の前に転がってきた。それを拾い上げて立つ。
すぐに、手を振っている少年を見つけた。ボールを投げて返す。

「お兄さん!ありがとー!」

少年は大声で礼を言った。背を向けて走っていく。

オーブに居た頃はこんなこともあったかな・・。

・・平和、か。そう考えるといろんなことが浮かんできた。
守ると誓ったステラ。戦争によって死んだ両親や妹。戦争のせいでひとりきりになった俺・・・・。
俺はあの戦争をどうして戦っていたんだ?アーモリー1で、また戦争になんかさせないって思ったんじゃなかったのか?
ふと、さっきの少年が幸せだった頃の自分と重なった。もう戦争なんかさせない!俺が終わらせてやる!

「ISAFって、どこに行けば志願できますか?」

そう思ったらもう口に出していた。

「市役所や基地などで受付はできる。・・・君も志願するのかね?」
「俺、思ったんです。前できなかったことを、今度こそしようって。
あなたのおかげです、決意できたのは。ありがとうございます!」

老人は少し困ったように、

「これでは、私が君の未来を変えてしまったようだな。」
「いえ、きっかけを作ってくれただけです。きめたのは俺自身です」
「そうか、では私は失礼するよ」

老人は公園を後にしようとする。
俺は声をかけた。

「あの!」
「何かね?」
「名前・・・聞いてもいいですか?」
「ハルバートンだ。君は?」
「シン。シン・アスカです!」
「そうか、いい名だ。君の目的が成し遂げられるのを期待しているよ」
「はい!」

その後、俺はISAF空軍へ志願した。経歴書にはパイロットの経験があると書いた。
他は嘘ばかりだが、これは本当だ。コアスプレンダーも一応戦闘機には違いない。
それに、そのほうが早く実戦に出れる。
『ハイネに会えるかなぁ・・・』
そう思い、訓練をつんだ。また戦うために。

―――その後、彼が始めて実戦に出るのは、ロスカナスが陥落し、ISAFがノースポイントへ撤退した後のことになる。

戻る】【