Top > Seed-Ace_794氏_第05話
HTML convert time to 0.003 sec.


Seed-Ace_794氏_第05話

Last-modified: 2013-12-25 (水) 23:11:44

第5話『100万バレルの生命線』

前回の作戦でコンベース港への物資の輸送を防いだ俺たちだが、
それだけではエイギル艦隊自体の活動へダメージを与えることにはならない。
現在艦隊が寄港しているコンベース港にも物資はあるだろうし、
物資以外の人員もある程度いるだろう。そのエイギル艦隊へある程度打撃を与えるもの。
それは燃料だ。船だろうと戦闘機だろうと乗り物は燃料がなければ動かない。
入手した情報によると、コンベース港は燃料補給をたった一つのコンビナートに頼っているらしい。
それだけ燃料が取れるのだろうか。それでも、そこを攻撃すれば艦隊の活動をある程度食い止められるかもしれない。
そこで俺たちに出撃命令が来た。隊長がいつものように状況を説明する。

「作戦名は『アーリーバード』、決行日時は11月19日0550時。ターゲットのコンビナートは沿岸の石油精製、
備蓄施設と、洋上の油田採掘施設の二つで構成されており、このどちらか、あるいは両方を攻撃し、
ターゲットの生産能力を20%以下に低下させることが目的だ。質問はあるか?」

20%以下・・・俺は隊長に資料を見せてもらった。ハイネも横から覗き込む。
攻撃目標にはコントロールルーム、精製所やポンプステーションはもちろん、ガスタンク、燃料タンク、
はてはタンカーまで入っていた。ISAFはこのままだと環境保護団体や動物愛護団体とも戦うことになるんじゃ・・・・・

「これって・・・・・パイプラインを潰すだけじゃないんですか」
「らしいな。司令部には攻撃後接収しようだとか、環境に気をつかおうだとかいう気持ちはないらしい」
「あ〜あ。勿体ねぇ。俺たちが飛べなくなったらどうするつもりだよ?」
「俺たちは別のとこからもらってるだろうが。それにパイプラインを破壊するだけじゃ復旧されるかもしれないし」
「とりあえず、今のISAFはそんなことに気を使ってられないぐらいに危機的状況なんだ。文句を言うのは後にしよう」

隊長がそうみんなをまとめて状況説明は終了した。
当日、俺たちは二手に分かれ出撃。俺たちとメビウス1は精製施設の攻撃を担当。
ヘイローが護衛に当たる。採掘施設はオメガが攻撃、レイピアが護衛の担当。皆今までと同じ気持ちで挑んでいた

この後、俺たちを開戦以来最大の恐怖が襲うことになるとは、まだこのときはだれも気付かなかった。

「作戦開始。攻撃目標に損害を与え、生産能力を低下させよ」

スカイアイからのいつもの通信。今回の俺たちの武装はサイドワインダー2発にアムラーム2発、
残りの4つのハードポイントにGBU−12レーザー誘導爆弾を12発。ヘイローはR−73を2発にR−77を4発。
どちらもガンを満載。メビウス1はサイドワインダー4発にMk−22小型爆弾を16発。ガンは同様だ。
今回からようやく俺たちにもこうした高価な武装がまわるようになった。
これで少しは楽になる。ヘイローも喜んでいた。護衛もやり安くなっただろう。

「ヘイローへ、こちらスカイアイ。敵編隊の接近を確認。高度3000、速度450。直ちに迎撃せよ」
「ヘイロー1了解。7、9、行くぞ。2と5は残れ」
「ヘイロー2、了解です」
「こちらヴァイパー1、頼んだぞ」

ヘイローの3機は編隊を離れる。アフターバーナーの炎が朝方の空に良く映える。
こちらもすでに精製施設に接近していた。メビウス1が速度を上げ、先に突っ込む。
爆弾を投下。燃料タンクいくつかと対空機銃を破壊した。防空網に穴が開き、俺たちがそこに突っ込む。
ヘイローから撃墜のコール。迎撃に来た機体は撃墜された。
ピパーの中に精製所を捕らえる。向こうにいたときも、こちらに来た後も、ある程度機械任せにできる武器だったが、
今回は微調整が必要だ。MSより格段に難しい。

「ヴァイパー3、投下!」

サイドスティックのボタンを押し込み、投下。
見事に爆弾は命中した。爆炎。

「ヘイロー2、こちらスカイアイ。敵戦闘機の接近を確認。数は2。直ちに迎撃せよ」
「ヘイロー2、了解」
「こちらヘイロー1。ここからじゃ間に合わない。頼んだぞ」

ニコルとヘイロー5は上昇。敵の迎撃に入った。R−77を放つ。5が放ったミサイルは命中したが、
ニコルの放ったミサイルは避けられた。そのまま2機はドッグファイトに入る。

「ヴァイパー1、投下」
「ヴァイパー7、敵施設を破壊!」
「ヴァイパー2、対空機銃を撃破!」
「メビウス1、燃料タンクを撃破!」
「ヴァイパー6、投下!」

隊長はガスタンクを、ハイネはポンプステーションを破壊する。メビウス1は一人でほとんど片付けてしまっていた。
残った攻撃目標に爆弾を投下する。俺の残弾はゼロになった。
そのときニコルの呟きが聞こえた。

「同じ機体に乗ってるようですね。弱点も良くご存知だ!」

敵はどうやらファルクラムに乗っているらしい。目を凝らすと相手の機体は赤だった。エースらしい。
ニコルは劣勢だ。後ろを取られている。だがフェイントをかけ、オーバーシュートさせる。
敵の赤いやつも同様に回避しようとする。だが一歩遅かった。ニコルの機体の機銃が火をふく。
曳航弾が良く見える。敵の機体が一瞬とまったかのように見え、そのまま地面に落ちていった。

「ヘイロー2、スプラッシュ1!」

俺たちの担当地域は片付いた。採掘施設もどうやら精密攻撃に成功し、油田も使用可能らしい。
俺たちは帰還しようとしたのだが――

「スカイアイより各機、国籍不明機5機接近中!警戒せよ!」

スカイアイより緊急連絡。そばに居たヘイロー9が確認する。
その瞬間、恐怖が襲い掛かってきた。

「敵機を視認・・・・・黄色い機体が5機!」
「!! なんてこった!!」

ヴァイパー7の焦った声。すぐに隊長が指示を飛ばす。

「全機南へ急行せよ。交戦するな、急げ!」
「っ!! 了解!!」

噂に聞く黄色中隊が現れた。
ヴァイパー各機は即座に旋回、南へと向かう。俺は編隊の最後尾だった。メビウス1はすぐ隣を飛行、
ヘイロー9がさらに後ろ、1と7は若干俺たちよりだ。
一番遅れていた9が散開した黄色に捕らえられる。オメガたちにも残りが襲い掛かっていた。

「ヘイロー9、左だ、左!左に降下して振り切れ!」
「だめだ、振り切れない!誰かたす―――」

通信が途絶え、レーダー上からヘイロー9のシンボルが消える。
メビウス1が罵声を上げている。さらにメビウス1は急旋回、敵機に向かう。

「メビウス1、交戦を回避し南へ向かえ!」
「おい、メビウス1!!聞こえないのか!?」

スカイアイが指示を出し、俺も声をかける。だがメビウス1は返事をしない。
その間にも地獄絵図が広がっていることを想像させる通信が飛び交う。

「あいつら、こんな辺境にも飛んでくるのか!」
「レイピア4、逃げろ!」
「ちきしょう!だめだ!くらった!脱出する!」
「オメガ11が黄色にやられた!」
「オメガ11、応答しろ!なぁったら!」
「レイピア6がやられた!」
「頼む、誰か援護を!うわぁ―――」
「おい、オメガ5!くそ、こっちもだ!脱出する!」
「オメガ4!」

最大出力で逃げていた俺たちはすぐに帰還ラインを飛び越えた。合流ポイントで給油を受けながら、
他の味方が現れるのを待つ。すぐに生き残りが飛んできた。メビウス1も無事に合流する。
全機が給油を完了した後、編隊を組み帰還する。編隊に隙間が6。6人の仲間がここに居ない。
そう思うと黄色中隊がどんなに恐ろしいか身にしみて分かった。向こうでは味わったことがない恐怖。
体が震えた。
帰還した後も、皆が暗く騒ぎを起こす気にはなれなかった。ハイネも部屋に入るなりベッドに倒れこみ、そのまま寝た。
考えると気分が重くなる。俺も寝た。

翌日、戦果報告を受ける。作戦の目的は無事達成されたとのことだった。作戦は成功したのだが、俺たちは喜べなかった。
その後、6人のうち3人、オメガ4と11、レイピア4が帰ってきたのは何よりも喜ぶべきことだった。

】【戻る】【