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Seed-Ace_794氏_第11話

Last-modified: 2013-12-26 (木) 00:13:32

第11話『エスコート』 

先の作戦からは特に何も起こらず、新しい機種に慣熟するための飛行に時間を費やしてきた俺たちヴァイパー隊。
機体は、少し面倒ないきさつで俺たちに来た。
機体はF−2。ファルコンを元に開発された機で、乗ってみるとなるほどよく似ている。
積載量が増えたのは特に嬉しかった。ファルコンは他の隊の機より積載量に不安があったから。
いきさつとやらだが、タンゴ線のときまでさかのぼる。
本来これらのF−2は俺たちと同様に作戦に当たっていた42ndTFSに与えられるものだったのだが、
前述の通り数機を残して42ndは壊滅してしまったため、あくまでも"臨時"に、俺たちに配備された。
ちなみに、どうやら俺たちに来るのは本当はフランカーだったようで、噂だと35辺りではないかだということだ。
ハイネは双発機に乗れることがかなり嬉しいのか、噂を整備のおっちゃんから聞き出した時に小躍りしていた。
フランカーは好きな部類に入るし、あの黄色中隊も使っているから自然と興味もわく。(もっとも、あいつらのは37だが)

さて、さっきの通り作戦もないのでスクランブル待機か訓練か休みしかないので、最近は暇だった。
今も待機のルーチンに俺とハイネは組み込まれている。
もはやコンビとして部隊どころか航空団(この場合はニコルも入れてトリオ)にも認定されているのかこのコンビは解消されないままだ。

「早く待機解除されないかねぇ、シンよ」
「さっき隊長とヴァイパー2と変わったばかりだろ。あと2時間はあるぞ」

ぼやきだすのが早すぎる。待機室においてあるボードゲームなどを持ち出すのは時間の問題か。
さすがに暇なのは認めてくれているのか、上層部も雑誌やボードゲーム、カードぐらいは許してくれている。
案の定ハイネが持ち出してきた。

「今日は…チェス?」
「おうよ。この間はオセロ、その前はブラックジャックだったか?んでやったことないからチェス。ほら、やろうぜ」

異論はないのでやっておく。ゲームも半分は進んだか、と思ったとき、

ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!

警報!?と自覚する前に体は動き出している。すぐにアラートハンガーに走り、コクピットに乗り込む。
すぐさまエンジン始動。セイフティピンはすでに外されている。
装備はサイドワインダー4発、アムラーム4発の迎撃、開発された国で言うと邀撃装備だ。
センターのハードポイントには600ガロンの燃料タンク。飛行距離は問題ない。
滑走路に最優先でタキシング、許可を得てから離陸する。

《こちらスカイアイ、ヴァイパー3、6、聞こえるか?》

空目さんのお出ましだ。ということは、ただのインターセプトではないんだろう。

《こちらヴァイパー3、何があった?》
《エルジア軍が民間機を撃墜しようとしている。すでにメビウス1が急行中。到着予定時刻は?》
《こちらヴァイパー6、バーナー全開で5分は掛かる!》
《離陸からずっと引っ張ってるからこれ以上は急げない!メビウス1に何とか持たせろといってくれ!》
《了解した。交戦を許可する!射程に捕捉しだい攻撃せよ!》

自体はよっぽど急を要するようだ。スカイアイの声も切迫している。

《ちっくしょう!マッハ2は出るんじゃねぇのかよ!》
《カタログスペック当てにすんな!!それにこれだけ積んでりゃ機速も落ちる!》

ハイネをやり取りしあと、しばらくは無言で飛行した。残念だけど今の状況じゃ無線を聞いてるしかない。

《エアイクシオンへ。状況を説明してください》
《こちら702便、エルジア軍機が高度23000で接近中!急いでくれ!》
《こちら701便。離陸時に機長が負傷、副操縦士のナガセが操縦しています》
《了解。護衛機が行きます。両機とも、進路を維持してください》
《あれが味方の戦闘機?》
《メビウス1、ターゲットを撃墜》

さすがに速い。メビウス1はどんな飛び方をしているんだろう?

《メビウス1、新たな敵機を捕捉。高度6000で701便に接近中。701便、高度は上げられませんか?
その方がISAF機が護衛しやすい》
《ネガティブ。客室内の気圧がたもてない。高度は上げられません》

701便に何が起こっているのだろう。くそ!後何分だ!

《乗客に窓の外を見せるな》
《スカイアイ、こちら701便。基地に消防車と救急車を準備してください》
《メビウス1、スプラッシュ3!》

すでに3機。それを一人で相手してるんだからあいつはすごい。しかもまだ油断はできない。急がないと!

《こちら702便、エルジア軍機が接近中!》
《メビウス1、高度23000。複数いるぞ。やらせるな!》
《こちらメビウス1、了解!》
《機長をうしろに運んでください》
《こちら702便。ISAF機が近くで交戦中。助かるかも知れん》
《ターゲット、残り1機!》
《とにかくまっすぐ飛べ。エルジア軍機はISAF機にまかせろ》
《スプラッシュ6!》

つまり、3機の集団が来たということだ。もう片付けるなんて速すぎる。

《こちらエアイクシオン701便。乗員は民間人だ。攻撃するな》

強気な姿勢を見せるナガセ副機長。本当に民間人か?

《繰り返す。民間人が乗っている。攻撃をやめなさい!》
《高度6000に機影多数を確認。
701便、まもなく交戦空域を出るのでそのまま高度と速度を維持してください。ISAF機がカバーします》
《了解。やってみます。もうあとは、信じるしかない。…着陸の準備をしておきましょう》

後半は機内への呼びかけだろう。

《ハイネ、そろそろだ!落としてスピード上げるぞ!》
《了解!畜生、間に合えよ!》

ガクン! 
燃料タンクが外れて、衝撃が少し伝わる。

《第一目標は旅客機の撃墜だ。的はでかい。撃てばあたるぞ》
《了解。目標を撃墜する》
《ターゲットは本当にこの民間機か?》
《考えるな。俺たちはただ仕事をすればいい》
《敵は1機。エンブレムはリボンのマークだ。戦闘機をおとしてから旅客機を撃つ》
《エルジアの野郎!畜生、伸びろ伸びろ!》

射程まであとすこし、間に合え!

《メビウス1、ターゲット残り2機》
《たった1機になにをてこずっている!?…くそ、後ろを取られた!…》

ザッという短い音と共に敵の通信は途絶える。

《よっしゃ!射程内、食らいやがれ!》

ロック完了。思わず叫ぶ。が、トリガーを押す前にターゲットが消え…?

《…あ?》

ハイネも拍子抜けしている。つまり、間に合わなかった。良い意味で、だが。

《メビウス1、こちらスカイアイ。2機は無事に離脱した。損失はゼロ。作戦は成功だ》
《スカイアイへ、こちら701便。全員無事です!あの戦闘機にありがとうと伝えてください》

《はぁ、燃料無駄に使っただけかよ》
《そういいながら、嬉しそうじゃないか、ヴァイパー6。無事でよかったじゃないか》
《事の当事者がそういいますか、メビウス1。そういや燃料は?》

こっちはさっきタンクを落としたばかりなので基地までは十分もつ。

《あぁ、ちょっと危ないな。スカイアイ、タンカーを要請してくれ》
《手配してある。到着は2分後。代わりの護衛も向かっている》
《じゃあ、俺の護衛を頼むよ、お二方》
《へいへい…後で話は聞かせてもらうからな》

その後は給油完了後、基地に帰投して解散だった。スクランブル待機も別の組に変わっていた。
で、後日話を聞いたら、こんな状況だったらしい。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あの日、俺はCAPでロスカナスの北に上がっていたんだ。(スクランブル待機以外にもISAFはCAPも飛ばしていた)
大体2時間半ぐらいかな?まぁスクランブル待機とそう変わらない飛行時間だったよ。
で、あの時スカイアイから呼び出されて、現場に向かったんだ。
最初の1機はもう攻撃してもおかしくない位置にいた。多分、後のほうで来た奴と同じで基地に確認でも取ってたんだろうな。
脇を抜けるコースを取りながらバルカンを使って落としたんだ。あれはホーネットだったな。

それで終わり、と思って702便と並んだところで第2波だ。今度は下、それも2機だったね。
まだ後方にいたからスプリットSで機速を稼いで降下して、正面からアムラームを2発撃ったよ。
当たらないと思ったんだけど運がよかったのか両方とも落とせてね。やれ一安心…と思ったときに第3波だ。

今度は3機、しかも上。上昇させながらロックして、サイドワインダーを2発撃って、残りの機体にバルカンで攻撃しようとしたんだ。
まぁ、敵さんも黙って攻撃受けてくれるわけじゃないしな。編隊の1番機には避けられたよ。
バルカンで1機落とした後にそいつとドッグファイトになった。相手は回避しようとしたときにエネルギーを使ったせいか、
すこしよろめいていたから後ろを取るのは簡単だった。機体はF−14だった。広い背中にバルカンを撃ち込んで撃墜、
パイロットは脱出しなかった。

で、次は下だった。上から下に忙しい日だったな。とりあえず、戸惑ってるうちに残ったアムラームを撃って、
残った編隊にも攻撃した。最初の奴はサイドワインダーで、2機目は気付かれてたから必然的にドッグファイトだ。
ぐるぐる後ろを取ろうと回って3週目ぐらいかな?こう着状態を解決しようとハイヨーヨーを仕掛けて相手が見事に引っかかった。
んで、ドンピシャのデッド・シックスに持ち込んだ。シザースで逃げようとしてたけどサイドワインダーを撃ってそれでキマリだ。

その後は知っての通り、護衛してもらって、基地に帰ってオシマイ。疲れたからパッと寝たよ。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「……とまぁ、こんな感じだったらしい」
「ふーん……」

何だそのすげない反応は。
今日もまた、スクランブル待機だ。この前決着が付かなかったチェスをやっている。
必死に考えてるけど、そんな迷うことか?

「なんだ、詰まんなかった?」
「いや、ただ集中してるだけ。ちゃんと聞いてたぞ?」
「ふーん…」

あ、詰んだ。タイミングよく交代の時間が来る。
俺は駒を動かし――

「チェックメイト」
「んな!?」

チェス盤を見ながら変な声を上げるハイネを尻目に、とっとと待機室を出た。

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