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Seed-Crayon_3-384_3-1

Last-modified: 2008-06-19 (木) 19:19:00

ある愛の物語(キラ&ラクス編)・第1話
 
 静かな夜…人も車も寝静まる暗いはずの世界は、電灯と店から漏れる光などの影響か、町を明るく照らしていた…
 そんな中、その町の街道を歩く男女の姿があった…
 
男「今日も人が多いね、ラクス」
女「そうですわね。けどキラ、今日はどうしましたの?」
 
 当たり障りなのない会話をしながら、二人は親しげに話していた。
 
キラ 「いや、今日はちょっとしたプレゼントをラクスにね…」
ラクス「何ですの?今持ってますの?」
キラ 「もう少し待っててよ。プレゼントは逃げないから…」
 
 待っていた横断歩道が青になり、歩きながら急かすラクスに笑顔を向けながら、キラは茶化した感じで言った。
 
ラクス「まさかあれなんですの?ほら、さっきキラが買った。私にはさっぱり…」
キラ 「?…ラクス、あれを知らないの?あれは今流行ってるPCの基盤で、中々手に入らないレア物なんだよ?」
ラクス「キラ…もう、そんなこと言うって…まさか…?」
 
 ラクスは少しため息をついて、キラを問いただした。
 
キラ 「まぁまぁ…あせらない、あせらない」
ラクス「キラったら… !?、キラ!危ない!!」
キラ 「えっ? うわっ!」
 
 会話の途中、ラクスは突然、横にいるキラを横断歩道の外へ突き飛ばした。
 キラはその状況を飲み込めなかったが、次の瞬間、彼女がなぜそうしたのかを理解した…
 彼女のいるところに、一台の車が信号を無視して直進してきたのだ。
 キラはラクスの方に顔を向けており、その存在に気が付かなかった…

 そしてラクスはそのまま車と接触し、車が進んでいた方向に飛ばされ、歩道に力なく倒れた…
 
キラ「ら…くす?…ラクス!」
 
 キラは急いで倒れるラクスの側へと駆け寄り、倒れる彼女を抱える。
 特に出血しているようではなかったが、気を失っていた。
 
車の男「わ、私は悪くないぞ…お前らがのそのそ歩いてるから…」
 
 車に乗っていた男は車から出て、あたふたしながら弁明をしている。
 
キラ「そんなことはどうだっていい! 早く救急車を!!」
男 「は、はい! …あ、もしもし…今…」
 
 キラはその男をキッと睨みつけ、男に電話するよう促す。
 男もその目つきに驚き、慌てて自分のポケットから携帯を取り出し、救急車を呼んでいた…
 
………
……

 
 〜病院〜
 
 ストレッチャーに乗せられたラクスの手を握りながら、キラは懸命に、彼女の名前を呼びかけていた。
 
キラ  「ラクス!ラクス!しっかりして!!」
看護婦A「えっ!?ヤマト先生、どうしました?今日は休みだって…」
キラ  「いいからはやく、応急処置室に彼女を! 僕も準備するから!!」
看護婦A・B「は、はい!」
 
 看護婦らはキラにそう促されると、急いでラクスをキラから引継ぎ、救急車のメンバーとともに彼女を応急処置室へと運ぶ。
 キラも自分のロッカーから白衣を引っ張り出して着ながら走って、応急処置室へと向かった…
 
 
看護婦A「先生!」
キラ  「脈は?」
看護婦B「はい、今の所は正常です。目だった外傷もそれほどありません」
キラ  「そうか…頭部は?」
看護婦B「はい…そk…」
 
 そんなキラたちのやり取りが部屋でこだましながら、夜は「真の夜」へと深く沈んでいった…
 
………
……

 
ラクス「…あれ?…ここは?…」
 
 ラクスは真夜中に不意に目を醒まし、辺りを見渡す…
 そこにはどこかで見たような病室と、自分の傍らで寝ているキラの姿があった。
 かなり疲れているのか、彼女が目を醒ましたことに気が付いてはいなかった…
 
ラクス「あらあら、先生が患者の前で寝ちゃって…」
 
 そういうとラクスは優しい笑顔でキラの頭をそっと撫でる。
 
キラ 「んっ…ん?」
 
 自分が触られているのに気づいたのか、キラはムクッと重そうな体を目をこすりながら起こした。
 
ラクス「おはよう御座います、先生」
キラ 「…ら…くす…ラクス!」
 
 キラは寝ぼけていたせいか、かなり認知に遅れて慌ててラクスの存在に気づいた。
 
キラ 「だ、大丈夫?」
ラクス「はい、おかげ様で」
キラ 「よかった…ホントよかった…」
ラクス「キラは心配しすぎですわよ、私は大丈夫ですから」
 
 キラが心配しているのをよそに、ラクスはケロッと笑顔でキラに話しかけていた。
 
キラ 「じゃ、じゃあ僕は部屋に戻るから、ラクスはゆっくりしなよ。明日も来るから。じゃあおやすみ…」
ラクス「キラもおやす…?」
 
 …カラン…
 
 別れの挨拶の時、ラクスは何かが抜け落ちたような音を聞いた…
 しかし、実際この部屋で何かが落ちた様子は無かった。
 
キラ 「ラクス?」
ラクス「…ん〜ん、何でもありませんの…おやすみなさい」
キラ 「うん…」
 
 途中で話をやめたラクスを心配したキラに、ラクスはあれは空耳だと心の中で思い、キラに改めておやすみの挨拶をした…
 キラも深く考える様子もなく軽く頷いて彼女の部屋を退出し、ラクスはキラが出て行くのを確認すると、再び床についた…
 
 
 ――それが、「二人」で会った最後の時だった――
 
 
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