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Seed-Crayon_3-384_3-3

Last-modified: 2008-06-19 (木) 17:28:25

ある愛の物語(キラ&ラクス編)・第3話
 
 病院に戻ってきたキラであったが、先程のアンディの言葉が耳に残っていた…
 
キラ (アンディさんが言わなくたって、そんなこと判ってるよ…けど…)
 
 キラのそんな自問自答している中…どこかで聞いたような声がした。
 
しん 「父ちゃん、父ちゃんはやくはやく〜〜〜」
ひろし「しんのすけそんな急ぐなって…あんまり急ぐと俺の痔が…」
シン 「ひ、ひろしさん大丈夫ですか?…あっ」
 
 シンはキラの存在に気が付き、会釈する。キラもつられて会釈した。
 
ひろし「あ、ヤマト先生おはようございます…あれ?どうされたんですか? 何だか元気が…」
キラ 「あ、は、はい。まぁ…」
ひろし「よかったら自分で良ければ、相談にのりますけど?」
キラ 「…ここで話すのもあれなので、屋上で…」
 
 キラは自分の話を聞いてくれる人なら誰でもよかった…
 
〜屋上〜
 
ひろし「そうですか…彼女が記憶喪失に…」
キラ 「はい…だから、僕もどうすればいいかわからなくて…」
 
 キラはアンディに話したことと同じ事を話した。
 ひろしはそれを親身に聞いている。
 二人と少し離れたところでは、しんのすけがひろしの痔の患者専用の座布団を飛ばして遊び、シンがそれを止めようとしていた。
 
ひろし「…先生…私は彼女に会うべきだと思いますよ…」
キラ 「え?…」
ひろし「先生、シン君ことは覚えてますよね?」
キラ 「は、はい…」
 
 キラは昔、恋人の亡き骸を見て号泣していたシンの姿をふと思い出した。
 
ひろし「今はあんな感じでケロッとしてますが、まだ完全には立ち直ってはいないんですよ…」
キラ 「!?…じゃあなんで彼はあんなに?…」
ひろし「シン君はステラちゃんとの事を『悲しい思い出』にしたくないんですよ。
    ずっとそんな思い出を抱えて生きることを彼は止めてるんです…
    せめて、思い出にするなら『素敵な思い出』の中で彼女を活かし続けたいんだと思いますよ…」
キラ 「……」
 
 キラは無言でその言葉に耳を傾ける。
 
ひろし「先生の場合、まだいくらだって可能性はあるじゃないですか?
    たとえ『彼女』が帰って来なくても彼女はそこにいる…
    シン君のように『止まった思い出』にはならないですよ…」
キラ 「…止まった思い出…」
 
 アンディに言われたことが頭によぎる
 
ひろし「だから先生…まだ諦めないで…って、あ〜〜オレの座布団!!」
しん 「お〜〜良く飛びますな〜〜」
 
 ひろしが真面目な話をしている最中、彼の座布団が宙を舞って地面に落ちていく様子を見て、場の空気が変わる。
 
シン 「ひろしさん、すいません!オレが止められなくて…」
ひろし「いや、いいんだよシン君は…しんのすけ!早く取って来い!!」
しん 「ほ〜〜〜い」
ひろし「じゃ、先生…がんばってください…」
 
 ひろしはキラにそう言い残すと、少しお尻を触りつつ、3人でがやがやと騒ぎなら下へと降りていった…
 
キラ 「僕…馬鹿みたいだよ…」
 
 キラはそう自分に語りかけると水の線が彼の頬をつたった…
 


 
 屋上から降りている時、ひろしははやく降りることができなかったらしく、しんのすけとシンが先にあの「空飛ぶ座布団」を回収することに…
 
しん 「あの座布団、良く飛ぶね〜」
シン 「シンちゃん、あれは飛ばすもんじゃないって…」
しん 「だって〜〜あれフリスビーみたいなしてるんだもん」
シン 「だからってね〜〜」
しん 「シン兄ちゃんもやりたかったくせに〜」
シン 「オレはそんなのやりたくないよ」
しん 「遠慮しちゃだ…お、なんか聞こえるゾ」
 
 二人がくだらない話をしている時、誰かの歌声がかすかだが聞こえた。
 
しん 「シン兄ちゃん、行ってみよう!!」
シン 「し、しんちゃん!?ちょ」
 
 しんのすけはシンを片手で引っ張りながら、歌の聞こえる方へと行った。
 歌の聞こえる病室の札には”ラクス・クライン”と書かれていた。
 
ラクス「静かな〜この夜に〜あなたを〜待ってるの〜…」
しん 「すごいきれいなお姉さんだぞ…」
シン 「こら、駄目だって!!」
ラクス「あのと…?誰かいるの?」
しん 「ほ〜い、オラだぞ!!」
 
 しんのすけはドアをそっと開け、シンと一緒に彼女の部屋に入る。
 
シン 「ほ、ほんとにすいません…」
ラクス「いいの、別に…」
しん 「お姉さん、お歌がすごいうまいぞ!今歌ってたのなんて歌?」
ラクス「…憶えてないの…何も…」
シン 「え…まさか…『記憶喪失』…ですか?」
ラクス「そう…だから…今のも何となく歌ったものだから、曲名は…」
しん 「お姉さんはいわゆる『ぼけ忘れ』ってヤツですかな」
シン 「それを言うなら『物忘れ』だろ?」
しん 「そうともいう〜〜」
ラクス「ふふ、おもしろい子ね」
 
 今まで暗い顔をしていたラクスが、優しい笑顔を見せた。
 
しん 「いや〜〜それほどでも〜〜…おっ、お姉さん」
ラクス「何?」
しん 「お花のところになにかいるぞ?ほら白い…」
 
 しんのすけが指差す方に目をやると、そこにはキラが置いた花があり、その一輪に小さい虫が付いていた…
 てんとうむしの幼虫のようだったが、体は全部白く、みたこともない種類だった。
 
ラクス「いつの間に…全然気付かなった…」
しん 「すごい珍しいぞ〜オラちょっとそれ欲しいゾ」
ラクス「なら…この花あなたに…」

 ラクスは幼虫の付いている花を一本花瓶から抜き、しんのすけにはいっと言って渡す。
 
しん 「ほ〜いやった〜やった〜!」
シン 「えっ?いいんですか?」
ラクス「良いのよ別に…それにここに来てくれてありがとうの感謝の印にね」
シン 「ほんとすいません…じゃあ、俺達はこれで…」
しん 「お姉さん、はやくお元気になってね」
 
 そう二人は言い残すとその部屋を出て行った…
 
 〜数分後キラがラクスの病室へと〜
 
ラクス「あら?あなたは…?」
キラ 「あ、はい…あの…この間はその…ごめん」
ラクス「…いいんですよ、そんなに気にしなくて…」
キラ 「えっ?」
ラクス「あの時私も動揺していましたし…いつかあなたに謝りたかったから」
キラ 「…そんな、僕のほうこそ君に…」
ラクス「だから気にしてませんよ…ところであなたのお名前は? まだ聞いてなかったので…」
 
 キラはその一言に痛切な思いを感じながら、それを押し殺して言った。
 
キラ 「キラ…キラ・ヤマトです…」
ラクス「キラ…キラ先生…いいお名前ですね…私は…」
キラ 「ラクス…」
ラクス「えっ?」
 
 キラは思わず彼女の名前を呼び、ラクスは少しキョトンとした顔をしていた。
 
キラ 「あ、ごめん…勝手に」
ラクス「いいですよ…それで先生がそう呼びたいのなら…私、名前も覚えていないので…」
 
 ラクスはキラの言っていることを特に気にするでもなく、快く承諾した。
 
 
 ――改めて「二人」は出会った――
 
 
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