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Seed-Crayon_6-027_2

Last-modified: 2008-07-04 (金) 18:49:32

アイドル天使、歌って☆ミーア!だゾ
【後編】

 

 ミーアのコンサートは大きく盛り上がりつつあった。初め、観客はしんのすけ達しか居ないかったのだが、他の人々が足を止めてミーアの歌声に聞き入るようになっていったのだ。

 

ミーア 「みんなありがとう!それじゃ次は…ミーア・アレンジ版『暁の車』を歌います!」

 

しんのすけ「ひゅーひゅー!いいゾミーアおねいさ〜ん!そこにしびれる、あこがれるぅ〜〜!」
シン  「ほら、しんちゃん見なよ。いつの間にか俺達の後ろの客席はいっぱいだ!立ち見のお客さんも大勢いる……
     みんな認めてくれたんだ。ミーアさんが、そしてミーアさんの歌が本物だと!」
しん  「当たり前だゾ!おらは始めっから分かってたもん。ミーアおねいさんは偽者なんかじゃない、本物だって!」

 

ヴィーノ「L!O!V!E!I☆LOVEミーア〜〜!ひゅ〜ひゅ〜〜〜!」
ヨウラン「ああ、生きていて良かった……
     俺達の人生で、まさかミーア・キャンベルの生ライブを…それも最前席で見れる日がくるとは!」
シン  「うおっ!?ヨウラン…ヴィーノ!お前らもいたのか!し、仕事はどうしたんだおい?!」
ヴィーノ「サボった!あのな、俺達プラント組にとっちゃあ、ミーアさんは雲の上のお人なんだぜ?
     そのミーアさんのコンサートが頭の上でやるってのに、おちおち仕事なんざしていられるかってんだ!」
ヨウラン「まあアレだ。後で問題になりそうになったらシンが俺達を擁護してくれ。頼む」
シン  「……俺は知らねえぞ。にしても何だよその姿は……
     ピンクのハッピにハチマキなんか締めて。いつの時代の親衛隊だよ?それ」

 

 〜その頃、スーパーミネルバ放送室〜
メイリン「……いいんですか?こんな事しちゃって」
アスラン「心配するな。全ての責任は俺がとる。」
メイリン「う〜ん……分かりました。
     屋上の集音マイク、最大出力。店内の全てのスピーカーに接続します……いきますよ!

 

アスラン(ミーア…俺はかつて君を救えなかった。
     その罪滅ぼし、と言うわけではないが……今の俺にできる事を君のためにするよ。
     俺の精一杯の贈り物……受け取ってくれ)

 
 

 その時……ミネルバの店内の至る所から、ミーアの歌声が流れた。

 

アスラン《え〜ただいま屋上の特設ステージにて、ミーア・キャンベルのコンサートが開催されています。
     お時間に余裕のあるお客様はぜひお越し下さい。繰り返しお知らせ致します。ただいま……》 

 

客A  「ん?何だ?……聞いたことのない歌だな」
客B  「でもいい歌声ね。軽快なリズムだけど、どこかほっとするような優しさを感じるわ。
     聞いてるだけで元気になれそうな、そんな感じがするわ」
客C  「屋上でアイドルのコンサートか。ちょっと見に行ってみるか?」
客D  「これを歌っている人のCDって出ているのかしら?あったら欲しいわね」

 

 アスランとメイリンの仕掛けた作戦は大成功だった。屋上にスーパーのお客が大挙してミーアのコンサートを見にきたのだ。
 こうして……ミーア・キャンベルの記念すべき初コンサートは小規模ながら大成功を収めた。
 そして、ミーアはステラ達から贈られた両手いっぱいの花束を抱えながらみんなに感謝するのであった。

 
 

ミーア 「ありがとう!みんな……みんな、ありがとう!」

 

          *          *          *

 

 コンサートが終わった後……シンとしんのすけはミーアを労おうと控え室へ行こうとしていた。

 

しん  「いや〜すごいステージだったね!おら、こんなに興奮したのはアクション仮面を初めて見た時以来かも!」
シン  「ああ、本当にすごかったよ。
     俺はアイドルなんて興味なかったけど、ミーアさんのファンにならなってもいいな」
しん  「シン兄ちゃん、ここがミーアおねいさんの控え室みたいだゾ。早くおねいさんの様子を」

 

ミーア 『ほ、本気ですか?!そ、そのお話……』

 

シン  「ん?何か取り込み中みたいだ。しんちゃん、少し待って様子を見よう……」

 

 〜ミーアの控え室。ミーアがサラと名乗る女性と話をしている〜
サラ  「もちろん本気よ。ミーア・キャンベルさん、あなたを我が『ユニウス芸能プロダクション』にスカウトしたいの。
     我が社の専属歌手として、ね」
ミーア 「で、でも私…前にいた会社から睨まれているし、実力だってそうたいしたものでもないし……」
サラ  「あんなちっぽけな芸能プロなど、我が社の力を使えば如何様にもできます。
     それとあなたの実力に関しては……今日のステージであなた自身が証明したじゃない?
     ミーアさん、あなたの歌には可能性がある。私はその可能性を確かに見たわ……
     あなたの歌に無限の可能性をね」
ミーア 「でも…でも私は…ミーアは……その、あの……」

 

サラ  「……何を言いたいのかは何となく分かります。
     ミーアさん、あなたのその顔は……整形手術によるものですね?」
ミーア 「うっ……し、知っていたんです…か?」
サラ  「もちろん。これからスカウトしようという人の事は徹底的に調べ上げるのは我が社の基本方針ですから。
     顔の整形……特に大きな問題ではありませんね」
ミーア 「で、でも…!これは私の本当の顔じゃないんですよ?
     整形なんて……いつかはバレます。そうしたら私はともかく、あなた達に迷惑が……」
サラ  「ミーアさん、そのような事は心配無用です。我が社が全力であなたをお守り致しますから。
     あなたは思う存分に歌えばいいのです。

 

     あなたの歌を……あなただけにしか歌えない歌を!

 

ミーア 「サラ……さん。どうして、ですか?どうして私なんかをそんなに買ってくれるんですか……?」
サラ  「……今日、あなたの歌を聞いた人達の顔を見ましたか?
     日々の仕事に疲れた彼、彼女たちがミーアさんの歌を聞いただけで、
     あんなに晴ればれとした、生気に満ちた顔を取り戻したんですよ。
     ……あなたの歌には人を元気にする効果があるのです。
     私はその歌を日本中、いえ世界中の人たちに聞かせてあげたい」
ミーア 「ミーアの歌で…みんなが元気に……(しんちゃんも言ってた…私の歌を聞くと励まされるって)」
サラ  「それを今日のあなたのコンサートで痛烈に感じました。それが…ミーアさんをスカウトしたい理由です」

 

ミーア 「……分かりました。サラさん、よろしく……よろしくお願いします!
     ミーアは歌います。みんなの為に!
サラ  「こちらこそ、これからよろしくお願い致しますね。ミーア・キャンベルさん」

 

シン  「うわあ!しんちゃん押すなよ!」
しん  「すごいゾ!遂にミーアおねいさんがメジャーデビューするんだ!大ニュースだゾ!」

 

ミーア 「しんちゃん!……来てくれたのね」
しん  「うん!おめでとうミーアおねいさん!」
シン  「お、俺も。おめでとうございます。ミーアさん」

 

ミーア 「ありがとう……しんちゃん…シン君。……ぐすっ…ありがとう…ありがとう、みんな……!」

 

          *          *          *

 

 そして…ここはスーパーミネルバ、店長室。

 

ギル  「すまないねタリア…無理な頼みを押し付けてしまって」
タリア 「まったくよ。たった2週間でミーアさんのコンサートを開催しろなんて……
     しかもヴィーノとヨウランの2人は仕事をサボるし、アスランとメイリンすら勝っ手なことするし、
     今日の営業が滅茶苦茶よ!もう!」
ギル  「いやはやすまない。それでサラ君、どうだったかね。ミーア君は?」
サラ  「思わぬ掘り出し物でしたわ。あれほどの原石が春日部に眠っていたとは……」
ギル  「それじゃミーア君は?」
サラ  「本人次第で一気にスターダムの階段を駆け上がることも可能でしょう。彼女には無限の可能性がありますわ」
ギル  「そうか……良かった」

 
 

タリア 「ねえギルバート?あなたは何でこんな事を仕組んだの?ミーアさんの……為?」
ギル  「ああ。私はかつて彼女を、ミーア・キャンベルという少女を政治の道具としてとことん利用した。
     ただ純粋に歌手になりたかった、ラクス・クラインに憧れていた普通の少女を……私は……」
タリア 「ギル、あなた……」
ギル  「せめて彼女に罪滅ぼしをしたかったのさ。
     それで私の罪が消えるとは思わないが、せめて彼女にチャンスだけは与えてやりたかった……
     それがこの茶番劇を仕掛けた理由さ」

 

タリア 「まったく……足長おじさんでも気取るつもり?もう、あいからわず不器用な人なんだから」
ギル  「ふっ…それは昔から知ってるはずだろう?
     私は……私は願う。彼女の歌声が今度こそ平和な世界にやすらぎをもたらす事を。
     そして私はさらに願う。彼女が、ミーア・キャンベルという少女が、今度こそ幸福な人生を歩めることを」
タリア 「そう……そうね、幸せになってほしいわね。私も願うわ……彼女のこれからの人生に幸多からん事を」

 
 

 数年後……サラの言葉通り、ミーアはアイドルのスターダムを一気に駆け上がった。
 彼女の歌は聞く人すべての心を癒し、ミーアはみんなのために歌い続けるのだった。
 ミーア・キャンベルのコンサートチケットは毎回瞬く間に完売したのだが……ただ1つだけ……ミーアがこだわり続けた事があった。
 それは最前列の席を十数席、必ずミーア個人のためだけに用意すること。
 それはミーアをいつまでも応援し続けてくれた、しんのすけ達のための席なのだ。
 たとえ、しんのすけやシン達が見にこれなくても…ミーアはその席を他の人に明け渡すことは絶対にしなかったという。

 

 それは彼女が引退するまで続けられたのだった。
 何故ならそれが……しんのすけ達とミーアの誓いだったから。

 
 

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