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Seed-Crayon_6-321_1

Last-modified: 2008-07-08 (火) 18:01:51

キラ・ヤマトによろしく、だゾ
【前編】

 

キラ  「それで?問題の患者さんはどういう方なんです?」
看護婦 「はい。彼女は2年前にシャトル事故に遭いまして……
     乗務員の中でただひとり、彼女だけは奇跡的に一命を取り留めたのですが、
     後頭部に小さな金属片が突き刺さっている影響で……」
キラ  「ずっと昏睡状態、か。しかし手術で金属片を摘出できれば患者も目覚めるかもしれない……
     でも、おかしいね?何でそんな厄介な患者が、春日部の病院の、それも非常勤医師の僕の所に来たんだろ?」
看護婦 「それは……先生が、外科手術の技術に関しては天才的だからじゃないですか?」
キラ  「……そうかな?僕程度の腕なんて、そこらじゅうにゴロゴロ居ると思うけど」

 

看護婦 「とにかく、まずは患者を診察してみて下さい。昨日からうちに入院してますから」
キラ  「やれやれ……面倒な事にならなきゃいいけど」

 

 ……コンコン

 

看護婦 「入りますよ〜。先生どうぞ」
キラ  「あれ?病室に名前のプレートが付いていない……患者さんの名前は何て言うの?」
看護婦 「それが……名前は分からないんですよ。なにせ事故のただ一人の生き残りで、しかも昏睡状態ですから……」

 

キラ  「ああ……そ、そうなのか。それじゃ、さっそく診察を」
看護婦 「はい。お嬢さん、失礼しますね?」

 
 

 看護婦がべッドのシーツを取り払った。すると……
 そこべッドには幼い少女がひとり、ただひたすらに眠り続けていた。

 
 

キラ  「ッッ?!」
看護婦 「さあ先生。まずは何から……先生?」

 

キラ  「う……嘘だッ!
     な、なぜこの子がこんな所に!死んだはずだ!
     僕は、あの時の僕は…君をま、守れ……守れなくて……う、うわあぁぁぁぁ!

 

看護婦 「せ、先生?あの、ヤマト先生!ど、どうしたんですか!?」

 

 

少女  「(ごそごそ……)いままで守ってくれて、ありがと」
キラ  「(折り紙の花を受け取って)……ありがとう」

 

キラ  「やめろぉー!それには……!」
イザーク「逃げ出した腰抜け兵がぁーッ!」
キラ  「あ…ああ……うわああああああ……!」

 

 

キラ  「あの時…僕は君達を守ることが出来なかった。
     正直、今の僕には…君が生きていて嬉しいって気持ちと
     2年もずっと眠らせてしまう事になってごめんっていう、2つの気持ちがあるんだ……

 

     僕は……僕の戦争はまだ終わってなかったんだ、な」

 

看護婦 「あ、あの…それで先生、オペの日程のことなんですが……」
キラ  「僕は…僕には、この子の手術はできないよ」
看護婦 「……え?」

 

キラ  「僕の力が足りなかった為に一度、この子は死んだんだ。
     今さらどの面さげてこの子の体にメスを入れるっていうんだ…?
     僕には成功する自信がないし、それに……
     万一成功してこの子が目覚めたとしても、僕はこの子になんて言えばいい?
     お父さんもお母さんも、もうこの世に居ない。君はひとりぼっちなんだよ……て?」

 

看護婦 「でも、この子を救えるのはもうヤマト先生しか……」
キラ  「ごめん。でも……僕には無理なんだ。本当に、ごめん……」

 
 

 その後……病院を後にしたキラはひとり、悩みながら家路につくのだった。

 
 

キラ  「……しょうがないじゃないか。
     僕だって……僕だって本当はあの子を助けたいんだ!
     でももし、手術をミスして今度こそ本当にあの子を殺してしまったら!
     そう思うと僕は恐い!恐いんだ……仕方ないじゃないか……!」

 

シン  「あっ!やっと見つけた……お〜いキラさーん!」
しんのすけ「ほっほ〜いキラ兄ちゃ〜ん!」
キラ  「ん…?ああ、シン君にしんちゃんじゃないか。…僕に何か用、かい……?」
しん  「どうしたの?なんか元気ないようだゾ?」
キラ  「……そんな事ないさ。ただちょっと仕事で疲れただけだよ」
シン  「まあいいや。キラさんに会いたいって言う人(?)がいるんだ。ちょっと俺達と来てくれないかな?」

 

キラ  「僕に……会いたい?誰だいそれ」
しん  「まあまあ、行けば分かるゾ。それじゃ出発おしんこ〜!」
キラ  「?」

 

          *          *          *

 

 〜野原家・シンの部屋の前〜

 

シン  「じゃじゃ〜ん!本邦初公開!ここが俺の部屋でーす!」
キラ  「……で?僕に会いたいって人がこの中に居るっての?」
しん  「うんそう。でも、おらとシン兄ちゃんはここまでね。あとはキラ兄ちゃん一人でよろしく〜♪」
シン  「いっけね!もうすぐアクション仮面が始まっちまうぞ!急げしんちゃんッ!」
しんの 「おおうブ・ラジャー!」

 

 ドタドタドタ……

 

キラ  「なんなんだ一体……?しょうがないな。失礼しま〜す……」

 
 

 キラはシンの部屋に足を踏み入れた。しかし……その部屋には人影がまったく存在しなかった。

 
 

キラ  「誰もいないじゃないか!まったくもう……2人して僕をからかったのか?冗談にも程が」
??? 「……さん。…キラ…おに……さん…」
キラ  「え?今…何か聞こえたような?……あっ…」

 

少女  「…キラ、お兄さん。お久しぶり、です。」
キラ  「き、君は……僕に折り紙の花をくれた!幽霊ってことは、やはり君は死んで……!」
少女  「ううん。私はまだ、生きています。あの病院で……昼間、お兄さんと私会ったでしょう?」
キラ  「やはりあの女の子は君だったのか!じゃあここに居る君は霊魂だけの存在?」
少女  「うん。私なぜか最近、この部屋の呪縛霊になってしまって……
     で、この部屋を使ってるシンお兄さんにキラお兄さんのことを聞いたの。
     それで……今日、私が頼んであなたを連れてきてもらったんです」

 

キラ  「僕を呼んだのは……復讐するため、かい?……
     いいよ。僕は、僕のせいで君を死なせてしまったんだ。君が僕を殺すなら僕は一切抵抗しな

 

少女  「甘ったれないでください!
キラ  「……え?」

 

少女  「死んだくらいであなたの罪が許されると本気で思っているんですか?
     死ぬってことがどういう事か、あなたにはまるで分かってない!
     死ぬことが責任とる手段だと思われたら、こっちが迷惑です!」
キラ  「……ごめん。でも…僕は、僕は……」

 

少女  「もう……自分を責めるのはやめてください。私はキラお兄さん、あなたを恨んでなどいませんから……」
キラ  「え…どうし、て……?」
少女  「それは…ずっとキラさんを見ていた、から。
     悩んで…苦しんで。それでもみんなを守る為に戦ってきたこと、私はみんな見て、知っているから。
     だからもう……あ……」

 

キラ  「あ、あれ?君の体がだんだん透けて見えなくなってくる……ど、どうして?」
少女  「霊感が低い……キラ…さんに、私の姿が見えるように…がんばっ…けど……もうげん…かい…みた……です」
キラ  「あ、あ、消えちゃう……!まだ僕に言いたいことあるかい!は、早く!」
少女  「わたし……の……な…まえ………」

 
 

キラ  「名前!君の名前は………消え、た……

 

     僕は、僕は何をすればいい?あの子の為に……決まってるッ!
     僕がやるんだ!あの子の手術を!必ず成功させて、その時こそ名前を教えてもらうんだ……!」

 
 

ひろし 「……お、おい。なんか部屋の中でキラ君がひとりブツブツ言ってるぞ?」
みさえ 「ど、どこか変な子だとは思ってたけど、とうとう頭のネジが1本はずれたのかしら……?」

 
 

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