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Sin-Meer_PHASE03―ミネルバ隊―

Last-modified: 2007-12-17 (月) 15:46:28

PHASE03―ミネルバ隊―

 

#1
 ハーイ♪勇敢なるザフト兵の皆さーん♪ラクス・クラインでーす♪

「何してんだ?ミーア。」
「ほら、議長も仰ってたじゃない?補給先の基地でライブをやるって。その時の練習してたのよ。」
「ふーん?何だか知らないけど、大変そうだな?」

 今、私達はミネルバの食堂で意味も無く時間を潰している。連合の戦艦が見つからなくて、出撃は無いみたい。
 相変わらず興味無さそうにシンが頬杖をつきながら私の話を聞いている。でも、もう少し興味持ってくれても良いんじゃない?
 あ、あくびした。

「シンって音楽とか聴いたりするの?」
「何だよいきなり?まぁ、これといって聴いたりはしてないけど…どうかしたのか?」

 はいー話題終了。

「趣味とか無いの?」
「趣味…かぁ。そうだな、うーん………シミュレータは趣味っていうより訓練だし…。特に無いかもしんないな。」

 はいー話題終了。

「シンに聞いても無駄ですよ?ラクス様。」
「あら、ルナマリアさん。」

 ルナマリアさんが呆れた顔でシンを見ながら、

「シンってばアカデミーに居た頃からこんな感じで…“話題殺しのシン”なんてあだ名つけられてたくらいなんですよ。」
「何だよルナ。人をつまらない奴みたいに言うなよな。」

 流石にムッと来た様で、

「ルナだって俺の事言えないだろ?アカデミーに居た頃、隣のクラスの奴がアホ毛のミーハーのスペシャル様なんて言ってたぞ?
 プライバシー保護の為、名前は伏せておく。」
「いや、何よそのスペシャル様っていうのは。ていうかそれ明らかに言ったのシンでしょ?」
「俺じゃないから。な?レイ」
「いきなり振るな。それと、俺まで巻き込むな。」

 まぁ、何て言うか…はたから見たら仲良し三人組よね?これ
 いつの間にやら私は蚊帳の外にされてるし。

「そうよ、レイ。シンに今こそバシッと言ってやりなさい。」
「だから俺を巻き込むな。」

 

#2

 うーん……暫くは三人共取り込み中だし、方っておきましょ。
 「触らぬ神に祟り無し。」なんて言うものね。食堂を出ようとすると、見覚えのある顔が…確か、メイリンさんだったかしら?

「あ…ら、ラクス様。」
「ごきげんよう。メイリンさん。」
「あっ…こ、こんにちは。今日も大変良い天気ですね?」
「宇宙では天気は無のではありませんか?」
「あぁ…!?す…すみません!!」

 どうやらすっかり緊張しちゃってるみたい。あ、そっか…今は私、ラクス様なんだ。

「そんなに堅くなる事はありませんわ。どうか、肩の力を抜いて下さい。」
「は、はい!!あ…あの、お姉ちゃ…姉を見かけませんでしたか?」
「ルナマリアさんなら彼処にいらっしゃいますわ。」

 私の指差した先には、相変わらずシンと言い合ってるルナマリアさんが居る。レイは我関せずと言わんばかりにそっぽ向いて座っている。

「あ…居ました。ありがとうございます。ラクス様。」
「いえいえ、ルナマリアさんに何かご用だったのですか?」
「個人的な事で少し…。すみません、失礼します。」

 ペコリと頭を下げて、パタパタと走って行っちゃった。
 シンとルナマリアさんも、流石に疲れた様で、口論はもう終わっている。

「ハァ…折角の休憩なのに、何で俺はこんな疲れてんだ?」
「それは、シンが……」
「もう!!お姉ちゃん、ちょっと来てよ。」

 そんなやり取りを見守っていた私に、背後から急に、

「何してるんだ?ミー…じゃなくてラクス?」
「ふぇっ!?あ、アレックス。急に驚かさないでよ。心臓が止まるかと思ったわ。」

 アスランは笑いながら、

「それは済まなかったな?だが、君が食堂を覗き込んでいたからね。まぁ、通してくれるか?」
「今からお食事?」
「あぁ、カガリが腹を空かせててね?」

 そう言って、アスランは食堂に入って行った。

 

#3

 何だか退屈。そう思うのは不謹慎だと思うけど、シンもアスランも構ってくれないし。
 ちょっと気分転換に、自販機コーナーまで歩いて行くと、シンが渋い顔でコーヒーを飲んでいる。なんだか、「マズイけど癖になる味」みたい。私にはいまいち理解出来ないわ。
 声を掛けようとしたその時、

「シン。此処に居たのか。」

 来たのはアスラン。そっか、さっきの食堂から出てきて一時間も経ってるし、流石に食べ終わってるわね。

「何ですか?アレックスさん。」
「アスランで構わないよ。少しだけ気になる事があってね?君と話したいと思ってたんだ。」

 なになに?何の話かしら?
 ………って立ち聞きなんかしちゃ駄目よ、ミーア。私はそんな娘じゃないのよ!!

「アスハの事ですか?」
「あぁ…議長から聞いたよ。君が元々オーブの出身だっていう事も…。
 どうしてあんな事を…」

 アスランがそう言った途端に、シンの表情が険しくなる。

「どうして?決まってるじゃないですか…。俺の家族がアスハに…アイツの親父に“殺された”からだ!!!!」
「………。」
「綺麗事ばかり並べて…それで自己満足して…最後の最後にアイツ等の選んだ道のせいで!!」

 その時のシンの顔は怖かった。
 アスランは押し黙って、シンの言葉を聞いている。

「そうか…済まない…。変な事を聞いたな……。」
「別に…構いませんよ。アスランこそ、どうしてアスハの護衛なんかやってるんです?」
「………俺は、アイツを…カガリを守りたい。そう思ったからかな?
 まだまだポカも多いし、まぁ…あの通りの奴だけど…誰よりもオーブを思ってるから…今のオーブをきっと変えてくれるさ。」
「………気持ちで国は変えられませんよ。それに…俺はそんな曖昧なものなんて信じたくない。」

 そう言って紙コップを握り潰して、ゴミ箱に投げる。

「手厳しいね?君は。」
「誰だって…誰だって大事なものを失くせばそう思いますよ…。」

 シンは立ち上がって、ズカズカと歩いて行った。
 アスランは一人、苦い表情を浮かべていた。

 

#4

「………何でしょう?」
「あ、いえ、何でもありませんわ♪」

 アスランは声掛け辛かったし、ちょっと歩き回ってたらまたもやターゲットが見つかったから良いかな?なんて♪
 でも、ちょっと視線がキツイわね。この子…。隙が無いっていうかなんて言うか。

「レイはシンの事は何かご存知でしょうか?趣味とか、好きなものとか。」

 とりあえず、ちょっと話題を振ってみる。少し考える様にして、

「シンは、自分の事はあまり話したがらないので、自分には何とも言えません。
 ですが、そうですね…いつも妹の携帯電話を持ち歩いています。」
「あの携帯…シンの妹さんの物なのですか?」
「唯一の形見…だそうです。」

 そっか、妹さんの物だったんだ。確かに、男の子が選ぶ色じゃないものね。ピンクって。

「そうですか…。あなたは普段何をなさっているのです?」
「自分ですか?自分は…報告書の作成等で自分の時間は取れないもので…、オフの日は、ミネルバのクルー達と出掛けたりはしていました。」
「クルーの方々ですか♪個性的な方々がいらして、とても賑やかそうですね♪」
「えぇ、賑やか過ぎて逆に疲れるのが二人居ますが…。」
「誰の事だよ。誰の」

 シンが素敵な笑顔を浮かべて、レイの背後に立っている。何だか殺気を感じるわ。

「お前とルナマリアだ。」
「スッパリ言うなよ!!」
「俺は嘘を吐かないのを信条に生きて行こうと思ってな。自分に嘘を吐いたらいけないだろう?」
「本当…ああ言えばこう…。」

 手をわなわなと奮わせて、シンのボルテージが段々と高まって来た…と思ったら、何かを思い出した様に、

「ったく………。
あ…そういえば、議長が血相変えてみんなを呼んでたんだ。至急ブリーフィングルームに来て欲しいってさ?
 早く行こうぜ?レイ。」
「それを早く言え。」
「うるさい。いらん話をしてるから悪いんだろ。」
「私は?」
「ラクス様も一応来て下さい。」

 という訳で、私もブリーフィングルームに行く事になった。ところで、ブリーフィングルームって何室?

 

#5

 ミーアの解説だと、いまいち要領を得ないだろうから、此処からは俺が…。

「あー!?シンずるい!!(小声)」
「うるさい、いいから議長の話をちゃんと聴けよ。(小声)」

 議長の話によると、ユニウスセブンの軌道がずれ始め、このままだと地球に墜ちる…というものだった。
 既にジュール隊がメテオブレイカーでの破砕作業に向かっているらしいが、謎のテロリスト集団が襲撃して来て作業がなかなか進まないそうだ。
 流石にクルー達も緊張した面持ちで話を聞いている。

「………という事で、ミネルバ隊にはユニウスセブンへと向かってもらう事となった。
 だが、一つ問題も有る。グラディス艦長…頼む。」
「はい、所属不明の連合艦が、その通り道で我々を待ち受けています。ですが、回り道をしている余裕はありません。」
「つまり…突っ切るという事ですか?」
「そうなるわね。そうしないと、とてもじゃないけど間に合わないわ。」

 成る程ね、笑って出来る話じゃないな。ミーアはちんぷんかんぷんな顔をしてるが、今は無視するしかない。
 レイもルナも、既に殺気立っている。此方の準備はもう出来ている。
 が、突然アスハが立ち上がり、
「済まない、デュランダル議長。アレックスも是非参加させてくれないか?」
「議長…自分もお願いします。」
「協力してくれるかね?」
「他人事では済まないからな…」

 相変わらずアスハにはイラっと来るが、アスランも参加してくれるのは心強い。

「では、パイロット諸君。戦闘配置に着いてくれ。」
「ハッ!!」

 そして、俺達はMSハンガーへと走って行った。

「………え?」

 一人、話に置いて行かれたミーアを置いて…。

 

#6

 コアスプレンダーに乗って、待機していると、ミーアがパタパタと走って来た。

「ミ…ラクス様!?どうしてこんなとこに!!」

 正直、この場には全然似つかわしくない。俺の頭が混乱気味になっていると、目を伏せて、どこか悲壮感すら漂う表情を浮かべている。

「シン…お願いね?私、何も出来そうにないから…。分かってても、やっぱり辛い…。」
「………大丈夫だよ。ミネルバは俺が守るし、あんなものを地球に墜とさせるつもりもない…俺達がさせない。
 あと、こんなとこに居たら危ないだろ?もしラクス様が怪我しました…なんて言ったら、俺の首が飛ばされる。」

 実際、俺の首云々はどうでもいい。ただ単に、怪我されたりするのを見るのが嫌なだけだ。

「さ、早くブリッジに戻るんだ。議長やみんなが心配してるんじゃないか?」
「そ…そうね♪心配掛けちゃいけないわね♪
 頑張ってね?シン。」
「あぁ、任せろ。」

 そう言うと、ミーアが元来た道を戻って行く。

「ふぅ。期待大ってか?プレッシャーキツイなぁ…。」
「どうしたーシン♪愛の語らいはもう終わりか?」
「ヨウラン…とりあえず、後で新必殺技の餌食にしてやるからな?」
「すみませんでした。」

 何か最近変な目で見られてると思ったら…お前かヨウラァァァァァァァン!!!!
 変な噂ばっか流しやがって…あれ?涙が出ちゃう。…って落ち着け俺。俺はクールな男だ。

「ったく…。シン・アスカ。コアスプレンダー…行きます!!」

 今回の装備はブラストインパルス。砲撃戦に特化した装備だが、ビームランスも搭載されている為、接近戦も少しは対応出来る。
 欲を言えば、ビームサーベルが欲しいのは内緒だ。

『シン…。カオス、アビス、ガイアの三機が現れた。砲撃での支援を頼む。』
「あぁ、任せろ。」

#br

#7

――ミネルバ艦内

『……ウ…デュランダル議長。いらっしゃいますか?』
「あぁ、私だ。状況の方はどうかね?イザーク。」

 デュランダルが、ジュール隊隊長イザーク・ジュールと通信している。

『ハッ!!状況は悪化の一途を辿っております。それと、一つ気になる事も…』

 イザークの表情に若干怒気が現れる。

「気になる事…かね?」
『テロリスト共の使用しているMSですが…アレはザフトの物です。』
「……何だと?」
『何者かが滷獲した物かもしれませんが…詳細は不明です。』

 モニターに映し出されたMSを見つめる。

「ふむ…分かった。引き続き頼むよ、イザーク。たとえ何者であろうとも…卑劣なテロリストからメテオブレイカーを守り抜いてくれたまえ。」
『ハッ!!』

 イザークが敬礼し、通信が切れる。

「……我ながら情けないものだな。まだ私はプラントを掌握出来ていない…か。」

 苦笑し、天を仰いだ。

――デブリ帯
『押し通る…!!邪魔をするな!!』『舐めるなこの野郎!!!!』

 アスランのザクがカオスを相手に、一方的に圧している。レイのザクもアビスと対等にやり合っている。

『…っ!?デブリが多すぎて、狙いが…!!シンはどう?』
「こっちもだよ!!ていうか、そんなに邪魔なら薙払えば良いだろ!!」

 俺は、ガイアと取っ組み合いの喧嘩状態だ。相手もブラストシルエットの弱点を突いて来ている。
 ビームランスでビームサーベルを受け止めているが、そんなこのままだと真っ二つにされる。

「邪魔なんだよ……このワン公があぁぁぁ!!」

 ミサイルポットを展開させ、ありったけぶっ放す。PS装甲に実弾はあまり意味を成さないが、中のパイロットには関係無い。

『ぅっ…!?お前…お前えぇぇぇ!!』

 ガイアが獣型に変形し、再度俺に迫って来た。

 

PHASH03―END