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Sin-Meer_PHASE09―感応―

Last-modified: 2008-01-23 (水) 22:52:39

PHASE09― 感応

 

#1

『全軍、遅れるな!!今度こそ、三機を奪い返せ!!大破させても構わん。データは取れる。』
『はいはい、りょーかい♪』
『了解。』
「了解…。」

 三機を巡って、敵の艦隊との戦闘になった。しかし、不可解だ。
 敵は、連合の他にザフト軍…ユニウスを墜としたテロリストまで居る始末。テロリストは何故、連合と…いや、“どうやって”連合と手を組んだ?
 公になったニュースでは、ユニウスを墜としたのはザフトの仕業になっている。そして、テロリスト達もまたザフト。
 何をしでかすか分からない連中と手を組む事に、利点など有る筈が無い。

「チッ……考えている場合でも無いか!!」

 セカンドシリーズ最新型のセイバーに、型遅れのジンが性能で勝てる道理は無い。だが、それはパイロットの腕を無視すればの話だ。
 いくら性能で勝っていても、俺の腕が追い着かなければ単なる的に過ぎない。それに、相手はジンで墜ちるユニウスを守りきった精鋭達だ。

『ディアッカ!!エターナルの守り、及び狙撃は貴様に任せるからな!!しっかりやれ!!!!」
『了解。ちっとアツい展開になってきたぜ!!』
「……そこまでだ!!」

 ビームでウィンダムの群れを薙払い、ある程度私が果たしたからなぁ。

「本命はまだ先か…」

 

#2

 カオス、アビス、ガイアまで現れた。ジュール隊の面々の前で不利という事は無いが、現れて嬉しくも感じない。

「……邪魔な奴等だ!!」
『ヘッ…居やがったぜ!!あの赤い奴……!!!!』
『スティング、あんまり出張るなよー?ネオにまた怒られちゃかなわねぇしー。』

 俺がジュール隊に入って、かれこれ三回は越える戦闘。コイツ等にいつまでも付き合ってはいられない。貴様等にどんな意図が有ろうとも、俺達には関係無い。

『今回は墜としてやんよ!!このうざってぇ赤い奴を!!』

 ガンバレルがしつこく追って来る。

『レイ。邪魔者の相手は貴様に委ねる。せいぜい俺の期待に応えろ。』
「了解…。」

 やられはしない。銃口さえ見ていれば、ビームも大した脅威にはならない。ただし、何処から攻めて来るかを読まなければガンバレルを避ける事は出来ない。

『墜ちろォ!!赤いの!!!!』
「やるかよ……!!!!」

 ガンバレルにビームサーベルを投げる。フラッシュエッジの要領で。シミュレータのシンがとった戦法だ。フラッシュエッジとは異なり戻っては来ないが、奇襲するという意味では使えなくも無い。
 ガンバレルは真っ二つに割けて炎を噴き上げる。一か八かの賭けだったが、何とか成功だ。
 次は使えないがな…。

『この野郎!?』
「そう簡単にはやれん!奪われたまま…というのも、性に合わないのでな!!」

 前方からはビームクロー、後方からはガンバレルが俺を狙って来る。

「チッ…!小賢しい!!」

 

#3

 変形して、その場から離脱。
 挟まれたままでは分が悪い、回り込んで…討つ!!

『テメェ!?なんて機動性だ!!』

 F・インパルスすら凌ぐ機動性を持ったセイバーに、そうそう追い付ける筈など無い。

「……っ!?なん…だ…?」

 頭に“何か”がよぎる。

『どうした?レイ。』
「何かは分かりませんが…“来ます”!!」
『何を言って……』

 途端にレーダーに機影が映る。かつて、シンと共に遭遇したあのMAだ。

『チッ…新手か!!全員、気を抜くんじゃないぞ!!!!』
「了解…。」

 何故だ?何故…俺は奴が来るのを予測出来たんだ?本来は有り得ない事だ。レーダーよりも先に…それも、漆黒の宇宙の中でそれを…。
 MAがガンバレルを展開し、俺にその毒牙を向けて来る。

『……?また…あの感覚…やれやれ…ひょっとしたら……あのパイロットがまた居るのかもしれんな。スティング、そこの赤い奴は俺が潰す。』
『っだよネオ!!今更出て来て横取りすんな!!』
『潰されそうになっていた奴の台詞とは思えないな?』

 言い合いながらも、二機のガンバレルが次々と俺を狙って砲撃して来る。

 

#4

 カオスにMA…二機のガンバレルは計六機、その内、カオスの一機は破壊したが、残りのガンバレルは今だ追って来る。カオスの方はともかく、MAのガンバレルは動きが全く読めない。相当な手熟が乗っている。

「不味い…!?このままではいずれ墜とされる……!!」

 その時だった。レーダーに反応有り。ザフト軍の輸送機に、一機のMS…。

『退きな、そこのMS!!』
『何だ?』

 眩いオレンジのMSが割って入って来た。そのMSの右腕から伸びた“何か”がMAのガンバレルを射抜く。

『何っ!?』

 そして、盾から大剣を引き抜くと、カオスのガンバレルを叩き斬りそのままカオスを蹴り飛ばす。

『ぐわあぁぁっ…!?』
『何だ…奴は?』

 たったの一瞬で…。なんなんだコイツは?

『そのMS…それに…その趣味の悪い色……貴様か!ハイネ!!』

 叫んだのはイザーク隊長。

『おいおい、行き掛けの駄賃とはいえ、助太刀に来た援軍にそりゃねぇだろ?イザーク。』

 若い男の声。ハイネ…?ギルが言っていたミネルバ隊に配属されるフェイスのパイロットか…。

『援軍など頼んでおらん!』
『イザーク…今はんな事言ってる場合じゃねぇだろ?』

 イザーク隊長はテロリスト達を斬り伏せ、ディアッカさんはアビスと激しい砲撃戦を繰り広げながら通信している。
 戦闘中に軽口を叩きながらこれだけの…ハイネといい、イザーク隊長達といい…とんだ化物だ。

『ハハハ、相変わらず苦労してんのな。ディアッカ。ま、とっとと殲滅しちまおうぜ?』
『煩い!そんな事は貴様に言われんでも分かっている!!』
『頼むから静かにしてくれよ…イザーク。』

 俺も負けてはいられない。あのMA…俺の中で“何か”が引っ掛かるアイツを墜とす!!

 

#5

「お前はっ!お前はいったい何者なんだ!!」
『っ…!?コイツ…なんなんだ?この感覚は…。』

 頭痛がする。吐き気もだ。今までこんな感覚は無かった。俺は…どうなっているんだ?
 先程まで見切れなかった相手の攻撃が、今は手に取る様に分かる。

『くっ…またガンバレルが墜とされちまったか!……時間も稼いだし…頃合いか。』

 MAが背を向ける。逃げるつもりか…!!

『撤退信号かよ!まだ暴れ足りねぇってのによ!!』
『ふん、墜とされなかっただけありがたいってもんだ。』
『撤退…。』
『旦那、後は頼むぜ?“予定通り”にな。』
『ふん…ナチュラルの言いなりになるのは癪だが…。仕方ない、我等が大義の為…。』

 連合の機体が次々に戦線を離脱して行く。

『撤退するつもりか!!総員、奴等を逃がすな!!』
『駄目だイザーク!テロリスト共が邪魔で狙撃すら出来やしねぇ!!』

 テロリスト達がしつこく付きまとって来る。くそ…こんな奴等に構っている暇は無いというのに……。

「逃がすものかっ!!」
『行かせはせぬわ!』

 斬機刀の柄で打たれた。ライフルが衝撃で落ちる。

「ぐおっ……!?このっ…売国奴が!!!!」

 ビームサーベルでコクピットを貫くと、力無く腕を垂らし…少しのタイムラグと共に爆散した。
 撃墜こそしたものの、連合の連中は完全に逃してしまった。既に大気圏突入を開始している。
 続いて、テロリスト達も撤退を開始した。

 

#6

 エターナル艦内MSドッグ。

「くそっ!!奴等にまんまとやられた!!!!」
「イザーク…落ち着け。奴等はハイネが追ってったんだ。後は…奴に任すしかない。そうだろ?」

 イザーク隊長をディアッカさんが宥めている。
 あの後、ハイネは連合軍を追って地球へと降りた。ジュール隊はテロリストを追え…との指示を受けた。
 イザーク隊長は余程屈辱的だったのか、ずっとあの調子だ。

「レイ、そういや…何か調子悪かったみたいだけどよ、大丈夫なのか?」
「はい、ご心配お掛けしました。もう大丈夫です。」

 “奴”が撤退してからは、あのうっとうしい頭痛も吐き気もすっかり無くなった。
 ギルにその事を話すと、急に口を閉ざし渋い表情になった。ギルはきっと“何か”を知っている。だが、今はそれを問いただす暇は無さそうだ。

「このままでは気が収まらん…ディアッカ!付き合え!!」
「……ひょっとして…またシミュレータか?俺嫌だぜ?もう何回やってると思ってんだよ。」
「次に奴等を墜とす為に、腕を上げる事だ!!不要などとは言わせはせんぞ!!!!」
「うわぁ…すっかりお熱かよ。俺は逃げるぜ!!じゃな!!!!」
「待たんかこの腰抜けが!!」

 ディアッカさんは、付き合いきれずに逃亡した。まぁ…当然と言えば当然だな。

「自分が…。」
「ん?貴様が相手をするのか?良いだろう。では行くぞ!!」
「了解…!!」

 

「熱いねぇ…アイツ等…」
「ディアッカさん…後で、絞られますよ?」
「うん、どうしよう?」
「私は知りませんよ…」

 

#7

『おーい、マユ。待てよ。』
『ふふ♪お兄ちゃんには捕まってあげないよ♪』

『ったく…。』
『シン、マユ?あまり離れては駄目よ?』
『はーい♪』
『分かってるよ。母さん。』

 

 楽しかったあの日…。マユも…母さんも…父さんも居た。何も望まなくても…幸せは常に有った。

『シン、マユ。もうそろそろお昼ご飯だぞ?早く戻って来なさい。』
『はぁーい♪へへ…お兄ちゃん、競争しない?』
『競争?』
『うん♪どっちが先に戻れるかだよ♪よーいドン!!』
『あ!?ずるいぞマユ!!いきなりスタートするのは反則だろ!?』
『勝てば良いの♪』
『言ったな?』
『あぁ!?お兄ちゃん速い!!』
『へへ♪マユが俺に勝てる訳なんて無……―――』

 途端に、場所が変わった。

『ハァ…ハァ……。』
『あ!?マユの携帯が…』
『諦めなさい!!今は、逃げる事が先なのよ!!』
『俺が取って来る!!』
『シン!!』

 あ…駄目だ!!みんな…“こっち来なきゃいけない”んだ!!
 だけど…何も変わりはしない…何も……。光の矢が、全てを吹き飛ばした。

『マユ?…母さん?…父さん?………う…うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!!』

 “見るかげも無い”俺の家族だった残骸に、空を駆ける蒼い翼の…一機のMS。
 俺には、それが悪魔にしか見えなかった。
 悪魔の残した…質の悪い悪戯にしか見えなかった。

『…ぅ…うぅ……!!……る…殺してやる…殺してやる…殺してやる…殺してやる!!!!』
『ハハハ…お前も“アイツ”と同じ事をするのか?そりゃ良いな、やれよ?きっと“すっきり”するぜ?』
『違う…!!俺は!!!!』
『同じだろ?お前だって…今まで沢山殺してきたろ?大勢死んだ…みんな助けを求めてたぜ?』

『違う!!俺は…俺はっ!!
うわあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!』

 そこで…俺は目覚めた。

 

PHASE09―END