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Sin-Meer_PHASE11―月下の戦場―

Last-modified: 2008-03-19 (水) 10:26:01

PHASE11―月下の戦場―

 

#1

 オーブ近海で俺達を待ち受けていたもの。それは、おびただしい数の連合艦だった。夜というせいもあって、目視で確認するのは難しいが、メイリンの話では十隻との事だ。MS舞台もそれは“結構”な数らしい。
 更に追い討ちを掛ける様に、オーブ側から砲撃されている。

『どうやら…私達は連合に売られたみたいね。オーブ側に戻る事は出来ないわ。突っ切るしかないわね…。シン、ルナマリア?今はあなた達しか居ないわ…。頼むわね?』
「了解!メイリン、俺はブラストインパルスで出る!!全艦薙払ってやる!!」
『了解。』
『了解。それにしても…ちょっと突ついたら、うじゃうじゃ出てきそうで嫌だわ。』

 あからさまに不満気にルナがぼやく。確かに…前に戦った時は、戦艦六隻にMS十八機…それでも厳しい戦いだったのに、今回はそれを上回っている。

「それでも…戦艦さえ潰せば!」

 戦艦に向けて、のビーム砲を放つ。しかし、そのビームが戦艦を射抜く事は無かった。

『嘘!?あ…アイツって…この前出てきた……!!』
「あの“カニ野郎”!?また出て来やがったのかよ!!」

 俺達を嘲笑うかの様に、光の盾をかざし…一機のMAが静かに佇む。奴に砲撃戦を挑むのは無謀過ぎる…。しかし、此方は砲撃仕様のブラストインパルスに、ルナのガナーザク…。
 ここはソードシルエットに換装すべきか?
 既に“カニ野郎”が砲撃の準備を始めている。

「クソっ!考えてる暇も無いってのかよ!!メイリン!ソードシルエットだ!!」
『了解。ソードシルエット、射出します!』

 前みたいに…無様にミネルバを撃たせるもんか!アイツを叩き斬ってやる!!

 

#2

『回避!!』

 ミネルバが、MAの砲撃に前もって対処出来た為に今回は避ける事が出来た。
 しかし、MAに接近しようとするも、その周りをしつこく飛び回るMS達の弾幕のせいで、一太刀入れるどころか接近すら出来ない。

「くっ…!?ルナ!援護は頼めるか!!」
『無茶言わないでよ!艦の周りの奴等墜とすだけで此方は精一杯よ!!』

 数機のMSがミネルバの周囲を徘徊し、事有る事にミネルバを狙い撃って来る。
 くっ……!!俺は…どうすれば良いってんだよ!!
 MAにフラッシュエッジを投げるが、弾幕で墜とされる。ビームライフルで射抜こうとしても、狙う前に砲撃を避ける事で手一杯だ。

「一か八か…賭けてみるしか無い…ってか?悪い冗談だ!!」

 しかし、いつまでもこの状態ではミネルバはやがて墜とされてしまう。俺がやるしかない!

『シン!あのMAだけでも何とかして頂戴!!』
「く……っそ…!」

 フルブーストでMAまで突っ込んで行く。装甲が持てば良い…今なら、コオロギがびっしり浮いたプールだろうが何だろうが、飛び込んでやるさ!!
 ビームが何発か被弾する…肩のアーマーが吹き飛び、脚部もビームで切断されるが、それでも俺は“賭け”に勝った。最早、MAは目と鼻の先だ。

「今回は俺の勝ちだ!!!!」

 機体下部から深々とエクスカリバーを突き刺し、ダメージを受けた上半身と下半身を分離する。MAが海中に沈んで行き、爆散する。
 コアスプレンダーは耐久力こそ無いが、的は小さい。むざむざ当てられる事は…多分無い筈だ。

『まさか特攻するなんて…相変わらず無茶するわね?』
「うるせ。メイリン、チェストフライヤー、レッグフライヤー、ブラストシルエットを頼む!ルナは弾幕を張ってくれ!!」
『無茶な注文だわ!』

 

#3

 敵が攻撃の手を緩める事は…期待するだけ無駄か。コアスプレンダーなんていう、インパルスの一番無防備な状態になっちまったからな…。それも、チェストフライヤーやシルエットが来るまでは、バルカン砲しかない。
 更に此方は一発でも当たれば、もれなく撃墜というゾッとしない状況だ。
 なんだか昔、マユと一緒に遊んだ横スクロールのシューティングゲームみたいだな。

「換装するまでが勝負か…!」
『うわっ!?あ、危ないじゃないのっ!』

 ガナーザクのビームがMSを射抜く。ダガーと思わしきMSが爆散し、辺りを照らす。

「ルナ、ザクはまだ持ちそうか?」
『まだ何とかね。ただ…ちょこまかとうざったいわ。アイツ等。…っ!そこっ!!』
『う、うわあぁ―――…』

 鼻を鳴らし、ルナは再度狙撃した。もう一機射抜かれて墜ちて行く。

「それだけ無駄口叩けるなら、まだまだいけそうだな。」
『まぁね。それなりにはしぶといつもりよ?
 シン、アンタこそ気を付けなさい?今撃たれたら、棺桶になっちゃうわよ?』
「ハハっ…洒落にならないな。…っと、そろそろ来るか。」

 ミネルバはまだ装甲が持っているが、それでもそこまで長く耐えれはしないだろう。
 先程から砲撃しようとしている奴には、バルカンを放って牽制してはいるが、大したダメージは与えられない。
 と、ミネルバのカタパルトからブラストシルエット…並びに上半身、下半身が射出される。

『シン!今射出したよ!』
「やれやれ、やっと来たか…。了解!これより薙払う!!」

 

#4

――オーブ首相官邸

「ユウナ!コレはどういうつもりだ!!私はこんな事……」
「カガリ、これはもう決定した事だよ。オーブは連合と同盟を組む事になった。君は、オーブがどうやって此処まで復興したのか…忘れてはいないだろう?」

 カガリとユウナさんが口論している…。とは言っても、カガリが一方的に非難しているだけだけど。
 アスランはアスランで、何か思い詰めた表情で立ち尽くしている。

「しかし!そのオーブを焼いたのも連合だ!!そんな相手と同盟など…」
「連合が駄目ならザフトかい?ところが…そのザフトだって、ユニウスを墜として来た訳だ。連合はおろか、オーブ諸国にも甚大な被害が出たと報告されているよ。
 それでも連合は支援してくれている。今その支援を切られたら、民はどうなる?僕は、ザフトに支援出来る程の余裕が有るとは思えないけどね?」

 それを言われて、カガリが言葉に詰まる。

「だ…だが!ミネルバはユニウスの破砕作業に貢献してくれたんだ!!それを討つなんて!!」
「それを話して、民は納得するのかな?納得させるだけの証拠も無いじゃないか。
 これが答えだよ。君に覆す事は出来やしない。」

 そうだ。カガリの言う事は、多分本当の事なんだと思う。でも、それだけでオーブの人達を納得させるのは不可能だ。実際に被害を受けて…傷付いた人達には。

「カガリ…感情だけで考えてる様なら、君にこの国を統べる資格は無い。
 僕達の仕事はね?この国の民を守る事だ。その為なら、僕は手段を選ばない。」

 カガリはそのまま黙ってしまった。ユウナさんが僕に歩み寄って来る。

「済まないね。さて、キラ君。君には“少々頼みたい事”があるんだ。来てくれるかい?」
「は、はい…。」

 

#5

 ユウナさんに応接室まで連れて行かれた。いったい、僕に頼みたい事って何だろう?
 応接室の扉が開く。すると、仮面を被った一人の男性が窓の外を眺めていた。

「彼を連れて来たよ?ネオ・ロアノーク大佐。」

 ロアノーク大佐と呼ばれた人が、此方を振り向く。何だ…この人…?まるで………

「あぁ、ご苦労だったな。ユウナ・ロマ・セイラン。
 そして、初めましてかな?スーパーコーディネーター君?」
「なっ……!?」

 どうして僕の事…?それに、今の声は…“あの人”?
 そんな…有り得る筈が無い。“あの人”は…二年前に死んだ筈じゃないか!!

「それでは、僕はこれで…。」
「あぁ、それではまた後程…。」
「ど…どうしてあなたが!どうしてあなたが此処に居るんですか!!ムゥさん!!」

 僕が“彼”の名前を呼ぶと、彼は「何を言ってるんだ?」という様な表情で、

「おいおい、誰だそりゃ?良いか?坊主…俺はネオ・ロアノークだ。誰と勘違いしてるかは知らんが、人の名前は覚えろよ?」

 別人…なのかな?でも、雰囲気も話し方も声も…何もかもが“彼”に重なって見える。

「す、済みません。」
「や、気にしてはいないよ。ところで、君が呼ばれた理由…知りたくはないか?」

 そうだ…僕は何故呼ばれたんだろう?何だか、嫌な胸騒ぎがする。こういう予感だけは絶対に外れない。

「我々に協力してもらう。拒否権は無いけどな。」
「…………。」

 サイ…カズイ…。ごめん、暫く帰れそうにないかもしれない…。

 

#6

――オーブ近海

「クソっ!コレじゃ撃っても撃ってもキリが無い……ぐっ…!?損傷が激しくなってきた…。」
『もう!泣き言なら他所で言いなさいよ!!……っつぅ〜…頭打ったわ……。』

 クソっ!数が多すぎる!!
 戦艦はかれこれ三隻墜とした…だけど、此方も相当な痛手を負ってしまった。

『十二時の方向から熱原感知!距離二万…これは…カオス、アビス、ガイアです!!
 それともう一つ………』
『え?えぇ!?こっちはもう手一杯よ!!』
「なっ…!?奴等…やっぱり地上に降りてやがったのかよ!よりによってこんな時に!!」

 出撃前に、艦長が言っていた事だ。“連合の強奪犯が、地上に降りた。”と、ジュール隊から報告が有ったらしい。

「コイツ等に……!こんな奴等に…!!墜とされてたまるかぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」

 トリガーを引く…しかし、ビームが放たれる事はなかった。バッテリーの残料が、既にギリギリまで減っている。
 そして、その隙につけ込む様にダガーが迫って来た。既にビームサーベルを振り上げている。

『貰った!』
『シン!?』
「しまっ……―――」

 ……?斬られて…ない?
 ダガーの腕の肘から先が折れている。いったい…誰が?

『ふぅー…間に合ったみてーだな。いやー…冷や冷やしたぜ。大丈夫か?インパルスのパイロット。』

 上空から“何か”が、此方をめがけて飛んで来た。そいつは、ミネルバの周りを飛び回るMSを正確に撃ち抜き撃墜した。

「たったの一瞬で…三機も!?」

 いったい…誰なんだ?

 

#7

 空から現れたのは、オレンジ色のやたらめったら目立つ機体だった。

『ほら…そこだっ!』
『な…なんだ奴は!?ぐわあぁぁぁ……―――』
「な…なんなんだよアイツ…。」

 そいつは、既に次の獲物を仕止めていた。そして、次の獲物に狙いを定める。

『シン…あれ誰?』
「今はそんな事気にしてる場合じゃないだろ!今のうちだ…メイリン!デュートリオンビームだ!!」『は…はい!!』

 突然の増援だったが、助かったから今はそれで良い。多分、奴が議長の言っていたフェイスの隊長だろう。

『あのオレンジ野郎…!地上に降りて来やがったのかよ!!』
『へへ…今度こそ潰しちまえば良いじゃんか。』
『………』

 今度はカオス、アビス、ガイアの三機が視界に入るまで迫って来た。チッ…面倒な奴等が来やがった!!

『おい、インパルスにザク。』
「は、はい。」
『雑魚は俺が引き受けた。お前達は、戦艦を墜としてくれ。まぁなんだ…奴等の相手はちょっとばかし慣れてっからな。』

 随分な自信家だな…。でも、今は従った方が良いな…。

「ルナ、戦艦を狙うぞ?雑魚はあの人に任せよう。」
『えっ?でも…まぁ、そうするしかなさそうね…。』

 そして、俺とルナは戦艦を狙う事にした。俺達の砲撃を潜って行く様に、そいつがMSの群れに突っ込んで行った。

『テメェ!この前みたいにいくと思うなよ!!』
『ハッ…嫌だねぇ〜。そんなガツガツしてっとモテねぇぜ?』

 触れ合いそうなくらいまで接近した両者が、剣を交えた。

 

PHASE11―END