Top > W-Seed_運命の歌姫◆1gwURfmbQU_第20話
HTML convert time to 0.008 sec.


W-Seed_運命の歌姫◆1gwURfmbQU_第20話

Last-modified: 2007-11-11 (日) 13:06:56

 インド洋でファントムペインの空戦部隊と交戦し、これを破ったミネルバは、
思わぬ足止めを喰らっていた。ファントムペインはインド洋に秘密裏に基地を
建設しており、今回の戦いでそれが明らかとなったのだ。
 これを放置出発するわけにも行かず、ミネルバは急遽カーペンタリア基地に
応援を要請、プラント本国へと緊急連絡が行われた。その連絡の際、ミネルバ
は今回の戦いにおいての『協力者』のデータもを送った。
「氏名、オデル・バーネット。フリーのモビルスーツパイロット、及びジャン
ク屋ね……」
 彼らの前に現れ、その圧倒的な力を見せつけたモビルスーツと、そのパイロ
ットは、現在ミネルバの中にいる。パイロットのオデルが、何の抵抗もせずに
投降したからであるが、どちらかといえばこれは同行である。というのも、オ
デルは敵軍、つまりファントムペインではなく、捕虜として収容することは出
来ない。第一、彼がいなければミネルバは最新鋭機インパルスと、そのパイロ
ットを失っており、また、周囲の民間人にも多大な被害が出たことは疑いよう
がない。
「世界を回りながらジャンク屋家業で生計を立てている。しかし、立ち寄った
インド洋で、ファントムペインが地域住民に強制労働を強いるのを目撃、見て
見ぬふりが出来ず我々との戦闘の際に介入、か」
 ミネルバへ乗船したオデルは、艦長のタリア及び副官のアーサー、フェイス
のアスランと、実際に彼と初対面し、彼をミネルバまで誘導したシン・アスカ
の面々に取り調べを受けることとなった。
 オデルは自分の身分や、戦いに介入した経緯などについては包み隠さず話し
たが、自身の機体については口を割ろうとしなかった。
「あの機体については何も答えられない。アレをどうこうしようと言うのなら、
その時は抵抗させてもらいます」
 穏やかな口調だったが、ハッキリとした言葉でもあった。傭兵やジャンク屋
などといった連中が、独自にカスタマイズした機体や、オリジナルの機体を持
っていることは珍しいことではない。また、軍隊や国家を嫌う彼らが、自分た
ちの持つ技術や情報を、なかなか話さないこともタリアやアーサは知っていた。
「とりあえず、あなたへの判断は上に仰ぐことにします。それまでは、士官室
にいて下さい。シン、案内して」
 捕虜でない以上、独房に入れるわけにもいかず、いつぞやの時、中立国オー
ブ代表のカガリ・ユラ・アスハにあてがわれた士官室へ『軟禁』されることと
なった。生真面目で、礼儀正しいオデルは、なかなかの好青年であるとタリア
は感じたが、彼の機体のことを考えると不気味でもあった。

 こうして、ミネルバは数々の事件が重なり、約一週間ほどインド洋に留まる
こになった。

         第20話「終わらぬ戦い」

 地上で小規模な戦闘が起こっていた頃、宇宙もまた小規模な戦闘、言ってし
まえば小競り合いが続いていた。
 地球の軌道上で既に三十二回、勝ち負けも定まらないような戦闘が断続的に
起こっている。もっぱら、地上への物資投下を行うザフト軍と、それを阻止せ
んとするファントムペインの妨害工作のぶつかり合いであったが、ファントム
ペインのやり方は、ザフトに言わせれば「嫌がらせ」と変わらなかった。
 まず、三隻程度の少数団が補給部隊を、それを守る護衛艦隊に戦艦の長距離
砲で攻撃を仕掛ける。距離があるため、モビルスーツによる迎撃をせず、同じ
く長距離砲で応戦すること数時間お互い有効打が得られないままにファントム
ペインの少数団は撤退する。すると、それに入れ替わるように別の少数団が現
れ、同じく長距離砲で攻撃を仕掛けてくる。これをまた数時間続けると、また
別の部隊と入れ替わり、ザフト軍の補給部隊とそれを守る護衛艦隊、及び軌道
上の守備部隊は休む間も与えてくれない敵の攻撃に対処せねばならず、その疲
労はピークに達していた。
「部隊の一部を割いて、敵の少数団を叩いてしまえばいいのだ」
 考えとしては当然であったが、動員した兵力が少なかった。少数団とほぼ同
等の数を送り込み、妨害してくる敵を妨害し、補給を円滑に行おうと考えたの
だ。この敵の行動に対し、ファントムペインの小集団は後退を行った。戦いら
しい戦いをせず、長距離からの嫌がらせばかりしてきたのだ。まともに戦う度
胸すらないのだろう。ザフト軍はそう考え、二度とこのような行いをしてこな
いように、敵を追撃、殲滅に掛かった。
 そして、逆に壊滅させられた。
 ファントムペインの小集団は、後方に下がると、そこで待機していた別の小
集団と合流し、戦艦九隻と戦力を三倍にして向かい来る敵を迎撃したのだ。

「差し当たっては、戦力を増強して守らせるほかあるまい」
 国防委員会より報告を受けた、最高評議会議長ギルバート・デュランダルは、
異世界の技術者ハワードと共に、新しいモビルスーツの開発へと勤しんでいた。
もっともデュランダルは、彼からの報告を聞くだけであり、対外的に『議長総
指揮の下に動いている』と見せているだけであったが。
「いっそのこと、敵の月基地とやらを叩いたらどうだね。地上と違って、宇宙
でなら敵が有利と言うこともないのであろう?」
 ハワードは、根本を絶ってしまえばそれで済むという考えを示したが、デュ
ランダルは消極的だった。
「敵がこのような嫌がらせが出来ると言うことは、敵にそれを為すだけの組織
的統一が出きてきたと言うことさ。そんな敵と戦えば、こちらもただでは済ま
ない」
 ロッシェを使えばいいじゃないか、という言葉を、ハワードは寸前で飲み込
んだ。ハワードは、議長との付き合いの中で、少なからず彼が異世界の戦士や
技術者に強力を仰ぐことに引け目を感じていることを悟ったのだ。
 そもそも彼が、ロッシェに積極的に敵艦隊なり基地への攻撃を命じず、モビ
ルスーツ開発などしているのは、ロッシェの力ばかり借りてはいられないとい
う気持ちの表れなのだ。
「それに敵の補給線を絶つ、という意味では我々だって負けてないさ。地球の
ファントムペインを一掃できれば、月基地なんてすぐに干上がる」
 月基地は決して自給自足が出来ないわけではないが、物資の大半は地球から
の補給に頼っている。つまり、地球からの補給線が途絶えれば、戦わずして勝
つことも出来るのだ。
「だからこそ、こうして地上での戦いを有利にするためにモビルスーツ開発を
しているわけだが……首尾のほうはどうなんだい?」
「ふむ、やはり一から何かを作ると言うよりは、既にある素材にアレンジを加
えていく、というほうがいいだろうな。時間的にも、早く済む」
 ハワードは、今回のモビルスーツ開発において、何かオリジナルの機体を一
から作るという考えを端から持ってはいなかった。元々の技術が全然違うのだ
し、そんなことをしていては時間が掛かりすぎる。
 だから既にある設計図などに修正を加えながら、出来る限りA.C世界のそれ
に近づけていく。ハワードはそう考えていた。
 いくつかの設計図や資料は入手してある。後はこれを下に、開発を進めてい
くだけだった。
(強すぎず、弱すぎず、コンセプトはこれかな)
 実現できるかはともかくとして、ハワードは今回の機体をそれほど強くしよ
うとは思っていなかった。強力な力を手に入れた瞬間に、お払い箱、などとい
う事態を招かぬためだった。

 一方で、特にお呼びが掛かることもないロッシェは、もっぱら暇な時を過ご
していた。
 自ら出撃するような会戦が起こるわけでもなく、かといって議長は小規模な
戦闘に自分を出そうとはしない。ロッシェは退屈だった。
 特にすることもない彼は始め、この世界のモビルスーツを動かすことで時間
を消費していたが、すぐに飽きた。この世界のモビルスーツはスピードが遅く、
動きが鈍い。
 一通り機体を『振り回して』ダメにしてからは、主に絵画や演劇の鑑賞など
で時間を潰すようになった。これには同行する人物がいた。そう、ラクス・ク
ラインの影武者こと、ミーア・キャンベルである。彼女自身は、特に芸術鑑賞
などに微塵の興味もなかったが、
「これもラクス様へ近づくためよ」
 などといって、欠伸をかみ殺しながら付いてきている。本物のラクス・クラ
インが芸術への愛着が深かったかどうかはともかく、『それっぽい』というの
は確かだったし、本音を言えばミーアは少ない休日をロッシェと共に過ごすの
が好きだった。

「不思議よね……地球じゃ戦争が起こっているのに、プラントはいつもと変わ
らない日々。劇場に入れば歌劇がやってて、あたしのライブだって普通にある」
 歌劇を見た帰りに、二人はレストランで食事を取っていた。プラントで五指
に入るであろう有名人のラクスが男連れで入店したというのは、少なからずの
衝撃を持ってボーイやシェフたちに迎えられたが、さすがは高給レストラン、
げすな勘ぐりをすることもなく、二人は静かに食事が出来た。
「それは、戦争がやってても別に社会体制が崩れたからではないからさ」
 ロッシェは、ナイフとフォークを置き、話し始める。アスランではないが、
彼は身近で会話をする人間がミーアぐらいしかいないため、彼女と話すときは
饒舌だった。
「本国まで攻め入られる激戦というのならともかく、戦争は国の外で起こって
いる。行っているのが国でも、行われているのが国の外なら、目に見える変化
なんてそう在りはしないさ」
 例え戦時中であっても、レストランがない、ホテルがない、劇場がないとい
った社会体制は有り得ない。仮にそういう事態になったとき、既にその国は負
けているのだ。
「それじゃあ、戦場にいる軍人は堪ったもんじゃないわね。自分たちが命をか
けて戦ってるのに、市民はいつもと変わらない日々を過ごしてるんだし」
「逆に言えば、そのいつもと変わらない日々を守るために軍人は存在するのさ。
少なくとも、共和主義の軍隊は」
 もっとも、そんなことを考えながら戦っている兵士は何人もいないだろう。
彼らは生き残るために戦い、勝ったことに喜ぶ。
 誰が、何故、何のために戦うのか?
 ロッシェといえど、所詮はモビルスーツパイロット。それを常に疑問に思い
ながら戦ったことなどないのだ。
「この戦争……ホントに終わるのかな」
「終わらない戦いはないさ。どんな結果になろうとも、決着は付く」
 ロッシェは、プラントと地球で起こっている今回の戦争は、前回の戦争から
の延長線に過ぎないと考えている。双方、国力、戦力を共に回復したのでまた
戦争を始めた、つまりこの二つの国家間は慢性的な戦争状態なのだ。戦争をし
ていない間も戦争の準備をして、次に備える。辞める気がないのだ。
「ミーア、私はこの世界の歴史には詳しくないから何とも言えないが、人類が
いる限り争いは決して無くなりはしない」
 完全平和主義。
 ロッシェの脳裏に掠めた言葉は、人類の理想。
「だけど、何十年かの平和な時と言うのは必ずある。戦争なんてものは、そん
な恒久的じゃない、僅かな平和を得るためにやってるようなものさ」
 ミーアは感心したように頷いている。
「永遠じゃない平和、か」

 ミーアを私邸へと送り届け、官舎へと帰宅したロッシェは、TV電話の留守電
を見て、すぐに最高評議会議長ギルバート・デュランダルの私邸へ向かった。
「遅れて済まない」
 そこにはハワードもおり、デュランダルと会話をしている最中だった。
「いや、ロッシェ、急に呼び立てたのは私のほうだ。とりあえず掛けてくれ」
 デュランダルが作った水割りに口を付けながら、ロッシェはここに来た用件
を切り出した。
「それで……地球で、オデルがザフトに捕まった、というのは本当なのか?」
「捕まった、というのは正確じゃないな。しかし、オデル・バーネットという
男が、ザフト軍艦にて軟禁状態にあるのは確かだ。今日の午後、その艦から報
告が届いた」
 デュランダルは、オデルがミネルバに軟禁状態である経緯、戦闘への介入理
由などを、ミネルバの報告書を基にロッシェに聞かせた。
 話を聞き終えたロッシェは、半ば呆れたように笑うと、
「まったく、奴らしいといえば奴らしい話だ。非情に振る舞おうとしても、決
して出来ない……」
 だが、それでこそオデル・バーネット。弟から慕われ、婚約者に愛され、コ
ロニーの仲間たちに信頼される男というものだろう。
「ハワードとも話していたんだが、彼は現在、とんでもない機体で地球にいる
そうじゃないか」
「あぁ、奴の乗ってるG-UNITは、悔しいことに私のレオスよりも遥に強い」
 G-UNIT……それは、ロッシェたちのいた世界でも、極一部の人間しか知らな
い機体を指す。資源衛星MO-垢独自に開発したこの機体は、それまでの
モビルスーツとは全く異なる発想の下に開発され、完成された。
「レオスとは待った違う機体だ。使われて合金も、武装も、比べものにならな
い」
 事実、ロッシェはオデルの弟が乗るG-UNITガンダムジェミナス01と、レオス
で一騎打ちをしたことがあるが、あまりの機体性能の差を前に圧倒されてしま
った経験がある。
「ガンダニュウム合金といってな……こいつは、ビーム耐性や、物理耐性が強
く、装甲それ自体が電磁波を吸収するのだ。報告書に書いてあっただろう? 
オデルの機体は『突然』現れたと」
 ハワードが指摘する事実は、確かに報告書に書かれている。オデルのジェミ
ナスは、正に突然戦闘に割って入り、その攻撃が行われるまで、存在を周囲に
感知させることがなかった。眼前でその戦いを見たシンも、攻撃を受けたファ
ントムペインも、彼の接近を知り得なかったのだ。
「装甲それ自体がステルス機能の役割も果たしているのさ。こいつはちと、こ
の世界の奴らには驚異だろう」
 それどころの騒ぎではない。デュランダルは冷や汗を感じたが、問題はその
危険な機体とパイロットをどうするか、ということである。オデルの仲間であ
る二人を呼んだのもその為だった。
「彼は捕虜ではないし、何か処罰されるとか、収容される、ということには出
来ない。だが、このまま外に出すというわけにもいかないだろう」
 特にその力を目の当たりにしたミネルバ辺りは、納得も行くまい。
「議長権限で、宇宙に呼び戻すことは出来ないのか?」
「出来なくはないが……時期が悪い」
「というと?」
 デュランダルは、軌道上で続く小競り合いについて説明した。物資を下ろす
だけでもやっとであり、地球から上がってくるシャトルなど良い的だろうとの
ことだった。
「なるほどな……」
 ロッシェは、自分がまた出撃して敵の小細工など蹴散らそうかとも考えたが、
デュランダルはこう提案してきた。
「どうだろう? 情勢が落ち着くまで、彼にミネルバにいて貰っては? 彼の
身分は私が保証し、相応の待遇で報いるが」
 デュランダル自身としては、この先激戦が続くであろうミネルバへのまたと
ない戦力アップを目論んでのことだった。ミネルバへの風当たりは、未だプラ
ント議会内でも強く、彼らはたった一隻で苦難の軍事行動を取っている。そこ
に味方が一機、それも圧倒的強さのモビルスーツとパイロットが加われば……
「まあ、どちらにしろ決めるのはオデルだ。宇宙に戻ってくるか、地球に戻る
か、その辺りは奴に決めさせたらどうだね?」
 そもそも、ザフトとしてはお礼に報償金を上げても良いぐらいなのだ。介入
とはいえ、窮地を救ったのは確かであり、救われた張本人であるシン・アスカ
などにしてみれば、オデルは命の恩人であるのだから……

 デュランダルの私邸からの帰り道、走路を走る車の中でロッシェとハワード
は話す。
「議長はあのようなことを言ってたが、実際にG-UNITが戦いに参戦するとレオ
スの非ではないぞ?」
「確かにな。元々、三体のG-UNITのパーツから再構成した機体で、装備も最低
限しかないが……それでもこの世界では恐らく一番強い」
 今オデルの乗っている機体は、かつてMO-垢暴蠡阿靴討い浸安里G-UNIT、
その残骸を集めて修理したものである。戦後、G-UNITの存在を知ったハワード
が、技術者としての好奇心からオデルにせがみ、何と完全に修理してしまった
のだ。これにはガンダムチームを始め、関係各所から抗議もあったのだが、ロ
ッシェのレオスと同じくプリベンターの数少ないモビルスーツ戦力として認め
させてしまった。如何に科学者、技術者の類が救われない思考の持ち主かとい
事実が垣間見えるというものだ。
「もっとも、マリーメイア事件の後は、お前さんのレオスや、アイツの機体共
々破棄する予定だったんだがなぁ」
「アクスレプオスでないのがせめてもの救い……でもないな。換装システムを
利用して大気圏内の飛行も出来るんだろう?」
 G-UNITは、機体の本体であるコクピットをコアとし、作戦に応じて装備を換
装することで様々な戦闘に対応することの出来るアイデア機である。この世界
で言うと、インパルスやファントムペインのストライカーパックによく似てい
ると言える。
「あぁ、リーオーの高機動ユニットを利用してな。エアリーズ並とはいかんが、
それでもこの世界のモビルスーツとは」
 比べものにならない。一体この言葉を今日何度呟いたことか。
「まあ、オデルなら上手くやるだろう。奴は、どっかの誰かと違って、素直で
賢明な奴だからな」
 言葉には多少、皮肉が込められていた。ロッシェは、それが誰のことなのか
何となく気付いてはいたが、敢えて何も言わなかった。

 ロッシェたちの密談から二日後、ミネルバに軟禁状態だったオデルに、タリ
アとアーサーが面会に尋ねてきた。彼の身辺の世話、言ってしまえば見張りを
命じられたのはシンだったが、これにはいつまでも部屋に引きこもっているな
と言うタリアの内心が含まれていた。
「我がザフトとしては、あなたを客員待遇の兵士としてこの戦艦ミネルバに迎
える容易があります。これがその書類です」
 書類を渡すタリアも、渡されるオデルも、それを見つめるシンも変な気分だ
った。客員待遇の兵士など聞いたことがない。敵軍の捕虜が寝返るなり、亡命
者が軍に入ることはない話ではないが、客人待遇とは随分な優遇だった。
 つまり、ミネルバはオデルを客人として遇さなければならないのだ。扱いと
しては、フェイスのアスラン並である。
「その書類にも書いてあるけど、あなた我が軍のフェイスと知り合いなんです
ってね」
 オデルは書類にある名前、ロッシェの名を確認すると、薄く笑みを浮かべた。
「えぇ……戦友ですよ」
 ロッシェが宇宙で頑張っている、ならば自分は、ここ地球で頑張ってみたい。
オデルは、彼なりにこの世界を、この戦争を見てみたいという思いがあった。
そして、ロッシェが宇宙でそれを見るというのなら、
「お話しをお受けします。非才のみですが、皆さんのお邪魔にならないように
務めます」
 こうしてオデルはミネルバに客員待遇の兵士として所属することになった。
これでミネルバは、この世に二つと無い力を手に入れたことになるが、クルー
の心中は様々であり、素直に喜んだのはシン・アスカぐらいであった。
 正式にクルーに通達を終えると、ミネルバはインド洋をカーペンタリア基地
から派遣された部隊に任せて、一路マハムールへと出航した。その身に乗せて
いるのが、異世界のモビルスーツと、パイロットであることを、彼らは知る由
もなく、それを知るのはずっと先のことであった。