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X-Seed◆EDNw4MHoHg氏 第29話

Last-modified: 2007-11-11 (日) 13:56:46

第29話「程度の話?」

ミネルバに戻ってきたシン達を出迎えたのはティファであった。
「サンキュー、ティファ!おかげで助かったぜ」
「…私でも役に立てると思ったから…」

お互い少し照れながら、もっと踏み込みたいのに踏み込めずに、
手探り状態で話している、という感じが周囲にはヒシヒシと伝わっていた。

「おいガンダム坊や、ボサっとしてんな!」

キッドの空気をぶち壊す言葉にふと我に返ったガロードは、本題に戻って、
敵として出てきたMSラスヴェートのパイロットについて聞くことにした。

「なあ、敵のパイロットはやっぱりニュータイプだったのかな?」
「わかりません、ですがジャミルと似ている感じはしていました」
「結局どの世界でも同じかよ、どいつもこいつもニュータイプを利用しやがって…」
「…いえ、あの人は自分の意思で戦っていました」

「ニュータイプ?ネオのことか?」
2人が話しているところにシンが入ってくる。
シンもネオ・ロアノークという男が、ステラを戦場から遠ざけることを約束し、
エクステンデット全てを解放させようとした男が真に何を思って戦っていたのかを知りたかったのである。

「ああ、あの敵のパイロット、俺達がこの世界に来るまで探していた特別な力を持った人間だったかもしれねーんだ。もしかしたらレイも」
「特別な力か…結局、ネオもステラ達みたいに利用されてたのかな…やってられないぜ」
「いえ、あの人の心は最後に救われていました…」
「救われてた?」
「最後にあなたがあの人を止めたおかげです、あの人は自分を止めてくれることを望んでいました」
「……そっか、ありがとな」

ティファの言葉に気が楽になったシンが格納庫にいた頃、レイは自室で枕元にある薬に手を伸ばしていた。
クローン人間としてこの世に生を受けた彼は、幼少の頃から老化を抑制するための薬を
定期的に服用することなしには通常の生活を営むことはできない。
そして、薬の効用が切れるまでの時間は徐々に短くなってきている。

「くそ…あと少し、あと少しなんだ…」

デュランダルの目指す世界、ナチュラルとコーディネーターの融和が実現した世界が生まれるまでには、あともう少し時間がかかる。
それまでは何としても自分は生き長らえなければならない。
そしてその先には必ずラクス・クラインがデュランダルの前に立ち塞がり、その横には忠犬…いや意のままに動く操り人形のキラ・ヤマトがいるはずである。
故にデュランダルが目的を遂げるためには自分が世界で最も憎んでいる相手を討たなければならないのであった。
ヘブンズベースの戦いに決着が着いたことで、世界における、ナチュラルとコーディネーターという対立軸は崩壊した。
ジブラルタルに戻ったデュランダルは着々と、連合構成各国との停戦条約締結の準備を進めていた。
その主要な内容は各国におけるコーディネーターの人権保障制度の確立、地球・プラント双方におけるナチュラルとコーディネーター共存のための施策実施、そして、地球における居住を希望するコーディネーターの受け入れ体制設立である。

戦争を裏で操り、連合の陰から各国の人間を虐げてきたロゴスを、デュランダル率いるコーディネーターの軍であるザフトが討ち、各国を圧制から解放した、という事実は世界中の人間が知るところとなっており、同時に、各地に駐留していたザフト軍が紳士的であったこともデュランダルを象徴とするコーディネーターに対する地球の人間が有していた偏見を除去することに大きく寄与したのである。
ロゴスの存在が公表され、討たれる以前に、既にナチュラルとコーディネーターの溝は徐々に埋まりつつあったのである。

そして各国の首脳達との会談を終え、積みあがった書類に片っ端から目を通しているデュランダルの下にある男がやってきた。

「議長、失礼致します。特務隊フェイス、ハイネ・ヴェステンフルス、ただ今復帰致しました」

ディオキア基地でフリーダムに落とされて重傷を負い、前線を離れていたハイネが怪我の治療を終えて戻ってきたのである。

「やあハイネ。元気そうで何よりだよ、ケガの具合はどうだい?」
「はい、ご迷惑をおかけいたしました」
「ところで君がわざわざやって来た、ということは何かあったのかね?」
「はい、これを」

前線からの離脱を余儀なくされたハイネは、パイロットとして動けるようになる前に軍務自体には復帰しており、クライン派の動向を細かに調査していたのである。
そしてハイネは、その調査の結果を記した書面をデュランダルに差し出した。

「…これは本当かね?にわかには信じられないのだがね」
「いえ、紛れもない事実です。しかも既に改良を受けた上で機体は完成しているとのことです」
「…とうとう白のクイーンのおでまし、という訳か…これから忙しくなるよ、ハイネ」

ザフトには、インパルス等セカンドシリーズの開発が進められている中で次の計画として、デュランダルが主導していたデスティニー・レジェンドの開発計画と、
前大戦において圧倒的な力を発揮したフリーダム・ジャスティスの後継機及び量産型の開発計画があった。
当時のデュランダルは当然のことながら前者を優先した。
フリーダム・ジャスティスともにプラントとは異なる勢力によって運用され、それらが卑劣な犯罪行為によって入手されたという縁起が悪いことこの上ないものであり、それにも関わらず、その事実を隠蔽し、さらに多くのプラント市民・ザフト軍人の支持を受けているという異常な状況があることに鑑み、開発計画を即中止させ、データの破棄をデュランダルが命じたことはさほど不自然ではないと言えよう。
しかし、開発計画に携わった、いやむしろ開発を推進したクライン派、特にラクス信者ともいうべき人間はデータをシーゲル・クラインが設立に深く関与し、現在ではラクス・クラインの意思に従い情報収集・MS等の兵器製造を行なうターミナル及びファクトリーという事実上のラクス・クラインの後方支援機関に開発データを譲渡して、開発を続行させたのであった。
さらに仮に開発計画が進行していたとしても、元より開発中に窃取した上で、ラクス・クラインの下に送られる予定であったとのことである。
「マフィアが可愛らしく見えるほど清々しい経歴だね」
「まともな人間のやることだとは到底思えません」
「君はオーブでウィッツと合流して本国の部隊の引き締めにかかってくれ。もしものときは…わかっているね?」
「…そのようなことは考えたくありません」
「種は蒔いて置いた。君も大事な種の1つなんだ、あてにさせてくれ」

(もはや手遅れかもしれないがな)

ハイネは黙ってデュランダルの部屋を後にした。
地球上での戦いはもうじき終わりを迎えるであろうが、宇宙でコーディネーター同士の争いという忌むべき戦いが始まろうとしていることがハイネには苦々しかった。
停戦条約が締結される場所は、連合・ザフト双方に与することのない中立国で行なわれることとなり、デュランダルと親交があるユウナ・ロマ・セイランが現在は代表代行を務め、それと同時に、従来は親連合派であり、各国に復興支援金の融資を行なっているオーブで行なわれることとなっていた。
そのためデュランダルを始めとする各国の代表がオーブに集い、ユウナはそれらの対応に追われていた。
そして条約締結の式典の準備を行なうデュランダルの下にユウナがやって来る。

「いよいよですね、これで貴方は確かに歴史に名を刻まれる勝者だ」
「いえいえ、歴史とは勝者が作っていくものです、自分の都合のいいようにね。
 まだ『奴ら』がいる以上、私が勝者になることが決まったわけではありますまい?」
「フリーダムはシンが落としましたし、ジャスティスは前の大戦で自爆、今現在奴等の戦力は小さくないにしても…まさか?」
「…そのまさかですよ、開発を中止させたフリーダム・ジャスティスのデータを横流しさせた者がいるようでして。全く恥ずかしい限りです」
「そうですか…さすが窃盗強盗横領はクラインのお家芸、とでもいうべきですね」

クライン派が立ち塞がるであろう敵ということは2人にとって既に構築された共通認識である。
そして、ロゴス同様、デュランダルが糾弾するラクス・クライン一党へのナチュラルの評価は元々、そんなによくなかったのだが、さらに悪くなりつつあった。
「正直、クライン派という名称はやめた方が、プラント内での穏健派の人達のためにもいいと思えてなりませんよ」
「ならデュランダル派、とでも改名させますか?」
「ハッハッハ、それは面白いですが、ラクス・クラインの狂信者に狙われそうなので却下です。
 そちらはよく被害拡大を防げましたな?ダブルエックスなどはラクス信者どもに真っ先に狙われそうなのに」
「いえ、前にも申し上げました通り、ラクス・クラインの指名手配以降、出てきたホコリを理由にクライン派に関係する団体等にガサを入れる等して情報を集めると同時に奴等に活動が行ないにくくするための措置を色々と取っておりましたから。
 こういったときはナチュラルとコーディネーターが共存している国では対処が楽でしたよ。
 奴等の息のかかったマスコミ連中が少し騒ぎましたがオーブにはナチュラルが多いですからね、ラクスの擁護のためなんかに世論は動きません。何せアスハ代表を拉致したままそれっきりですからね」
そう言ってユウナは手元にあった新聞記事をデュランダルに投げつける。
それはオーブで発行されている親プラント、親クライン派の発行している新聞であった。その記事の見出しには、「オーブ政府、ラクス・クラインを指名手配するとの暴挙」とあり、政府はオーブでの犯罪を理由とするラクス様の指名手配を至急撤回した上で、その愚挙を恥じ、謝罪した上で、セイラン代表代行は即刻辞任すべきである、なぜならラクス様のなさることは世界のためになされたことだからである、と書かれている。

「いやはやこれは酷い」
「まったくです。拉致した犯罪者に謝罪しろ、などとは正気の沙汰とは考えられませんが、これが、ラクス・クラインの狂信者の本音なのでしょうね」
「そうでしょうな。プラントにも似たようなことを言っている連中はいますよ。
 もっともその数はオーブ国内とは比べ物にならないでしょう」
「ですが、このような対抗言論があるからこそ、市民達は情報を集めたり、議論をすることで意見形成ができるようになるのです。
 実際、オーブではアスハ派と言われる住民や軍人と、僕のような実務的、現実的な政治を支持する勢力などがおりますが、現在では私の支持率は6割を超えております。
 これは僕がアスハ派の一部からも信頼を得始めたことを意味しております。
 きっと彼らも多様な方向性を持つ情報から自分のよって立つ立場を考え始めた結果でしょう。
 自由な議論が失われてしまったのでは国としては死んだも同然ですからね」
「なるほど、ナチュラルとの共存が実現しているからこその意見交換の結果ですな。
 いかんせん、我々コーディネーターには、未だに存在するナチュラルへの優越感などが顕著なように、自分が絶対的に正しいと意固地になる傾向があることを否定はできません」
ナチュラルとコーディネーターの間に存在する確執の1つが、ナチュラルはコーディネーターを妬み、コーディネーターはナチュラルを蔑む、という構図の存在がある。
そして、その確執を少しでも埋めるために遺伝子レベルで適職を判定し、主にナチュラルの力を底上げする形でその構図をなくすべくデュランダルが考えた手段の1つがデスティニープランであったのである。

さらに同時にデスティニープランと並行して、ナチュラルの妬みを和らげるべく彼が用意している情報が、ナチュラルの身でありながらもザフトの赤服を着るに至ったレイ・ザ・バレルの存在や、最高のコーディネーターであるキラ・ヤマトを破ったガロード・ランがナチュラルであるいう事実であった。

実際にナチュラルがコーディネーターに完全に劣る存在でないことは様々な分野でもわかることである。
例えばフェイズシフト装甲、トランフェイズシフト装甲、ミラージュコロイド、空間認識能力を生かした兵器、最近で言えば陽電子リフレクターや欧州のザフトを壊滅させたデストロイを開発したのはナチュラルであり、他にもザフトと戦ってきたナチュラルのエースパイロット達の存在等を併せればナチュラルがコーディネーターに劣る、という見方を覆すための材料足りえるものであるといえよう。

もっとも、ただでさえクライン派対策に自分の支持率を確保する必要があるデュランダルがそれらを公表するわけにはいかないので、その発表はユウナにさせようというのがデュランダルの計画であったが。

「最終的には、ナチュラルだ、コーディネーターだという概念がなくすことができればいいのでしょうな。
 皆が己を1人の人間に過ぎないのだと思うようになれば、他人の言うことに耳を傾けて、滅多な事で引鉄を引くことはしなくなる」
「それが最も難しいのでしょうね。おそらくは実現するには世代を重ねていくしかないでしょう。
 それゆえに世界を今、滅ぼす訳にはいかない」
「そうです。そうだからこそ、一部の人間だけの言うことが正しい、等という思考を捨てねばならない」

デュランダルの言葉の先には当然、ラクス・クライン、最高のコーディネーターキラ・ヤマト、そして彼らをほぼ無条件で完全肯定する多くのコーディネーターの存在がある。
デュランダルの目的を実現するためにはどうしてもラクス・クラインらとの衝突が避けられなかった。

だが、デュランダルにも1つ気がかりな点があった。
それは自分がラクス・クラインを否定していいのか、というものである。人々を苦しめるロゴスをコーディネーターたるデュランダル達が討ったことは、ナチュラルとコーディネーターの融和に多大なる寄与をしたことは間違いない。
だが、その後、ラクス・クラインまで自分が討ったのでは、結局、コーディネーターが全部を処理した、との印象を与えてしまう可能性の存在を否定しきれない。
それでは、双方の融和の実現が遠のいてしまうおそれがあるのである。
それ故に、デュランダルの心には一点の迷いがあった。
デュランダルの心の迷いが晴れぬまま、停戦条約締結の調印式典は始まった。
式場の中心には、プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダル、大西洋連邦大統領ジョゼフ・コープランドを始めとする連合構成国の統治者、そして彼らの間には、連合・プラント双方の間を取り持ったオーブ代表代行、ユウナ・ロマ・セイランの姿があった。
条約締結に辺り、連合各国が条約で定められた事項を履行しているかの調査をこれは、中立国であるオーブが行なうことを内容とする条項が連合・プラントとの間の合意により盛り込まれたからであり、本来、どの陣営にも属すことのない中立国がなすべき役割である。

そして、無事、調印が行なわれ、デュランダルによる演説が始まった。
もちろん、その内容は、デスティニープランの発表である。
1つ目の狙いとして、暗にナチュラルの能力の底上げを図るためのものとして、人類の全てが幸福に生きることができるようにして戦争をなくすために、2つ目の狙いとして、国際的な大企業の中の大物達の集まりであったロゴス亡き後、世界経済は混乱の中に突入しつつあり、失業者が増加しつつあることに鑑みて、適職を遺伝子レベルで示して雇用を促すために、遺伝子による職業斡旋制度の導入を「提案」するもので、青写真のレベルの情報、具体的にはその内容、利点、問題点、導入形態のバリエーションなどが含まれていた。

「ふぅ…」
演説を終えたデュランダルが用意されている部屋に戻って大きく息をついた。
彼の目的実現までの距離はあとほんの一歩とまで近付いてきており、政治家として様々な橋を渡ってきたデュランダルもさすがに少しずつではあるが緊張が生まれてきていたのである。

「お見事な演説です。各国の反応は様々ですが、形はどうあれ、デスティニープランを導入する国は少なくないと思いますよ」

デュランダルの部屋のソファに腰掛けていたユウナが口を開いた。

「オーブでも検討はしていただけるのでしょう?」
「ええ、半官半民の企業が多いオーブでもナチュラルとコーディネーターに溝がないといえば嘘になりますからね。
 とはいえ、アスハ代表が戻らないと議論もできませんが。
 それにしても少し安心しましたよ。 もしいきなりデスティニープランの導入・実行を宣言する、だなんて言われたら心臓が口から飛び出していました」
「それは面白い、今日、初めて世間に発表した政策に、根拠となる法律も予算もつけることなく政策が実行できるなら私も是非やってみたいものです。いや、むしろ、統治者となったら一度はやってみたいものですな。
 何せ、国の施策として行なう以上、予算は不可欠だ。予算をつけるためには通常の国家であれば、形態の違いこそあれ、多くの国家では議会による承認を得なければなりませんからね。政治とは色々と面倒なものですよ」
「いえいえ、突然、独裁者のように豹変して各国にデスティニープランを導入する、
 なんて言い出されても困りますよ」
「そんなことをして私には何のメリットもありませんよ。世界の勝利者になることとは全く逆になってしまう。
 それに、わざわざどこかのテロリストに易々と付け入る隙を与える必要など皆無ですからね。
 自惚れるつもりはないが、デスティニープランを導入する国は必ず出てくる。
 議論を進める中で最適な導入方法が見つかれば徐々に世界はこの計画を様々な形で受け入れるはずですから」
「確かに。一刻も早くアスハ代表を奪還したい我々と違って、貴方に事を急ぐ理由はありませんね。うらやましい限りだ」
ユウナとしては、デスティニープラン自体は導入形態次第ではメリットが確実にあるものだと考えている。
しかし、国や人のあり方にも関わる問題であるため、カガリが拉致されている現在、表立って導入に関する議論を行なうことは得策ではない。カガリを放って置いたままにそのような議論をしたのでは、それこそカガリを拉致したキラ・ヤマトやラクス・クラインに付け入る隙を与えることに繋がるからである。

一方、ミネルバの中でデュランダルの演説をガロードと聞いていたシンは、デュランダルが目指すナチュラルとコーディネーターの融和ということについて考えていた。
今現在、自分の傍には、ナチュラルでありながら、自分に決して劣らない、むしろパイロットとしての能力では今でもわずかに上であるガロードがいる。
だが、シンはガロードのことを、ナチュラルだから、と考えたことは以前はあったが、今ではない。
シンにとって、ガロードは友人であり仲間、ということだけである。

そしてガロード達が探していたというニュータイプと呼ばれる特殊な能力を持つとされる者について考えたとき、ネオやレイのようなCE世界でいう空間認識能力者、そして進化した人類と呼ばれることのあるコーディネーターとニュータイプとガロード達が呼んでいる人間が被るように思えた。

ナチュラルにはない能力を持っているとされるコーディネーターも、ガロード達から見れば特別な力を持っていることになるのかもしれない。
レイやネオのことをガロード達はニュータイプかもしれない、と言うが、シンにとってレイは仲間であり友人であり、クローンだと言われても、1人の人間であることには変わりはない。

シンから見れば、レイもガロードもティファもネオもステラも人間であることに何らの変わりはないのである。
だとすれば、ニュータイプと呼ばれる者かどうかすら怪しいのに、ある人間がニュータイプだからどうする、といった議論がナチュラルだ、コーディネーターだ、という話と同じく、少し馬鹿らしく思えた。
「なあガロード、ニュータイプかどうかってどうやって見分けるんだ?」
「ど、どうしたんだよいきなり!?」
「いや、ティファやレイに何かの特別な力があることはわかるんだけどさ、みんな人間なんだから一々、ニュータイプだ、コーディネーターだって区別する意味あんのか、って思って。
 上手く言えないけど、力があるとかないとかって理由で、何で人間を区別すんのかな…その、んー…程度の話?」
「それは…うーん、どうなんだろーなあ…」

ニュータイプだからと狙われるティファを守るために戦い、カリスを通してニュータイプという言葉と戦ってきたガロードは、一面から見れば、ニュータイプ、という概念を軸として戦ってきたと言うことができるが、別の面から見れば、ジャミル・ニート同様、ニュータイプという概念に囚われているとも言える。
だが、ガロードもティファやジャミル、カリスが同じ人間であることは当然だと思い、人間かどうかについて考えたことはない。

人類の革新とも言われるニュータイプを彼らは探してきた。
だが、自分と異なる能力を持っているから、別の存在かというとそうではない。
それをポツリと程度の話だと言い切ったシンの言葉は、ガロードにニュータイプというものについて改めて考えさせるものであった。

しかし、ガロードにそれを答えが出るまで考えさせる時間は与えられなかった。
条約締結の2日後、デュランダルが地球での大仕事を終えて、プラントへ戻るシャトルに乗っているときに、デスティニープランは人間の未来を奪い去るものであり、デュランダルは世界を滅ぼす者であるとして、ラクス・クライン及びそれに賛同する者が一斉に武装蜂起したのであった。
それを知ったデュランダルはすぐさま宇宙要塞メサイアに入り、徹底抗戦の構えを取り、ミネルバは再び宇宙へと戻ることになったのである。