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X-seed◆mGmRyCfjPw氏 第13話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 12:06:22

機動新世紀ガンダムXSEED       第十三話「私が手伝います」

戦場ではジン三機とイージスが、メビウス三機と交戦していた。
イージスはメビウスが発射したミサイルを軽々と打ち落とし、逆にメビウスを返り討ちにする。
圧倒的な機体性能差の前に、メビウスはどうしようもなく一機残らず打ち落とされていく。
残りのMAは後続のジンに任せるとして、後は大きな的があるだけだ !
イージスは獲物を見つけた猛禽の鳥の如く護衛艦バーナードに向かう。
そしてビームを撃とうとライフルを構えた。
その時、ビームライフルがいきなり爆発する。
いや、爆発したのではない。どこかから狙撃されたのだ。
どこから ?
その方向を見ると、特徴的なカラーリングのされたジン・ガロードカスタム、メビウスゼロ、そしてストライクがいた。
イージスは一瞬その方向にメインカメラを向けたまま止まってしまう。
だが、直ぐに動きを取り戻し、もう一つの護衛艦ローに向かった。
その間にも護衛艦モントゴメリにジンが取り付こうとする。
護衛艦から発進した後続のメビウスがそのジンと交戦しようとするが、ミサイルを撃つ前に次々と撃墜されてしまう。
そのジンはアークエンジェルからの砲撃で火球に包まれた。
イージスはその間を利用してMA形態に変形して、四足のクローを開き、580mm複列位相エネルギー砲 スキュラをローの艦橋に向けて発射しようとする。
しかし、それが発射され、砲門が光ったと同時に、目の前にジン・ガロードカスタムが躍り出て重粒子砲を向けて撃つ。
今にも炸裂しそうだったエネルギーの奔流が、ほんの僅かな火種で爆発し、内部に逆流していく。
強烈な衝撃がイージスを襲った。
しかし、大きく損傷したとはいえ、直ぐにMS形態に変形した後ストライクの方に接近する。
傍ではゼロがジンの一機に損傷を与える事に成功したが、安心する間も無く別のジンに取り付かれていた。
そのジンは懐に潜り込んで討ち取ろうとするも、ガンバレルの正射によって離脱せざるを得られなくなる。
そこにジン・ガロードカスタムがライフルを構えながら全速力でやって来て、母艦に帰還しようとするジンのコクピットを過たずに捉える。
ジンが爆発したのを確認したジン・ガロードカスタムは次にヴェサリウスに向かった。

アークエンジェルにいたマリュー達は戦場を必死で駆けるジン・ガロードカスタムの働きに目を見張る。
真っ先にイージスのビームライフルを潰し、続いてローを捉えたスキュラを発射直前にエネルギーを誘爆させて再射不能にさせた後、ジン一機を潰す。
それは並みの兵士ではなかなか出来ない働きだという事が分かっていた。
尋問の際にガロードは「自分はあっちの世界じゃ炎のMS乗りで言わしてたんだぜ ! 」ときちんと言っている。
あまりの言い様にクルーは全員ふざけているのかと正直思ってしまった。
だが、今目の前で繰り広げられているそれの八面六臂とも言える活躍ぶりは、彼等が言う異世界でのガロードの力を裏付ける物であり、炎のMS乗りと言う半ばふざけた異名もあながち嘘ではないのではとまで思わせるほどだった。
その戦果に目を見張るブリッジクルーにミリアリアとサイから次々と報告が入る。
「ヴェサリウスよりミサイル ! ローへ向かって……いえ、迎撃されました ! 」
「ジン一機、モントゴメリへせっき……い、いえ、メビウスゼロが損傷させました。敵母艦へ帰還します ! 」
と、そこへブリッジの扉が開く。入ってきたのはフレイだった。
「パパ……パパの船はどれなの…… ?! 」
「フレイッ ?! 」
彼女の姿に真っ先に気付いたカズイが声を上げる。
「今は戦闘中です !! 非戦闘員は艦橋を出て !! 」
マリューはフレイに向かってぴしゃりと怒鳴りつける。
サイがCICから飛び出して、フレイをブリッジから出そうとするが、彼女は小さい子供の様に嫌々をして喚く。
「離してッ !! パパの船は、……どうなってるのよぉっ ?!! 」
その時、ヴェサリウスのCIWSが火を噴く。
ゼロが上手く迎撃に成功したのだ。
そして、モニターに映っている連合の護衛艦三隻には今のところ目立った損傷はない。
それを元にして、サイは優しくフレイを宥める。
「大丈夫だよ、フレイ。ほら、キラやガロードが頑張っているからさ。ほら……」
「え、ええ。……そうね。……分かったわ……」
フレイはその様子に納得したかのように扉の方に向かう。

これであと気をつけるべきは、ヴェサリウスとイージスの動きである。
その当のイージスも武装としては、ビームサーベルと75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルンを残すのみである。
装備が全て残っているストライクが相手なら明らかにストライクの方に分がある。
そして、ヴェサリウスの方にはジン・ガロードカスタムが取り付こうとしていた。
ナタルが気を引き締めるように叫ぶ。
「ゴットフリート一番、照準合わせっ、てェーッ !!! 」
強烈な火線がヴェサリウスの後方に向かって伸びる。
それはほんの少し逸れたが後部機関部を捉えていた。
更に取り付く事の出来たジン・ガロードカスタムが66センチ連装レールガンの片方をライフルで撃ち抜き、直ぐにCIWSの迎撃に捉えられたかと思うと、退き際にもう片方を撃ち抜いて爆発させる。
それだけに留まらない。一度戦闘宙域から母艦に帰還する様に見せかけておきながら急速に機体を反転させ、損傷した相手のジンが帰還しようと相手のカタパルトハッチが開いた所に、再び重粒子砲を放つ。
そのタイミングを正確に見計らったかのような一発は、アークエンジェル、そして護衛艦にいる者達を呆気に取らせた。
というのも、距離にしてかなり離れていたにも拘らず、今ガロードがいる所では小さく見えるであろうカタパルトハッチを、CIWS等の砲撃を受けながら、射角でも正確に捉えていたからである。
威力が威力だけに、カタパルトハッチからは小さな煙しか出て来なかったが、それは大急ぎで閉じられていった。
それを見ていたマリューはブリッジの雰囲気をいきなり現実に引き戻すかのようにストライクとイージスの戦闘にモニターを切り替えさせた。
それを見ると、何とまだ戦闘をしている。
しかも、ストライクの武装がイージス並みに削られていた。
しかし、敵のナスカ級を叩くなら今しかない。
あの、傭兵の立場にあるガロードがあそこまで損害を与えてくれたのだ。ぐずぐずしている暇は無かった。
「ローエングリン、一番、二番照準 ! 目標、敵ナスカ級戦艦 ! 」

ガロードは必死になって機体を操った。
無茶な操縦をやったかと思われたときは、後ろのティファに必ず「大丈夫か ?! ティファ ! 」と声をかける。
「はい、大丈夫です。」という言葉が安全だという証明になっていた。
この戦闘ではガロードの実力である所も多くあったが、ティファの力無しでは出来ない事もあった。
始めのイージスのビームライフルへの射撃とスキュラへの一射、そして、敵母艦のカタパルトハッチへの一撃がその代表だ。
特にスキュラへの一撃はイージスの前へ出るタイミング、始めから銃を構え固定した上半身で行く為に機体の角度、姿勢制御システムの管理、そして、トリガーを引く間を細心の注意を払って行わなければならなかった。
いずれもティファの正確なアドバイス無しでは成し得なかったものだ。
と、ガロードの意識がストライクとイージスの方向に向かう。
二機は未だに戦っており、どちらとも決着が着かない状態だった。
「だーっ、くそぉっ !! 早いトコ先遣隊の連中と合流しなきゃなんねえのに、どうしたんだよ ? キラッ !! 」
ガロードは船体のあちこちから黒煙を出すヴェサリウスの動向に気をつけながら、機体を二機の方に向けバーニアを吹かした。
先程からビームサーベルで衝突する事もあれば、イーゲルシュテルンで牽制したりで、決着はそうそう着きそうにない。
その時だった。イージスの赤い色が一瞬にして暗い鋼の色になっていく。
フェイズシフトが落ちたのだ。
イージスはふらふらと母艦の方向へ進む。
その母艦、ヴェサリウスはローエングリンを右舷に掠める形で受けた。
その直ぐ後に、信号弾が打ち出される。
後部機関部、右舷スラスター、副砲、更に艦内部にまで損傷を負ったヴェサリウスはほぼ完全に戦闘能力を失い、戦線を離脱するしかなかった。
信号弾の内容に関しては、イージスが追い縋る様に各部のスラスターを吹かし続けながら、母艦へと向かうのを見るとどうやら帰還信号らしかった。

「逃がすかよッ !! 」
ガロードは再び重粒子砲をイージスに向ける。
事前に重粒子砲はエネルギーの関係で2〜3発しか一回に撃てないと聞かされていたので、これで決める ! と、決心する。
とは言っても、この位置では相手にビームが届く頃には相当エネルギーが落ちているだろう。
そこでOSを自分の出来る範囲で書き換えて、こういった時の為に特殊に改造したジンのバッテリー源から直接更なるエネルギーを供給するようにする。
時間はかかったが、これで何とかなる筈だ。
但しあっという間にジンの機体の中でALERTが鳴り始めるだろうが。
外す事は出来ない一発にガロードは緊張するが、操縦桿を握る手にティファの手がそっと添えられた。
「ティファ……」
「私が手伝います。」
そう言うと、若干の射角調整がなされる。
そして、強烈なエネルギーの奔流が一筋、イージスに向かう。
それはイージスの頭と左腕を根元から本体より吹き飛ばし、直後イージスは死んだ様に動きが止まった。
一気にエネルギーが消費された為、ALERTが喧しく機体の中で鳴りだすが、ガロードは両手をバシッと叩いて、ニッと笑う。
「やったぜ、ティファ !! さあ、あいつをとっ捕まえに行こうか ! 」
「はい。」
そう。幾らザフト兵が乗っているといっても、元は連合軍が開発した機体なのだ。
こんな所にほっぽりだしておいて、やがて回収されてまた使われるというのも洒落にならない。
自分が乗ってみたいという感情も僅かながらガロードにはあったが、MA形態に変形した時の姿を考えてそれは止めにした。
ゲテモノ系のガンダムをどうのこうのするのは、元の世界でのフロスト兄弟のMSだけで十分だった。
それと、彼もティファも少なからず興味はあった。
食堂にいた時、キラから時々聞かされていた、イージスに乗った友人というのを。

ヴェサリウスは今、戦闘宙域からかなり離れている。
イージスを救出しようにも、ガロードが放った一発でカタパルトや格納庫が大騒ぎに違いないだろう。
ガロードはジンの手をイージスの左足に引っ掛け、バーニアを吹かす。
戦闘に集中する為に通信を切っていたガロードは一旦キラに音声連絡を入れる。
「キラ ! もし俺の機体のエネルギーが切れたら、悪ィけどその時は引っ張ってくれねえか…… ? キラ ? 」
明らかに様子がおかしい。
ストライクのメインカメラは呆然とした様にイージスの方向に向けられている。
友人の事を心配しているのだろうか。
そこにフォローを入れる様にティファが付け加える。
「大丈夫です。イージスのパイロットは無事です。」
通信からは「そう、有り難う……」という弱い声が返ってきた。
それから、アークエンジェルから威勢の良い通信が入ってくる。
「よくやった ! 護衛艦は三隻とも無事だ ! イージスの奪還も素晴らしいものだった !! 」
「へへっ、有り難さん !! 」
ガロードは通信を切る。
それにしても……と、ガロードはあまりイージスを良い目で見れなかった。
しかし、彼には到底考えがつかなかった。
遠くない先、ティファも見えぬ先でそれに似た機体に乗る事を。