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X-seed_Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw氏_第32話

Last-modified: 2008-01-21 (月) 22:00:20

機動新世紀ガンダムXSEED 第三十二話「今は今の時間を大事にするよ。」

 

「何だって ?! サイがアスランの奴に撃たれた ?! 」
それは士官室での尋問が終わった後、与えられた部屋に向かったカリス、着替えの為に部屋に行くと言ったティファと一旦別れたガロードが、食堂でトールとミリアリアと顔を合わせた時の事だった。
アスラン本人と基地の中で顔を合わせたので彼の脱走自体知ってはいたが、そんな事になっているとは思ってもみなかった。
「うん。幸いテクスさんの治療のお陰で何とかなったけど……」
ミリアリアの話によるとフレイが眠る間も惜しんでシミュレーターに喰いついていたのをサイが止めようとした時にそれは起こってしまったらしい。
罪悪を感じたフレイは今サイの側に居るらしい。
「ったくあの野郎……今度会ったらただじゃすまさねえからな ! 」
ガロードは悔しげに拳を鳴らした。
しかし、アスランとて一介の兵士であり人間なのだから、己の身に危険が迫れば自衛行為に至っても仕方ない。
ましてやここは敵艦の中、つまり相手の掌中にいたのだから緊張感もかなりの物だっただろう。
その事が先程から意地汚くガロードの心を攻めたてる。
と、その時食堂のドアが不意にすっと開く。
そこに立っていたのは、そこでの話を聞いていたのか少々気まずそうな顔をしたキラだった。
「キラ !! 」
「キラ !! 大丈夫かよ ? もう体の具合は良いのか ? 」
ミリアリアとトールが心配そうに声をかける。
キラは気弱に笑い、軽く手を振りながらそれに応対する。
「有り難う、みんな。テクスさんがもう戻っても大丈夫だって言ったから……ごめんね、心配かけちゃって。」
「何言ってるんだよ ! お前がガロードやムウさん、それとザフトから来たっていう……カリスって奴と一緒になって戦ってくれたから、俺達は今ここで話が出来るんじゃないか。気にしない、気にしない。」
トールはそう言って隣に座ったキラの背中を軽く叩く。
しかしキラはまたも気弱そうに笑ってトールの方を向いただけで、直ぐに目の前にあるテーブルに向かって思いつめた表情を向ける。
その様子を見ていたガロードには、キラが医務室にいる間に何を思い、そして決めたのか容易に汲み取る事が出来た。
だが死線を掻い潜る戦闘から回復したばかりの彼に今そんな事を訊くというのは野暮な物だ。
取り敢えず、その事には触れずにガロードはキラの労をトールと同じ様に労う。
「そうだぜ。みんなを無事にアラスカの基地まで連れて行くっていう仕事の内の一つをこなせたんだからもっと肩の力を抜いた方が良いと俺は思うけどな。」
「うん……そうだね……」
それでも返って来たのはどこかに意識が飛んで行った様な生返事だけ。
そのことに我慢し切れなくなったガロードは、面倒そうにがりがりと頭を掻いて言う。
「だーっ ! そういう辛気臭いのは一旦ヤメ ! 今は戦闘中じゃねえんだからもっとゆっくりしようぜ。戦闘が起きたら起きたでその時に気持ちを切り替えりゃあ良いんだからよ ! 」
景気付けとも言えるその言葉はキラの心に何がしか暖かい物を照らした。
そうだ。うじうじしてどうしようもない事を一人で考え悩んでいたって解決する事は何一つとしてない。
話す事事態が重い事も、話して余計に暗くなる事も、変わる事など何一つ有りはしない。
ここには仲間がいる。色々な事を打ち明けて、話して、そしていつか共に解決の道を見出す事が出来る仲間が。
そして帰って来る事の出来る場所がある。幾らボロボロになって帰って来ようとも自分を受け入れてくれる場所が。
居場所はここしかないんだ……キラは純粋にそう思う。
そして自然にキラの口から明るい調子の言葉が出る。
「分かった。今は今の時間を大事にするよ。」

 

死を覚悟した苛烈な戦闘から半日あまり。
白亜の戦艦は月光に照らされた砂の海を進み続ける。
その前を遮る物は今のところ何一つとして存在はしない。
今のところは……だが。
「異状は無いか ? 」
「はっ、警戒厳にしていますが敵と思しき反応はありません。」
艦長席からのマリューの問いにしゃっちょこばった答えがパルから返って来る。
数時間前、カリスの尋問においてマリュー達はビクトリア基地が陥落したことを知った。
これでもう当座の間どこかで補給が出来るという保障は無くなった。
そこに行けない以上、南極経由などという遠回りをするわけにはいかない。
ジブラルタル基地に関しては、基地をコントロールすべき立場にある人間が二人も抜けた事、
そしてカリスがこちらにやってくる時とその後の戦闘で失った機体の数を考えれば、混乱が起きているであろうという事を考慮すると突破し易くなったかもしれないがそんな危険な賭けには出れない。
更にカリスの心情を汲めば例えそれが可能だったとしても後ろめたい物を感じる事になっただろう。
協議の結果、MSと船体の航行に於ける主要部分を応急処置した後直ぐに、アフリカ大陸地中海沿岸を進みながら紅海に抜ける事となった。
しかしその道が茨の道である事に変わりは無い。
ザフト制圧下のこの地で何らかの支援を受けるということもさる事ながら、このまま行けば確実に砂漠の虎ことアンドリュー・バルトフェルドき下の軍と対峙する事が有り得るからだ。
果たしてそこを突破できるのか。
そう考えながら前面に広がるモニターを眺めていると、CICにいるトノムラから声がかかった。
「しかし変ですねえ。今は月本部にいるはずのハルバートン提督から我々の事に関しての連絡が司令部に伝わっている筈なのに、当の司令部からは援軍や補給どころか連絡一本も来ませんよ。
どうなってるんでしょうか ? 」
「我々が本部よりユーラシアに近い事がその原因の一つと言えるわ。こんな場所にいる以上、積極的にアプローチをかけてくるのはユーラシアの方でしょうからね。」
それに伴う事を考えてマリューは不安を覚えずにはいられなかった。

 

地球連合軍とはいっても、それを構成している国家が他国への利権や様々な思惑を持っている為に一枚板ではない状態になっている。
所詮は対プラントという名目で作られた国家の寄り合い所帯に過ぎないからだ。
構成しているのは北米大陸全土、そして中南米を含む諸国を統括している大西洋連邦、
ユーラシア大陸の北部から西部、そして北欧を除くヨーロッパ諸国で構成されたユーラシア連邦、
アフリカ大陸の南部と東部の地域から成り立っている南アフリカ統一機構、
極東地域の集合国家である東アジア共和国の主要四勢力である。
だがマリューの知り得る限りそのいずれの国家も何らかの形で内憂外患を持っていた。
先ず大西洋連邦は先年の丁度今頃の時期に殆ど無理に併合した南アメリカ合衆国の独立に向けての動きが高まっていると聞く。
元々親プラント国家を貫いてきた南アメリカ合衆国にとっては先年の一件はとても許し難い事だったからだ。
またユーラシアは大西洋連邦とは対立関係にあり、互いに軍事面、発言権においてあらゆる面に於いて牽制をかけ続けているものの、
国内では東部と西部で現政権に対する世論の温度差が如実に現れ始めていると人伝いに知った。
更に領土の一部として存在している中東付近の国家は、連邦の大意に対して殆ど無視を決め込み、現在は中立の道をとっている汎ムスリム会議へ積極的に迫っているとの事だ。
東アジア共和国に関しては一触即発の状況ともされている。
表向きこそ連携が取れているかのように見えるものの、一度構成されている国家間に争いの小さな火種が吹き出れば、空中分解は免れないと言われている始末である。
更に一部の国家は旧世紀からユーラシアとの領土に関する確執が絶えないとも噂されていた。
南アフリカ統一機構に関しては目立った問題は特に聞く事は無かったが、強いて挙げるとすれば異状なまでの経済格差と、部族間抗争が小規模ながら断続的に起こっているという事だろうか。
そういった事情の為に客観的に見れば連合軍はお世辞にも足並みが揃っているとは言い難かった。
そしてアークエンジェルと5つのG兵器は、大西洋連邦が他の勢力に対し極秘を貫き通し、総力をつぎ込んで開発した新兵器である。
ユーラシアがこれは好機とばかりに目をつけない訳が無い。
司令部がユーラシアを仲介してこちらに連絡を寄越してこないのは恐らく、そういった事によって引き起こされる情報の漏洩に違いはないだろう。

 

「こちらの事を知ったら絶対何か事に及ぶと思いますよ。そうなったら地球軍同士で内紛が起きかねませんね……」
そう言ったのは索敵モニターと睨みあったままのチャンドラだった。
確かに自分達の存在が丸々外交カードの一つに組み込まれる事も有り得ない事ではない。
現に今ではもうかなり昔の事の様に思われたが、宇宙にいた際にユーラシア連邦の所有する要塞アルテミスに補給も兼ねて入港していたらどうなっていたか、
傭兵の一人、ティファが直前に指摘したザフトに因る襲撃が無かったとしても今となれば大体想像がつく。
その事に対してはナタルが深刻な面持ちで返答する。
「ザフト側は案外密かにそういった事態を想定しているかもしれん。敵の敵は味方という言葉があるくらいだからな。」
その言葉に操縦桿を握っていたノイマンが反応した。
「しかしプラントの公式声明では、プラント側は地球に対しては領土的野心を持たないという事だそうですが……」
「別にその地域を政治的、経済的に支配しようと考えている訳ではあるまい。飽くまで対等な外交相手として取り扱うだけに留まるだろうな。」
ナタルの解答も尤もである。
でなければ現在の大洋州連合や南アメリカ合衆国の様な親プラント国家は生まれる筈がないからである。
そんな空気の中、マリューは全員の意識を一つにさせる為に力強く宣言する。
「何れにせよ、この艦と搭載されているXナンバーの機体はザフトの手に渡す訳にはいきません。
我々の任務はそれらを無事にかつ早急に司令部へ持ち帰らなければならない事です。
現在の地球軍内及びそれを構成している国家がどのような状況であれ、その任務を果たさなければ我々が勝利への道を切り開く事は出来ません。
今後も戦闘に関しては厳しい物が展開されると考えられますが、それに伴う各員の奮励と努力を私は切に願います。」
その言葉に全員の身が引き締まる。
マリューは再び正面のモニターに向きなおしたがやはり今後に関しての不安要素は消えない。
運でも良ければ虎と接触せずに紅海に抜けられる事が出来るのだが、それが良いだけでは何の解決にもならないと感じ、改めて小さな溜め息を一つ吐くのだった。

 

破壊されたMSが全て撤去され、平穏さが帰ってきたかのように見えるジブラルタル基地。
その司令官室にアスランとニコルはいる。
そして目の前のデスクにはプラントから新たに派遣された新司令官が両肘をつき、両手の指を交差させた状態で座っていた。
年はこの手の仕事に関しては比較的若い方で二十代の後半といった感じだろうか。
その彼が徐に口を開く。
「私はね……今回の件については何も君達だけに責任があるとは言っていない。
だがそこに至るまでの過程に於いて連鎖反応の様に君らの失態が続いた事は紛れも無い事実だ。そうだろう ?
先程連絡を取ったクルーゼ隊長は普段通りの返答を私にくれたが内心は君たちに対し嗟嘆しているんじゃないのかと私は思うが。」
二人に向けられた眼差しは剣先の様に鋭く、氷の如く冷たい。
耐え切れずにアスランは頭を垂れる。
「申し訳有りませんでした。」
「謝罪して済むならこの世には警察は要らないのだよ。ましてや兵も軍も、そして戦争もね。
……報告に因ればここにいたその捕虜二名は改造した練習用ジンを使ってこちらの同型機を次々に屠り、君達の所属するクルーゼ隊に何度と無く煮え湯を飲ませたそうじゃないか。
しかも撃墜した機体の名前の中にイージスが載っている。
これは1月末にヘリオポリスで奪取した機体の筈だが、一ヶ月も経たない内に相手側に奪還されるとはどういう事か納得のいく説明をしてくれないかな、アスラン・ザラ君 ? 」
「そ、その件に関しましては大変恐縮ですが、その捕虜二名が大変MSによる戦闘に慣れていた為かと……」
額に汗を浮かべながら必死に弁解をするアスランを司令官はギロリと睨みなおし、厳しい口調で糾弾する。
「地球軍の主力兵装は未だにMAメビウスであるという事が頭の何処かに残っているのかい ?
我々から鹵獲したジンをまともに動かす事も出来ないナチュラルの連中が、どうしてそんな動きが出来ると言える ?
そもそも連合が開発したMSは報告のあった5機しか確認されていない ! 量産態勢に移ってもいないのにだ。
それと……これは主にニコル君に言える事だが、その機体と数回交戦する事があったのなら何故なんの対処法も考えていなかったのだ ?
攻撃力や癖が分かれば傾向と対策くらいは練れたんじゃないかな、ん ?
まさかそんな事考えてもみませんでしたなんて返答が来る訳ではあるまい ? 一日中忙殺されていたわけではないのだからそれに費やす時間くらいはあったろう。
それとも考えはしましたが良い対処法が思い浮かびませんでしたとでも ? 」
その点に関してアスランは勿論、隣で聞いているニコルも閉口せざるを得ない。
MAしか戦力として存在しないという事は、MAなりの戦い方しか訓練されていない兵士しかいないという事だ。
MAとMSは操縦方法、戦闘方法の何れも大きく異なる。
その技術は一朝一夕で身に付く代物ではないのだ。
更に、ニコルは以前連合軍が鹵獲したジンを試験的に戦線へ投入したという話を聞いた事もあった。
が、実際相対した兵の話を聞く限りでは動きも戦い方も戦力と言うにはあまりにおこがましい物だったという。
恐らく、OSをナチュラル用に緩めきった結果がそれを引き起こしたのだろうとその兵は語っていた。
またあの改造ジンに対しての対策は、自身の睡眠時間を削ってまできちんと練っていた。
ただその理由が、傍から聞けばあまりに抽象的且つ馬鹿馬鹿しい物だったので黙っていたのだ。
あの実際に対峙した者でないと分からない超能力じみた力と、マニュアルには無い戦法をもってして行う戦いへの対策など、話した時点で怪しまれるのが落ちだ。

 

二人、特にアスランに対する司令官の詰りはまだ続く。
「そのナチュラルが操縦していた機体に撃ち落され、手にしたイージスすらも奪還されてしまった……
君は今赤を纏っているが今後の査定で降格される事も視野に入れておかなければならないと私は思うんだがね。
まあ、理由はいちいち言わなくても君自身が一番よく知っているだろう。
先述したように敵機に因る撃墜、そして捕虜になった件、機体を奪還された件、私情に駆られての尋問、聴取の怠慢と捕虜の射殺未遂、捕虜の逃走阻止失敗、
基地内で往来の激しい場所における無許可連続発砲、仲間が人質にされた際における戦術ミス ! まだまだ挙げれば他にも有るぞ。
キリが無いのでここで止めておくが、どうだ ? 何か申し開く事が有るのであればこの場ではっきりと述べてくれたまえ。」
「いえ、……有りません。」
淡々と告げられる事実が的確な箇所を突いていただけにアスランには反論の余地さえ無い。
司令官はその様子に小さく溜め息を吐き、机に広げた書類に目をやりながら空々しい調子で続ける。
「まったく……これを見る限り君のアカデミーの成績はトップだったようだがいい加減怪しく見えてくるぞ。
お父上は確か国防委員長だったな。今回の一件は確実にお耳に入っている事だろう。それとニコル君、君のお父上も評議会議員メンバーの一人だそうだな。
プラントの意志を左右する方々の息子達の出来がこれではあまりにお粗末過ぎだと思わんのかね、君達は ? 」
胃がきりきりと痛むような台詞のオンパレードが司令官の口から出てくるが、二人はまともに抗弁する事も出来ない。
抗弁したところで上手く丸め込まれるか、余計に理屈で攻めてきそうなものではあるが。
「今回の件に関し国防委員会本部は君達二人に対し休暇の無期限延期を提出した。この処断が厳しい物かそれとも寛大な物かについては君達自身の判断に任せるとしよう。」
無期限の休暇延期と聞いて二人の胃は地に落ちる様な気持ちになる。
長く会わない事で婚約者であるプラントの歌姫、ラクス・クラインは愛想を尽かしはしないかとアスランはやきもきし、
ニコルは暫くの間家族に会う時間が無くなり、趣味でもあり特技の一つでもあるピアノの演奏が当座の間出来なくなった事に落胆してしまう。
しかし二人はその感情をおくびにも出さずに「はい。」と、だけ答える。
司令官はその二人の感情を覗かんという雰囲気で続ける。
「それに伴い新たな任務が来たのでこれからそれを説明する。
アスラン・ザラ、ニコル・アマルフィ、イザーク・ジュール、ディアッカ・エルスマンの四名はこれより六時間後の一八:〇〇時、北アフリカに駐屯するバルトフェルド隊支援へ向け出発。
翌〇九:〇〇時、タッシル近郊に停泊中の戦艦レセップスに到着の後、バルトフェルド隊のき下に入隊、連合軍の新造艦を迎え撃て……との事だ。
尚それに際して機体を失った君達には新たな機体を受領させよう。」
バルトフェルド……ザフトで知らない者はいないその名前には二人とも聞き覚えはあった。
北アフリカのエルアラメイン会戦において、ザフト地上軍のMS隊隊長として地球連合軍戦車部隊を攻略し撃破した、砂漠の虎の異名を持つザフト北アフリカ駐留軍司令官。
指揮官としてもMSパイロットとしても一流で、同時に本業は広告心理学者で振動工学の権威でもある。
それほどの人物の元に赴けと言われたのだから二人の体は自然と硬くなる。
そして新たな機体。そう聞いて二人は顔を見合わせる。
一体何が自分達の新しい機体として回されるのだろうか ?
「先ずニコル・アマルフィ君。君には数は少なくなってきたがバクゥを進呈しよう。前の機体を失ったとはいえ、あれは殆ど不可抗力に因る一件だった。
それに一応私は君の戦闘技術は高く買っているのでね。君専用に改修もしておいて悪くはないと思うが、どうかな ? 」
「あっ、はい ! 有り難う御座います ! 」
ニコルの威勢のいい声が部屋に響く。
「それとアスラン・ザラ君。君には、そうだな……ザウートを進呈しよう。」
その言葉にアスランは足元が音を立てて崩れていくような感覚を覚えた。
司令官は慇懃な態度で更に続ける。
「まあ、司令官の私がこんな事を言うのもなんだがね……君にはむやみやたらと高性能の玩具を手放しで渡すわけにはいかないんだよ。
察してくれたまえ、あの正直棺にも等しい機体に国防委員長の子息を乗せるのは忍びないんだよ。だが本来なら君は出撃さえも出来ないほどの事をしでかしたのだ。
……纏っているその制服が親類のコネを辿って得た物でないと証明したいのなら是非、転属先で鋭意奮戦してくれたまえ。」
「はい……了解しました……」
アスランは苦しげに返答する。
だが仕方ない。
これも自らが行った事に対する本部からの決定事項なのだから。
これに反駁する姿勢を見せようものなら自分の軍人としての生命線が危うくなる。
ではそういったマイナス要因をゼロに戻すだけでなく、プラスに転じさせるにはどうすれば良いか。
勿論、軍功をあげるしか他になかった。

 
 
 

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