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Z-Seed_ ◆1ITb1290kc氏_第02話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:04:14

シンが回収した機体には一人の少年が乗っていた。年はおそらく自分と同じくらいだろう。
少年の意識はなく、傍らにはバイザーの割れたメットが転がっている。
しかし、少年は怪我をしている様子はなかった。

「おい、あんた一体どこから・・」

そう言いかけると、一瞬にして少年の周りを静寂が包みあたりは宇宙へと変わる。

「なっ!?何だ!?これ・・・!?」
―――・・は・が分・る・か?君・は・・・が聞・え・・か?―――
(幻覚・・・なのか?)

「おい、シン」

呼ばれて、我に返る。周りは宇宙でなくMSデッキに戻っていた。
あの声も止んでいた。

「そいつ、運ぶからどいてくれ。」
「ああ、ごめん。」

結局、少年はこちらの問いかけに反応もなく、コックピットから出され、医務室へと運ばれた。
MSデッキは整備班の人間だけでなくほかのクルーも集まっていて妙な光景だった。
整備班の人間が謎の機体を調べているが、やっとのことコックピットを開けてからは首をかしげてばかりだった。
とりあえず分かったのは謎の機体の名前は”Zガンダム”ということぐらいだった。
しかし、シンは謎の機体Zガンダムも気に掛かっていたが、それよりも医務室に運ばれたあの少年のほうが気になった。
シンは一人壁にもたれ、少し離れたところからその様子を見ていた。

第二話「予感」

「シン、何やってんの?こんなところで。やっぱりあの機体が気になる?」

声をかけてきたのはアカデミーの頃から一緒だったルナマリア・ホークだ。彼女もこのミネルバのMSパイロットだ。
赤髪のショートで特徴的なアホ毛、そしてスタイルの良さが彼女の特徴でもあった。

「そりゃあ、自分が回収してきたんだ。気にならない訳ないだろ。でも、それよりもあのパイロット・・・」
「パイロットスーツは連合の物には見えなかったけど、一体どこの所属なんだろう?それに、あんなところで漂流してるなんて。」
「ルナは・・・あの機体や、パイロットから何かを感じないか?」
「・・・?そうね、まぁ普通じゃないってことは感じるけど、それ以上は特に。どうかしたの?」
「そっか、いやなんでもない。気のせい。」
「・・・・・・変なシン。疲れてるんじゃない、今のうちに休みなさいよ。」

ルナは床を蹴って人だかりへ向かっていく。

「そうだ、シン。ルナマリアの言うとおりだ。今のうちに休んでおけ。いつ敵と戦闘に入るか分からない以上、少しでも体力を温存しておくべきだ。」

いつの間にか隣にいるのはこちらもアカデミーから一緒のレイ・ザ・バレルだ。
彼もMSパイロットでブレイズザクファントムのパイロットである。

「大丈夫だって、俺は。別に疲れてなんか。」
「そうか。なら、いい。大事なときに万全の態勢を取れないのでは話にならないからな。」
「分かってるよ。・・・ここにいるってことは、レイもやっぱりあれが気になるのか?」
「まあ、それなりにはな。ザフトの物でも連合の物でもないらしいと聞いたからどんなものかとな。」

レイも人だかりから少し離れたところで整備班の人間の様子を見ていた。
シンは、あのパイロットの少年の事が頭から離れなかった。何度も頭の中に呼びかけてきた声は間違いなく彼のものだと。
今は、声は聞こえないが、回収するときに彼のはっきりとした声を聞いたのだ。
彼が何を言おうとしたのかは分からないがとても大事な気がした。
シンは床を蹴って医務室へ行く。やはりあのパイロットが気になった。

「なるほど。では彼は、身体ではなく精神に異常がある。ということかね。」
「ええ、それ以外考えられません。とくに、目立った外傷もなくきっかけとなるような傷もありませんし。」
「じゃあ、一体何なんだ?」
「脳の検査も行いましたが、脳波も乱れていませんでしたから過度のストレスからくるものだと思われます。」

話が聞こえ、医務室に入るとデュランダル議長とオーブ首長国代表カガリ・ユラ・アスハとその付き人の姿が目に入った。
シンは一瞬バツの悪そうな顔をして、舌打ちした。
(なんでアスハがここにいるんだ!?)
内心罵りながらもデュランダル議長の手前もあり、そこはなんとか抑えた。

「回収作業ご苦労だった、シン・アスカ君。姫、改めて紹介しましょう。彼がインパルスのパイロット、シン・アスカです。」

シンはカガリを睨んだまま、形式的に会釈した。
カガリはシンの鋭い目つきに戸惑った。彼女の脳裏には彼に言われた一言がよぎる。

【さすが、綺麗事はアスハのお家芸だな!!】

回収作業前にMSデッキで言われた言葉が何度も繰り返される。
カガリは思わずシンから目を逸らしてしまい、それに気付いた付き人の男がカガリを気遣っていた。
その後、カガリを含めた三人は医務室を後にする。

「まったく、次から次へと。これじゃ、病人が休まらないよ。」
「すみません。・・・それで、その人は大丈夫なんですか?」
「ああ、命には別状はないよ。それ以上は、まだ何とも言えないな。」
「そうですか・・・ッ!?」

ベッドに横たわる少年を見たとき、シンをまたあの感覚が襲った。
横たわる少年と宇宙が広がり、星のきらめきが散らばっている。
シンは自分の足元の感覚が消えたような気がしたが、何故か不安はなくどこか心を穏やかにさせるなにかを感じた。

―――危険な意思が・・・近づいている・・・・・・気をつけるんだ・・・―――

横たわっている少年からなのか、シンにはその声がいままでで一番はっきりと聞こえた。

(あんたは・・・一体・・・!?)

しかし、突然艦内の警報が鳴りシンは我に返る。

『コンディションレッド発令!!コンディションレッド発令!!』
「な、何だ!?」
『敵部隊を捕捉、各員戦闘態勢へ移行せよ!!繰り返す、敵部隊を捕捉、各員戦闘態勢へ移行せよ!!』
「また、あいつらか!!こんどこそ!!」

シンは医務室を飛び出し、MSデッキへ向かった。

(それにしてもあの人、なんで敵がいることが分かったんだ?)

新たな疑問を抱えつつもシンはコアスプレンダーに登場し、発進する。
ドッキングして、ブラストインパルスとなりルナマリアのザクとともに暗い宇宙に2条の光を引いていった。