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Z-Seed_ ◆1ITb1290kc氏_第04話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:04:34

ユニウスセブンの粉砕作業にはミネルバも参加することになり、先遣隊のジュール隊とは現地で合流する予定だった。
また、強奪事件は今回の件で不本意にも後回しとなってしまった。
粉砕作業のことを聞いてシン達とカガリの間に一悶着があり、不機嫌なシンは気分を紛らわせるためにMSデッキへ向かった。
デッキでは各機体の整備をしてる端で、あの謎の機体Zガンダムの調査を行っていた。
シンはまだ、まともにZを間近で見たことはなかったので近くまで行く。

「おう、シン。こいつが気になるのか?」
「えっ、まぁそれなりに。」

MS整備班の班長であるマッド・エイブスに声をかけられ、あやふやな回答をするシン。

「ははっ、遠慮するこたぁない。もっと近くで見たって構わねぇさ。」
「でも、まだ調査中なんですよね?邪魔じゃないですか?」
「まぁ、今のところ俺らには、判らないことだらけだからな。調べるだけ無駄ってわけだ。」
「それって、どういう・・・?」
「コックピットの形状は球形で全天周モニター、装甲も現存しているMSとは比べ物にならない強度と軽さ、そして材質も不明。
しかも・・」
「ばかたれ、油売ってる暇あったら仕事しろ!この半人前!」

シンの問いに答えたのはマッドではなくヴィーノだった。
得意げに言ってみせるが、途中でマッドに怒鳴られ慌てて持ち場に戻る。

「ったく、少し目を離すとこれだ。今のはまだ、誰にも言うなよ。今これを知ってるのは俺ら整備班でも一部くらいなもんだ。
もし、今こんな事がミネルバの全クルーに知れ渡ったら、ただでさえユニウスセブン粉砕の準備で忙しいってのにパニックになりかねねぇからな。
代わりにっちゃあなんだが、コックピットで面白いもん見せてやるよ。」
「いいんですか、そんな事して。マズいんじゃ・・・」
「気にすんな。こんなのは、またとない機会だからな。さぁ、乗った乗った。」

第四話「Zの覚醒」

シンはマッドに気圧されてZのコックピットに入れられる。
シートに座ると周りは本当に球形の形をしておりその真ん中にシートがある。
マッドは計器類をすこしいじるとモニターに電源が入る。
モニターにはMSデッキが映し出されている。シンは身を乗り出して周りを見渡すが、本当に全方位が見渡せる。
驚きと同時に不安感を抱いた。まるで、宙に浮いてるような感覚がコックピットに乗っていると思わせなかったからだ。

「すごい・・・」
「驚くのはこれからだぜ。」

マッドはまた計器類のスイッチをいじると、モニターは切り替わり宇宙となった。

周りにはビームの火線が飛び交っており、爆発が断続的に起こっている。
視界には時折、ザクに似た機体が出てきては光球に飲み込まれたり、連合のダガーに似たような機体も現れる。
巨大な船が視界にはあり、その周辺でも激しい戦闘が起きている。
すると、黄色い重MSが現れサーベルを片手にこちらにビームを放ってくる。
こちらからもビームが発射されるが、互いにそれを回避して一歩も譲らない。
次の瞬間互いに撃ったビームが相殺して、干渉波を起こしたのか、二機の距離が離れる。
相手のMSがサーベルを振りかざしそれを回避するとき、黄色い重MSのスカート部分からもう一本のアームが出てきて、
サーベルが襲い掛かる。機体は間一髪で回避したがライフルを破壊されたのか、その残骸を投げ捨てる。
距離を取って再びビームを連射する相手、それを紙一重で回避しつつ、サーベルを抜いてこちらの機体は腕部からランチャーのようなものを発射する。
相手もそれを重MSでもあるにも関わらず、機体を捩るようにして回避しサーベルで応戦する。
二機の鍔迫り合いはサーベルの干渉波で両機を弾いた隙に、こちらの機体が左脚で敵のライフルを弾き飛ばす。
ひるんだ相手から若干距離を取る。
二機は急に静止して相手の出方を伺ってでもいるのかしばらく、動かない。
しかし、突然機体は高速で敵の機体へ向かい変形をして突っ込む。

そこで、マッドは映像を切る。

「おい、大丈夫か?顔色悪いぞ。」
「えっ、大丈夫です。あんまりにも信じられないことばかりで驚いただけです。」
「そうか。ちょいとばかし、刺激が強かったか。」
「それにしても、見たことない機体ばかりだった・・・」
「あぁ、しかもあれだけの大規模な戦闘なんてヤキン・ドゥーエ以外記憶にないが、それとも違うみたいだしな。」
「じゃあ、一体?」
「さぁな、あのパイロットが起きない限り何もわからねぇってこった。」

マッドは少し気を落とすと、いつもの表情に戻りコックピットから出る。
シンもそれに続いて、外へ出る。

「ありがとうございました。なんか、邪魔したいみたいで。」
「いいってことよ。あっ、でもこの事誰にも言うなよ?まだ、議長や艦長にも見せてないし教えてないんだからな。」
「えぇ?それはさすがに・・・」
「いいんだよ、ミネルバのエースになるだろうパイロットへの景気づけだと思えばな。ははっ。」

マッドは冗談交じりにシンの背中をバシバシ叩く。
シンはその後MSデッキを後にして食堂にいた。シンはあることを考えていた。
あの機体Zについてだ。あの少年がコックピットにいたこと、あの映像を見る限り、あの少年があの機体で戦っていたことは間違いなさそうだ。
しかもかなりの操縦技術を持っているのはすぐに分かった。しかし、対抗意識から自分よりも操縦技術があることを素直に受け入れることはできなかった。
シンはあの映像を見てるとき少年の声が聞こえるときと同じ感覚がしたのだ。
それがなによりもシンを驚かせたのだった。そして、シン自身もあの少年に出会ってから少しではあるが戸惑いとともに変化を感じていた。
ユニウスセブンへ近づくにつれてなんというか、どことなくだが悲痛な叫びが聞こえるような気がしていた。
その頃ミネルバの医務室にいた少年、カミーユ・ビダンはついにその眠りから目覚める。

(フォウ、分かってくれ。また、多くの人が悲しむんだ。僕はそれを少しでも助けたいんだ。)
(でも、それじゃあカミーユは?今のあなたは戦い続けて、立っているのもやっとなのよ。これ以上、あなたが傷つくのは耐えられないわ。)
(僕も同じさ。これ以上、誰かが君や僕のような人間と同じように傷つくのは耐えられないんだ。悲しみを知っている僕らだからこそ出来ることをしなきゃならないんだよ。)
(カミーユ・・・)
(大丈夫、僕はいつもそばにいる。君だって僕にそう言ってくれたろ?)
(・・・分かった。私もあなたのそばにいるから、辛くなったら無理はしないで。)
(ありがとう、フォウ。そろそろ僕は起きるよ、このままにしてはおけないから。)

「っはぁ!!空が落ちていく・・・落としてはいけない・・止めなければ!!」
「大丈夫かね!?君!?私がわかるか!?」

飛び起きるようにして、カミーユは大声を上げる。
軍医はそれに気付き駆け寄り、落ち着かせる。
議長と艦長には少年カミーユの意識が戻り、落ち着いたことが伝えられる。
カミーユは軍医にこれから戦闘に入るということが告げられ、しばらく安静にしているよう伝えらた。
しかし、カミーユはそんなことをしていられる余裕はなく、焦っていた。
確実に、ユニウスセブンが地球の重力に引かれ落ちていくのを感じていた。
それだけでなく、失われた人々の魂の悲痛な叫びが彼を突き動かしていたのだ。

(分かってるよ、フォウ。そんな簡単に根を上げるつもりはないさ。今は僕のできることをするまでだ。)

そして、現場に到着したミネルバは先行した部隊が襲撃されているとの報を受け出撃していく。
カガリの付き人としていたアスラン・ザラも粉砕作業の協力することになった。
ユニウスセブンの作業を援護をしているミネルバ隊がジンと交戦状態入り、苦戦していた。
シンはジンと交戦しながらも、いち早くあの少年の気配を感じ取った。レイも前回の出撃と同様の何かを感じていた。
カミーユは、医務室から抜け出し、パイロットスーツに着替え病み上がりとは思えない足取りでMSデッキへ向かっていく。

ブリッジにマッドの怒鳴り声が入り、例の少年が急に現れMSに乗り込んで出てこないと言う。
ハッチを開けてくれとの要求があるがそう簡単に要求を飲むわけにもいかず、コックピットと回線をつなげる。

「あなた!?なんでそこに!?今は戦闘中よ!?」
『無理を承知でお願いします。僕に、手伝わせてください。僕はパイロットですからMSで作業ぐらいできます!!』
「あなた正気なの!?病み上がりの人間で、まして敵か味方かもわからない人間をMSに乗せることなんてできる訳ないでしょ!!」
『分かってます。けど、また過ちを繰り返そうとしているのを見過ごす訳にはいかないんです。あそこで亡くなった人たちの気持ちを無駄にしないためにも止めないと!!』
「でも、そんな理由で出させるわけには・・・」

艦長のタリアの主張することはもっともで今はそれどころではなかったのだ。
しかし、カミーユの言葉にはそれを納得させるような重みがあり、一瞬タリアは気圧される。
それでもタリアはカミーユの意見を却下しようとして口を開きかけたとき、デュランダルが言葉を発する。

「いいだろう。私の議長としての権限で許可しよう。君が乗っていた機体を使いたまえ。」
「議長!!?しかし、」
「艦長、これは我々だけの問題ではない。今は離れてこそいるが、地球は我々のかつての故郷でもあるのだ。
地球の今後が掛かっている。アスラン君にも言ったように人手は少しでも多いほうがいい、それに私には彼から何か特別なものを感じるのだよ。君、名前は?」
『・・・カミーユ・ビダンです。』
「いい名だ。カミーユ君、行きたまえ。」
『ありがとうございます。』
「議長!!」
「タリア、あの機体の発進準備を。」
「・・・・・・判りました。エイブス、聞こえる?ハッチを開けて、発進準備をして頂戴。」
「すまない、艦長。」
「いいえ、・・・もう慣れましたから。・・・・・・それにしてもあの子、この状況を一瞬にして理解したとでも言う様な身のこなし、一体?」

タリアは厳しい表情を通り越して呆れてデュランダルに言い放つ。デュランダルは不謹慎と思いながらも苦笑をした。
一方のタリアは少し気持ちを落ち着けるとこの状況であの少年の行動が疑問に残ったのだった。
MSのデッキはZガンダムの発進準備で慌しかった。マッドはカミーユに回線で話しかけている。
カミーユは機体に異常がないことを確認して発進準備に入る。少し間があり通信が入る。先ほどの艦長だ。

『いい、もし不審な行動をとったら撃墜するわよ!判ってるわね!』
「分かっています。不審だと思ったら攻撃してもらって構いません。」
『分かっていればいいわ、味方の作業隊を援護して頂戴。』
「了解です!!」
『おい、ボウズ。一応、バルカンとサーベルはセットしてあるが、腕部のグレネードは使えるか保証できねぇぞ。
それと細かい部分は見れなかったから、不具合があるかもしれねぇ。やばくなったらすぐに戻って来いよ!!
お前さんには帰ってきたら聞きたいことが山ほどあるんだ。いいか、死ぬんじゃねえぞ!!』
「分かっています。僕もまだ死ぬつもりはありませんから。」

ウェーブライダーは今にもミネルバから発進しようとメインスラスターから青い光を噴射する。

(フォウ、行って来るよ。君とはまた会えるから、それまでしばらくの間だけどお別れだ。)

カミーユは心の中で呟き、発進の合図と同時にペダルを踏み込む。

「カミーユ・ビダン、Zガンダム、行きます!!」