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Z-Seed_ ◆1ITb1290kc氏_第06話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:04:55

「お前達、こんなことをして誰かが喜ぶとでも思ってるのかよ!!?」
『ふざけたことを!!先に我らコーディネイターに攻撃を仕掛けてきたのはナチュラルではないか!!』
「そうやって、今度は自分達が罰を与えるとでも言うのか!?思いあがりだ、そんなもの!!」
『では、多くの同胞を殺した小賢しいナチュラルどもを見逃せと言うのか!!?』
「殺されたら、殺して、殺されるから、殺す。相手のことも分かろうともしないから、相手の存在を否定するだけでいつまでたっても・・・・!!
自分から歩み寄らずに相手を見下して自分達が一番上になったつもりでいるから!!
そんなことだから、自分達が間違っていることにも気付かないで!!」
『小僧が分かったようなことを!!』

ジンがZを振り払い、ビームカービンを撃つがZはそれをあえて避けようとしなかった。
Zの光が強くなり、ビームはZの光で弾かれる。

『なっ!!これは!!?』
「その小僧に言われなければ、こうも言われなければ、ここで散っていった人たちの悲しみも希望も何も分からないくせに!!」
『なんだと!!?』

突如Zの光が当たり一帯に拡散し、各機のパイロットはその眩しさに目をつぶる。
目を開けると、コックピットは消えて宇宙に投げ出されたようになっているが、視界には巨大なユニウスの広がっている。
一人のパイロットが光を放っているのに皆気付くき驚くが、それ以上に自分達の頭の中に今は無き人々の声が聞こえてくる事に驚く。

第六話「渡された希望」

アスランには母親の声、そして友達だったニコルの声が聞こえる。

「アスラン・・・ここは彼に任せて行きなさい。」
「母上!!しかし・・・。」
「彼なら、大丈夫です。僕達も微力ながら手伝います。さぁ・・・・。」
「ニコル・・・・ありがとう。」
「アスラン、あなたはあなたの道を進んでください。それが僕からのお願いです。」

それ以上、言葉が出てこなかった。今ならばすべてを受け入れていいように思えた。

ジンと交戦していたシンにも亡き妹の声が聞こえ、叱咤されていた。

「いつまでも、そんなもの持ってて恥ずかしくないの?お兄ちゃん。」
「・・・マユ!?」
「お兄ちゃん、分かってるんでしょ?今のままじゃいけないって。」
「けど・・・俺・・。」
「私そんなお兄ちゃん嫌いだな、らしくないもん。だから、約束して。」
「何を?」
「もう分かってるでしょ?・・・・あ、私もう行くね。あのお兄ちゃん手伝わなきゃ。」
「待ってくれ!!マユ!!俺は・・・・!!」
「また、会えるから。だからその時まで約束だよ!!」

我に返り、コックピットが元に戻っていることに気付くシン。
メテオブレイカーで完全にユニウスが粉砕され徐々に重力から離れて行くものの、それでも多くの破片が地球の重力に引かれて行く。
アスランは声の通り、ユニウスから離れてミネルバに回収されようとしていた。
光はまたZに集まっていく。まるで魂が吸い寄せられるように集まっていくのにも見えた。

『貴様・・・一体・・・!?』
「みんな分かっているんだ!!何をしなければならないかを、何が大切なことなのかを!!」
『ここまで来て、退けるか!!貴様ごときに!!』

サトーはビームを連射させつつサーベルを左手に構えさせ、Zに特攻する。
Zは光に守られビームを弾き、ビームサーベルをゆっくりと振り上げる。
ビームサーベルの出力が上がり、長さは機体の5倍以上はある。

『うおぉおおおおおお!!』

サトーのジンもライフルを捨て、サーベルを両手で構え踏み込む。

「この分からず屋が!!」

Zのサーベルが振り下ろされ、サトーのジンと共に周辺のユニウスの破片も切断される。

『ぬぅぅああああああああああ!!!』

サトーは意識が消失する寸前、亡き家族の幸せな姿と笑みを浮かべる自分が共に並ぶ様子が鮮やかに写り満足げに散っていった。
爆発から遠ざかるZ、サーベルはゆっくりと元の大きさに戻っていく。カミーユは、はっきりとした意識で叫ぶ。

「・・・・なんで!!?・・・分かっているのになんで受け入れようとしないんだ!!?」

一方、シンはできる限りジンたちを無視して、最後に残ったユニウスの粉砕を行おうとした。
既に死ぬ気なのか、大気圏突入のできないジン達が猛攻をかけてくるが最小限の動きですり抜けようとする。
ライフルを捨てて、シールドを突き出してサーベルを持たせてビームの雨に突っ込む。

「ここまで来て見過ごせるか!!」

負荷がかかりシールドごと左腕が吹き飛ぶ。

「邪魔だぁああああ!!」

ダメージを気にせずにジンを一機ずつサーベルで仕留める。
フォースシルエットも半壊し、ビームを避けきれずインパルスの右足が小爆発を起こす。
バッテリーが危険域に達してアラームが鳴るが気にせずに、メテオブレイカーを設置させ残った右腕のマニュピレーターで操作をする。

「これを壊せなくて大勢の死を無駄にできるか!!」

既に大気圏突入による摩擦による機体温度の上昇が始まっていおり、インパルスは戦闘のダメージも相まって危険だっただった。
メテオブレイカーがついに破片を砕き、ユニウスの巨大な破片はついに砕かれ、巨大な破片は粉砕の衝撃で大きく落下軌道から逸れて行く。

「やった!!これで!!」

しかし、今度はバランスを崩したインパルスが重力に引かれて行く。

「しまった!!高度が!!」

常時なら可能な大気圏突入も既に限界を迎えているインパルスには無理な話だった。
機体温度が急上昇していき、バッテリーのアラームとは違うアラームが鳴り始める。
シンは、何とか近くの破片まで近づきを盾にするようにしてやり過ごそうとする。

「だめだ!!機体温度が下がらない!!こんなところで・・・!!」

(カミーユ!!彼が重力にひかれているわ!!)
『何!?』

カミーユの研ぎ澄まされた感覚が重力に引かれて落ちてゆくシンを見つける。
シンも同時にカミーユがこちらに感づいたことを感じるとる。

『大丈夫か!?』
「あ、あなたは!?」

光を纏ったZが接近してくる。ウェーブライダーに変形して更に加速をかけてくる。

『この機体につかまれ!!』
(カミーユを信じて!!)

若い女性がZのコックピットに寄り添うようにしているのが一瞬だがはっきりと見える。

「えっ!?」
『時間がないぞ!!急げ!!』
(早く!!)
「は、はい!」

Zに促され、隕石からウェーブライダーにバーニアを噴かせて飛び移る。
大気圏突入が可能なのだろう、Zは入射角を調整する。

『機体のできる限りのパワーを冷却部、廃熱機能に切り替えるんだ!!』
「はい!!」
『吹っ飛びたくなかったらウェーブライダーから手足を出すなよ!!』

眼前に広がる地球が赤く燃えている。
周辺のユニウスの破片は摩擦熱で燃え尽きていく。大きなものは残っているが、今は仕方ない。
なにせ、下手をすればこちらが燃えつきかねない。
Zは最小限の動きで巧みに破片を避けつつ重力の井戸の底へと引かれて行く。
両機体の摩擦による衝撃が大きくなる。シンは必死でZにインパルスをしがみつかせた。
ミネルバは後方で大気圏突入をしようと試みている。無線を使おうにもすでにブラックアウトしているため交信は不可能だ。

『船はあそこか・・・!!』

ますます眼前の青い星は赤く燃えていき、周辺部の隕石が摩擦に耐え切れず消えていく。
そして衝撃は収まり、雲の切れ間から海面を覗かせている。シンは2年ぶりの地球の重力をその身で確かに感じていた。

「地球か・・・・・」

燃え尽きずに落ちていくユニウスの破片が散らばって落ちていく。シンにはそれが亡き人々の悲痛な嗚咽のように感じられ、悔やんでも悔やみきれなかった。
しかし、シンにはこれから何をすべきなのかを分かっている、それだけで十分だった。
夢か現実なのか死んだはずの妹との約束、ここで死んでいった多くの人のためにも自分にできることをしようと思い始めていた。
大気圏を突入したZとインパルスを包んでいた光が徐々に収まっていく。

(この世界の人々はこんな僕に力を貸してくれる。だから、今度は僕が、僕達が力を貸して助けになりたいんだ。)
(カミーユ・・・無理はしないでね・・・・)
『あの・・・・』
「ん?どうした?」

インパルスとの接触回線でパイロットの声が少々ノイズがかっているが聞こえる。

『助けてくれて、ありがとうございます。』
「そう言われるとなんだが照れるな・・・」

カミーユは少し面食らって苦笑する。礼を言われるとは思っていなかったからだ。

「そういえば、名前を聞いてなかったな・・・僕は、カミーユ・ビダンだ。」
『シン・アスカです。』
『・・・ますか!?・・・こちら・・ルバ!!聞こえますか!!?』
「迎えが来たみたいだ。ひと安心だな。」

シンも緊張を解いて、メットを外して深く息を吸い込んだ。

「約束・・・・・・必ず、守るから。」

カミーユも研ぎ澄まされた感覚が戻っていくのを感じて、心地よい気分でシートに身を委ねる。
ミネルバが二機の信号を発見し、接近し無事に二機は回収された。

シンが異世界のパイロット、カミーユとの邂逅を果たした頃、
シェルターに避難する子供達から離れて浜辺に立つ青年も空から落ちてくる赤い涙を遠くを見るような目で見つめ続けていた。
これから始まる、新たな戦火を見ているようなまなざしだった。