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Z-Seed_◆x/lz6TqR1w氏_第11話『再会』

Last-modified: 2007-11-12 (月) 12:32:17

オーブ沖を突破することに成功したミネルバは、一路、カーペンタリアへと向かっていた

「捕虜の引き渡しの支度をしなきゃねぇ……」

談話室では、衛兵たちの雑談が聞こえる
――捕虜とは、アビス強奪の罪で拘束されていたアウルのことだ
アーモリーワンでは手続きを踏む暇もなく、拘束したまま追撃に出ていたのだ

そして、その内容に興味を持つ者がいた

「あの……」
「何です?」
「その強奪犯に、会ってみてもいいですか?」

少し癖のある赤髪の少女――ルナマリアである

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機動戦士ZガンダムDESTINY
第11話『再会』

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衛兵に先導され、強奪犯が収監されている牢屋の前まで歩く

この行動を一言で言い表すなら気まぐれである

大胆にも最新鋭の機体を強奪せんとした者の顔を見てみたくなったのだ
その上、引き渡しが行われれば二度とチャンスは訪れないという限定感がその欲求を加速させた

「此方です。何か有りましたら、大声を上げて下さい
直ぐに駆け付けます」

衛兵は丁寧に敬礼すると、持ち場に戻って行く
形式上は尋問という形を取っていた。とはいえ、ここまで来て聞き出せることなど無いに等しいだろうが

「ひでぇな、人を何だと思ってやがる」

捕虜の男の毒づく声がする方を見ると、ルナマリアは驚愕した
自分とそれほど変わらぬ年齢の少年が佇んでいたからだ

「ねぇ……?」

思わず言葉が溢れる

「何だよ」
「何であんなことしたの?」

間抜けな質問だなと、ルナマリアは自己認識した
彼は尋問で自分の所属を明らかにしていないのだから
情報を提供すれば減罪されたかもしれないが、彼はそうしなかった
――それは、極刑を意味する
捕虜は呆気に取られた顔をした後、くすくすと微笑を浮かべ出した

「今更聞くか?そんなこと」
「わ、悪かったわね!!」

笑い飛ばされた羞恥心をまぎらわすかのように、ルナマリアはその場を立ち去ろうとした
そして、何で私はこんなことをしているんだと軽い後悔が生まれた
――その時だった

「生きるためだよ……」

後方から捕虜の力無い声が聞こえてきた
それに続いて、鳴咽が静かに響いた

彼は生きるためだと確かに言った

「……それじゃあ……私と同じ理由じゃない……」

ルナマリアも生きるために戦っていた
そのため功名心などは無かったが、そんな自分が好きだった
そして、同じ理由から行動しているのに、
彼はこれから鉛弾を喰らわなければならないのだと考えると何だか寒気がした
――自分があちら側にいてもおかしくないのだから
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引き渡しはスムーズに行われた
ルナマリアもその場に居合ていた
何か声をかけてやりたいが、言葉が見付からない上、立場もあるためそれは叶わなかった

「なぁ、あんた」

捕虜――アウルが泣き張らした目でこちらを見つめてきた

「何よ?」
「『赤い』から、パイロットなんだろ?」
「……ええ」
「……生きろよ」

そう言い切った後、アウルは直ぐに連行されていく
その時、ルナマリアの頭の中に童謡の『ドナドナ』の歌詞がよぎった
きっとこの歌は、人間がモデルなのだろうと、ルナマリアは確信した

その出来事の直ぐ後だった
ルナマリアはアビスのパイロットに任命されたのだ
彼女は複雑な気分だった

カーペンタリア基地にて、整備を受けているミネルバのMSドックに一機のMSが降り立ち、
偶然その場にいたシンは、コックピットから姿を現したパイロットの顔を見て慌てふためいた

「あ、あんたは!?」
「特務隊フェイス所属、アスラン・ザラだ
よろしく」

オーブにいる筈の男が、自軍に、それも特権を携えてやってきたのだ

「あんた、オーブにいた筈じゃ……
何で復隊したんですか!?」
「あんなものを見せられて、じっとしてなどいられないからな」
「……?」
「ユニウスセブンのことだ。俺も確かに見た
これからの人があるべき姿をな」

アスランもシンと同様に、『人の相互理解』を目にしていた
そして、それを知りながらも世界を傍観することなど出来ないと、再び軍に戻ってきたのだ

「ええと、カミーユ……さんだったかな?
彼は今、何処に?」

シンの表情が曇る

「カミーユさんは……今、患っています……」
「……怪我でもしたのか?」
「……こちらです……」

百聞は一見にしかず
――シンはアスランを医務室へと誘った

「……なぜこんな状態に……」

ベッドに横たわっているカミーユの悲惨な姿を見て、アスランは小さく呟いた

「きっと……疲れちゃったんですよ……
あれだけのことをしたから……」
「……彼は今後どうなるんだ?」
「ここの医療施設に収容される予定です……」
「そうか……」

沈黙が辺りを包み、重苦しい空気が流れた

「だから、カミーユさんが戻って来るまで、
一緒にミネルバを守りましょう」

この状態から回復出来るとは到底思えないが、シンの言葉が現実逃避とも思えない
きっと強い確信、ないし願望めいたものが有るのだろうとアスランは結論付けた
そして、内心は気に入らない筈の自分に一緒に艦を守ろうと言うその姿は、
カガリに食いかかっていたときからは想像出来なかった

「お前……成長したな」

その言葉に、シンは少しばつの悪そうな顔になった

「そんなこと無いですよ。ここに来る前の戦闘で、自爆しそうになったんですから」
「そうじゃないさ
……とはいえ、自爆は良くない
基地にいる間、みっちり鍛え直してやるから覚悟するんだな」

冗談とも本気とも取れない言葉に、シンの顔が青ざめた
おそらく、その内容を想像しているのだろう

「……はい!」

しかし、シンは力強く答えた
藪蛇であっても、英雄と讃えられた人物のシゴキなら受ける価値があるはずだと前向きな考えであったのだ