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Z-Seed_942_第06話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 13:02:20

第06話『運命の始まり』

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そのMSを一言で形容するならば『ガンタンク』――

――文句は言えまい。

颯爽とコックピットに乗り込み、コンソールを操作してシンの援護へと向かう。

キュラキュラキュラキュラ……
キュラキュラキュラキュラ……

遅い!日が暮れるわ!

はっ……!可変機構を有しているのか?
ならば!

ガシンガシンガシンガシンガシン……
ガシンガシンガシンガシンガシン……

お そ い !

その時だった。

「逃げるのか!?」

奪取されたであろう三機は、旗色が悪いと判断したのか、コロニーの外壁へと向かっていく。
穴を開けて撤退するつもりなのだろう。

――そこは、Bブロックの真下である。

「飛んで火に入るカトンボォ!」

機体の一つに狙いをつけ、フルバーストをお見舞いする。
無論、コックピット直撃コースだ。

『うわぁぁぁ! ……オクレニーサンッ!』

言葉が走った!オクレニーサンとは何だ!?
推力を失い、落下して行くカオス。

間髪入れずに、慌てふためく残りの二機に対して牽制を掛ける。

「ちぃぃぃ!」

しかしながら、私の牽制にもシンと白いザクの追撃にも怯まなかった敵は、まんまと宇宙に逃げていった。

「まだだ!」

バーニアを目一杯使って、連中が出ていった穴に飛込んだ。

『ガンタンク』で。

私は諦めが悪いのだ。

『無茶です!』

インパルスからの通信――しかし捨て置く。

「女は、この宇宙を作り上げていく存在だ!
それがこうも簡単に失われるのは、残酷なことなのだよォォ!」

カミーユ・ビダンのせせら笑いが聞こえた気がしたが、今は気にしない。

「むっ!」

オールレンジ攻撃を察知し、とっさに回避運動へ入る。

『かわした!?』
「見えるぞっ!」

しかし、重鈍さ故に長時間の回避は不能。ならば、サイコミュ兵器を落とすしかあるまい。幸い、火力は一丁前である。

「そこっ!そこっ!そこっ!そこっ!」

マシンガンを感覚に従ってばら蒔く。
四方から爆音が響き、サイコミュ兵器は塵と化した。温い温い!

『逃げるんだよぉぉ!』
『うわーん、やっぱり!』

また言葉が走った!

敵は踵を返して逃げて行ったが、追撃は不可能とみなし、私は周囲を確認した。ミネルバが既に出港していた。

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「挨拶が遅れました。
私が副長を務めさせていただくパプテマス=シロッコです」

白服を纏った女艦長に恭しく敬礼をした。
この職場には期待が持てそうだ。

「タリア=グラディスよ。貴方はパイロットも兼任ね?」
「左様で」
「貴方の機体はカオス……貴方が落とした機体よ。
修理が済みしだい、任に着いて頂戴」
「了解しました」

流石に『ガンタンク』は厳しいと思っていたので、私は胸をなで下ろし、副長シートにもたれかかった。
中々の座り心地だ。

「パプテマス様!」

シン・アスカだ。

「流石ですね!ガズウートで落とすなんて」
「お前も良く持ち堪えた。私は感謝している。 そういえば、白いザクのパイロットは?」
「レイですよ。ちなみに、赤いザクはルナです」
「あの赤髪もこの艦か……まあいい……ん?」

艦長の隣には議長殿……何故ここにいるかは知る由もないが、やはりいけ好かない。

「シン、MSの調整に行くぞ」

私はシンとともにブリッジを出た。
カオスとかいうMSを把握しておきたかったからもあるが、議長殿がいけ好かなかったのも原因だった。

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「コックピットの修理に、3日は下さい」
「1日で頼む」
「ちょwwww」

メカマンの嘆息を聞きながら、私はカオスを見上げていた。
メッサーラに通じるデザインに感嘆を隠せなかったのだ。

「おまけにサイコミュ付き……うむ、これはいい」

様々な角度からカオスを観察し、ウットリとしていた時だった。

「綺麗事はアスハのお家芸だな!」

シン・アスカである。
私の下僕となってから本来の激情は身を潜めていたにも関わらず、
彼はその性質を開放してしまっていたのだ。
彼の睨む先には――

「あのアベックか!?」

一体何者なのだろうか、何故か男の目が気にくわない。
いたたまれなくなったのか、シンは走り去ってしまった。

「(私といい、シンといい、覚えておけよ)」

アベックを冷淡に睨み付け、私はシンを追い掛けた。

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「俺の家族は(ry」
「あい、分かった」

よもや彼にこんな過去があったとは……。
短気とも取れる激情にも説明が付く。

「……しかし、あの女……一国の代表とはな」

女性を為政者とするのは、私の目指すべき点でもある。
そこは評価せねばならん。
私はオーブという国が気になり、自室に篭って自分なりの調査を始めた。

――パプティマス様が読書中です。暫くお待ち下さい――

ほとほと呆れた。

「何だ!?他国の侵略を許さず(ryだと!
国とは臨機応変に動き、民の生命、民の財産を守ってこその国だ!
シンが憤怒する訳だ!
断言する!オーブとは虚なりッ!オーブとは国に非ずッ!
うわべに騙されてはいかんという、いい例だッ!」

思わず論説風になってしまうのはご愛敬。
観客は居ないが。

『コンディションレッド発令!コンディションレッド発令!』
「むっ……行かねばな」

機体が無い(ガズウートは借り物である)ため、
私は副長席に着いた。
ふはははは!私は指揮も得意なのだ!

――これが私の運命の始まりだったのだ――