Top > Zion-Seed_515_第17話
HTML convert time to 0.003 sec.


Zion-Seed_515_第17話

Last-modified: 2007-11-12 (月) 18:13:41

 後方から接近するザンジバル級から出撃するMSを見やったユウキ隊長は、艦隊防衛用に温存してあった
直属部隊に迎撃を命じる。
 4隻のザンジバルから出たのは20機前後の機体である。
 手元に残した30機のMS部隊で十分に抑えられると踏んだのである。

 だが、その予想は僅か数分後に覆される事になる。

 青い機体、茶色い機体、黒い機体、赤い機体、茶と紫の機体を中心とする10前後のMSが先行するのを
見たユウキは、何故わざわざ戦力を分散させるのか疑問に思ったが、まもなくそれを強制的に理解させられる
ことになる。

 その一団をインターセプトに向かったザフトのMS隊が接触する直前、おそらく相手の攻撃によって5機の
ジンが一瞬で爆散、陣形が僅かに崩れたところにジオンのMS部隊が突入する。
 そして、まさにすれ違いざまに一撃を加えると言った感で、さらに7機のジンが爆散する。

 ほぼ一瞬の接触でザフトの迎撃部隊を突破したジオンのMSはそこで分散、各々ザフト艦艇に狙いを定める。
 最初にザフト艦を血祭りにあげたのは、黒い3機のMSであった。
 ついで赤い機体がナスカ級を撃沈、ザフト艦隊は大混乱に陥る事になる。

 ■ 黒い三連星 ■

「オルデガ! マッシュ! ジェットストリームアタックをかけるぞ!」
「おう!」
「まかせておけ!」

 この戦いで黒い三連星は4機のジンと3機のシグーを撃破、ローラシア級2隻、ナスカ級2隻を撃沈する。

 ザフト艦隊の中を縦横無尽に駆け回るジオンのMS、混乱するザフト艦艇、更に混乱するザフトMS部隊。
 ここに、レイ・ユウキはこれ以上の戦闘の継続を断念、撤退を決意する。

 ユウキ隊長が撤退を決意した頃、ソロモンに取り付いたホーキンス隊を中心とするおよそ50体ほどの
ザフトMSは、ソロモンMS予備隊の激しい攻撃を受け、足止めされていた。

「ガハハハ! ジオンの栄光はやらせはせんぞ!!」

 予備隊の中にはひときわでかいヒート・ホークを背負った、装飾の派手なザクがいた。
 いわずと知れたドズル・ザビ中将閣下である。
 副官のラコックをKOして戦場に出てきたのである。

 ■ TNレボリューション ■

「ちぃ! 増援はまだですか? ホーキンス隊長!!」
「……」

「隊長?」
「ハイネ、他の連中も良く聞け! 増援は無い!」

「バカな! 後一歩で陥とせるってえのに!」
「ああ、バカな話だ。だが、ジオンの増援に本隊が食われた。もう予備兵力は無い……撤退だ!」

「そんな……畜生」

「だが、憶えておけ! ソロモンよ、俺は必ずここに帰ってくるぞ!!」

 そう、ハイネ・ヴェステンフルスは高らかに宣言した。

 こうしてザフトMS隊はソロモンから離脱、だが古来より、なりより困難とされる撤退戦である。
 離脱した50機のうち、無事母艦へとたどり着いたMSは30機ほどであった。

 24日、13時。ザフト艦ホイジンガーより信号弾が打ち上げられる。
 ソロモン攻略作戦の失敗を意味する撤退信号であった。

 ザフトの撤退を見やったコンスコン少将は、ザフト艦隊の動きに合わせてソロモンへと後退する。
 追撃を求める声も上がったが、ソロモン駐留艦隊もまた大きな被害を受けており、とても追撃を行う
ほどの余裕は無かったのである。
 また、各地より独立機動部隊が集結中との報告を受けているコンスコンは、自身がザフトへの追撃に
加われなかった事を残念に思うも、無理な艦隊運用をせずにすみ安堵もしていた。

「ザフトの判断も素早い。たいしたものだ。だが、我がジオンの送り狼はしつこいぞ?」

 あの我の強いコーディネイターを、見事に制御して運用した敵の指揮官を称えるとともに、その彼の
これからの苦労を思う。

「再戦を期す、といきたいところだがな」

 L4宙域から離脱していくザフト艦隊を見て、そう一人つぶやくコンスコンであった。

 一方、レイ・ユウキ特務隊長は対戦相手のことを考えている余裕はなかった。
 この時点で10隻の戦闘艦と3隻の輸送艦が沈んでいるのである、帰還した270機のMSを収納する
スペースはギリギリであった。

 また、味方が集結するとともに後方に引いた敵増援部隊も、こちらの撤退に合わせて追撃してくる事は
確実であった。
 さらに月・L2方面からも複数の部隊を確認しており、プラント本国までの道のりが非常に厳しいものに
なるのは簡単に予想できた。

 ユウキは損傷の激しい機体を残る輸送艦に押し込み、クルーゼら損傷の激しい先発隊の艦艇を中心とした
部隊に護衛させ先行させる。
 そして自身は損傷の少ない艦艇、MS隊を率いてジオンの追撃に備えたのである。

 ジオンの追撃はレイ・ユウキの奮戦に阻まれ、中途半端なものに終わることになる。

 先の4隻に加え、さらに3隻のザンジバル級機動巡洋艦が合流したものの、ソロモン攻撃が完全な奇襲で
あった為、本国で編成中であった第一から第四までの主力艦隊が動けなかったのも大きかった。

 結果、ザンジバル級:7隻、MS:40機、MA:1機による小規模な追撃となり大きな戦果を上げられなかった
のである。

 ■ 追撃部隊 ■

 『ポータル』        エリオット・レム大佐      MS-06R-2P:1機 MS-09R2:4機

 『ブラック・ロータス』   ノルディット・バウアー大佐  MS-06R-1A:6機

 『リリー・マルレーン』  シーマ・ガラハウ中佐     MS-09R:1機 MS-06R-1A:3機 MS-06F2:5機

 『テンペスト』       ギャビー・ハザード中佐    MS-06R-2:1機 MS-06F2:5機

 『ストロング・ホールド』 ロバート・ギリアム少佐    MS-06R-2:1機 MS-06F2:5機

 “赤い”ザンジバル    シャア・アズナブル少佐    MS-09R:1機 MS-06F2:4機 MAN-03:1機

 『ミラージュ』       ケン・ビーダーシュタット大尉 MS-09R2:1機 MS-06FZ:2機

 とはいえ、これらジオンのトップエースたちによる追撃は熾烈で、ザフトはこの撤退中に戦闘艦8隻、MS56機を
失うことになる。
 これにより、先のソロモン攻防戦の被害を合わせると、戦闘艦:18隻、MS:166機を失うという大損害を
うけたのである。

 対するジオンはグワジン級:2隻小破、チベ級:1隻撃沈、2隻中破、ムサイ級:4隻撃沈、7隻中破と、ザフトと
比べればマシではあるものの大きな被害をこうむり、MSも120機近くが撃破されている。

 結果として、この第一次ソロモン攻防戦は両者の痛み分けという形で終わることになった。

 こうしてジオンは首脳部から国民まで、誰も望まない戦争に突入する事になる。