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Zion-Seed_51_第一部Epilogue

Last-modified: 2008-05-03 (土) 15:47:56

「ジョニー・ライデン少佐。真紅の稲妻の力、特と見せてもらったぞ」

 

 ヤキン・ドゥーエの一室に、キシリアはキマイラ隊隊長のジョニーを呼び出していた。
 ジェネシスが発射され、突撃機動軍の艦隊が崩壊の危機に晒されていた時、ジョニーは己の任務を完璧に
果たしていた。ザフトのエースパイロットであるクルーゼと互角の戦いを繰り広げたのをグワジン艦橋から目に
したキシリアは、直接その功を労ったのである。

 

「もったいないお言葉です!!!」
「……少し肩に力が入っているな。まあ座れ」
「はっ!」
「この度のお前の活躍、この目で見させてもらったぞ。ザフトの新型MSを前に一歩も引かぬ戦い。私の心を
打った」
「ありがとうございます」

 

 ジョニーとしては、シャアと自分の違いに気付いてくれるキシリアに、万感交到る思いだ。

 

「それはそうと、閣下にお話があります」
「どうした? 申してみよ」
「今後のプラントの処遇です。閣下はプラントをどうなさるお積もりですか?」

 

 ジョニーはジオン軍人とはいえ体の半分はコーディネイターなのだ。意識せずとも、同胞がこれからどう
なるのか、気がかりだったのである。

 

「ハーフのお前がその様子だと、純血の連中も気になっているのだろうな」
「…………」
「安心しろ。宥和政策を取るつもりだ」
「……そうですか」

 

 キシリアの言葉にほっと胸を撫で下ろす。これでジオンにいる多くの同胞も安心するだろう。
 いや、コーディネイターだけではない。スペースノイドとして、ジオンとプラントが共に戦う時なのだから。

 

「それだけか?」
「もう一つ――」

 

 ジョニーは懐から何かを取り出し、キシリアに手渡した。それはジョニーのシンボルマークを彫った紋章。

 

「――よろしければこれを……」
「ユニコーンか。お前が付いてくれれば心強いというものだ。今後とも活躍を期待しているぞ」
「御任せください!」

 

 敬礼をして勢いよく部屋を出る。すると扉の前に立っていた警備兵と鉢合わせしてしまった。

 

「大丈夫か?」
「はい、すみません」

 

 警備兵が落とした帽子を拾い上げると、相手の水色の髪からコーディネイターであることに気付いた。

 

「悪いのは俺の方だ。それよりも良いニュースがある。プラントでは宥和政策が行われるぞ」
「っ!? 本当ですか!」
「ああ。お前もコーディネイターだろ? 良かったな!」

 

 余程嬉しいのか、ジョニーはそのままスキップ混じりに走り去ってしまった。
 警備兵はその姿に唖然としながらも、ジョニーの言葉を反復する。

 

「宥和政策? 冗談じゃない……」
.
.
――――Epilogue
.
.
 大西洋連邦首都ワシントン。
 アズラエルはブルーコスモス幹部を招集させ、会議を開いていた。

 

「盟主! 連合内部にコーディネイターを置くのは危険です!」
「そうです! 直ぐにでも拘束すべきです!!」

 

 議題の内容は、ストライクのパイロット、キラ・ヤマトであった。
 オーブから戻ったアズラエルは、キラが連合軍に残る決断をしたことで、その処遇についてブルーコスモス
内部の意思統一を図ろうと会議を開いたのである。
 と言っても、幹部たちは感情に任せた主張するを繰り返すばかりだ。

 

「あのさ。相手はたったの一人ですよ。そこまで騒ぐことはないでしょう?」

 

 ブルーコスモスの穏健派たちは、その大半がダイクンの言葉を信じてジオン公国にいる。残った穏健派は
数少なく、統制が欠けていた。おかげで強硬派の勢力が一気に広がっていたのだ。

 

「相手はスーパーコーディネイターですぞ!」
「奴一人の力で、組織が内部から崩壊することもありえます!」

 

 建設的な意見が出ない状況に、アズラエルは冷ややかな目で幹部たちを見ていた。

 

「そんなことはありえません」
「何を仰います盟主!」

 

 強い口調で反論するのはロード・ジブリールだった。アズラエルが強硬派からやや中道派に傾きつつあるなか、
強硬派を取りまとめている男である。

 

「スーパーコーディネイターを危険視していたのは盟主自身ではありませんか!?」
「そう言われると弱いですね……」
「盟主の気分一つで、我等の信念が変わるとは思わないでいただきたい!!」

 

 今までの強硬派は、気分屋な性格のアズラエルがまとめていた所為か、やや統制が欠けている派閥だった。
だが、盟主の代わりにジブリールが中心となると、強硬派は急激に結束を強めていった。そのために強硬派の
活動が活発になり、行動が過激になりつつある。

 

「別にそんなこと思ってませんよ。ただ私は、せっかく手に入れた優秀な駒を、安易に捨てるべきではないと
言ってるだけでして」
「コーディネイターを抹殺するために、コーディネイターを使うと言うのですか?」
「盟主も随分と臆病になったものですな」
「私は初めから臆病な人間ですよ。臆病で弱い、ただのナチュラルです。君たちと同じね。だからこそ感情的
にならず、冷静に事を考えなければ、空の化け物を駆逐することはできません」

 

 この言葉に多くの幹部は絶句した。

 

「盟主の言うことは理解できます。しかし、コーディネイターが軍部にいるとなると士気に影響が出るのでは
ありませんか?」
「ハルバートン派だけならあまり問題にはならなかった」
「かと言ってあの派閥を一纏めにすると面倒なことになりかねない」

 

 その言葉を待っていたとばかりに、アズラエルは身を乗り出す。

 

「だからこそ彼の艦――アークエンジェルは単独で動かすのです」
「独立部隊……ですかな?」
「その通りです。彼らには面倒な任務を一挙に引き受けてもらいます」

 

 アズラエルはキラだけでなく、ナタルたちの力も高く評価していた。
 単独で砂漠の虎に勝ち、オデッサでは味方の脱出路を作った。そしてオーブではアズラエル自身が直接、
彼らの戦闘目にしている。

 

「私の直属にすれば自由に動かせますからね」

 

 この部隊は艦隊で運用するよりも、単独で動かしたほうがよいとアズラエルは考えた。
 尤も、このような考えをジブリールは良く思う筈がなく、

 

「盟主はコーディネイターを飼うおつもりか? 飼い犬に噛まれなければよいですがな」

 

 猫派のジブリールは嫌味たっぷりに放つ。そんな時、突然扉が開き、男性がアズラエルの所へと駆け寄った。

 

「本当ですか?」

 

 耳打ちで報告を聞いたアズラエルは、確認するかの様に聞き返す。

 

「はい。大統領が記者会見で講和を考える発言を……」

 

 報告に全員がざわついた。確かに、プラントが敗れたこととハルバートンが失脚した今の状況を考えれば、
大西洋連邦政府が講和という選択肢を選んでも不思議ではない。

 

「盟主、如何します?」

 

 アズラエルは、幹部たちの問いに暫し押し黙った。アズラエル財閥の長としては、ジオンと講和し、かの国
の技術を独占するのも一つの手だと考えを巡らせたのである。
 一方で、ロゴスの老人たちが、このまま戦争終結を了承するとは到底思えなかった。
 西暦の時代より世界の警察を名乗っていた大西洋連邦。ザフトとの戦闘では幾つか勝ちを拾えたが、ジオン
との戦闘で勝利したことは一度として無い。それをあの老人たちや国民が理解するとは思えない。
 それにジオンからの被害が大きいユーラシアや、南アメリカは講和に反対するだろう。

 

「ブルーコスモスにとっては些か遣り難くなりますが、慌てることはありません」

 

 むしろ時間を稼ぐチャンスでもある。パナマのマスドライバーが破壊されたことで宇宙軍再建にどうしても
時間が必要なのだ。MSの量産も整っているものの、パイロットの絶対数が少なく、戦争を継続しては被害が
拡大してしまう。それならばジオンとの交渉テーブルに付きつつ、カオシュンとビクトリアのマスドライバー
を奪還しながら、戦力を増強するという手がベストな選択だ。

 

「良い機会です。新型機の開発・量産を進めましょう。ヤマト准尉の処遇は僕が言ったとおりでね」

 

 そう言って、アズラエルは会議を終了した。
.
               *     *     *
.
 ヤキンでの戦闘を脱出したエターナルは、プラントに戻った後、ラクスを乗せてある衛星ステーションに辿り
着いていた。そこは民間のステーションで普段ジャンク屋や傭兵たちが使っている所だ。

 

「まずラクス様が導師に御会いになる。それまでクルーゼは待つように」

 

 そのステーションにはマルキオが身を隠していた。彼は連合の外交官であるにもかかわらず、個人的にこの
戦争の行く末を考え、ジャンク屋や傭兵など、各国の多くの有志によって地下組織を形成していたのである。
 そんなマルキオの力を借りるため、クルーゼはラクスを通じて協力を要請していた。
 ただマルキオもクルーゼの真意を図りかねているのか、まず初めにラクスと会談するようだ。

 

「プレア。先程から押し黙っているがどうした」

 

 待合室のような所でクルーゼはプレアと二人でいた。
 その間、一言も発しないプレアに、クルーゼは疑念を感じたのである。

 

「機体がボロボロになったことを気にしているのか。それならばファクトリーで修理できる」
「……そうじゃありません」

 

 言いずらそうに、プレアは口を開く。

 

「クルーゼさん。クルーゼさんはNTを知っていますか?」
「知っている。人類の革新と呼ばれるものだ」
「僕は、知りませんでした……」

 

 どうやらマルキオはプレアに対して偏った教育をしてきたらしい。クルーゼはその告白に頬を緩めた。

 

「戦っている途中、僕と同じ力を持つ人に会いました。初めは僕と同じSEEDを持つものと思っていました。
ところが……」
「ところが?」
「ところが、その人は僕に語りかけてきたんです。その力はNTの力だって……」
「何だと……!?」

 

 これにはクルーゼも驚嘆した。
 プレアの持つ先読み能力と特殊な空間認識能力、そして戦場で互いの存在を感知する能力。どれもクルーゼ
自身が持つ力だ。ジオンのNTがプレアをNTと断定したならば、
 ――同じ力を持つ自分もNT?
 そういえばデュランダルも、自分をNTだと考えていた。だとすれば……。

 

「僕は信用されていないのでしょうか? 導師様に嘘をつかれるなんて」

 

 一先ず、思考をプレアに移す。

 

「僕は導師様にどんな顔をしたらいいのか分からない。どうしたらいいのか」
「憎しみを込めて睨めばいい」

 

 一瞬、何を言われたか分からなかったプレアだが、その意図を読み取ると即座に否定する。

 

「そんなことはできません。憎しみに囚われていては……」
「プレア。人は人を愛することができるが、同時に憎むこともできる。何故だか判るか?」

 

 突然のクルーゼの問いに首を振るプレア。

 

「両者はコインの表裏のようなものだからだ。どちらか片方が欠けるということはない。つまり愛するという
感情を持っている以上、人は必ず憎しみという感情も持ち合わしているのだよ。もしも、憎しみだけを捨てる
ことのできる人間がいたら、それはもう人間じゃない」
「人間じゃ……ない……」
「君やマルキオは憎しみを捨てろと言う。つまりは人間であることを捨てろと言っているのかな?」
「ち、違います!」
「では、何なのかね?」

 

 追求にプレアは黙りこむ。マルキオの考えを妄信していた彼は、言葉通りの意味しか捉えられない。

 

「プレア。よく聞くんだ。マルキオは君に嘘を付いた。そんなマルキオを君は憎まないのか?」
「…………」
「同じクローンとして私を信用し話してくれ」
「で、でも、貴方は人を……」
「ああ憎んでいる。だからこそ愛しているのだよ。クローンとして生まれた私は普通の人間に憧れている」
「う、うう……」
「私は人間で在りたい。だからこそ憎しみを捨てない。嘘だって平気で付く。同胞を除いては……」

 

 自分と同じ境遇のクルーゼの言葉にプレアの心情は揺らいだ。同胞という言葉を聞いた彼にもナチュラルや
コーディネイターとおなじ同族意識が芽生えたようだ。
 それでも今までマルキオを信じていた自分が、クルーゼを否定する。

 

「もう一度言う。マルキオは君に嘘をついた。信用していた君の心を裏切ったんだ。そんなマルキオを、君は
憎まないのか……。答えは今出す必要はない。ゆっくり考えろ」

 

 クルーゼが言い、プレアが頷くと、マルキオとの話が付いたのかヒルダが現れる。

 

「クルーゼ。マルキオ様がお会いになられる」
「直ぐに行く」

 

 俯くプレアに目をやりながら立ち上がりそのまま部屋を出た。そしてヒルダの後を歩きながら、クルーゼは
今のやり取りに笑止した。

 

「皮肉なものだな。アルダ、ムウ……」

 

 オリジナルの親は、子に話もしなかった。ところがクローンの親は、子に対しここまで饒舌になっている。
 憎しみと絶望。
 無知な子供に教えることではないのだろうが……。
.
               *     *     *
.
「シャアが来るのか!?」

 

 ジブラルタルの司令室で、ガルマ・ザビは親友の来訪に顔を綻ばせていた。
 厳しかった東シナ海からインド洋の監視がここに来て緩まったらしく。マスドライバーのあるバイヌコール
宇宙基地に極東から向かうそうだ。道中のついでに欧州にも顔を出すらしい。

 

「それは良いニュースだ」
「なあなあガルマ」

 

 そこに、仮にも一国の姫君とはとても思えない無邪気な表情で、カガリ・ユラ・アスハは尋ねる。

 

「何の話だ」
「私の友人がこちらに寄るらしい。久しぶりに会う」
「お前に友達がいたのか?」

 

 失礼な奴だと思いながら、ガルマはシャアとの昔話を始める。

 

「名をシャアという。士官学校からの友人で……」

 

 今までの武勇伝を誇らしげに語るガルマ。しかし、カガリはあまり興味がないのか反応が薄い。
 第一、シャアの名前に何の反応も示さないのはどういうことだ?
 ガルマは、まさかと思いながらも、事の真偽を確かめてみる。

 

「カガリはシャアを知らないのか?」
「知らないぞ。誰だそれ?」
「……赤い彗星のシャア・アズナブルだ。名前くらい聞いたことがあるだろう?」
「全然」
「…………」

 

 あまりの常識の無さに、頭を抱えるガルマ。
 彼だけではなかった。
 マ・クベは冷静を装いながらも目を見開いている。ダロダは唖然とし、注いでいた紅茶がカップから溢れて
しまった。キサカにしてみれば頭を抱え、悶絶している。

 

「どうした?」
「なんでもない。君に聞いた私が悪かったのだ」
「よく分からないが……。ガルマ、菓子が無くなったぞ」

 

 一々呆れるのも疲れ、ガルマは「もうない」と告げる。するとカガリは「食堂に行くぞ」と言い、キサカを
伴って走り去っていった。

 

「妹を持つとはこういうことなのだろうか……」

 

 ガルマは、自分が幼い頃、キシリアも今の自分と同じように苦労していたのか思い浮かべる。

 

「閣下」

 

 そんなガルマに、何やら言い難そうにマ・クベが声をかけた。

 

「こんな時によろしいでしょうか……」
「どうした?」
「今の光景を目にしてからでは大変言いにくいことなのですが……」

 

 マ・クベらしくない言い回しだ。どうやらカガリのことらしいが。

 

「一体何だ?」

 

 不思議に思いながらも、ガルマはダロダが淹れ直した紅茶を口に運ぶ。

 

「カガリ・ユラと婚姻なさる気はございませんか?」

 

 そして口に含んだ紅茶を全て噴出した。
 噴出された紅茶はガルマの正面に立っていたマ・クベに吹きかかった。マ・クベはそれを大して気にもせず、
ハンカチで顔を拭いながら話を続ける。

 

「ジブラルタルを押さえたことで、大西洋艦隊は動くに動けないでしょう。しかし、まだ太平洋艦隊が残って
います。今後太平洋の真珠湾を攻める場合、オーブが重要な拠点と成り得ますゆえ」
「私とカガリが結婚して、オーブをジオンの味方に引き入れろと?」
「はい」

 

 カガリの言動には頭を痛めたが、マ・クベの言葉はそれ以上だった。

 

「バカな事を言うな! 私にはイセリナいるのだぞ!」

 

 戦争が終われば、ガルマはニューヤーク市長の娘に求婚するつもりでいる。他の女性、ましてやカガリなど
結婚相手としては考えられない。
 ガルマはそのような冗談は慎むよう厳命すると、再びカップに口をつけた。

 

「……一夫多妻制にすれば……」
「マ・クベ、何か言ったか?」
「いえ、別に……」

 

 マ・クベが冗談(?)を言えるほど、ジブラルタルは平和だった。
.
               *     *     *
.
 ヤキン・ドゥーエ要塞が陥落して3日が過ぎた。
 この日、要塞の広間では勝利の式典が開かれようとしていた。スペースノイド同士の戦いが集結したことで
羽目を外すそうだ。
 式典はジオン側の将官だけでなく、プラント側からもタッド・エルスマンのような中道派議員も呼ばれている。
降伏を受けたユーリ・アマルフィやクライン派のアイリーン・カナーバも招待されていた。
 広間の入り口ではコーディネイターの警備兵により身体検査が行われていた。プラント側に軍人は含まれて
いないが、コーディネイターの身体能力は馬鹿にはできない。

 

「おい、アンタ」

 

 警備兵の一人に長い髪で右目を隠しているのが特徴的な女性――モニカ・バルトロメオ大尉が呼びかける。

 

「大尉殿。どうなさったのです?」
「女のボディチェックを任されてね。急遽来たんだ」
「パイロットの大尉がですか?」

 

 警備兵は不思議に思った。
 ジオン軍に女性軍人が少ないのは知っていたが、何故MS隊の長が態々やってくるのだ。

 

「失礼ですが、命令書はありませんか」
「見せなきゃいけないのかい」
「規則ですので。申し訳ありませんが」

 

 モニカはめんどくさそうにポケットから紙切れを取り出す。

 

「ほら、エンツォ・ベルニーニ大佐のもんだ」
「……確かに」
「もういいだろ。あたしは行くよ」

 

 そう言って、入り口で待っていたコーディネイターに駆寄った。水色の髪が酷く目立つ。

 

「待たせたね」
「いえ……」
「それで、あてはあるのかい?」
「はい。丁度きました」

 

 指差す方向に、一人の女性コーディネイターが居る。
 モニカは彼女を呼び止めると、女性用の検査室に連れて行った。
 検査室で彼女は不快そうにモニカの身体検査見つめている。女とはいえジオン軍人に体を触られるのが屈辱
なのだろう。それでもザフトが敗北した今となっては我慢するしかなかった。
 モニカの検査は上半身から下半身へと向かう。ゆっくりと腰から太ももにかけて手を伸ばす。

 

「股の間も調べるよ」

 

 言い、身を震わせる彼女の内股に手を入れた。

 

「ッ!!」

 

 モニカの手が彼女のやわらかい内股に、何やら重くて固いモノを取り付ける。
 彼女はモニカを押しのけると、自身の目で付けられたもの確認した。

 

「これは!! 一体何のつもりだ?!」

 

 それは小型の銃であった。

 

「ドズルのSPは優秀だ」
「ッ?!!」
「狙うならキシリアにしな」

 

 モニカはそれだけ言うと、彼女――エザリア・ジュールを広間へと通した。

 

「待て、質問に答えろ!」
「アンタはチャンスを手に入れたんだよ。千載一遇のチャンスをさ」

 

 こうして、ザラ派のナンバー2であったエザリアは、式典へと歩いていった。彼女のこれから行動が、先のプラントの運命を決めてしまうことになろうとも知らずに……。

 

 第一部 完