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Zion-Seed_51_第15話

Last-modified: 2012-06-06 (水) 18:50:23

バスターは宙域を漂う軍艦のデブリに身を隠し、機会をうかがっていた。
 アスランが指揮する部隊で一番火力のあるバスターが攻撃面積の広い艦の側面、装甲の薄いジンが後方に、シグーとデュエル
がムサイの火力を一身に浴びる前方に布陣し、合図と同時にムサイを沈めるのが今回の作戦である。
 ミノフスキー粒子濃度の濃いこの宙域では、レーダーやセンサーは使用できず有視界戦闘になる。その為に、全体を見渡せる
バスターが合図を出す手筈になっていた。
 そのバスターに乗るディアッカは、ジンが配置につくのを確認する。
「そんじゃーいきます……か?」
 デブリの影からムサイを見るとその砲塔がこちらに向いている。気のせいと思いつつも、嫌な予感がしたディアッカは機体を
静かにデブリから離すと、次の瞬間ムサイの主砲がメガ粒子砲を放った。
「な、なにぃー!?」
 メガ粒子砲は軍艦のデブリを貫くと、まだ生きていたのか動力炉に火をつけ大爆発を起こした。その爆発の際に生じた破片は
バスターに容赦なく降り注いでダメージを負わせた。また、爆風によってバスターは宙域から吹き飛ばされてしまう。
「またかぁー!!」

<少佐、成功です! 機影を確認しました!>
 格納庫ではシャアが整備班に出撃を急かしていた。その最中、シャアはドレンに右翼にある軍艦の成れの果てを撃てと命じた
シャアの不可解な命令に、当初は首を掲げるドレンだったが、いざ試してみると敵機を発見したのである。
「ドレン、奴らはビーム兵器がメインの様だ。我々を射出後に撹乱幕を」
<了解しました!>
「デニムとスレンダーはジンの相手だ。出来れば殺すな」
「「はっ」」
「……ザク、出るぞ」

 バスターの戦線離脱と赤いザクの姿に、アスランとイザークは動揺を隠せない。
「ディアッカ!?」
「バカな! 奇襲が読まれたのか!?」
「こうなったら仕方が無い。アスラン、直接奴を叩く!」
「しかし」
「よく見ろ! 奴のザクは高機動型だ。こんなデブリが漂う場所では、機体を満足に扱うことはできん!」
「……そうだな、分かった」
 シグーとデュエルは左右に展開しザクを挟む形を作ると、まずはアスランが仕掛けた。
「少しは楽しませてもらえるかな?」
「お前がラクスをっ!!」
「なにやら勘違いしているようだな“黄昏の魔弾”!」
「それはこっちのセリフだ!!」
 重斬刀を振りかぶり、突貫するシグー。もちろんシャアはかわすがそこにデュエルが斬りかかった。
「ちぃ!」
「合わせろアスラン!」
「ああ」
 その後もデュエルとシグーのコンビネーションがシャアを襲う。
 この時、イザークは深追いをせずに、バッテリの消耗を最小限にしていた。

 さすがのシャアもこの猛攻に焦りの色が出はじめる。
「……ならば!」
 この状況を好転させるべく、ザクのスラスターを吹かせ一気に2機を引き離す。
「バカめ! デブリにぶつかるぞ!!」
 だが、イザークはとんでもない光景を目のあたりにする。
 シャアはデブリに衝突するどころか、それを利用してバウンドするように機体の向きを変えた。
「なにぃ!?」
 周囲を漂うデブリを利用して高機動で動く姿は、ディアッカが見ていれば「義経の八艘飛びだ」と言っていただろう。
 さらに速度を上げたシャアはデュエル目掛けヒートホークを振りかざす。
「やってみるさ!」
「ふざけるなぁー!」
 ザクとデュエルが交差した次の瞬間、ビームサーベルを持っていたデュエルの腕がデブリと共に宙を泳いでいた。
「バカな! そんなバカな!」
「!……関節を狙って斬ったのか!?」
 アスランは今起きたことが信じられない。
「ナチュラルにそんなことが出来るのか!?」
――ニュータイプなら
 と、迂闊にも考えてしまう。
 アスランはその考えを即座に否定した。そんなものの存在を肯定すれば自分達の存在意義が否定される。

 そうこうしている間にも、シャアは次の行動を取っていた。
 呆然とするデュエルを無視し、シグーへ急接近したのだ。
 身構えるシグーの直前で、シャアは機体を急停止させると接触回線を開いた。
「こちらは公国軍ソロモン艦隊所属シャア・アズナブル少佐だ。ザフトに対し停戦を要求する」
「ふざけるな! 降伏などしない!」
「よく聞くのだな。私は“停戦”を望んでいるのだ」
「停戦……だと?」
「先立って、この宙域で救難ポッドを回収した。乗っていた民間人のラクス・クラインの引渡しをしたいのだが?」
 シャアの言葉に、アスランは言葉が出てこなかった。
 ラクスが生きているというのだ。それもシャアの乗るムサイ級にである。
「ついでに捕虜も君たちに引き渡そう」
「捕虜……まさかニコル!?」
「どうかな? 停戦する気になったかね?」