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Zion-Seed_51_第42話

Last-modified: 2007-12-13 (木) 08:54:16

 迎えに来た両親の車の中でミリアリアは窓の外の景色を眺めていた。


「お前が無事で良かった」
「本当に、最初に聞かされたときはどうしようかと思ったけど」


 優しげに語り掛けるのはミリアリアの両親だ。二人との再会はミリアリアにとっては頭の下がる想いだった。
母親は会うなり彼女をかたく抱きしめ、普段は厳格な父親も喜びを隠せずにいる。
 三人は談笑しながら家路を進むが、アークエンジェルのドックが見えなくなると父親が真面目な顔になる。


「ところで、軍の制服はまだ持っているのか?」
「うん。持ってるけど」
「……捨てなさい」
「へ? 何で?」
「そんなもの持ってたって、何の役にも立たない」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」


 父親の説得にミリアリアは抵抗する。彼女はこの制服は捨てたくはなかった。短い間だったが友人や仲間と
共に戦場を駆け抜けたたった一つの記念品なのだ。艦を降ろされてしまったが、この制服を見るたびにトール
と一緒にいる気がする。だからこそ捨てられないのである。


「これは記念なの。別にへるもんじゃないし!」
「そんな連合の軍服など、オーブ人として恥ずかしいと思わないのか!」
「あなた……」
「その気になれば、地球降下のときに降りられたと言っているんだ!」


 確かに両親に相談もせずに入隊したことはミリアリアもすまないと思ってはいた。もちろん相談する時間も
手段も無かったわけだが、それを差し引いてもミリアリアは納得ができない。


「サイ君には悪いが、うちの子を軍隊に入れる必要はないものを」
「どういう意味よそれ!」
「トール君もトール君だ。付き合いを認めてはいたが、無責任にも軍隊などに……」


 確かに入隊の切っ掛けを作ったのはサイだった。それにトールも呼応した。しかしである、入隊を決意した
のは自分自身なのだ。そりゃあ、彼氏のトールについて行きたい気持ちはあった。だが、同時にヘリオポリス
をめちゃくちゃにされたお返しをしたい気持ちになったのも事実だ。


「兎に角だなミリアリア。これからは……」


 前方の信号が赤であることを確認し、彼女は車から飛び出した。両親は慌てた様子で呼び止めるが、いくら
親でも友人に対してここまでを言われれば、ミリアリアも引くに引けなかった。




――――第42話




「ちょいとあんた」


 自分が呼ばれたことに気付いたのか、ミリアリアはゆっくりと振り返った。その目は少し赤くなっている。


「なんだい。泣いてたのかい?」
「……貴方には関係ないでしょう」


 ミリアリアは自分を呼んだのが、先程の物売りだと気付くと、急いで瞳を拭った。


「さっきの彼氏とケンカでもしたのかい?」
「っ!」
「冗談だよ、冗談。ムキにならないでおくれよ」
「……もういいです。気にしてませんから」


 クスクス笑いながらミリアリアを見る。からかわれた彼女は顔を真っ赤にした。


「言っとくけど、何も買いませんから」
「別にいいさ。あの後、いい男が色々と買ってくれたからね」
「そうですか。用がないなら行っていいですよね」
「……どうでもいいけどさ。アンタはこの先に何のようだい?」
「え?」


 彼女は歩き出すミリアリアを呼び止めた。ミリアリアはあたりを見渡すと、見覚えの無い町並みが続いている。
実は彼女がこれから向かおうとする方角は、見るからに治安の悪い界隈だ。若い女性が一人で歩く場所ではない。
それを知っている彼女は、同じ女性として放置するわけにも行かなかった。


「あれ?」


 ヘリオポリスに移住していた間にオーブの町並みが変わったのか、それとも彼女自身が忘れてるだけなのか、ミリアリアは現在のオーブの地理をあまり把握していなかった。


「あの、駅は何所に……?」
「まったく、駅は向こうだよ」
「ど、どうも」


 帰ろうと思った矢先、ミリアリアの足が止まった。


「あの……」
「今度はなんだい?」
「どこかに安いホテルってありません?」




「入りな。荷物は其処に置いといていいよ」


 思わず両親の下から飛び出し、行く当てのなかったミリアリアは、ミハル・ラトキエと名乗った物売りの家に泊めてもらうことにした。


「姉ちゃんお帰り」
「お帰んなさい」


 二人を出迎えたのは幼い子供だった。ミリアリアに気付き、怯える顔で彼女を見る。


「仲良くしてたかい?」
「ああ……」
「……」
「いいんだよ、お客さんだよ」


 そうミハルが言っても、二人は怪訝な顔でミリアリアを見つめていた。
 二人はジルとミリー。ミハルの弟と妹だそうだ。


「気にしないでおくれ、人見知りの激しい子達でさ」


 ミハルはすまなそうに首をすくめると、いつの間にこんなものを用意したのか着替えとバスタオルを彼女に
手渡しシャワーを進めてくれた。ミリアリアも女の子である。嬉しそうにシャワーを浴びに行った。
 それを見送ったミハルは小さくため息を吐く。水滴が落ちる音を確かめるとミリアリアの鞄に手をかけた。


「何があったんだか知んないけど、これはチャンスだね」


 鞄の中に入っている物は限られていたが、ミハルはピンク色の軍服に目を奪われた。それを手に取り自分の
体に合わせてみると袖の長さなどピッタリだった。




 暫らくしてシャワー室からの水の音が聞こえなくなると、ミハルは鞄を元に戻し、台所へ向かう。出てきた
ミリアリアはミハルのTシャツを着て現れた。


「すみません。お風呂まで貸してもらっちゃって」
「いいんだよ」


 ミハルは首だけ後ろに向けて彼女を見た。


「すぐに出来るから。と言っても、碌なもんありゃしないんだけどね」


 と言って出された料理は、パンと肉の入っていないシチュー。


「まあ、遠慮せずに食べとくれ」
「は、はい」


 見栄えが良くないので一瞬躊躇したが、意を決して食べてみると意外においしかった。連合軍で食べていた
料理よりも温かみがあるのか、ミリアリアは嬉しそうにスプーンを動かす。


「豪勢なもんじゃないけど、悪くないだろ?」
「ええ、とってもおいしい」
「この子達と暮らしてたら、嫌でも腕が上がっちまうのさ」
「え、でも、ご両親は?」
「少し前に亡くなったよ。流行り病でね」
「あ、すみません」
「別に謝ることないよ」


 ミハルはミリアリアを覗き込むように見る。


「しっかし、地元の人間が地元で迷うなんて始めて見たよ」
「少し前までヘリオポリスに居た所為です。少しの間で本土もすっかり変わって……」
「ヘリオポリス。エリートさんかい……」


 ミリアリアの家柄にミハルは少し真面目な顔になる。


「へ? 何です」
「何でもないよ。ところで……」


 話題を変えるべく、ミハルは興味深げにアークエンジェルの話を切り出した。


「あんたの乗ってた軍艦だけどさ。すごいんだろ?」


「まあ……船が好きなんですか?」
「浜育ちだからね」
「だけどアークエンジェルは船と言うより、宇宙戦艦ですね」
「そうか、宇宙船なの」
「ええ、確か……きゃあ!」


 ミリアリアは話の途中で小さな悲鳴を上げた。突然明かりが消え、辺りは漆黒の闇になったのだ。


「停電だよ。ニュートロンジャマーが投下されてからは何時ものことさ」


 地球はニュートロンジャマーが投下されたことで原子力発電所が停止し、深刻なエネルギー不足に陥った。
オーブも同様だったが、予てから地熱発電の研究に取り組んでいたおかげで被害は最小限に抑えられていた。
だが、地熱発電だけではオーブ全ての地域に廻すだけの電力を確保することは出来ない。おかげで一部の地域
に電力制限をかけているのが実情なのだ。


「ロウソクはあるから食事に支障は無いよ」


 慣れているのか暗闇の中からいとも簡単にロウソクを取り、明かりをつけた。
 ミハルは明かりをテーブルに置くと、何か思いついたように立ち上がった。


「そうだ。ポストを見てなかった。すまないけど、ちょっと出てくるね」


 ミハルは立ち上がるとジルとミリーに近づき耳打ちをする。


「いいかい、ちゃんと見張ってるんだよ」
「うん」
「わかってる」


 外に出たミハルは周囲に誰もいないのを確認しながらポストを開ける。中にはミハル宛の手紙が入っていた。
そこには“現状待機”の一言だけ書いてある。


「……冗談じゃないよ」


 彼女は今回の報酬に満足していなかった。なんせ彼女は兄弟と三人暮らしなのだ。シャアから貰った袋には
金貨が詰まっていたが、物価の高いオーブでは切り詰めても3ヶ月もつかどうかだろう。ここで一つ手柄を上げ、もう少し稼ごうと考えたミハルは、ミリアリアの荷物に連合の服があったことを思い出した。




「キラ。ちょっといいかしら」


 セイラは少し真面目な顔でキラの部屋をノックした。中ではキラが片付けをしているのか物音が聞こえる。
怪しいことでもしていたのかとセイラは白い眼で見たが、キラはそんな様子にも気づかず彼女を迎え入れた。


「何かしてたの?」
「い、いえ。何の用事ですか?」
「ええ、貴方にオーブについて調べて欲しいのだけど……」


 セイラの意外な頼みにキラは目を丸くした。


「この国をですか?」
「出来れば国内事情を出来るだけ詳細に……」


 一先ず彼女を部屋に上げると、適当な椅子に座らせた。そして備え付けのコンピュータで、最近のオーブの
情勢を表示する。政治と経済が主な内容だ。


「こんなところですね」


 政治に関しては機械相が独断で連合に技術協力を行ったことが大きく報道されていた。中立の精神を守って
来たオーブが戦争続行中の連合と協力することに批判が集中。それに伴って、代表のウズミは1ヵ月前に職を
辞職している。後任にはホムラ氏が決まった、とある。
 経済はセイラが想像していた以上に良好だった。持ち前の技術力によって造られた製品を輸出することで、
多くの利益を得ている。これだけの技術力を持っている背景には、コーディネイターの存在が大きいのだろう。
彼らを受け入れることにより、オーブは莫大な富を得たことになる。


「景気は良いですね。エネルギー問題は地熱発電で賄ってるみたいですし、特に問題はありませんよ」
「そうね」
「これでもういいですか?」
「待って。もう少し詳しく調べられないかしら」
「詳しくですか?」
「例えば、政府にハッキングするとか」


 その一言にキラが凍りつく。そんな反応をセイラは見逃さなかった。


「キラ、貴方何か隠していない」
「うっ」
「……そのパソコンを見せなさい」


 その声に思わずキラは腰を浮かし、セイラが割り込むように座った。
 マウスを操作して起動しているプログラムを探すと案の定それは見つかった。


「呆れたわ。貴方の趣味がハッキングなんてね」
「違いますよ。ちょっとした調べ物です!」
「あまり感心しないわね」
「セイラさんに言われたくありませんよ。同じこと考えてたじゃないですか」
「それは置いといて」


 うまく誤魔化したセイラは、モニター画面を指差した。


「これはオーブの国防省にアクセスしてるのね」
「はい。ここ数ヶ月の軍の動向を調べてます」
「どうしてそんなものを?」
「アズラエルさんが言ってたんです。ヘリオポリスがザフトの襲撃を受けたときオーブ宇宙軍が近くにいたと」
「そんな、まさか」
「僕もそう思いました。ですが……」


 キラはセイラの言葉を否定しながら素早くキーボードを打つ。


「これを見てください。1月22日にアメノミハシラから演習という名目で軍艦3隻が出航しています」
「確か1月22日は……」
「ヘリオポリスに襲撃があった3日前です。その後部隊は28日に帰港してます」


 アメノミハシラからヘリオポリスまで全速力で3日。行って帰ってくる時間は十分である。


「これが事実なら、オーブはヘリオポリスを見捨てたことになります」


 余程悔しいのだろう。画面を凝視するキラは唇をかんでいた。顔からは悔しさと遣る瀬無さが見て取れる。
彼にしてみればヘリオポリスは故郷だ。それを守るべき者が守らず、放置されたのである。


「僕らは一体何のために……」


 キラの呟きにセイラは暗い表情で俯いたまま、先刻の兄との再会を思い出していた。




 シャアの姿にセイラは驚きの表情で口を押さえた。見間違えるはずもない。数年前にシャトル事故によって
死んだはずの兄、キャスバル・レム・ダイクンであるのだ。


「兄さん。やっぱり生きていた!」
「アルテイシア。まるで私が死んでいないことを知っていたような口ぶりだな」
「どうしても兄さんが死んだとは思えなかったのよ」


 セイラは前から兄の死に疑問を懐いていた。乗船名簿には名前があったし、焼け焦げたパスポートや小物も
見つかったが、彼女には兄がどこかで生きている気がしていた。


「生きていたのなら連絡の一つもあってよかったのに……」
「それを出来ない理由があるのだ。私は、今ジオン軍にいるのだよ」
「そんな……」
「ジンバ・ラルの教えてくれたことは事実かもしれない。そう思ってな」


 セイラはシャアが行おうとしていることを瞬時に見抜く。


「ザビ家への復讐ですか。そんなことは今更無意味です」
「お前の兄がその程度の男だと思っているのか?」
「え?」
「ジオンに入国してハイスクールから士官学校へ進んだのも、全てはザビ家に近づきたかったからだ。だがな
アルテイシア、私だってそれから少しは大人になった」
「なぜ?」
「ニュータイプの発生だ」
「ニュータイプ?」
「そうだ。私は真のニュータイプを間近で見た。そして彼女の行く末を見届けようと思っている」
「…………兄さんの色恋沙汰に興味はないわ」


 セイラの言葉にシャアは一瞬凍りつく。これはニュータイプの勘か、それとも女の勘か……。


「そ、それだけではない! つい最近、強いニュータイプと戦った。彼を敵にするのは面白くない」
「キャスバル兄さんは何を考えてるの?」
「そのニュータイプはある人物に洗脳されている。彼を救う為にも軍を抜けることは出来ない」
「兄さん……」
「アルテイシア。今すぐ木馬を降りろ。そしてオーブを離れるんだ」
「どうしてそんなことを言うの?」
「この国は危険だ。この国の平和はまやかしに過ぎない。少なくともアスハ家が頂点のうちはな」


 意図が読み取れないセイラは怪訝な顔をする。


「スカンジナビアなら危険もないだろう」
「でも兄さん……!」
「すまんが、私はもう行かなければならない」
「待ってください、キャスバル兄さん」
「いいな。軍を抜けるんだ。戦争も忘れろ」




「これが兄さんの言っていたこと? それとも他にも何かあるのかしら」
「セイラさん。それからこれを……」


 考え込むセイラをよそに、キラは凄まじいスピードで指を走らせ、別のページにアクセスした。


「モルゲンレーテ本社のメインコンピュータで見つけたんです」


 画面には設計図のようなものが映し出される。


「これは、MS?」
「MBF-P01と書いてあります。おそらくオーブのMSでしょう」
「でも、この顔はストライクと同じだわ」
「アズラエルさんは“MSをこっそり開発していた”とも言ってました」
「つまりモルゲンレーテは連合の技術を盗用したのね」


 もしこの事実が公表されればえらいことになる。特に彼女がこの機体を知ったときの反応を想像してみた。


「……マリューさんが知ったら激怒しそうだ」
「……いいえ、あの人のことよ。機体を見たら狂喜するんじゃないかしら」


 キラはセイラの考えに一理あると考えた瞬間、艦内に警報が鳴り響いた。互いの顔を見合わすと、二人とも
同じ単語が飛び出していた。


「「敵襲!?」」




「敵襲だと!?」


 ナタルは信じられないような声を出す。それもその筈、ここは首都オロファトが所在するヤラファス島だ。
いくらアークエンジェルがあるとは言っても、中立国の中枢部に攻撃する行為が何を意味するかは誰であろう
と解るものだ。


「ヘリオポリスの再現、と言ったところですか?」


 何時の間にアークエンジェルへ戻ったのかアズラエルが楽しそうに言い放った。確かにアズラエルの言葉は
的を得ている。衛星コロニーとオーブ本島の違いはあれど、中立国に停泊していたアークエンジェルが奇襲を
受けるという構図はまったく同じである。


「理事、すぐに避難をっ!」
「僕はここに残りますよ」
「しかし、狙いはこの艦です! 理事に万が一のことがあったら……!」


 ナタルは血の気が引いた。もし自分の艦でそんな事態になったら、彼女はブルーコスモスに殺される。


「あのですね〜……」


 焦るナタルとは対照的にアズラエルは冷静だ。


「敵襲があったのに未だ軍を動かさないオーブと、このような想定外の事態に経験豊富なアークエンジェル。
どちらを信用するかと問われれば、私は迷わずアークエンジェルと答えますよ」


 確かに軍港にいる兵は右往左往しているが、オーブの陸海空軍は今だ動いていない。


「……そういえば、どういう事だ!?」
「オノゴロ島近域に国籍不明の潜水艦を発見したそうです。オーブ海軍は大多数の護衛艦で迎撃に向かってます」


 ロメロの報告にナタルは、オーブ海軍が陽動に乗ってしまったことを理解した。


「何故たった一隻に多数の護衛艦を出しているんだ!?」
「今は愚痴ってる場合ではないでしょう。とっとと迎撃するんですよ! 早く!!」


 オーブ軍の行動が理解できないナタルは呆れてしまった。そんな彼女に、さすがのアズラエルもキレたのか、大きな声を上げて彼女を怒鳴る。ナタルは冷や汗をかきながらMSの出撃命令を出すのだった。




「よーし、クストーの陽動はうまくいっているようだな」


 モラシムはここまで己の策どおり事が進んでいることに笑みを浮かべた。彼はザフトでは見慣れない機体に
乗り込み僚機と共に海中を突き進んでいる。やや横に広がる機体はジブラルタルで鹵獲したゴックだった。


「そちらは大丈夫か?」
「はい、すこぶる順調です」


 コックピットに違和感を感じながらアスランは答える。慣れない機体ではあるが、操作性は今までに乗った
ザフトのMSより上であることに驚きを隠せない。それもジオンのOSの完成度の高さからくるものだろう。


「お前の乗る機体は装甲が薄いが機動性は抜群だ。ストライクと言ったか? 奴を海中に引きずり落とせ!」
「了解しました」
「大天使は俺が落とす。オーブ軍が来る前にケリを着けるぞ!」


 モラシムはドックから敵MSが出撃するのを確認して、それ目掛けてトビウオのごとく飛び出した。相手は
マシンガンで迎撃するが、ゴックの厚い装甲が弾丸をはじき返す。


「さすがゴックだ。マシンガンなんかじゃ傷一つ付かない」


 モラシムが地上戦を展開したのを見届けると、アスランは因縁の機体――ストライクに目をやる。


「キラ……なのか?」


 アスランは嘗ての友人を思い出していた。思えば自分が地球に降りた理由はキラに会うためなのだ。ヘリオ
ポリスでの再会から約二ヶ月。彼はまだあの機体に乗っているのだろうか。


「キラであってくれ。俺はお前に会うためにここにいるんだ」


 一概の望みのまま、アスランはアッガイをストライクへと向けた。