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機動戦史ガンダムSEED 07話 の変更点


  ―第4機動艦隊旗艦『クサナギ検抓篭供宗 
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  ――艦隊は、高速航行から通常航行へと切り替わり、艦内の明かりが元に戻りました。  
 私も訓練やら何やらは経験はしていますが、実際の航宙艦の系内の高速移動は、初めてです。 
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  ――宇宙へ人類が進出したから数十年余り。核パルスエンジンの開発や改良、新規技術の導入により 
 太陽系の人類の活動はより活発に発展していった。 
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  『ブースター・ドライブ』の誕生により人類は、太陽系内を自由に闊歩できる箱庭として範囲にする事が可能となったのだ。 
 まだまだ、外宇宙への発展は望めないが、人類は確実に進歩しているのです。 
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 無事に目標宙域のポイントに全艦隊の到着を確認した私は、右隣の一段高い位置に設置されている 
 『艦隊司令』のポジションである、指揮官シートへと顔を向け、 
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  「――司令。目標ポイントの座標を確認しました。『クサナギ検戮龍間固定に掛かります! 
    メイン・ドライブを通常運転へと切り替えますから……!」 
 
  と明るく報告をする。 
 だが……私は、そこで指揮シートのデスクの前でうつ伏せとなっていた司令の姿を目撃する。 
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  「あのぅ……司令?目標ポイントへ到着しましたけど……」 
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  その声に答えるように、カエルのようにうつ伏せとなっていた司令は、 
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  「……?そうか……」 
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  ノロノロと顔と上半身を起こす。なんと!私が見ると、その顔は青白くなっていたのだ…… 
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  「――大丈夫ですか?」 
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  と一応、心配そうな声を出して気を使う私。もう、副官の鏡だ。 
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  その私の声を、聞いたのか聞かなかったのか?わかりませんが、 
 司令は相変わらず、よく通る痺れる様なハスキー声で 
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  「いや……それにしても『ブースター・ドライブ』起動後のアレ、凄い揺れだったな。 
    ただのお飾りなのかね?『重力制御装置』てのは?」 
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  「そりゃもう!」 
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  私は明るく断言し、太鼓判を押す。 
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  「『ブースター・ドライブ』の際には、艦内メイン動力炉のエネルギーの殆どが、 
    『メイン・ドライブ』のシステムの方に回されますから!装置の効果は――」 
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  と専門的な説明をするに連れて私の言葉は徐々に萎んでゆく……司令の目が怖い。 
 更に、司令は的確に突っ込んでくるし……  
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  「ほぅ……で?」 
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  司令に突っ込まれた私は語尾を濁しながら…… 
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  「――それなりに……です」 
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  そして、司令が座る指揮シートを挟んで、反対側からシモンズ主任が大人の貫禄と色気と余裕を持ちながら、 
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  「――大丈夫なのサイ?それとお止しなさいな大人気ない――貴女もね?」 
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  と私を嗜め、司令を気遣う様子に、完全な敗北感を私にもたらしたのだった…… 
  そこで、私は気を取り直すと、 
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  「それに――太陽系内移動用の『ブースター・ドライブ』は、まだまだ、開発の余地がある技術なんですよ。 
    司令もこれ位は、耐えて頂かないと……」 
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  と技術面の未発達な部分と近年の航宙艦の乗組員の常識を可愛い私は、 
 ニコリ!と微笑みながら、司令に説いてやったのだった。 
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  ……しかし、それに対しての司令のリアクションは最悪だった。 
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  「――オェぇえ……俺は、乗り物には、強い方だったと思ったんだけどな……」 
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  と、どんな女の子も幻滅するような最悪の姿を見せてくれた。 
 ハンサムな反面、こんなところはどうしようもないようだ。 
 これでは彼女がいないのは当たり前だろう。 
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  まぁ、そこは、置いておくとして、私は好奇心がてらに、ちょっと司令に聞いてみることにした。 
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 「――でも、初期大戦の頃に司令が、アスハ代表と一緒に乗り込んでいた『アーク・エンジェル』よりは、 
   ウ〜ンとマイルドな乗り心地だったのではありませんか?」 
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  と私も技術的にも実際、知りたかった事を質問する事にした。 
 こう見えても最先端テクノロジーのエンジニアですから。 
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  「……君とは違って、もう、順応性が高い10代の頃とは違う」 
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  と、私の好奇心を満たすのには、どうでもいいような答えが帰ってきたのだ。 
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  「はぁ……」 
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  ……やっぱ、世代の違いかしら? 
 私が聞きたかったのはそう言う事じゃなかったんですけど―― 
  だが、司令は私の心中を知ってか知らずか、 
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  「――それにしても、地上暮らしが長かったから、軍用航宙艦に乗る為の再訓練もろくにしちゃいねぇしな……」 
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  ――オェェと、また再び口を抑えながら変なゼスチャーをし始める。 
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  ぎゃー!もう!!本当に!! 
 顔やスタイルは、良いのにもろオジさんだわ、この人。 
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  私はもう容赦なく 
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  「もう!汚いですよ!司令!それに時機に慣れます。大丈夫!大丈夫!」 
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  と私は容赦なく司令を扱き下ろし、楽観論を述べる。 
 私のその優しい気遣いに対して司令は、冷たい声で…… 
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  「……君のその無責任ぽい根拠の理由は、何だい?」 
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  と、私の態度に白い目を向けて来るのだった。 
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  「そりゃもう!――何といっても司令は『伝説の男』じゃないですか!!」 
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  と、いつも通り私は明るく言う。 
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  「……おい!目の前で吐いちゃうぞ!!」 
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  がおぉ!と司令は私に襲い掛かるような真似をする! 
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  「ヒュェッ……!ご、ごめんなさい!!」 
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  と私は謝るのだった。 
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  地球を出発してからの間、このようなやり取りを繰り返し、 
 すっかり、私は司令とのコミュニケーションに慣れてしまっていた。 
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  最初は怖い人だと思ったけど、気遣いも細かく、冗談や笑う事が好きな人で 
 しかも、当たり前だが、リーダーとしての才覚もあって、周りの気配りを大切にする人だったのだ。 
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  お陰で、司令とは勤務時間外のプライベートの時には、私は怖い上司としてではなく、 
 半ば友人のような関係となっていた。 
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 ピピッ! ん?――私がいる副官シートののコントロールパネルが点滅する。 
 暗号特殊コードが入って来ている。それに気が付いた私は、 
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  「……あら?」 
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 と思わず声をあげてしまった。私の上げた声は司令も耳にしたようだ。 
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  「どうした?」 
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  と聞いて来たのだ。 
 私は、得意の閃光のようなキーボードテクニックでコントロールパネルを操作し、 
 暗号通信機能を切り替える。そして軍コードうを確認し、高速通信機能に切り替え、 
 内容を確認して一つ頷くと、 
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 「――司令!『ホワイト・ヒル』総司令部のアスハ代表から、超高速レーザー通信でコールが入っています!」 
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  とハキハキと答え、副官の本領を発揮するのだった。 
 副官としての義務を果たす私に対して、司令は何と…… 
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  「……頼む、後にしてくれ……わたしゃ、現在……」 
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  ……その醜態を晒すところを余すことなく私に見せつける。 
 それを見て私はニンマリとする。そして、息も絶えだえの司令の懇願を、 
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  「――駄目です。では繋ぎますね?」 
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  と完全に無視して、にこやかにアスハ代表からの通信を、 
 司令の指揮デスクへと繋げてあげた。 
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  「……」 
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  そして、司令は恨めしそうな顔で私を見るのだった。 
 ムフフフッ、何か良い気分。 
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  指揮シートにもたれ掛かれながら俺は、指揮デスクに設置されているメインモニターの前にシート深く座り込む。 
 可愛い副官が俺の懇願を無視して、直ぐに通信を繋げてくれたお陰である。 
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  『――無事に防衛ラインが形成できたようね。あら、どうしたの?顔色が悪いわね……?』 
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  そして、メインモニターにアスハ代表の上半身姿が映り、第一声がそれだった。 
 俺を気遣ってくれるのはありがたいのだが……醜態を見せちまったな。 
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  「フゥ〜、いやぁ、やはり久しぶりの戦場ですから――」 
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  と無難に答えることにする。宇宙酔いです、と答えられるか馬鹿野郎。 
 心の中で可愛い副官の小娘を罵る。 
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  『プレッシャー?貴方にもそういうところがあるの?』 
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  そう答えると、アスハ代表は心の底から不思議そうに尋ねてくる。 
 今まで俺は、プレッシャーなど代表の前で欠片も見せた事が無いのに。 
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 だが、この点が純真無垢なのは相変わらずである。 
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  「何しろ背負わされているのが、ズンと重たいですからね」 
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  その答えに彼女は心から納得してくれた。 
 彼女は「お姫さま」だから、これらの言い訳で直ぐに納得してくれる。 
 政治関係や外交関係等の他の事なら、一発で見抜く洞察力もこの手の嘘にはコロリと騙される。 
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  ――ありがたいことだ。 
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  彼女が心から俺達を信頼している証でもあるのだから。 
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  『で?戦況は、どうなの?』 
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  と、現場第一主義の発言をしてくる。 
 彼女は遠く離れた作戦司令室の参謀の意見よりも、 
 現場主義者であり、現地にいるスタッフの意見を重要視するのである。 
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  俺もその点では。彼女の意見態度に賛同する。 
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  「――最悪のスタートですよ」 
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  ついでに気分も。余計な事だが―― 
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  『まぁ……そうでしょうね』 
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  と彼女は意気消沈する。 
 やはり、代表は戦況の悪化に心を痛めていたようだ。 
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 『――見ての通り、『ラクス軍』は、オーブ領であるL4Pポイント宙域外縁部を占領して 
  着々とこの辺り一帯の基地化を進めているわ――』 
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  そして、俺が送った戦況データに目を通しながら、簡単な結論を繰り出した。 
 その彼女の様子を見ながら、――俺は痛烈な諌言をしなければならない。 
 何気なく世間話のように、予め用意していた言葉を口に出してゆく。 
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  「――回廊宙域を突破して、地球進行ルート中枢域までを侵入されなかったのが、不思議なくらいですな」 
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  『……ええ。その点はソガ中将のお陰ね……』 
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  と彼女は溜息を吐きつつ、俺の話に合わせようとする。ソガの功績を称えたいのだろう。 
 だが、死んだ者の功績を今、称えてどうするよ『お姫さま』? 
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  「――それにしても、緒戦から随分と景気よく負けてやったものだ……」 
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  『……サイ』 
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  と些か、嫌味な口調で切り出す。代表は目を大きく見開いた。 
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  「――騙まし討ちも同然。――不可侵条約失効と同時の侵攻だったとはいえ、 
    相手は、地球圏や辺境宙域を荒らしまくった叩き上げの軍団だ」 
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  『ラクシズ』のやり方には腹が立つが、それはこちら側の理屈であり、 
 戦術の常識では、これは全く卑怯のやり方でも何でもない。 
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  「――しかも、お行儀の良いルールなど、端っから通用しない連中です。 
    そんな事は、昔から貴女達もご承知の上でしょうに……」 
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  と俺は言葉を続けながら、嘗ては自分もその中の一員だった事を思い出す。 
 無論、代表だってご承知の通り、奴等とつるんでいたのだしな。 
 お互い、あいつ等の汚いやり口など、端っから承知していたはずなのだ。  
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  「……油断ですな。取り返しのつかない油断と思われます」 
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  『……』 
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  青ざめながらも、代表は黙って俺の諌言に耳を傾けている。 
 俺がいた時の代表府ならば、このような醜態を晒したりしなかったはずだ。 
 どんな組織も平穏な時を経れば、緩むものだ。 
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  「――その為に<ヘリオポリス供笋牢挈遏覆)とされ、第2艦隊は壊滅。<クサナギ供笋歪世鵑澄宗宗 
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  『――ええ……返す言葉も無いわ……』 
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  俺が話を締め括ると、代表は改めて自分の失策を俺に対して、正直に認めた。 
 だが、代表は俺の強い皮肉を含んだ諌言を受け止めながらも、 
 気を取り直したかのように話を続けた。 
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  『……でもね、「よくこの程度で踏み止まった」と私は思っているのよ――』 
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  と強く言葉を発した。相変わらずプラス思考で、切り替えも早いのも彼女の良いトコだろう。 
 そして、これは俺にも関わりのある事なのだが、 
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  『――貴方が、代表首長府を去る直前に断行してくれた軍人事の大刷新……』 
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  「……」 
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  これに関しては、俺は遂に口篭り、黙ってしまう。 
 そして、熱心にな口調で、 
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  『それと貴方が企画した、第二次軍備拡張計画推進案……これらがなければ、 
   ラクス達に地球進行ルートの中枢部まで侵攻されていたかもしれないわ……』 
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  と彼女は、俺の過去の業績とやらを称えてくれたのだ。 
 だが、俺は、 
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  「――いやはや、代表。今、その話をすることは、止めておきませんか……? 
    ――今、思い出すには……何と言いましょうか……痛すぎる昔話ですよ」 
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  と婉曲にこの手の話題を避けようとした。 
 代表は、俺のそれを敏感に察して、 
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  『……そうね。老人のように、揺り椅子に持たれ掛けて、過去を振り返っている贅沢なんて、 
   まだ許されないわね。お互い、今と未来だけを見つめていかないと……』 
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  と痛い話の話題を早々に切り上げてくれたのだった。 
 そして、彼女は自分の本来姿である代表の顔へと戻る。 
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  『さて……そして今は、何と言っても緒戦の大敗北を挽回するのが第一よ。 
    貴方が何の為に復帰したか、くれぐれもそれを忘れないでね、サイ――』 
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  と真剣実を帯びた口調と視線で俺を凝視してくる。 
 俺は迎撃軍の司令官として、その期待に応えねばならない。 
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  「――では先ずは、総司令部の作戦方針から、お聞かせ願いましょうか?」 
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  と作戦の基本骨幹を指示してもらわねばならない。そうしないと軍の方針が定まらないからだ。 
 軍が文民統制の管轄から離れる事は国の死線に関わる。 
  俺も復帰したばかりなので、スタンドプレイはなるべく避けたいのだ。 
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  『……オーブ領内宙域から『ラクス軍』の勢力を一掃するのは勿論の事だけど――』 
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  と代表は首をやや傾げながら、相変わらず、可愛らしい仕草でシビアな事を言うのだ。 
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  『――当面の目標は、敵前衛部隊の排除ね』 
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  と代表は当面の作戦指針の結論を明快に断言し、俺に指示する。 
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  「フム。――つまり、三拠点を占拠する敵勢力の撃滅ですな?』 
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  と俺は彼女の考えに理解を示す。 
 現在、『ラクシズ』の先鋒たる前衛部隊は宙域の最外延部に位置する、補給路や外部基地の三箇所を抑えている。 
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  これを奪還し、敵勢力の壊滅が俺の最初の仕事となるのだろう。 
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  代表は俺の確認に頷くと、 
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  『――ええ。それと現在、敵との攻撃により壊滅寸前の第3艦隊の救出。――この二点よ――』 
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  もう一つ、重要なファクターである、第3機動艦隊の援護と救出も命じてきた。 
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  「――了解。ではやりましょう。その為の『クサナギ検戮搬4機動艦隊です」 
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  俺は彼女の作戦方針を納得し、了承の返事をする。 
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  「掛け値なしのオーブ……いや地球圏でも屈指の機動艦隊です。やって見せましょう」 
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  「ええ――期待しているわよ……サイ」 
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 とアスハ代表は会釈し、俺に向かって軽く頭を下げると、通信を切った。 
  今まで、代表が映っていたメインモニターから目を離すと、艦橋の正面のメインスクリーンに映る広大な星の世界に目をやった。 
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  「――星の世界へ……か」 
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  ――長い間、地上暮らしで疎遠になっていた場所だ。 
 そして、俺は、再び戻ってきた仕事場のフィールドを言葉にして、噛み締めるのだった。 
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 続く
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