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敵と仲間が(仮) の変更点


 
  敵と仲間が吸い込まれていった大穴が塞がるのを見届けて、ルナマリア=ホークはようやく緊張を解いた。 
 ザクがエクスカリバーをそっと下ろし、全身のモーターから冷却材が噴き出す。 
  ルナはモニターで周囲を確認し、辺りに広がる建築物の残骸を見渡した。三分の一はザクが踏み潰し、 
 三分の一はガイアが蹴り飛ばし、三分の一はエクスカリバーが切り落としていた。 
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 「――まあ、たいした被害じゃなくて良かったわ」 
 『一度眼科に行きなさい! 殆ど壊滅状態じゃない!』 
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  ひとりごちたルナマリアに、メイリンからの通信が返答した。 
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 「――……戦争なんて、破壊しか生み出さない、虚しいものよね」 
 『冗談言ってないで早く帰還して下さい、ルナマリア=ホーク! シンとレイはどうしたんですか!?』 
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 インパルスとザク、およびカオスとガイアの反応をオペレイターは追跡している。 
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 「そんなの決まってるじゃない、敵を追ったシンを追ってレイが出てって私は居残り、よ。 
 ミネルバの護衛に戻るわけだけど――そっちは大丈夫でしょうね?」 
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  ルナマリアが無事でも、外からの攻撃でミネルバがダメージを受けていればわざわざここで 
 戦闘を続けた意味が無くなる。 
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 『そう! それだけれど、議長がミネルバに乗り込んでこられたの。ミネルバに赤服が一人も 
 居ないっていうのは問題だから、お姉ちゃんは早く帰って来て!』 
 「――ハア? 何で議長が戦艦なんかに乗り込んでくるのよ?」 
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  ルナマリアの常識では、政治家と言うのは戦闘が起きたら直に安全な場所に避難しなければ 
 いけないものの筈だ。それは好みの問題ではなく人の上に立つ者の義務だ。 
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 『知らないわよ、偉い人の事なんて。まさか艦長に会いに来た訳じゃないでしょう……し…… 
 失礼しました! とにかくルナマリア=ホークは迅速にミネルバまで帰還して下さい!』 
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  通信の向こうが一瞬がやがやと騒がしくなったかと思うと、メイリンは通信を切ってしまった。 
 何が起こったのかはわからないが、ルナマリアはとにかくミネルバへ帰還しなければならない。 
 無茶な機動に悲鳴を挙げる関節モーターをなだめすかし、労わりつつザクの方向を変えた。 
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  がくん、とザクがバランスを崩した。戦闘疲労によって関節が消耗し、歩行が困難になっている。 
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 「ま、仕方ないわよね、大立ち回りだったし――」 
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  ルナマリアは"整備員殺し"という自分の二つ名を思い出した。戦闘そのものでは殆ど被弾しないが、 
 機体を限界ぎりぎりで酷使するため、動かすたびに分解整備が必要になり整備員たちを缶詰にする。 
  ルナマリアは大人しくザクの推進器を吹かして宙に飛んだ。地球上での連続した飛行は無理だが、 
 プラントの擬似重力下では端から端まで跳躍することが出来る。 
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 「――大分やられたわね、たった二機でたいしたものだわ」 
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  広くなった視界でプラントの地上を見下ろし、ルナマリアは被害の凄まじさを目の当たりにした。 
 ハンガー街のある場所から殆ど直線状に外壁まで、戦闘の行われた場所が壊滅し煙を上げている。 
  ふと視線が探し物を求めてモニターの中をさまよった。ザクのモノアイが同調して頭を巡らせる。 
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 「――――居ない、か。何処かに回収されたのかしら?」 
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  自分の危機を救い、自分のミスから来た仲間の危機を救ってくれた、通りすがりのザクを探した。 
 ウィザードも付けずにセカンドシリーズとエース級パイロットの動きを妨害してくれた機体は、 
 何処を探しても居なかった。落胆の気持ちが心中に膨らむ。 
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 「あーあ、お礼の一言ぐらい、言わせて貰いたかったのにな」 
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  残念に思いながらもザクには安定した機動を取らせてミネルバの鎮座するドックまで帰還した。 
 無垢の装甲を晒す母艦を見て一安心する。 
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 こちら、ルナマリア=ホーク。着艦するわよ、ザクの入る隙間は空いてる?」 
 『お帰りなさい、ルナマリア=ホーク。空いている所なら何処でもどうぞ』 
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  第二艦橋のアビー=ウィンザーがザクの航法システムに着艦のための軌道を送ってくれた。 
 ルナマリアは普段使っている右カタパルトではなく、左舷ブロックへと誘導されている事に気付く。 
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 「――あら、右舷には誰か帰って来ているの?」 
 『それが、損傷したザクが一機無理矢理入ってきたの。こちらで制止する暇が無かったのよ。 
 出来れば赤服に見て貰いたいから直に来て欲しかったのだけれど』 
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  損傷したザク、侵入者の破壊工作、不吉な単語がルナマリアの脳裏に浮かんだ。 
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 「急いで着艦するわ、そういうことは早めに言って!」 
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  もしザクが簡単な爆装でもしていたら、自爆によってミネルバは就航前にスクラップと化してしまう。 
 そうでなくとも、たとえば整備員を殺害されれば損害は計り知れない。 
  着艦、カタパルトのフックがザクの全身を捕らえて減速させた。機体をハンガーに架ける時間すらが 
 惜しく、ルナマリアはザクを"土下座"させると真下を向いたコックピットから飛び出した。 
 擬似重力から解放される肉体を空中で一回転させて着地体勢を取り、体全体で衝撃を分散させつつ 
 床に着地する。試験でやれば即座に落第が決まるような方法である。 
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 「――大丈夫よ! 先に着艦したザクは何処に居るの?」 
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  慌てて駆け寄ってくる整備員たちを制し、案内させる。いざとなればこの場に居る人員に指示を 
 下さねばならない。整備員のヨウランが指し示した方向には―― 
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 「――あら」 
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  ――探していたザクが立ち尽くしていた。  
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 「中々出てこないんだよ、さっきから呼びかけてるのにさ」 
 「――とにかく、私が近づいてみるわ。……大丈夫だとは思うけれど、其処のあなた銃を貸して」 
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  短機関銃を持ち出してきた警備要員から得物をひったくると、皆が遠巻きに眺めているザクへと 
 近寄る。ハッチは中の人間の意志か故障の結果か、固く閉ざされているままだ。 
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 「其処のザク! 早く降りてきなさい! 手荒なことはしないと約束するわ」 
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  銃口を操縦席から逸らして呼びかけた、軍人としての使命と恩人への礼節を籠めての事だ。 
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 「降り方が分からないわけは無いでしょうけれど、ハッチの解放スイッチはシートの右よ! 
 ジンやゲイツとは逆になってるわ。どうしても出ることが出来ないと言うのなら、私が外から 
 強制開放コードで開けます!」 
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  しばしの沈黙、まさか中でパイロットは意識を失っているのか? 全員がそう思い始めたとき、 
 ザクのハッチがゆっくりと開き始めた。数十の視線が操縦席に集中する。 
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  中から先ず最初に出てきたのは妙齢の凄まじい美人だった、どうやら若い男を背負っている。 
  「――負けた――」と誰かが間抜けな感想を洩らした。誰の声だ? ――自分の声だと気が付いて、 
 ルナマリアは周りに聞かれなかったかどうか気になった。 
  続いて出てきたのは、ルナマリアとほぼ同年代の少女だった。頭を打ったのか額に手をやり、 
 美女に支えられてハッチの外に出てくる。 
  ――これには勝った。そんな声は心の中にとどめておいた。そして―― 
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 「――! ――けが人が居る! 衛生兵、担架を早く!」 
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  女性が纏っている藤色の衣装が背負った男から流れる血で赤く染まっている事に気付いた。 
 銃を預けてザクに走り寄りながら、藤色の女性に向かって叫ぶ。 
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 「私が一緒に下ろします! 先にそちらの女の子を降ろしてください!」 
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  意識の無い人間をワイヤーで降ろすことは非常に危険である。ルナマリアは軽業の如くザクの装甲を 
 登るとあっという間にコックピットハッチまでたどり着いた。MSパイロット必須の技能である。 
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 「直に担架が来ます、そっちの子はこのワイヤーで降ろしましょう」 
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  二人で重傷を負った男を抱えるようにして――もしかしたら『両手に花』と呼ばれる状況かも 
 知れないが男は意識が無い――ワイヤーにつかまり、先に降りた少女の後を追って床に降り立つ。 
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 「所属と姓名、そしてどなたがこの"ザク"を操縦していたのか答えて貰います」 
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  ワイヤーに掴まったまま、規則だと前置きしてルナマリアは目の前の女性に質問を重ねた。 
 藤色の女性は一瞬困ったような顔をして黙っていたが、ワイヤーが伸び切る前に口を開いた。 
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 「……ウチはオーブ代表府所属のシズル=ヴィオーラ。――さっき降りたんは、ウチらの代表の 
 カガリ=ユラ=アスハ――」 
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  うそでしょ、という表情を取るルナマリアの手を借りて、運ばれてきた担架に背負った男を 
 横たえながらシズルは続けた。 
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 「――そしてザクを動かしとったんは……このアレックス=ディノはんや」 
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  男の前髪が分かれて血の気を失った顔があらわになった。 
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 [[『てええぇーーーい――!』(仮)]] [[新人スレ旧まとめ]] [[ミネルバ艦橋で(仮)]]
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