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code geass-destiny第05話

Last-modified: 2010-02-01 (月) 22:51:52
 

コードギアスDESTINY
第5話 エンジェル・ダウン

 
 

『さぁ、皆さん!今こそ立ち上がるときなのです。
 私達の悲劇を利益とし、身を隠していたものたちを…今こそ断罪すべきなのです!
 ロゴスこそが、私たちの戦わなくてはいけない…真の敵なのです!』

 

「ロゴス…俺達が倒さなくてはいけない、敵」

 

 シンは画面を見つめながらつぶやく。
 ステラを戦闘マシーンに仕立て上げて、利益を貪っていた相手の…名前。

 

「シン動くぞ…大きく世界が」

 

 レイが、シンの肩をたたく。

 

「あぁ、俺達が動かすんだ。世界を…!!」

 

 アスランは、そんな2人の横で、この発言が…世界を混沌に陥れると、確信を持っていた。

 

『…ゼロ、私は君をいまだ図りかねているが、君が私たちと共に歩んでくれることを願っている。
 少なくともこういった場をもたせてくれたことには、感謝するよ』

 

 デュランダルの不適な笑みで、和平会議は終了した。
 通信を終えて、カレンとC.C.の前で、仮面を脱ぐルルーシュ…。

 

「くううぅ!!」

 

 ルルーシュは仮面をソファーに投げ捨てる。

 

「完全にやられた!ギルバート・デュランダル…ザフトの議長か。連合の素性にあそこまで精通しているものが居るとは…」

 

 ここまでの情報を知っているということは、ザフトはかなり以前から連合におけるブルーコスモス、
 さらには今回のロゴスにおける情報を知っていたと見るべきだろう。
 これがデュランダルの隠されたカードか。
 自分のやること…すべてが上手く行くとは思わなかったが…
 まさかここで、こうなるとは…。これで世界は動くだろう。
 お望みどおり…デュランダル、貴様を中心に。
 世界の世論は、これでデュランダル側につくことになる…。
 これで俺たちオーブがブルーコスモス側につくことはなくなった。
 ここまでの手腕の持ち主であるザフトの、いやデュランダルの情報が欲しい…、奴の手を見なくてはいけない。
 このまま情報戦に持ち込まれれば、いずれはこちらも崩される。

 

「…いいだろう。ここは…、貴様の策にのってやる。だが、全てがお前の思い通りにいくとは思うなよ…」

 

 そう…邪魔な組織を1つ潰してもらおう。お前達の戦力を使って…。いい時間稼ぎになるだろう。
 こちらの力が整うまでには…。

 

―――

 

 ロゴスの暴露は、世界に衝撃を与えた。
 産業界・経済界・政治…様々な場所で暗躍していたロゴスメンバーの名前がその、場所ごと公開されたことで、一般市民が襲撃を始めることにもなる。
 それはロゴスメンバーだけではなく、ロゴスに加担していたものに対しても、徹底的な弾圧が行われることとなり、その惨状はまるで中世の『魔女狩り』に他ならない。
 連合軍は、これに対して静観する動きが見られ、さらにはザフトが連合軍との同盟も示唆したため、
 いくつかの部隊はザフトに協力しようとする動きまで見られていた。

 

『…ジブリール!これは、これはどういうことだ!』
『我々の情報はすべて隠されていたんじゃないのか』

 

 ジブリールの邸宅にて、各国のロゴスメンバーから連絡が送られてくる。
 彼らの場所も既にデュランダルにて報告され、一般民衆に取り囲まれてきている。
 ジブリールは、画面にて、悲鳴をあげながら画面が消えていくのを見ながら、怒りを露にしていた。

 

「とにかく、そこから脱出してください。この…ことに対する復讐は、必ずしてやるぞ!ギルバート・デュランダル!!」

 

 ジブリールもまた、自分自身の身を守るため、地球の最後の防壁でもあるヘブンズベースに移動することとなる。
 そここそが、ロゴス・地球連合軍ブルーコスモスの拠点であり、一気に巻き返しを図るための場所である。
 それに…宇宙に出れば、現在建設中のあれが…あれが動き出せば勝機はある。
 まだだ…まだ、我々は、こんなところでは終わるわけにはいかないのだ。

 

―――

 

『…すまないな、タリア。君たちにばかり苦労をかける』

 

 デュランダルからの通信を受けるミネルバ艦長タリア・グラティスは、次の指示を受けていたところであった。

 

「わかりました。私達はこれより、次の任務を行うために追跡活動を再開します」
『頼む』

 

 タリアは回線を切ると、既に底にそろっているザフト・ミネルバの赤服を着るシン・レイ・アスラン・ルナマリアを見る。

 

「私達はこれより、アークエンジェルを追跡し、捕獲、出来ない場合は撃破することになりました。
 作戦名はエンジェル・ダウン、以後は一次待機命令とし、即座に出撃が可能な状態としておいて頂戴」

 

 その言葉。
 複雑な気持ちで受け取るアスランを前に、シンは拳を握りしめる。
 いよいよ、このときがきた。
 今までの気持ちを全てこめて、フリーダムを落す。

 

「…シン、気負うな。シミュレーションでやってみせた、お前の力ならできる」
「あぁ、ありがとうレイ」

 

 フリーダムのパイロットの特製は熟知しているはずだ。
 後は、それをうまくやれるかどうか…。
 ステラ、必ず、必ず仇を…。

 

「待ってください!艦長、アークエンジェルが、彼らが何をしたというんですか?」

 

 アスランは抑えていた言葉が出てしまう。
 そう、キラたちは何もしていない、ただ戦場の混乱を終息させようと戦っていただけだ。
 だが、事態はそうはさせてはくれない。
 アークエンジェルに憎悪を燃やすシンにとってはアスランの発言は怒りにしかならない。
 シンが言葉を放とうとするが、レイがシンを抑える。

 

「これは本国プラントからの命令です。どこの国にも属さない、戦力は…ロゴスと同じく危険であると判断されました」
「バカな…キラたちがロゴスと一緒だというのか」
「…アスラン、あなたはFAITHよ。この作戦が不服なら、無理強いはしません」
「…」
「アスラン…」

 

 ルナマリアは、アスランとミネルバクルーの対立がここで徹底的になったと感じていた。
 アスランの気持ちはわかる。
 アスランを尾行・盗聴の指示を受けたとき、聞いた本物のラクス様を殺害しようとザフト、議長が考えていたこと…。
 本当かどうかはわからない。だけど、私はザフト…だから、ザフトを信じるしかない。

 

「戦いたくない奴は放っておけばいいんです」

 

 シンは、そんなアスランに対してはっきりと告げた。
 アスランは何も言い返すことが出来ずに、ブリッジから出て行く。

 

「敵の戦力は、これまでのことを考えると、フリーダムだけと考えるべきでしょう。だけど、あのMSにこれまで苦汁を飲まされてきたことも事実。各員の健闘に期待するわ」

 

 シンは強く敬礼をして、MSの格納庫にと向かった。
 その胸にあるのは…ステラ、そして妹に対する気持ち。
 失ったもの全ての贖罪を、フリーダムに償わせてやる。
 アスランは、廊下で雪に覆われた空を窓から眺めていた。
 シン、そしてキラ…彼らが戦うことに何の意味があるというのか…本当に倒すべき敵とは一体なんなんだ…。
 ロゴス、アークエンジェル、ザフト…オーブ。
 混沌とする世界の果てに、自分は今、何も出来ない。

 

―――

 

「なるほど、カガリ・ユラ・アスハは、元々、アークエンジェルメンバーであるということか」

 

 ゼロは、ギアスをかけ、ウナト・エマ・セイランから情報を聞き出していた。
 オーブの代表者であり、さらには旧アークエンジェルメンバー、それがアークエンジェルに攫われたということは…。
 おそらくは、あの無能な息子に嫁がせようとしたのを、拒否しようとした1つの手段だろう。
 結果的に、ウナトに政権を握られているようでは、意味を成してはいないが…。
 それだけアークエンジェルというのは、この世界にとって中核をなす存在であることには間違いは無いだろう。
 だとすれば、かなりのイレギュラーな存在になることは間違い無い。
 なるべくなら…早めに消しておきたいところだが。
 ゼロ=ルルーシュは、ベルリンにて、自分に向かってきた、あのMSを思い出す。あれがアークエンジェルのMSのパイロット。
 あの口調や、戦いを否定する考え方は…どことなくスザクを思い出す。
 正義という心が先に出るがため、己の立場や、そして世界に対する役割を見失ってしまう。
 ただ戦うだけでは混乱を起こすだけだというのに…。

 

「ゼロ、準備が整いました」

 

 ステラがはいってくる。
 ラクシャータの話では、身体的な薬物依存については、薬を使って誤魔化すことはできるそうだが、しっかりとした場所でなければ対応は難しいかもしれないとのことだ。
 それでもC.C.のおかげで精神的な部分はかなり改善されている。
 ボディーガードとしては優秀だ。
 それに…新たな新型機との適応もいい。
 ギアスを使わずともいい戦力になりそうだ。
 ゼロは、ウトナを放置しまま、ステラとともに歩き出す。
 この後は、新たに召集された国民議会の代表と合わなくてはいけない。
 政治をろくに知らないものたちには、私の言うとおり従ってもらうのがいい。
 オーブの無能な軍人と同じく。

 

「あ…」

 

 急に立ち止まるステラ。

 

「どうした?」

 

 ゼロは、ステラを見る。
 ステラは横を向き、窓の外を見た。
 穏やかな海と青い空が広がっている。

 

「…シン」

 

 ステラはポツリと言葉を放った。

 

―――

 

「うわああああああああああああああ!!!!」
「!!?」

 

 シンのインパルスのビームサーベルが フリーダムを貫く。
 爆発を繰り返しながら、フリーダムは、ビームサーベルを引き抜かれると、海中に落ちていく。
 アークエンジェルもまた、タリアの采配の中で、ローエングリーンによる攻撃により、爆発を確認する。

 

「アークエンジェル、フリーダムの信号をロスト」
「やったのか…シン」
「…」

 

 アークエンジェル、フリーダムをともに撃破したという事実。
 それは大きな前進…。戦いを混沌に導くだけの存在は必要がない。
 レイ、そしてデュランダルの考えはここで実行に移されたのである。
 雪山に横たわるように倒れているインパルス。
 バリエーションを切り替え、フリーダムがコクピットを狙わないということを、考えたシミュレーションからやり遂げた。
 シンはコクピットの中で涙を流す。

 

「やった…ステラ、君の、君の敵を…とって…」

 

 デストロイを撃ち、ステラを殺したフリーダムを…倒した。
 この手で、俺の…手で。
 もう二度と、ステラやマユ…自分の妹のような人間を作り出してはいけない。
 だから、自分はもっともっと強くならなくちゃいけない。
 そして世界をレイ、ルナ…議長とともに作り変える。
 そこにあるのは、きっと…戦いの無い、悲劇の無い世界だと、そう信じて。

 

「…キ…ラ」

 

 アスランはフリーダム、アークエンジェル撃墜の報告が艦内に響くと、その場で崩れ落ちる。
 シンがやられてほしかったわけじゃない。
 キラがやられてほしかったわけでもない。
 シンを、キラを殺したという事実を、作りたくなかっただけだ。
 誰も犠牲が出ない戦いはない。
 それは知っている…知っているが…。
 カガリ、ラミアス艦長…キラ…。お前達は本当に、本当にやられてしまったのか?
 どうして、こんなことになってしまったんだ。
 絞り出す声で、アスランは1人、廊下で打ち震えていた。

 

 エンジェル・ダウン作戦の成功。
 アークエンジェル、フリーダムの撃墜。
 これによりザフト、デュランダル議長はロゴス壊滅に本格的に力をこめることとなる。
 連合からザフト支持を明確にした部隊の受け入れがはじまる。
 世界は一つにまとまり始めていた……

 
 

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