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Last-modified: 2009-02-04 (水) 20:49:25

 
第9話 明かされた真実

 
 廃墟とかしたコロニーメンデル…。
 そこに案内された、ラクス・クラインとその騎士スザク…
 そして因縁があるキラ・ヤマトとムウ・ラ・フラガ……
 エターナルに止めを刺すことができなく不満を残すビスマルクもまた、この場所にと集められた、
 護衛としてきたディアッカ、そしてザフト側のイザークは建物の外で待っている。
 彼ら二人もまた戦友であり、同じクルーゼ隊にいた仲間である。

 
「どうしてお前が!」

 
「……ナチュラルだの、コーディネイターで戦争をしている場合じゃないってことなんだよ。イザーク」

 
 そんな2人の会話を聞き、ラクスは心を痛める。
 ここにもまた戦場によって己の友を討たなくてはいけないという、
 悲劇が齎されるのか…。
 スザクはラクスを気づかいながら移動する。

 
「クルーゼ、何か考えがあってのことだろうな?とどめを刺すことは出来たのだ。それを止めるとは……」

 
 ビスマルクは暗い廊下を歩きながら前を歩くクルーゼに問いかける。
 クルーゼはそんなビスマルクの言葉に振り向かずに答える。

 
「この戦いの意味を知らずして、勝利を手に入れたところで、それは何にもならない。
 私のこの無限に湧く憎悪は決して潤うことは出来ない。
 だからこそ、私の本当の敵である彼らには知ってもらわなければいけない。
 そうでなければ……」

 
 クルーゼから発せられる、その強烈な殺気。
 その原因がここにはあるというのか。
 ビスマルクは、建物の廊下の先、一つの扉があることに気がついた。

 
 そこに開かれたのは様々なガラスのカプセルなど、実験道具などが置かれた場所である。
 キラとムウ、そしてラクス、スザクは敵の護衛に拳銃を突きつけられた状態で、
 その部屋の中にとはいっていく。
 冷たく、暗いその場にと…

 
「……ここが私の生まれた場所だ」

 
「なに?」

 
 ムウは、その廃墟とかした様々な実験機械のある周りを見渡す。

 
「……人間が、昔から何を求めているか知っているか?
 古代エジプト、そして旧世紀における独裁者…誰もが望んだことは不老不死と呼ばれるものであった」

 
 クルーゼは振り返り、ラクス・クラインを睨む。
 その仮面の下…彼が何を考えているかはわからないが、
 ラクスは、ただ、クルーゼとの対話を望んでもいた。
 平和の解決に結びつくことを考えて……。

 
「不老不死…」

 
 スザクは、思い出す。彼の前にもその存在は現れた。
 そして、その力を持ち世界の変革を行なおうとしたものがいたことを…。

 
「だが、人間にはそれを可能とする技術が未だに存在しない。
 よって、それを代用する技術の実験が行なわれた。それが複製だ。
 同じ人間を複製することで、
 その人間は新たに生まれ変わり、その人間のDNAは永遠に生き続けることとなる」

 
 クルーゼは朽ちたその場所を歩きながら話す。

 
「……愚かな、DNAは同じとはいえ、記憶までを複製できるわけではない。
 形が同じとはいえ、その後の環境に左右され人間などどうとでもなる」

 
 その言葉を聞いたビスマルクはくだらないといわんばかりに告げる。

 
「その通りだ。だが、人間は手に入れた科学技術というのは、使わないといられないのだよ。
 そして私は生まれた。ムウ・ラ・フラガ…貴様の父親に」
  
「親父に……だと?」
 
「ムウさんの!?」
 
 ムウは、その言葉がにわかに、信じがたい。
 だが、そうであるならば、幾度と無く戦場で交えてきた。
 その互いの存在を感じられるという、あの能力の説明はつく。
 
「私は複製人間として、この世に生を受けた。
 だが、私以外にもここで生まれた存在はいる。それがキラ・ヤマト…君だよ」
 
「!?」
 
 キラは言葉を失う。
 まさか……自分もここで。実験道具として生まれたというのか?
 だけど、僕がカガリと兄妹として…。
 
「君は、類稀なコーディネイターとして、生まれた。私とは違って…。
 私はDNAのトロメアが複製のため短かったのだ。よって老化現象も早い。
 私は失敗作だったのだ!!それを知ると、ムウ・ラ・フラガ…お前の父親は私を捨てた。
 ゴミのようにな。そして、私は誓ったのだ。
 人間の醜い部分を見続けた私ができる事は、
 その醜さでこの世界を覆いつくし、そして…、この世界を破滅に追いやろうと!!」

 クルーゼは、声たからに笑いながら、そこにいるものたちを見る。
 スザクは感じていた。
 このラウ・ル・クルーゼ…最初に感じていた禍々しい雰囲気は、そこから来ていたのかと。
 人間を滅亡させてもなお、余る、強烈な憎悪。
 この存在がCの世界が指し示した排除しなくてはいけない、存在だというのか。

 
「それが、お前の狙いか!随分と勝手な理由だな、それに巻き込まれた身にもなってみろ!」

 
 ムウはクルーゼに向かって怒鳴る。
 クルーゼはそんなムウのほうを見て、微笑む。そこには余裕が感じられる。

 
「私にはわかるよ。人間の心の奥底にあるものが、結局は誰もが同じであると…」

 
 クルーゼは仮面の目の部分を開く。そこには赤き光が輝いている。それこそはギアスの印。
 それを知るスザク、ビスマルク、そして……ラクスが驚く。
 クルーゼは、その赤き目を輝かせ、周りを見渡す。

 
「私には、この悪魔の力がある。お前達の心の声などは手に取るようにわかるのさ」

 
 スザクは、背後で銃を突きつける兵士を振り向きざまに、肘で顔を殴る。
 スザクを止めようとしたもう1人の兵士はキラとムウが押さえつける。
 ビスマルクは、どうすればいいべきか、考えあぐねながらも、その場を立ち去ることにする。
 クルーゼは、そのことを知っていたかのように、微笑みながら、
 朽ちた研究所の瓦礫の中にと姿を隠し、ビスマルクと同じく逃げていく。
 ラクスは、そのクルーゼの真意を知り、彼もまたギアスユーザーであることを知った。
 彼は自分と同じなのだろうか…、自分もギアスに取り込まれることであーなってしまうのか。

 
『あなたは、あなたの想いで世界を一つに纏めるのでしょう?』

 
 私の中にいる、私とは別の私が優しく語りかける。
 それは悪魔のささやきであることにかわりはない。
 ギアスによる世界統一。
 それは、クルーゼ隊長が言うギアスによる世界の破壊とは違うように聞こえる。
 だけど、ギアスを持って行なうそれは、結局変わりがないのではないか?
 それを持ってしてでも、世界を守るしかないのか……。
 
「ラクス!ここは逃げよう」
 
「はい!わかりました」
 
 ラクスはスザクの手を握り、その場から離れる。
 廊下を走る中、ラクスは振り返る。
 この場所でクルーゼ隊長の憎悪は始まった。
 私は?私は人を憎悪しているのか…。
 いいえ、私は平和のために……。平和をもたらすためには……。

 
「……ラウ・ル・クルーゼ。貴様、わざと逃がしたな?あいつらのことを……どういうつもりだ!!」

 
 ビスマルクはギャラハッドに乗り込むと逃げ出したランスロットたちを追撃しようと試みる。
 クルーゼは、そんなビスマルクの言葉を聞きながら、戦場の声を聞いていた。
 クルーゼのギアスは『心を読む』もの。
 相手の心理など、これを見ればすぐにわかる。
 
「フ…どうやら、この世界は、何が起ころうとも破滅に導けるようだ」
 
「どういう意味だ!?」
 
「そんなことよりも、ここは一度撤退するぞ。彼らとの決着は、このような場所でするべきではない」
 
 クルーゼはそういうと、ビスマルクから離れていく。
 ビスマルクは、クルーゼが何を狙っているかは定かではないが、
 こちらとしても連合の足止めのために戦力を消費しているのは事実だと判断し、撤退を決断する。

 
「ちっ!!俺の折角の楽しみが、あの男…ラウ・ル・クルーゼめ、あいつだけはゆるせねぇ!」
 ルキアーノは連合軍相手に徹底的な殺戮をおこない、
 ブーステッドマンと戦闘を行っていたが、その撤退命令に感情を露にする。
 
 クルーゼはヴェサリウスに撤退をしながら、計画を実行する。
 ヴェサリウスから放たれた船…。
 
『連合軍に、人質を解放する』
 
 そこに乗っているのはフレイである。
 フレイは自分の存在を教えようと見えるアークエンジェルに声をだす。
 その声はオープンチャンネルになっており、戦場に聞こえる。
 ルキアーノはその震える声に快感を覚え、避難船にライフルを向ける。
 
「アハハハハ、あんな男の計画通りにさせるかよ!」
 
 ルキアーノはライフルを向ける。声を駆けつけたキラが向かうが、間に合わない。
 
「ちっ!」
 
 そこにブーステッドマンがルキアーノを止めるべく攻撃を仕掛ける。
 
『人質を、救い出す!あれはアルスター家のご息女だ!』
 
 それはナタルである。本来ならばキラに返すべきなのだろう。
 だが、今の状態では仕方が無い。ナタルは、隠しメッセージをアークエンジェルに送る。
 艦内のことはアズラエルにはよくわからないはずだ。
 
『ちょっと待て!罠だっていう可能性もあるんじゃないのか?』
 
 アズラエルは、ナタルが救出しようとするのを止める。
 フレイはその回線の割り込みの声を聞いて、自分が撃ち落されるかもしれないという不安に陥る。

 
「私、私は戦争を終わらす鍵を持っている!」

 
『…へぇ〜面白いこというじゃない彼女』
 
 アズラエルはその言葉を聞いて落ち着きを取り戻す。
 ナタルはそんなアズラエルを見て
 
『懇願する彼女は敵といって、あのような戯言は信じるんですか?』
 
『だって、面白いじゃない。戦争を終わらせる鍵なんてね』
 
 ブーステッドマンによりフレイは救出されることとなった。
 ルキアーノも仕方が無く撤退することに、キラはフレイを目の前で助けることが出来なかった悔しさに、コクピットで唸る。

 
「フレぇええええいい!!!」

 
 マリューにはナタルからの連絡が届いていた。
 そこにはフレイ・アルスターは自分が責任を持って預かるということ。
 そしていつでも、自分はアークエンジェルの投降を待っているということが示されていた。
 ナタルの優しさにマリューは心を温める。
 コロニーメンデルでの戦闘は終わりを告げた。
 様々な思惑が巻き上がる中で、友人同士が互いに銃を向ける状態だけは続いていく。
 そして…それを求め、復讐の連鎖を呼び起こそうとする存在がいることを、スザクは知った。
 
「可能性は高いだろうね、そのクルーゼって言う人がギアスを持ち、そんな考え方なら尚更だねぇー」
 
 ロイドもセシルも、スザクの意見に同意した。
 Cの世界が倒さなくてはいけないと、未来を覆う影だと示したのは…あのクルーゼだろう。
 ギアス人の心を読む。それは敵としては厄介だ。
 こちらの動きは全て読まれてしまう。動揺も誘えるだろう。
 
「…スザク君」
 
 不安気なセシルに対してスザクは笑みを浮かべ
 
「大丈夫ですよ。それにこの戦争の元凶がつかめたんです。
 彼を倒すことで、この世界の戦争は止めることができるかもしれません。
 これは希望ですよ」
 
「……そうよね、そう考えないと……」
 
 セシルもスザクの言葉から元気を貰い頷く。
 そう、自分たちは…確実に前に進んでいる。
 この先、戦いはラウ・ル・クルーゼを中心に進んでいくだろう。
 あの人を止めなくては、復讐の連鎖は続き、この世界の未来は消失する。
 だから止めなくちゃいけない。
 絶対に。

 
  
「…スザク、護衛、ありがとうございました」

 
 ラクスが廊下にそって姿を現す。
 ロイドとセシルは礼だけして、その場から離れていく。
 ロイドにいたっては、ちょっと見ていようと思ったが耳をセシルに引っ張られ強制的に退場させられる。
 ラクスは微笑みながら、二人を見送る。

 
「かまわないですよ、ラクスがあれだけ冷静にいられたなんて……指揮官が板についてきましたね。
 体調は大丈夫?」
 
「えぇ、今は落ち着いてます。おそらく、次の戦いは…ヤキンドゥーエ、ザフトの本拠地になるでしょう。
 そこで、この戦争を終わらせます」
 
「はい、それが最後の戦いになるはずです。
 この戦争を終わらして、ラクスの理想とする未来を作ればいい…」
 
 ラクスはこくりと頷く。
 
「私も、覚悟を決めました。
 この戦争を終わらせるために…平和を導くために、この身を捧げると…」
 
「ラクス…。僕は、君がどうしても無理をしているように思えてならない。だから…」
 
 そんなスザクの身体にラクスは突然抱きつく。
 スザクは何が起こったのかわからずに戸惑うが、
 ラクスはスザクの背中に手を回し肩に顔を乗せ、目を閉じる。

「お願いします、スザク……ただ頷いてください。あなたの優しさが私の覚悟を、鈍らしてしまうから……」
 
「ラクス……わかったよ」
 
 スザクはラクスの言葉を承諾する。
 
「……私は、平和を、この世界に平穏な世界を取り戻すために、この身を捧げます」
 
「うん……」
 
 ラクスは目を開ける。
 そしてスザクのぬくもりを感じながら、その自分の目の前に立つ、もう1人の黒き自分自身を見る。

 
『……平穏を取り戻すために、契約するのね』

 
 それが悪魔の契約であっても、これ以上…友人同士が、人が死ぬのは見たくない。
 そのためには、あなたと契約を結びましょう。
 戦いを繰り返す存在を排除し、そして…ギアスの力を持ってして、この世界を……。

 
『その契約受け取りましたわ、私(ラクス)』

 
 戦場は、次なる場所にと移る。
 そう……復讐の連鎖は行なわれる。
 クルーゼはそのために、フレイ・アルスターに持たせたのだ。
 勝利のための鍵を…。
 復讐の連鎖は誰に求められない。
 決して、誰にも…。