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Last-modified: 2009-02-07 (土) 00:33:07

  
第12話 明日への砲口

  
「はぁああああああ!!」
 
『うおぉぉぉぉぉ!!』
 
 ギャラハッドとランスロットの戦いは続いていく。
 機動性で勝るランスロットを相手に、ビスマルクはギアスの未来線を読みながら、
 スザクの動きを読んでいく。
 スザクは、相手に完全に動きが読まれていることを感じながらも、
 それでも相手の反応を超えようともがく。
 
『残念だったな、枢木スザク、貴様の動きは全て読める。
 そして、以前のようにお前に対しては一切の加減はしない。
 隙も与えない。ここでお前は朽ちてもらう』
 
 ギャラハッドは攻撃を回避しながら、的確にランスロットを剣で狙う。
 スザクのランスロットのコクピットを狙うビスマルクは、強力な剣を何度も、突き刺そうと試みる。
 動きが読まれているスザクは、何度もそれに阻まれ、相手にダメージを与えることが出来ない。
 それよりか、相手の動きを回避することにかける集中力が大きく、彼の精神力と体力を奪っていく。
 
「はぁ、はぁ…」
 
『貴様の腕は確かだ。だからこそ惜しいな……』
 
 ビスマルクは、攻撃を続けていたランスロットが距離をとったところで相手の体力の消耗を感じ取る。
 
 枢木スザク……反逆の騎士。
 ここにて因縁を断ち切らせてもらおう。
 
 ビスマルクは、一気に距離を縮めて、決着をつけようと試みた。
 
 相手の動きは読める。
 
 剣をまっすぐにランスロットのコクピットめがけ突き刺そうとした。
 スザクは、そこで自分に迫る強烈な殺気をコクピットから感じ、
 そして自分の命が消えそうな瞬間を感じ取った。
 そのとき、彼の中にあるギアス『生きろ』と呼ばれるものが覚醒する。
 
 ギアスの瞳に灯る、赤き輝き…。
 スザクは、ギアスの力を受け、ビスマルクの未来線を、恐るべき速さで行なう。
 ビスマルクは、その速度についていけない。
 
『!?』
 
 気がついたとき、ビスマルクの機体をスザクは真っ二つにと切り裂いていた。
 突き入れようとした剣、それに対してスザクはランスロットの頭を中心に回転し、
 剣を回避するとともに、背後に回りこみ、
 そこから、ギャラハッドの背中めがけ、アーサーの剣をコクピットから貫通するように刺し込んでいた。
 
『……一度ならず、二度までも、この私が……』
 
「……教えてください。なぜ、あなたがこの世界に召喚されたのか」
 
『例え、どのような理由があろうとも私の理由は変わらない!
 シャルル陛下、マリアンヌ様の理想……実現こそが、ナイトオブ……ワンである、私に課せられし……』
 
 スザクは剣を引き抜き、その場から離れる。
 ビスマルクは薄れゆく意識の中で、思い出していた。
 白き長い廊下の中、絵画の前で立つ自分……。
 その絵画には、ある女が、人々を先導し、屍を踏みつけ行進する姿が描かれている。
 その女…ビスマルクはふと気がついた。
 
 それこそが本来の自分がここに呼び出されたことに対する理由というわけか…。
 彼は答えがようやくわかりながら、その世界から姿を消した。

  
『皆さん、私はラクス・クラインです。
 空域で戦闘を行っている皆さんにお伝えします。
 両軍直ちに双方に対する戦闘を停止してください。
 現在、ジェネシスが自爆シークエンスにはいっており、
 このままでは地球圏にかけて、発射される可能性があります。
 どうか、皆様の力をお貸しください。

 
 私は、何度も言います。戦争は何も生み出しません。
 残るのは悲しみだけなのです。
 戦いは、人々を狂わせて、そして命を、今ある命を奪っていきます。
 私達は、優れた科学を持ち、そして、こうして人類の生活圏を宇宙にまであげてまいりました。
 それをもってしてもなお、なぜ愚かな戦争を続けるのでしょう。
 私達は話し合えるはずです。お願いします。
 どうか……互いの向けた銃口を、おろしてはいただけないでしょうか?

 
 私達の戦いで傷つくのは人間だけではありません、人間はどこからきたのでしょうか?
 それは地球です。
 ナチュラルもコーディネイターも変わらず、私達は、地球から生み出された存在なのです。
 愛する地球は決して我々だけのものではありません。
 動物、植物、それは地球上で生み出され、そして宇宙に生活が移ったいまであっても、
 それらの故郷であり、そして、地球でしか見ることの出来ない動植物が存在しています。
 生きているんです』

 
 ラクスは訴えかけるように言葉をつむいでいく。
 それは、ザフトだけではなく、連合軍の通信にも割り込んで訴えかける。
 ラクスは、自分の言葉を繰り返すように、
 指示をして、自分はギアスを使い、ザフトの兵士達に対し使用し魅了していく。
 話だけで聞くものは少ない。
 
 今やるべきことは、こうしたギアスでコントロールすることだけだ。
 それは今までの経験で十分味わった。
 誰も話など聞きはしない。悲劇だけが繰り返されていく。
 
 だから、私は……。
 ラクスは、そうすることしか出来ない人類に半ば絶望していた。

 
『そうですわ。
 今はギアスを使い、あなたを中心とした世界を確立するのが1番なのですから…』
 
 ラクスは悔しそうに唇をかみながらもギアスを使い続ける。
 その副作用を忘れて…。

 
 宇宙では、そのラクスの言葉が繰り返されていた。
 平和を訴える彼女の声……そして地球圏全体に迫る危機。
 ドミニオン艦橋では、その声を聞いたアズラエルがその声を聞いている。
 ナタルはアズラエルの気が別の場所にむいているのを察知し、
 軍隊でつちかった技術でアズラエルの銃を持つ腕を締め上げえる。
 
「うわぁああ!お、お前ぇ!今がどういうときかわかっているのか!?」
 
「少なくとも核攻撃を行なうのでしたら、アークエンジェルを攻撃するのではなく、
 ジェネシスを優先させるべきですね」
 
「くぅぅぅ…ぼ、僕にこんなことをしてただで済むと思っているのかぁ!?」
 
「……責任は私が取る。アズラエル理事を部屋に閉じ込めておけ」
 
 ナタルは、銃で艦橋で取り出し、喚き散らして場を混乱させ、
 感情的に陥る彼をここにおいておけばそれこそ、
 今以上の混乱を起こしかねないと考えたため、その処置をとった。
 無論、許されることはないだろう。だが、今やるべきことはザフトを倒すことではない、
 地球圏に向けられているあの破壊兵器を倒すことだけを考えればいい。
 
『こちら、ドミニオン艦長、ナタル・バジルールである。
 連合軍部隊は、速やかにジェネシスの攻撃にあたれ。
 艦は、先ほどの攻撃の救助に……、あれを地球に向けて撃たせてはいけない!』
 
 その声…マリューは、ドミニオンが、
 アークエンジェルに向けられていた砲身を変えてジェネシスに向けたのを見て、
 自分の意図が伝わったと感じた。
 
「……ナタル、供に……行ってくれるのね?」
 
 マリューはアークエンジェルの隣を進むドミニオンを見て、通信を送る。
 返事はすぐに返ってくる。
 
『…約束は果たせそうにありませんが、ですが…今、自分が何をすべきかわかっているつもりです』
 
 ナタルの言葉…。
 おそらくはひと悶着あったのだろう。
 彼女を助けることはしたい。だが、今はそれよりもジェネシスを止めるのが先決だ。
 マリューは、前を見る。
 
 今まさに、先ほどまで戦っていたものたちが、
 暴走するジェネシスを止めようと一致団結しようとしている。
 人間は……まだまだ、こうして1つになることができる。

 
『こちら、バルドフェルドだ。ザフト、連合軍がジェネシスに対して攻撃を開始している。
 どうやら、声が届いたようだ。俺達も今から攻撃を開始する』

 
 中央司令室にて、ラクスは振り返り、画面に映るバルドフェルドの言葉に驚く。
 
 そんな……、自分の言葉が届いた?
 あれだけ訴えかけたというのにもかかわらず、
 誰も聞こうとはしなかったのに、どうして今になって……。
 ラクスは、今自分が行なっているギアスの無意味さを感じた。
 そんな……自分のやっていたことは無意味だったというのか。
 元から信じればよかったというのか。
 自分自身の力を。
 だって、それじゃー…。

 
 ラクスは言葉を失ってしまう。

 
「……そう、人間は、1つの脅威に対して、1つになることができる」

 
 それはルルーシュが行なったことと同じだ。
 自分を全世界の敵と示すことで世界を纏めようとした。
 今、それが起こっている。
 ラクスの言葉が引金となって…。ラクス、君の声は今、届いた。
 スザクは、そのジェネシスに向かう、軍を人種を超えたものたちでジェネシスに攻撃を仕掛ける。
 勿論、そこにはアークエンジェル、エターナルたちも含まれている。
 
「キラ。アスランたちは既に向かっている俺達もいくぞ」
 
「はい!ムウさん」
 
 キラとムウもその戦列に加わり、攻撃を仕掛けようとしていた。
 だが、そんなムウのストライク目掛け放たれるビーム。
 
「うわぁあああ!!」
 
「ムウさん!!」
 
 ムウの悲鳴とともに、周りにある艦艇やMSが次々と爆発していく。
 それこそはドラグーンシステムを搭載し、ナイトメアフレームの強力な運動性を参考にと改良を重ねた、
 プロヴィデンス・インビジブルである。
 
『ちっ……、まさか、こうなるとは。この私の考えが裏目にでたか』
 
 クルーゼは、ジェネシスに向かう連合&ザフトの双方の部隊を見ながら吐き捨てるように告げる。
 だが、発射されれば、それでいい。今はただ時間を稼げばいい。
 
『復讐の連鎖は、終わらない。終わらせてたまるか!
 お前達はここで己の業に飲まれて、消えていくんだ!!』
 
「そんな、そんなふざけたこと……させてたまるかぁ!」
 
 キラは、ミーティアにて、プロヴィデンスに攻撃を仕掛ける。
 だが、機動力では圧倒的なプロヴィデンスを、
 巨体なミーティアでは捕らえきれない。
 
 クルーゼは、ドラグーンを射出して、ミーティアを攻撃、
 キラは、ミーティアから離脱してフリーダムの状態でプロヴィデンスを狙う。
 
「あなたは、この状況でもまだ人間が醜いといいますか!?ひとつの目的を持ってすれば、
 人間は己の業、それらを超えて1つになれるんです!」
 
『だが、その人間が人を殺し、復讐を呼び起こし、
 世界を破滅させる存在にもなりえるものともなりうるのだ!
 その業、その罪、つくりだしたのは誰だ!?君とてその1人だろうが!』
 
 クルーゼはフリーダムに猛攻をくわえる。
 さらには、クルーゼのギアスである、人間の心を読むギアスも相まって、
 キラの動きを読み取り、その攻撃を避け、確実にダメージを与えていく。
 
「うわぁああああ!」
 
 キラのフリーダムは、片腕をドラグーンシステムにより吹き飛ばされる。
 クルーゼは、フリーダムに止めをさそうとした。
 だが、その背後から、強烈な『心』をもったものが近づいてくるのを察して、プロヴィデンスは振り返る。
 
『枢木スザク!!』
 
 クルーゼは、サーベルを抜き出し、ランスロットとぶつけ合う。
 
「これ以上、この世界の未来を閉ざすわけには行かない」
 
『愚かな。どんなものにも始まりがあれば終わりがある。
 それはお前達のような異世界からきたものたちには無関係なことだ!』

 
 クルーゼは気がついていた。
 いや、彼だけでなく、気がついているものは気がついていただろう。
 枢木スザクや、ビスマルクなどといった存在がこの世界の住人でないということは。
 MSとは明らかに違う系統の機体を見ればわかる。
 だが、そんな非現実的なことを信じることもできないので、曖昧にしていただけだ。
 さらにいえば、クルーゼは、そのギアスを授かってもいるからである。
 
「だからこそ、見えてくるものもある!」
 
『騎士である立場の君には、クイーン以外のものなど見えてはいないだろう!』
 
 ドラグーンシステムがランスロットを狙い打つ。
 背後からの攻撃に、ランスロットはそれらを避けきれない。
 MSサイズにナイトメアフレームが変更されなおかつ
 装甲がある程度強化されていたことから耐えられたものも、
 これがナイトメアフレーム並みのものであったなら命はなかっただろう。
 
「僕は、この世界を守りたい!懸命にいき、
 そして……必死に暴力や不幸から立ち上がろうとして、生きる人々を……」
 
 スザクの目が輝き、ギアスの力が発揮される。生存本能を掻きたてられ、
 それをコントロールするスザクの動きは、心を読むクルーゼさえ、追いつけない。
 
『バカな!心の読みが間に合わないだと!?』
 
「あなたは、人間の負の部分しか見ようとしなかった!そんなあなたが、人間のすべてを語る資格は無い!」
 
『くぅうぅぅぅ!!』
 
 スザクのアーサーの剣が、プロヴィデンスの腕を切り落として、コクピットを狙う。
 だが、そこでランスロットの周りを取り囲んだドラグーンが一斉発射される。
 攻撃…いや止めを刺すときにコクピットを狙うため動きが止まる。
 それを読んだクルーゼの作戦に、かかり、ランスロットの機体をビームが突き刺さる。
 
「うわぁあああああ!!」
 
 バランスを崩しエナジーウィングなどが破損する。
 スザクは、目の前でライフルを構えるプロヴィデンスを見る。
 
『フ、フフフ……残念だったな。枢木スザク!』
 
 そんなプロヴィデンスの背後に突撃をする、機体…。
 それはキラ・ヤマトのフリーダムである。
 サーベルはまっすぐにプロヴィデンスを貫通している。
 スザクの記憶を読むことに集中していたクルーゼはキラの反撃を予想できなかったのである。

 
『ク、クハハハハハ……ま、まさかこの私がやられるとは。キラ・ヤマト、枢木スザク。
 これでお前達の願いが正しいとは思わないことだ。
 確かに、貴様達が見せた人間も真実だろう。
 だが、私の言う人間もまた真実。
 今後、先……どちらの人間の心が台頭するか見させてもらおう。
 フフ……フハハハハハハハ』

 
 キラがプロヴィデンスから離れる。
 スザクとキラの見る中で、クルーゼは高らかに笑いながら、プロヴィデンスは爆発する。
 人間の心…それは確かに、両方あるのだろう。
 復讐の連鎖・暴力の応酬…
 それをしたかと思えば、世界の破滅に向かって敵だったものが協力してともに戦う。
 それもまた人間なのだ。

 
 ザフト軍司令室からエターナルに移動したラクスは、
 連合軍・ザフト軍とともに、ジェネシスの破壊作業を行なっていた。
 ラクスは、連合・ザフト双方の指示の声が飛び交う中、1人座って様子を見ていた。
 
『ジェネシス内部にて、ジャスティスの自爆スイッチを確認。
 パイロットが無事です。これで地球圏に向けてのジェネシス発射は防がれました』
 
 マリューの声とともに歓声が上がる。
 ラクスはほっとした表情を浮かべたが決してそこには、嬉しさなどはなかった。

 
 ひとつの目的のために人類は一致団結をして、世界の危機を救った。
 そして、双方の長きに渡る戦争も、ここで決着をつけることとなった。