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file1「ガンデットの砲火」

Last-modified: 2014-03-07 (金) 22:47:44

緑髪の少年がデスクに伏したまま浅い眠りから目を覚ますと
少し狭く感じる暗い部屋で、デスクのパネルが光を放っている
コウモリ退治戦役からの2ヶ月程の時間を置いてガンダムは有用性を認められ
バルガス・ダイソンを後見人として正式に民間の協力者となったのは
つい先日グルーデック・エイノアの軍事裁判が終了してからであった
現在はヴェイガンのMSによる行動の目立つ宙域の調査任務に就いている
1手遅れて攻撃を受けたコロニーや特に意味もなくデブリ・小惑星帯の探索が殆どで
戦闘に使われることは殆ど無かった

 

「眠っちゃったのか、報告書…早く書かないと」

 

フリットは割り当てられた部屋でつい先ほど行っていた調査活動の報告書を作成していたが
とくに何か発見できたわけでもなく、廃墟の基地に友軍の残骸が音もなく漂うのみであった

 

「これじゃな何の為に軍に入ったんだ…」

 

フリットは少しイラつき、部屋を出て格納庫に向かった

 

「バルガス、ガンダムの補給できてる?」
「あぁ、動かせるが…少し前に戻って来たばかりで今は休みじゃろ?」
「分かってるけど、あんなに何も無いんじゃ報告書書けないから
 僕達と入れ替わりで出た部隊、まだ調査続けてるよね?」

 

コクピットに入りデバイスをセットしモニターは細かに各部位のコンディションを伝える
作業用のタラップが外され、ガンダムは発進口に向かう

 

『今はスチュアートの部隊が破壊された基地に残ってデータの回収作業中じゃ
 色々あって気持ちの整理がつかんのもわかるがあんまり無茶はするなよ』
「心配ないよ、フリット・アスノ、ガンダムAGE1出ます」

 

ガンダムは青白い炎を吹き加速しながら調査の続く基地へと向かう

 

基地の入口ドックではジェノアスが小さなコンテナを運び出し
作業ポッドがランプを回し誘導していた

 

「スチュアート隊長フリットです、何か作業の手伝いを」
『うーん、資料やデータ以外使えそうな物もないしなぁ…悪いがもう1周基地周辺を探索してくれ』
「そうですか…了解です」

 

ため息をついて向きを変える
(さっき1度調べた時は何も出なかったけど、ここはいくつかのコロニーから
 ちょうど同じくらい距離にある基地、戦力だって並の駐留軍以上だ。
 きっと戦闘も相応に激しく、何か敵を知る手がかりがあるはず)
この任務のついてから始めて手応えを感じることができそうに思い
暗い宇宙で細心の注意を払い調べていくとゴン…と小さなノイズを拾った
すぐに反応しドッズライフルを向けるとノイズは増大し歪んだ大きな鉄塊が赤い炎を上げ粉々になっていた

 

「これは…こちらフリット、隊長聞こえますか」
『どうした?何か見つけたか』
「この基地には自動砲台って配備されてましたよね?」
『あぁ、かなり古い大型のタイプで今は飾りみたいなもんだ』
「MSだけで完全に破壊することは?」
『難しいだろうな、奴らのMSが強くたって倍近いサイズだから戦闘不能にする事はできても
 こっちはあと少しで作業も終わるから切り上げろ』
「了解すぐに帰投し…」キュイイン!

 

フリットの脳に気味の悪い感が走る、経験したことのある感覚、近くに能力者がいる
しかしながら過去共感してきた者達に比べると著しく弱いものだった

 

「隊長!すぐに避難を!」
『どうした!こっちは…なんだ!どこから…ズズ』

 

通信が途切れフリットはすぐにドックへ向かった
「母艦が来てるのか、だとしたら最悪だ…」

 

フリットが駆けつけた時にはすでに部隊は交戦状態に入り
戦闘力を持たない作業ポッドでさえ容赦なく蹴り飛ばされていた

 

「間に合った!僕が注意を引き付ければ!」

 

素早く銃身を敵に向けてトリガーを引くと鮮やかな光が螺旋を描きガフランの横腹を抉る
そして爆発の瞬間フリットに一瞬風に当たる程の感触が伝わる
爆発の煙から2機のガフランが飛び出しビームバルカンを放つ
素早く盾を構え敵の攻撃を防御しながらXラウンダーの勘に合わせ敵の先を射つ
ボディに直撃する確信があったが、またしても微弱な感触があり
次の瞬間ガフランは体勢を変え、ビームは右の手足を同時に打ち抜いた

 

「な…今のに反応したのか!?」

 

バランスを崩したガフランはいくつかのデブリに連続して衝突し動きを止めた
数秒もなく迫るもう1機が右手を振り上げ掌からビームサーベルを形成する
フリットは素早くライフルを手放し盾で振り上げられた手を抑え
さらに空いた手で頭部にビームサーベルを刺す、またしてもあの感触

 

「Xラウンダー…じゃない、動きは少し速いけど何か…」
『全隊!艦砲射撃を加える、今の内に下がれ!調査隊収容完了と同時に撤退だ!』
「ダメだ!今前に出ちゃ!」

 

高い出力のビーム砲が戦場を貫き、発射されたミサイルが起爆し目をくらませる
生き残った調査隊のジェノアスも応戦しつつ後退し始めた時

 

『な…なんだあれ!?』

 

狼狽した隊員の声に遅れてモニターの端で新しいマーカーが点滅し
廃墟と化した基地の上方に巨大な三股の戦艦が虚空を割いて現れる

 

「やっぱりいたんだ!ここを起点に他の基地やコロニーを襲う為に!」

 

連邦の戦艦はMSと比べかなり大型であるが
ヴェイガンの戦艦「ファ・ボーゼ」はさらに連邦の戦艦よりさらに大型で
コクピットのモニターからでもその巨大さは十分に伝わる

 

「誰かと思えば先遣隊の報告にあったガンダムではないか
 ここで同胞の仇討ちと行きたいところだが、奴は新兵器のテスト隊まで挫いて来た
 我々は先ずは正面の敵艦を叩く!連邦の新型がいようと頭を取れば良い」

 

着物のような装束を纏う指揮官が命令を下しファ・ボーゼ側面の砲塔が戦場に向く
AGE1も後退し始めるが、戦艦に収容されるタイミングが無い

 

「くそ!今から艦を後退させても間に合わないか!」
『フリット君!もうじき調査隊の回収は済む、君も戻れ!』
「隊長!生きてたんですね!」
『あぁ、なんとかな!』

 

連邦艦を斜め上からファ・ボーゼのビームが掠める
直撃弾をフリットがAGE1の盾で庇うが、あまりの威力に左手が吹き飛んでしまう

 

「バルガス!タイタスを出して!」
『修理したばかりじゃ!調整はしてないぞ!』
「それぐらいはなんとかするよ!」
『わかった!アメンボで出すぞい!どっせーい!』

 

アメンボが射出され、AGE1が速度を合わせ並走し手足をパージする
レーザで軸を合わせアメンボのアームが大柄な手足を装着させカメラと胸部が発光する

 

「撤退の支援だけでも!これなら!」

 

飛びかかるバクトをパンチで弾き、ビームタックルで胴体を拉げさせ、さらにビームニーで突き破る
すかさず戦艦前方に立ちはだかりタイタスの両の拳を合わせてハンマーのようにし前方に突き出す
リストカバーがシフトし両手首のビーム発生器が共振、たちまち巨大なビームの円が出現する
円の中にビームが飛び込むが尽く弾けて消える

 

「なんだあれはガンダムがやっているのか!」
「高出力のエネルギーがガンダムから出ています!ビームが輪の外側に流されて通りません!」
「火線を集中させろ!エネルギーも無尽蔵ではないだろう!」

 

逃げる調査隊もなんとか艦にたどり着き、ヴェイガンのMSもビームの円に火線を集中する

 

「長くは持たなくても後退の時間くらいは作れる!」

 

格納庫では収容された基地のデータやジェノアスの整備が慌ただしくなっていた

 

「今からでも出れるだろ!」 
「同時に何機も整備しとるんじゃから喚くな!」
「ガンダムのオマケの機械が勝手に動いてますけど?」
「機体から直接データを転送してるんじゃ!もうすぐ何かできるわい!」

 

AGEビルダーは現在までのガンダムとの戦闘データを素にパーツを考案、すぐさま整形に入る
煙を吐いて卵の殻が割れ出現したのは黒い装甲に赤いパイプが通り
右手には二つ折の四角い砲と左肩にウェア専用のエネルギータンクが装備されている

 

「こいつが新たなガンダムパーツか!」
「整備士長!MS隊は半分以上健在だ!ガンダムを換装させる時間ぐらいなら稼げる!」
「それではお前らが危険じゃろうが!」
「攪乱膜を展開してもらえば十分戦える!いくぞお前ら!」
「ぐぅ…すまん、フリット聞こえるか!もうすぐビーム攪乱膜を展開するから
 お前は戻ってガンダムの換装じゃ!」
『新しい武器ができたの!?』
「そうじゃ!スチュアートの隊が時間を稼ぐ内に戻れ!」

 

連邦艦のミサイル砲塔が稼働し特殊弾頭が装填される
タイタスの後方からビームの円に何発もミサイルがぶつかりキラキラと粒子が撒かれる
途端にビームの円は手元を覆う程に小さくなり
横を掠めるビームも獲物に届いても殆ど無傷な程弱くなった

 

『よーし!ジェノアス出るぞ!』
「ありがとうございます、すぐに戻りますから!」
『ごゆっくり!向こうはまともな武器は封じてるからな、こっちには作業用の武装がある!
 ガンダムの手を借りるまでも無いさ、MS用のレーザートーチで焼き切ってやる!』
「無理しないでくださいね!」

 

『スタンド固定!換装作業準備できたよ!』
「よし!換装作業開始!」

 

手早く四肢を交換し、コクピットではモニーターから新しいデータを確認する
これまで作られたウェアのどれとも似つかない新たな姿、AGE-1ガンデット

 

「格闘武装はノーマルのサーベルのみ…射撃戦用のウェアか」

 

各部のチェックが終了し戦場に戻るフリットとガンダム
戦況は劣勢であり少しづビームの攪乱効果も薄くなっている

 

『この緑の奴らどうにかならんか!パワーが違いすぎる!』
『こちら3番機、頭を潰された!トーチもヒートスティックも役にた』ズズ
『距離はできてるが向こうからの艦砲が厳しい!』
「遅くなりました!皆さん、その緑のから離れて!」

 

電磁装甲と圧倒的なパワーで戦場を荒らすバクトをモニターでロックする
数機の視線がガンダムに向けられ、近づかせまいとフリットがトリガーを引く
ガンデットの右腕から巨大なビームの奔流が1体を飲み込み、近くにいたもう1機も半身を削がれる

 

「凄い、戦艦や大型兵器の砲塔並だ…」
『それが新たなガンダムの姿、ガンデッドじゃ!
 腕部のギガント・ブラスターは弾数は少ないがドッズライフルの数倍の威力がある!』

 

敵機は放たれた威力を警戒し散開して多方向から仕掛ける
Xラウンダーの直感が最初の攻撃を予測しサーベルを抜いて正面の敵の関節を縫うようにして斬る
迫る数機の攻撃を回避し、少しずつ味方部隊から離れていく

 

「こっちだ!ついて来い!」
『おいどこ行くんじゃ!一人では危険じゃ戻れ!』

 

ガンデッドは敵の攻撃をギリギリでかわしつつファ・ボーゼに迫る
しかしガンデッドは機動力に優位を持てず
少しずつガンダムを挟む艦とヴェイガンMSの距離が縮まる

 

掌から打ち出された小粒なビームがガンデッドを捉え始めた時

 

「ここだぁ!」

 

フリットは急激な逆噴射で敵MS群を過ぎ去りその全体と敵艦を同じ視界に入れたた時
ガンデッドは自身の左腕を右腕に差込みコアと左肩のジェネレータからエネルギーを集める
右腕に折りたたまれた砲身が展開し、コクピットに情報を送る

 

「プラズマエネルギー収束、ギガントブラスター出力最大、ハイパー・キャノン砲発射!」

 

フリットがトリガーを引くと目の前が眩い光に溢れ、目の前のMSやデブリが一掃され
後方のファ・ボーゼの側面が深く抉られる

 

「うおおおおお!」

 

そのまま腕の向きを変え周辺のMSをなぎ払いながら表面装甲を切り裂く

 

「な…なんだこの衝撃は!?」
「第3ブロック中央から後方被弾!エンジンの一部も破壊されました」
「くぬぅ!生意気な!」
「レーダーに新たな敵影!連邦のパトロール艦隊です!」
「ガンダムは捨て置けんが…このままでは本隊まで嗅ぎつけられかねん、傘を使え!離脱するぞ!」

 

煙を吐きながら目の前から巨大な戦艦が消えていく様に連邦兵は驚きを隠せず
ただ見ているだけで先ほどの戦いが嘘の様に基地廃墟周辺は静かになった

 

『フリット!無事のようじゃな、近くのコロニーのパトロール隊が来ておる
 合流してわしらもコロニーに寄港するぞ、お前も早く帰還しろ』
「分かってるよすぐに戻るって、なんとか追い払えたけどこのままじゃいずれまた被害が出る…」
『全くお前は無茶しよる、後見人になったばかりなのにハラハラさせんでくれよ』
「あのさバルガス、連邦の軍学校って僕でも入れるかな…もっと多くの人を守れる様に」
『なに士官学校?まだ入れる年齢でないし、第一お前さんは先にスクールの修了証明をだな』
「うわぁ忘れてた、学校無くなったんだった」

 

時A.G151年、フリット、頭を抱えながらも士官学校を目指すと決意

 
 

 
 

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