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file2「ザンテツ見参」前編

Last-modified: 2014-03-07 (金) 22:47:23

地球連邦とヴェイガンの戦いが本格化し
地球への降下を成功させたヴェイガンはあらゆる地域で工作・活動を開始した
大きな戦火は上がらないまでも地球上のそこかしこで小さな戦闘が始まり
技術レベルの差で圧倒するヴェイガンに連邦は地形と数でカバーし、大きな損害を出さずにいた
そしてノートラム防衛戦から1年後の勇気の日の襲撃事件から遡ること数日
アセム・アスノは地上本部ロスト・ロウランに居た

 

「荷物はこれで全部か、せっかくここのジャングルも気に入ったとこだったけど仕方ないか」

 

部屋のモニターから電子音が鳴り、回線が開かれる開く

 

『アセム軍曹、次の作戦について話があるので司令室まで来て頂きたい』

 

「了解です、すぐに行きます」

 

多少雑に荷物まとめ、ボストンバッグを肩に掛けて司令室に向かうと
そこには参謀アルグレアスと連邦軍司令フリットが大きなモニターを眺めていた

 

「戦況はまだ大きく動かないでしょうからこちらも十分に備えを、っと来ましたか」

 

「お呼びでしょうか…て、父さじゃなくて司令!?なんでここに」

 

「驚くのも無理はありません、司令は本当ならまだビッグリングにいる事になってますからね」

 

「い、いいんですか?」

 

「アセム、お前が気にすることでは無い。それより次の作戦だが行き先を変更してもらう」

 

「え?いやしかし、もう輸送機にガンダムやチームの機体は搬入しましたけど」

 

「その輸送機ですが、君と一緒に司令も運んでもらう事になります、目標は地球首都ブルーシア。
 貨物を移している暇はないから急遽護衛部隊を増員した事にしてガンダムを載せた輸送機もブルーシア行きにコードを出しました。
 途中から輸送部隊を離脱して、メリダ基地経由でブルーシアに、大体2〜3日で到着する予定です」

 

「待って下さい、司令を載せた輸送機単機でブルーシアまで行くんですか?
 いくらヴェイガンの組織規模が小さいって言っても遭遇しないって保証はないんですよ」

 

「味方も知らないって、どういう事ですか?」

 

「私の知人が残してくれたあるデータの復旧作業が終わってな
 そのデータにはヴェイガンに通じる内通者のデータがあったんだ、私はこれからその内通者を捕まえる
 念の為にビッグリングから囮の要人用シャトルと護衛部隊も降下準備してある」

 

「まぁそういう事です、敵だって今地上にいる戦力を考えれば輸送機相手に割く戦力にも限度があるでしょう
 から特務隊だけでも十分ですよ。まぁ当日になって言うのは私も反対したんですけどね」

 

「そういう事だ、いくぞアセム」

 

言うか早いかフリットは自分の荷物を担いで足早に出て行き、アセムもその後を追った
格納庫には巨大な輸送機が並び、特務隊を載せる輸送機の周りには既に人員が集結していた
早速アセムがブリーフィングを開始し今回特務隊の行き先が急遽変更されたことを説明し
フリットの件については重要な物資とだけ伝え、早速出発の準備かと思われたが

 

「そういうわけだ、かなり重要な物資だから気を抜くなよ、以上だ」

 

「アセム隊長!彼はどちらさんでしょうか!」

 

「彼はトム・クレーザー准尉だ、本部から来た情報士官で…」

 

多くのメンバーの視線がフリットに向く、変装の為一般の制服を来て制帽も深く被っている
確認すると手元のリストには見知らぬ名前があり、アセムが読み上げるとフリットが手を挙げたので
偽名の登録と分かり、当たり障りのない紹介にとどめてブリーフィングを終了した
その後離陸まで特務隊のメンバーがフリットにやたらフレンドリーに話掛け
それを見ていたアセムは緊張しっぱなしであった

 

輸送チームは予定通り途中でブルーシア行きに進路を取り
特務隊は離脱してメリダ基地に向かう、その道中格納庫では敵の襲撃に備え
特務隊メンバーが待機していた

 

「隊長、どうですガンダムの調子は?ザンテツウェアは模擬戦じゃ不調だったじゃないですか
 中継基地にはもうすぐ着くんで、向こうで調整でも」

 

「肩の多段装甲が柔軟性もあってビームも実弾も耐えられるけど重量がな
 あの時みたいに集中して抑えられたら今一歩踏み込みが遅くなってしまって…
 オレもまだまだ宇宙一のスーパーパイロットには遠いな」

 

「なんですかそれ?」

 

『総員戦闘配置!!ヴェイガンと思われる機影が接近、各員第1種戦闘配置に着いて下さい!』
「来たか!全員出撃用意!基地は近くだから増援もすぐだ!

 

 俺たちは先に降下して奴らを叩くぞ!」

 

徐々に輸送機が高度を下げ後部の大きなハッチが開き、アセムのAGE2‐ザンテツを先頭に
数機のアデルも続いて降下する、足元には森林が広がり山と湖が点在しており
アセムがすぐに脳内で戦い方を組立始めると、輸送機のフリットから通信が入る

 

『アセム隊長聞こえるかこちらトム准尉だ、戦況分析はこちらでも行う
 敵は少数だが伏兵の可能性もある、突っ込み過ぎないように』

 

「了解、こちらからも補足してます、ゼダスタイプもいる…Xラウンダーか
 輸送機は全速で基地へ!MS隊は少しづつラインを下げて敵を1機づつ確実に仕留める」

 

背の高い木々に高低差のある地形はMSの巨躯でも自在に動くことは適わず
アセム達はMSの体勢を低くし、敵を誘う
痺れを切らして無理に上昇・前身すればヴェイガンの堅牢なMSもいい的になってしまう

 

思惑通りヴェイガンは派手な身動きが取れなくなり
アセム達も援軍を待つばかりかと思われたが、正面からゼダスが勢い良く飛びかかる
大部分は赤くカラーリングされているが、どこか旧時代を思わせる芸術味を帯びた配色に
獰猛な戦闘スタイルはよく知った親友とは大きく異なっていた
変形したゼダスはアデルのドッズガンを難なく潜り抜けガンダムに接近する
「やはりこいつが問題か…
 全隊!こいつはオレが引き受ける!無理せずに分断して各個撃破だ」

 

『待てアセム隊長!こいつの感じ…狙いはガンダムだ!』

 

「好都合だ!地球じゃ機動力の差は大きくない、司れ…准尉達はまっすぐ基地に!」

 

ザンテツではガンダムをストライダーにできず、そのままブーストを吹かして山を超える
山肌に身を下ろしライフルを上空に向ける、すぐに追って来た敵機の速度を考えれば
動きを止めたガンダムに合わせて迂闊にブレーキングをかけた場合
丁度山を超えた所で背後を晒して停止する絶好のチャンスだが、ゼダスは頭上を高速で過ぎる

 

「やはり見えてたか、だが背後は取った!」

 

素早く照準を合わせトリガーを引くが、まるで軌道を知ってるようにビームを避ける
ゼダスはMS形態に戻りガンダムの正面に着地する、ライフルを向けたその時

 

『ガンダムだな!私はヴェイガンの戦士タンバ!我が同胞の為「鬼」となって貴様を討つ!
 堂々一騎打ちである!他の者も一切の手出し無用!』

 

アセムが戦場に大音量で轟く声にあっけに取られている内にゼダスは素早く剣を抜く
ガンダムのハイパードッズライフルをかいくぐり接近、アセムはすぐにライフルを放り
ビームサーベルを抜いて応戦しようとするがいとも簡単にサーベルを裂かれブレイドが胴を掠める

 

「改良型か!?パイロットもどうかしてる!」

 

すぐにもう1本ビームサーベルを抜き十字でゼダスブレイドを受けるが、出力が劣り少しづつ圧される
素早く刃を横に流し体を当てて距離を取り、ライフルを拾い上げ発射する
体勢を崩し座り込んだゼダスに絶好のタイミングで攻撃がなされたが
驚くことに座り込んだ状態でゼダスはブレイドを振り抜き
ハイパードッズライフルの閃光は真っ二つに引き裂かれ、それぞれ森を穿った

 

輸送機は視界にメリダ基地を捉え、既に着陸の準備を始めていた
フリットの脳に不安が過る、敵の中にいたXラウンダーは確かに高次元の能力者である
彼は自分の息子であり一人の軍人として大きく成長したアセムを信じていたが
一瞬であるが傷付いたガンダムのビジョンはフリットの不安を煽るのに十分な材料だった

 

「トム准尉!基地にいたMS第1、第2小隊が既に出撃したそうです!」
「安心できん数だな、片方はアセムの援護に回らせろ!
 敵は少数だから頭を潰すのが一番効果的だろう、機長ガンダムと回線を繋げるか?」

 

その頃アセムは敵の高い操縦技術と地形を分析し、簡単にではあるが策を練っていた
山一つ挟んで友軍がヴェイガンの部隊と交戦し、見渡せば同じような森林地帯である
防戦に徹しながら周囲を観察すると、高い山に囲まれ遠目には湖も見える

 

(後は味方が来るのを待つだけだ、それまで耐えられるか)

 

『アセム!聞こえるか!既に増援は向かった、すぐに到着するだろう』

 

「了解!、良いタイミングだ」

 

『貴様逃げてばかりいるな!いい加減観念しろ!』

 

「そうやって頭に血が昇るの待ってるんだよ!」

 

『アセム!敵と会話などするな!』

 

アセムはジリジリと後退し立ち位置を調整しながらゼダスの攻撃を受け流す
コクピットのモニターで真背面に湖を確認し、一気にフットペダルを踏み込む
一方、ゼダスのパイロットであるタンバもコクピット全面に広がるモニターと
自身のXラウンダー能力からガンダムのさらなる後退を察知し
勢いに乗って、フットペダルに体重を載せガンダムと共に湖の上に飛ぶ
直後に自分のミスに気づくが、時既に遅く一瞬の隙を突かれ蹴りを胴体に見舞われ
バランスを崩して同時に水面に叩きつけられる
MSの重量では腰ぐらいの水深でも姿勢を正す事は難しく、動作に重みが増す

 

大声を張り上げゼダスブレイドを振り回すが、足が重く思うように踏み込めないので
ガンダムが軽く上体をそらすだけでも簡単に回避できた
勝ちを確信したアセムが見渡すと山を越えてアデルがぞろぞろと出て来た

 

「全機聞こえるな、俺には当てるなよ!」

 

指示を出された部隊は半身を湖に浸けてもがくゼダスに発砲する
大きな水柱が爆音と共にそびえる

 

『卑怯だぞ!貴様武士の戦いを愚弄するのか!』

 

「そっちが勝手に言ってるだけだろ?」

 

『ぬぅ!許さんぞガンダム!』

 

『特務隊長!このままやつを落とします!』

 

「待て!逸るな!」

 

弾ける水面が上手くビームの威力を抑え、ゼダスに大きなダメージは無かった物の
このまま攻撃を加えれば確実に撃破できる。そう感じたMS隊は前進し始めた
その時ゼダスの浸かる水面が発光し1段と大きな水柱を上げた
ボディのビームキャノンによる水飛沫はゼダスの姿を隠しMS隊を困惑させた
さらにこの時ゼダスは強引に水面から上昇し変形、ビームバルカンを放ちながら高速でMSの合間を縫い
いとも簡単に背後をとりブレードでアデルをバターのように引き裂き
掌からビームサーベルを出現させ、ドッズガンを両手のビームサーベルと強化ブレイドで切り伏せながら
1個小隊をあっさり斬り刻んで見せ、アセムに介入させる余裕も与えなかった

 

『今回は水入りだ!次会う時は正々堂々と一騎打ちで蹴りをつける!
 精々腕を磨いておくことだ!』

 

と、また大声を張り上げると飛び去って行った
状況を確認すると既に他のヴェイガンは特務隊と増援の小隊によって撃退されており
不自然とさえ思える程にフレームや関節に沿って斬られたアデルは爆発する事もなく
その残骸がむしろ不気味で無惨に思え、無駄な犠牲を出したと心から悔やんだ

 
 

 file2「ザンテツ見参」後編

 
 

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