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sin-kira_シンinキラ_第03話

Last-modified: 2011-12-10 (土) 18:21:04

「はあはあ、追いついた。何してるんだよ! そっち行ったって……」
「何で付いてくる? そっちこそ早く逃げろ!」

 

「きゃー!」

 

その時近くで爆発が起こってカガリの帽子が吹き飛ばされた。
俺はとっさにカガリを抱え込んだ。

 

「あ、ありがとう」
「いいって事よ。男は女を助けなきゃな」
「だけど、もう行け! 私だけで確かめねばならぬことがある!」
「行けったってどこへ? もう戻れないよ?」

 

今まで来た道は、見事に瓦礫に埋まっていた。

 

「…ぁ」
「大丈夫だって。助かるから! 俺の記憶に拠れば工場区に行けばまだ避難シェルターがある!」

 

走って走って。大きな空間に出た時、下に大きなロボットが横たわっていた。
え!? あれってモビルスーツか!? 俺が乗っていたのと同じ顔をした奴らが寝ていて、妙な感覚を味わった。

 

「こ、これって…」
「はぁ…やっぱり…地球軍の新型機動兵器…うっ…お父様の裏切り者ー!」

 

チーン!
ラッタルが甲高い金属音を立てた。
カガリの叫び声に気づいて、下から兵士が撃ってきた!

 

「やばいぞカガリ! 逃げよう!」
「ぁぁ」

 

俺達は再び安全な場所を探して走り出した。

 

「はぁはぁ…やっと見つけたー」
「ほら、ここに避難してる人が居る」
「まだ誰か居るのか?」

 

中の人が声をかけてきた。

 

「ああ、。俺と友人の2人です。お願いできますか?」
「2人!?」
「はい!」
「もうここはいっぱいなんだ! 左ブロックに37シェルターがあるからそこまでは行けんか?」
「ちっしょうがねえな。行ってみます!」
「悪いな!」

 

カガリと目を合わせると、再び俺達は走り出した。
さっき銃撃された所を通らなきゃならん。嫌だな。

 

「あ!?危ない後ろ!」

 

オレンジの作業着の女性が撃たれそうになってが、俺が声をかけたので難を逃れたようだ。
その女性が俺達に声をかけてきた。

 

「来い!」
「左ブロックのシェルターに行きます!お構いなく!」
「あそこはもうドアしかない!」
「え!?うわぁ!」

 

また爆発が起こった!

 

「こっちへ!」
「しょうがないみたいだな」
「ああ」
「ちょ、お前なにす……!」

 

爆発をやりすごして、カガリを抱きかかえてモビルスーツ目指してラッタルから飛び降りた!

 

あ、あの人が撃たれた!
あわてて駆け寄ると、ザフトの兵士がナイフを持ってこっちに来るのが見えた。
俺もあわてて身構えてる。くっそー、ナイフ遣いなら成績は一位だったんだ! なんとかして奪い取れば……
って、こいつの顔は……!

 

「――アス、ラン!?」
「っ!? キラ!?」
「……あんたって人はー! えらそうな事いっときながらすべてはあんたが始まりかー!」

 

俺がぶん殴ると、ちょっと若そうなアスランは呆然と後ろに転がっていった。
作業着の女性が銃を向けると、アスランは隠れながら後ろに下がっていった。
その女性はいきなり俺達をモビルスーツのコクピットに落とすと、そいつを起動させた。

 

「シートの後ろに!この機体だけでも。私にだって動かすくらい」
「……ガン、ダム?」

 

表示される画面に表示される文字が縦読みでそう見えた。懐かしい。何もかもが懐かしい……
そして、スクリーンにパッと周囲の光景が映し出され、このモビルスーツは立ち上がったのだ。

 
 

「おい! この操縦はなんだ! ひどすぎる! なんとかしろ!」
「私はマリュー・ラミアス。地球連合軍の大尉よ。あなたたち、巻き込んですまなかったわね」

 

さりげなく俺の非難を無視しながら、俺達をコクピットに押し込んだ女性…マリューは、あちこちいじってスクリーンを切り替えたりしてた。

 

「あ! サイ! トール! カズイ!」

 

スクリーンのある部分がアップになると、みんなが写ってた。まだ避難し終わってなかったんだ!

 

ガガガガ! コクピットを衝撃が襲う!

 

「うわぁ!」
「下がってなさい!死にたいの!?」

 

突然ザフトのジンから銃撃を受けたらしい!

 

「このままじゃ! 何か武器とかないのか!? このモビルスーツ!?」

 

ジンは重斬刀を抜くと切りつけてくる!

 

「ええい、このボタンだ!」
「やめなさい! 民間人が!」

 

ガシーン!

 

衝撃はあったけど、このモビルスーツはやられていなかった!

 

「――! 何で知ってるの!? PS装甲のボタンを!?」

 

そうか、PS装甲のボタンだったか! 俺の悪運もなかなかのもんだぜ!

 

「どけ! 相手の武装は実体装備しかないようだ、この隙にOSを書き換える! とにかく敵を近づけさせるなよ! 機関砲ぐらいあんだろ!」
「は、はい!」

 

俺の経験と、キラの知識なら出来るはず!

 

「キャー! 撃ってもだめ! 近づいてきちゃう!」
「まったく! 落ち着いてOS直させろ!」

 

俺はスラスターを一気に吹かすとジンに突っ込んだ!

 

「しばらく寝てろ!」

 

カウンター気味に右ストレートを放つとジンは大きな響きを上げて倒れこんだ。

 

「急ぐぞ! キャリブレーション取りつつ、ゼロ・モーメント・ポイント及びCPGを再設定……、寿限無、寿限無 五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末、食う寝る処に住む処、やぶら小路の藪柑子、パイポパイポ パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの 長久命の長助、できた!って、武器、結局、アーマーシュナイダー、ってナイフみたいなのしかないのね。これは、神が俺にナイフ妙技を見せろと言っているのか? いいだろう!」

 

幸い鍛えていない割りに、このキラ・ヤマトの身体は反応がいい!
俺は左の腰からアーマーシュナイダーを出すと手にセット!
左手のアーマーシュナイダーを空中に放り投げ、挑発するように右手でカモンと手を形作り、ちょうど計算どおりに落ちてきたアーマーシュナイダーをまた握る。
相手はうまく挑発に乗ってくれたようだ! 両手で重斬刀を構え突っ込んでくる!

 

俺は左手のアーマーシュナイダーをジンの重斬刀に押し付け絶妙に軌道をずらさせ左にやり過ごす! すばやく右腰からアーマーシュナイダーを出し、がら空きになった左腕の付け根を下から抉る! 重斬刀から一気に力が抜ける。すかさず俺は右腕の付け根にもアーマーシュナイダーを突き刺した――

 

……ん? コクピットのハッチが開いて、パイロットが出てくる。

 

「逃がすかよ!」

 

俺は絶妙の力加減でそいつの体を握ると、バーニアを吹かして一気に後退する。
次の瞬間、スクリーンには空しく自爆したジンが映っていた。

 

「あ、あなたは一体……」

 

さーて、どう答えるかな。大邪神リリカル・ミュミュ様の力で未来から飛んできましたと言っても無駄だろう。

 

「コーディネイター、って言えばいいですか? オーブのね」
「そう、コーディネイターだったの……申し訳ないけど、あなた達をこのまま解散させるわけにはいかなくなりました。事情はどうあれ軍の重要機密を見てしまったあなた方は、然るべき所と連絡が取れ処置が決定するまで、私と行動を共にしていただかざるを得ません」
「ふざけるな! 秘密裏に中立を破っておいて……もういい! 私がお父様に……」
「カガリ!」

 

俺は片腕でカガリを支えると、モビルスーツのバランスを崩した。

 

「キャー!」

 

……

 

「うまく気絶したようだな。さ、武装解除、武装解除」
「お前、すごい奴だな」

 

あきれたようにカガリが言った。

 

「言葉に気をつけろよな、カガリ。感情的になって正体明かしたらまずいんじゃないの?」
「う、それは確かに。でも、こいつがあんな事を言うもんだから。でもお父様もひどい! みんなを欺いて中立を破ってたんだ!」

 

マリューさんを緊縛しながらカガリは涙目になっている。

 

「娘にそう言われりゃ代表の立場がないだろ。代表だって、中立を守るためのぎりぎりの譲歩をしてるんじゃないのか? それに、あくまで中立を守って、その結果国を焼いて国民が死ぬより、どっか強い所と組んで、身の安全が保たれる方が助かるね、オーブ国民の立場としちゃ。あんたはそういう事考えた事あるのかよ」
「それは……! そうか、お父様は連合に貸しを作るつもりで……」
「俺とあんたは鏡みたいだな」
「え!?」
「あんたはモルゲンレーテを見て失望したんだろう? しかし、俺は逆だ。口だけでいくら中立を唱えたってだめだろうと、アスハ代表をあまり評価していなかった。だが、モルゲンレーテで連合と組んでいるのを知って、やる事はやってるんだなと見直した」

 

不思議だな。前の世界じゃあんなに憎んでたのに。憎しみも薄れて気楽に言いたい事がぽんぽん言えちまう。こいつがあの時に比べて幼いせいか?

 

気絶したマリューさんを緊縛し終えると、外に下ろした。
ザフト兵もジンの爆発のせいか気絶していたので緊縛して転がしておいた。自業自得だ!
まぁ、俺もちょっと前までザフトだったからな。この程度で済ませてやるさ。

 

さーて、このヘリオポリスが崩壊するなんて事は言えないし、まだ決まってない。俺の行動次第で、ザフトを無事に撃退できるかもしれない!

 

「おーい! キラだったのか!?」
「あ、サイか、みんな無事か?」
「ああ、無事だ。これ、お前が操縦してたのか?」
「まぁ、成り行き上な」
「? お前、なんか感じ変わったな」
「モビルスーツ操縦して、生死の狭間の経験すりゃ、色々変わるよ」
「そうか、大変だったな」
「ああ、そう言えば、教授のお客さんも無事だったんだな」
「カガリ・ユラだ。よろしく」
「よろしく!」

 

カガリがみんなに自己紹介した。カガリが、俺に目配せをする。

 

「ん?」
「そういう事で!」
「……ああ! なるほど。了解。そうだな。俺も……みんな、聞いてくれ!」

 

俺はカガリには聞こえないようにキラの友人を集めると、さっきマリューさんとコクピット内であったことを手短に話した。

 

「……と言うわけで、念のため俺は偽名を使いたい。シン・アスカと呼んでくれ」
「りょうかーい」
「わかったわ! シンね!」

 
 

◇◇◇

 
 

その頃ヴェサリウス艦内

 

「ふむ。オロール機が大破か。どうやらいささか五月蠅い蠅が一匹飛んでいるようだぞ」
「はっ」
「紅茶の入れ方にはゴールデンルールと呼ばれる有名な入れ方がある。しかしその前に重要なポイントについて教えよう。紅茶の三大要素として『香り』、『色』、『味』がある。このうちの『色』と『味』はポットで決まってしまう。これは何故かというと単純に、抽出時間やポットでの茶葉の動きに起因するからという訳だ」
「はぁ…」
「厳しい理想としては、できるだけ丸いものを選ぶ。保温性の高いものを選ぶ。ボーンチャイナ製が大変好ましい。鉄製のポットは絶対使わない。そんな所だな」
「はぁ…」
「ミゲルからの連絡が遅いが、まぁ彼の事だ。うまくやるだろう」

 

ラウ・ル・クルーゼはアデス艦長相手に優雅にお茶を楽しんでいた。

 
 

◇◇◇

 
 
 

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